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2017年07月15日

大樹町海岸の自然環境の保全に関する要望についての回答

 大樹町海岸の自然環境の保全に関する要望に対し、大樹町長から以下の回答がありました。

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樹住民 第629号
平成29年6月19日


十勝自然保護協会
共同代表  安藤 御史 様
        佐藤与志松 様

大樹町長 酒森正人
 

大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望について(回答)


 2017年6月6日付けで送付のありましたこのことについて、次のとおり回答いたします。



 この度ご要望のありました2点について、回答させていただきます。
1 「環境調査報告書(文献調査・環境影響評価計画の立案)」に関して
(1)について
 文献調査は、出版物等であって一般に入手可能な文献等の中から、大樹町に該当する物を対象に収集・整理したものと聞いております。ご指摘をいただきました「十勝海岸に関する重要な論文等」をご教授頂ければ、再整理をするよう指示したいと考えます。
(2)について
 今後、水域での調査を行うにあたっては、抽水植物・沈水植物に十分に留意して調査を行うとともに、水質調査の実施についても検討いたします。
 また、インターステラテクノロジス株式会社(以下、IST社)が実験を行っている射場600m範囲については、可能な範囲で調査を実施したいと考えます。
(3)について
 文献調査で除外しておりました「蘇苔類」についても対象とし、再整理をするようにしたいと考えます。また、今後の現地調査にあたっては、ミズゴケ類の調査についても検討いたします。
(4)について
 浜大樹海岸のカシワ林は長い風雪に耐えた貴重なものと理解をしております。 今後、計画検討を進めるにあたって、カシワ林の伐採については最小限の範囲に留める計画とするとともに、保存について十分に配慮するようにいたします。
(5)について
 IST社には、司令所や関連設備の設置にあたり、「十勝坊主(凍結坊主・アースハンモック)」に対し、十分に配慮するように指導いたします。
 平成28年度に検討した調査検討項目は、文献や自然条件・社会条件等から絞り込んで選定したものと聞いております。今後、現地調査を実施する際には、「十勝坊主(凍結坊主・アースハンモック)」についても重要な地形として留意して確認をしていくとともに、事業実施区域周辺で確認されるようであれば、十分に配慮するようにいたします。

2 IST社の指令所等の設備に関して
(1)について
 指令所から射場を見通すための樹木伐採においては、ご要望のようにハンノキ類について最小限に留めるよう配慮のうえ、既に町が実施し完了しております。
(2)について
 射場までのケーブル設置については、湿地内を通ることなく、カシワ林内を経路とする計画と聞いております。
 IST社には、計画に沿って可能な範囲で配慮するように指導しております。

(住民課住民活動係)


  


Posted by 十勝自然保護協会 at 21:07Comments(0)大樹町航空宇宙開発

2017年07月15日

大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望書

 大樹町海岸の自然環境の保全に関して、大樹町長に以下の要望書を送付しました。

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2017年6月6日


大樹町長  酒森 正人 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望


 本年4月25日付で、貴職より送付いただいた「平成28年度 大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設整備検討調査並びに環境影響調査の実施業務」として日本工営株式会社札幌支店が行った環境調査報告書(抜粋)とインターステラテクノロジス(以下IST)社のロケット打ち上げに関わる設備の計画書について、5月17日に当会役員が貴町担当職員と面談し説明を受けました。その際、当会の要望を口頭で伝えましたが、改めて書面を提出いたしますので、ご検討いただきたく存じます。ご多忙とは存じますが、6月20日までにご見解を回答くださいますようお願いいたします。

1 「環境調査報告書(文献調査・環境影響評価計画の立案)」に関して
(1)複数の専門家によれば、文献リストには十勝海岸に関する重要な論文等が記載されていないとのことです。文献は今後の調査の基礎にもなりますのでさらに調査収集いただきたく存じます。
(2)大樹町海岸の自然環境の特徴は湖沼群と湿原です。水域の調査に当たってはとくに抽水植物・沈水植物の調査を重視することを要望します。また、水質の調査も合せて行うべきです。とくに多目的航空公園周辺の環境調査については、湿原およびその周辺を十分に行うよう改めて要望します。現在IST 社が実験を行っている少なくとも600m範囲内(発射時の退避域)には貴重種も多く生育していますので十分な調査が必要です。
(3)「文献調査で確認された動植物」には「蘚苔類」がリストから除外されています(4-38 注2)。湿原の状況を把握するにはミズゴケ類の調査を欠かすことはできません。調査項目に加えることが必須であると考えます。
(4)浜大樹海岸の長大なカシワ林は他に類を見ない貴重なものとされます。法律上、滑走路維持のための必要な伐採が既におこなわれたとはいえ、記載にあたっては長大なカシワ海岸林の一部であることを踏まえた十分な配慮がなされるべきです。当該箇所の伐採は連続する生態系の分断になることから最小限の伐採に留めるよう要望します。
(5)航空公園東側のIST社司令所予定地周辺のバンクスマツ南側一帯には寒冷地形の「十勝坊主(凍結坊主・アースハンモック)」があることが最近、専門家の調査によって明らかになりました。近年、開発などにより極めて限られた地域にしか見られない貴重な地形であり、「4-67 表-4.33 調査検討項目の選定」において「事業実施区域及びその周辺には、重要な地形及び地質は存在しないため、対象としない」との記載は修正されるべきです。北海道では最も南に位置する十勝坊主と考えられ、更なる継続的な調査が必要とされますので、保全に十分な配慮を要望します。

2 IST社の司令所等の設備に関して
 (1)司令所から射場を見通すために一定の範囲内のバンクスマツ等を伐採するとのことでしたが、延長上にある湿原境界域のハンノキ類についての記載が不明確です。視界確保のために計画区域外のハンノキ類を対象にするならば、林床の状態から過度な伐採は避けるべきであり必要最小限の枝払いにすべきです。
 (2)射場までのケーブルの敷設にあたってルートの詳細が計画書にはありません。もし直線であるとすれば湿地内(湿生草原)を通過することになります。湿生草原およびカシワ林に沿う乾生草原には貴重種が少なくありません。ケーブル敷設により、保守点検等のため裸地が生じ、環境への負荷が増大するので、この一帯を避けて敷設すべきです。また、前述した十勝坊主群が司令所東側に存在しますので避けるべきです。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:54Comments(0)大樹町航空宇宙開発