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十勝自然保護協会 活動速報 › 美蔓ダム › 美蔓地区の国営かんがい排水事業で申入れ

2009年03月13日

美蔓地区の国営かんがい排水事業で申入れ

美蔓地区の国営かんがい排水事業問題で、3月12日に帯広開発建設部を訪問し、抗議および申入れをしました。

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2009年3月12日

北海道開発局長  様
帯広開発建設部長 様

十勝自然保護協会
会長 安藤御史


美蔓地区の国営かんがい排水事業についての抗議および計画見直しの申入れ


 2005年の春、WRC(世界ラリー選手権)のコースとなっていたペンケニコロ林道でナキウサギの調査を行った際に、ナキウサギ生息地に立てられた測量杭が発見された。ここには美蔓ダムの計画があることは承知していたが、ナキウサギの生息が確認されており計画は頓挫しているものと思っていた。そこで帯広開発建設部(以下「開建」)に説明を求めることとし、2005年6月30日を皮切りに、2009年2月23日まで10回に及ぶ説明会がもたれた。
 美蔓ダムは、1993年に鹿追町の上幌内(然別川水系)に計画されたかんがい用のダムで、然別川の支流を堰き止め、470億円をかけて貯水量630万立方メートルのダムを造り、水量を補うため、十勝川水系からもパイプラインで水を引いてくるというものであった。その後、水需要が減少して受益者戸数も減り、2001年にダムの規模を縮小して貯水量を340万立方メートルとし、建設場所をペンケニコロ川へと変更した(第1回計画変更)。ダムの規模を縮小したにもかかわらず、事業費は530億円へと増加した。その後、受益者がさらに減少したため、2007年には上幌内地区にため池をつくり頭首工によってペンケニコロ川から取水する方式に変更した(第2回計画変更)。このように美蔓ダム計画は二転三転してきた。
 開建は、然別川水系にダムを建設するという当初計画について全くふれず、あたかもはじめからペンケニコロ川に建設を計画していたかのように、われわれに説明した。そして、然別川水系の2河川と十勝川水系の4河川で環境調査を行い、環境面と費用面でペンケニコロ川を選定したとの説明がなされた。
 ところが、2006年8月26日付け十勝毎日新聞および同年12月23日付け北海道新聞の報道によって、当初然別川水系にダムが計画されていたことを知ることになった。記事によると、水需要の減少により2度の見直しを余儀なくされたとのことであった。過去の新聞記事(1989年12月17日付、北海道新聞)を調べたところ、環境調査を行う前にペンケニコロ川にダムを建設することが決まっていたことも判明した。
 3年8ヶ月にわたる話合いで明らかになったことは、環境調査に基づいてダム建設地をペンケニコロ川に選定したのではないということであった。建設費についての説明も曖昧であり、費用面でもペンケニコロ川が最も安くなるとの説明も納得できるものではなかった。開建はこのことを隠すために、当会にダム計画の経緯を説明しなかっただけではなく、虚偽の説明を行なったのである。これによって話合いが途中から空転し、多大な時間を無駄にした。また話し合いの場で明快な回答が得られない事項に関して質問書を送付したが、質問をはぐらかした回答に終始し、説明責任を果たすものではなかった。
 さらに、当会と協議中であるにも関わらず、なんの連絡もなく一方的に2008年の夏から上幌内地区でため池の工事に着手していたのである。
 このように開建は、頭首工を設置する河川としてペンケニコロ川を選定したことの妥当性について説明できないにもかかわらず、着々と計画を進めていたことが明らかとなった。また、この間、開建は話合いを公開にしたいという当会の申し出を拒否しつづけ、この問題が社会的に注目されることを避けてきた。
 このまま工事が進められれば河川生態系に大きな影響を与えるばかりでなく、ナキウサギの生息地が破壊されるなど、取り返しのつかない事態となることが予測される。
 当会に対しあたかも真摯に対応しているかのように振舞いながら、実際には当会の意見についてなんら検討することなく計画を進めた開建の態度は自然保護団体を愚弄するものであり、強く抗議する。
 上記の経緯を踏まえ、以下の3点を申し入れる。

1.ダム(頭首工)を建設する河川は、社会的評価に耐える環境調査に基づいて選定されていなかったことが明らかになった。建設費についても納得のいく説明がなされていない。したがって、計画を白紙に戻して再検討すること。

2.導水管を埋設するペンケニコロ林道周辺はナキウサギの生息地となっており、工事はナキウサギ生息地を破壊するものである。したがってペンケニコロ川での取水施設の建設を取りやめること。

3.受益農家の減少にともなって、受益面積が大きく減少した。さらに、鹿追町では地下水の利用によって水不足は改善されていると聞いている。水需要について再度検討すること。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 08:10│Comments(0)美蔓ダム
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