十勝自然保護協会 活動速報
2022年07月22日
幌加調整池通砂バイパストンネル工事についての要望と回答
電源開発は、幌加調整池(上士幌町)の堆砂対策として通砂バイパストンネルの設置工事を計画しています。当会は2022年3月6日に事業計画について説明を受け、その後、環境調査等について面談・書面でのやり取りを行い、最終的に7月4日に要望書を提出、7月12日に回答がありました。要望書と回答を掲載します。
電源開発(株)水力発電部 東日本支店
上士幌電力所長 田畑 宏司 様
幌加調整池通砂バイパストンネル工事について、これまでの貴社からの説明を踏まえ、以下の要望をいたします。
1.幌加ダムでは竣工後7年目の1972年に110,800立方メートル、その9年後の1981年に106,000立方メートルの堆砂を記録しています。この堆砂量は貴社が言うところの「4台風」が襲来した2016年より多くなっています。国交省によると、幌加ダムでは2018年度に465,000立方メートルの堆砂があったとされ、総貯水容量に対する堆砂量の割合は北海道のダムではトップクラスとなっています。このように竣工直後から多量の土砂が堆積する幌加ダムはダムに不適格な立地であると言わざるを得ません。堆砂対策を考えるに当たり、このようなところにダムを存続させるべきかについて、撤去も含め十分検討すべきであると当会は考えています。これまでの堆砂状況から今後も多量の堆砂が続くと推測されますし、貴社からは通砂バイパストンネル工事を行ってもダンプによる堆砂除去が必要であるとの説明がありました。したがって、通砂バイパストンネルは堆砂対策として十分とは言えない可能性があります。その様な場合には幌加ダムの撤去も含めた検討が必要になると考えます。
2.貴社は「幌加ダム地点は、もともと小規模な滝地形ということもあり、ダムの建設以前からダム地点下流より上流への魚の遡上は困難な場所であったと考えております。」としていますが、幌加川の上流域にはムハンオショロコマの存在が知られております(町野陽一・宮内博三.1997.大雪山系からのムハンオショロコマ(salvelinus malma).ひがし大雪博物館研究報告25号)。この小さな滝を乗り越えオショロコマが上流にも分布していたと考えられます。貴社が希望するように通砂バイパスを通し、幌加ダムを存続させるというのであれは、魚道をつけるべきです。魚道の設置は流路を寸断したものが果たすべき責務であると考えます。
3.幌加ダム周辺にはオジロワシ・クマタカなどの猛禽類が生息しており、貴社がこれまで行ってきた堆砂除去作業も猛禽類の繁殖期を避けていました。工事にともなう騒音や車の往来など繁殖への人為的影響が懸念されます。モニタリングをしながら工事を行うと説明がありましたが、何等かの影響が生じてから対策をするのでは遅すぎます。オジロワシ・クマタカの繁殖期は工事を避けるよう求めます。
4.貴社は「生態学的混播・混植法による復元も検討することとする」としていますが、この手法は植生の遷移に基づいておりません。どのように植生が移り変わるかを踏まえたうえで、原植生の復元を目指すよう求めます。
なお、以上の要望については、環境省上士幌管理官事務所管理官に通知することを申し添えます。
十勝 自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
(1)通砂バイパス トンネル設置後もダンプによる堆砂除去が必要であるとの説明があり、堆砂対策として十分とは言えない可能性がある。
そのような場合には幌加ダムの撤去も含めた検討が必要となると考える。
国産エネルギーの乏しい我が国においては、再生可能エネルギーである水力発電による電力の安定供給は、発電事業者の重要な責務と考えております。
ご指摘の通砂バイパストンネル設置後のダンプによる堆砂除去の可能性については、先日ご説明差し上げた通り、2016年 にあつた災害クラスの大出水では、分派堰を越えて調整池内に流入する可能性を否定できないため、この場合にはダンプによる堆砂除去が必要となります。
しかし、このような災害クラスの大出水であっても、通砂バイパストンネルにより、調整池内への土砂の流入は大幅に軽減できるために、早期復旧や電力の安定供給には大きく寄与できるものと確信しております。
通砂バイパストンネルの設置後も、堆砂測量および河川環境のモニタリングを継続することとしており、これらの結果を踏まえて継続的にバイパス運用の改善を図って参ります。
(2)通砂バイパスを通し、幌加ダムを存続させるのであれば、魚道をつけるべきであると考える。
水力発電事業の運営においては、環境との調和は重要な観点であると認識しております。
幌加地点においては、通砂バイパストンネルを設けることにより、ダム下流河川環境の改善や、堆砂の掘削運搬のためのダンプトラック台数の削減など、環境負荷の低減が図られます。
加えて、ご指摘の魚道については、更なる河川環境の改善のための対策と認識しております。幌加地点では、今後も水生生物および魚類の生息状況を含めた河川環境のモニタリングを継続して行うこととしており、これらの結果を踏まえて、更なる対策の必要性を含め、有識者および河川管理者のご指導を仰ぎながら検討して参ります。
(3)これまで行ってきた堆砂除去作業も猛禽類の繁殖期を避けてきた。通砂バイパストンネルエ事においても、オジロワシ・クマタカの繁殖期には工事を避けるよう求める。
幌加調整池における堆砂の掘削・搬出作業については、気温が下がり調整池内の堆砂が凍結し重機の立入りが可能となる12月~3月で現場作業を行っておりました。
今回の計画にあたり、これまでに環境調査を実施し、通砂バイパストンネル設置箇所といずれの営巣場所とは1,000m以上の離隔距離が保たれていることを関係行政、有識者および貴協会とも情報共有して参りました。
これらの環境調査に基づき有識者のご指導を受けながら工事計画を立案して参りました。今後、工事期間中もモニタリングを継続し、得られた情報と結果をもとに環境対策の効果および改善点などを評価し、有識者のご指導を頂きながらPDCA管理を継続実施して参ります。
通砂バイパストンネルエ事については、上記のように適切な環境対策、モニタリング、PDCA管理を確実に行うことで、周辺環境に配慮しつつ工事を実施することにより、周辺環境への影響を最小化することを目指して参ります。
(4)植生の移り変わりを踏まえたうえで、原植生の復元を目指すよう求める。
ご意見を踏まえて有識者と相談した結果、群落組成調査結果から原植生の主要構成種と考えられるトドマツ、シナノキ、ハリギリ、ミズナラ、ドロノキ、ケヤマ八ンノキ等を対象とし、その中でもドロノキ、ケヤマハンノキ等の先駆樹種を主体とした樹林を形成させ、その後は自然の遷移に任せる計画として参ります。
※ 貴協会からのご意見、ご要望については、趣旨を簡潔に転記していることをご了承ください。
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2022年7月4日
電源開発(株)水力発電部 東日本支店
上士幌電力所長 田畑 宏司 様
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
幌加調整池通砂バイパストンネル工事についての要望書
幌加調整池通砂バイパストンネル工事について、これまでの貴社からの説明を踏まえ、以下の要望をいたします。
1.幌加ダムでは竣工後7年目の1972年に110,800立方メートル、その9年後の1981年に106,000立方メートルの堆砂を記録しています。この堆砂量は貴社が言うところの「4台風」が襲来した2016年より多くなっています。国交省によると、幌加ダムでは2018年度に465,000立方メートルの堆砂があったとされ、総貯水容量に対する堆砂量の割合は北海道のダムではトップクラスとなっています。このように竣工直後から多量の土砂が堆積する幌加ダムはダムに不適格な立地であると言わざるを得ません。堆砂対策を考えるに当たり、このようなところにダムを存続させるべきかについて、撤去も含め十分検討すべきであると当会は考えています。これまでの堆砂状況から今後も多量の堆砂が続くと推測されますし、貴社からは通砂バイパストンネル工事を行ってもダンプによる堆砂除去が必要であるとの説明がありました。したがって、通砂バイパストンネルは堆砂対策として十分とは言えない可能性があります。その様な場合には幌加ダムの撤去も含めた検討が必要になると考えます。
2.貴社は「幌加ダム地点は、もともと小規模な滝地形ということもあり、ダムの建設以前からダム地点下流より上流への魚の遡上は困難な場所であったと考えております。」としていますが、幌加川の上流域にはムハンオショロコマの存在が知られております(町野陽一・宮内博三.1997.大雪山系からのムハンオショロコマ(salvelinus malma).ひがし大雪博物館研究報告25号)。この小さな滝を乗り越えオショロコマが上流にも分布していたと考えられます。貴社が希望するように通砂バイパスを通し、幌加ダムを存続させるというのであれは、魚道をつけるべきです。魚道の設置は流路を寸断したものが果たすべき責務であると考えます。
3.幌加ダム周辺にはオジロワシ・クマタカなどの猛禽類が生息しており、貴社がこれまで行ってきた堆砂除去作業も猛禽類の繁殖期を避けていました。工事にともなう騒音や車の往来など繁殖への人為的影響が懸念されます。モニタリングをしながら工事を行うと説明がありましたが、何等かの影響が生じてから対策をするのでは遅すぎます。オジロワシ・クマタカの繁殖期は工事を避けるよう求めます。
4.貴社は「生態学的混播・混植法による復元も検討することとする」としていますが、この手法は植生の遷移に基づいておりません。どのように植生が移り変わるかを踏まえたうえで、原植生の復元を目指すよう求めます。
なお、以上の要望については、環境省上士幌管理官事務所管理官に通知することを申し添えます。
以上
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上 電 発 第69号
令和4年7月12日
令和4年7月12日
十勝 自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
電源開発(株) 水力発電部 東日本支店
上士幌電力所長 田畑 宏司
上士幌電力所長 田畑 宏司
「幌加調整池 通砂バイパストンネルについての要望書」について(回答)
記
(1)通砂バイパス トンネル設置後もダンプによる堆砂除去が必要であるとの説明があり、堆砂対策として十分とは言えない可能性がある。
そのような場合には幌加ダムの撤去も含めた検討が必要となると考える。
国産エネルギーの乏しい我が国においては、再生可能エネルギーである水力発電による電力の安定供給は、発電事業者の重要な責務と考えております。
ご指摘の通砂バイパストンネル設置後のダンプによる堆砂除去の可能性については、先日ご説明差し上げた通り、2016年 にあつた災害クラスの大出水では、分派堰を越えて調整池内に流入する可能性を否定できないため、この場合にはダンプによる堆砂除去が必要となります。
しかし、このような災害クラスの大出水であっても、通砂バイパストンネルにより、調整池内への土砂の流入は大幅に軽減できるために、早期復旧や電力の安定供給には大きく寄与できるものと確信しております。
通砂バイパストンネルの設置後も、堆砂測量および河川環境のモニタリングを継続することとしており、これらの結果を踏まえて継続的にバイパス運用の改善を図って参ります。
(2)通砂バイパスを通し、幌加ダムを存続させるのであれば、魚道をつけるべきであると考える。
水力発電事業の運営においては、環境との調和は重要な観点であると認識しております。
幌加地点においては、通砂バイパストンネルを設けることにより、ダム下流河川環境の改善や、堆砂の掘削運搬のためのダンプトラック台数の削減など、環境負荷の低減が図られます。
加えて、ご指摘の魚道については、更なる河川環境の改善のための対策と認識しております。幌加地点では、今後も水生生物および魚類の生息状況を含めた河川環境のモニタリングを継続して行うこととしており、これらの結果を踏まえて、更なる対策の必要性を含め、有識者および河川管理者のご指導を仰ぎながら検討して参ります。
(3)これまで行ってきた堆砂除去作業も猛禽類の繁殖期を避けてきた。通砂バイパストンネルエ事においても、オジロワシ・クマタカの繁殖期には工事を避けるよう求める。
幌加調整池における堆砂の掘削・搬出作業については、気温が下がり調整池内の堆砂が凍結し重機の立入りが可能となる12月~3月で現場作業を行っておりました。
今回の計画にあたり、これまでに環境調査を実施し、通砂バイパストンネル設置箇所といずれの営巣場所とは1,000m以上の離隔距離が保たれていることを関係行政、有識者および貴協会とも情報共有して参りました。
これらの環境調査に基づき有識者のご指導を受けながら工事計画を立案して参りました。今後、工事期間中もモニタリングを継続し、得られた情報と結果をもとに環境対策の効果および改善点などを評価し、有識者のご指導を頂きながらPDCA管理を継続実施して参ります。
通砂バイパストンネルエ事については、上記のように適切な環境対策、モニタリング、PDCA管理を確実に行うことで、周辺環境に配慮しつつ工事を実施することにより、周辺環境への影響を最小化することを目指して参ります。
(4)植生の移り変わりを踏まえたうえで、原植生の復元を目指すよう求める。
ご意見を踏まえて有識者と相談した結果、群落組成調査結果から原植生の主要構成種と考えられるトドマツ、シナノキ、ハリギリ、ミズナラ、ドロノキ、ケヤマ八ンノキ等を対象とし、その中でもドロノキ、ケヤマハンノキ等の先駆樹種を主体とした樹林を形成させ、その後は自然の遷移に任せる計画として参ります。
※ 貴協会からのご意見、ご要望については、趣旨を簡潔に転記していることをご了承ください。
以上
2022年06月11日
講演会とパネル展示のご案内
十勝平野には周氷河地形の一種である十勝坊主(アースハンモック)が今も10数か所に見られます。冬季は30cm以下に及ぶ深い土壌凍結が十勝坊主(アースハンモック)をつくりだします。
管内の十勝坊主(アースハンモック)は開発などで存亡の危機にあるものが少なくありません。当会は管内の十勝坊主(アースハンモック)保存のための取り組みを行っています。下記の催しを企画しておりますので、ご案内いたします。
(1)講演会「南限の周氷河地形『十勝坊主(アースハンモック)』が語ること」
日時 2022年6月18日(土) 15:00~16:30(14:30開場)
会場 帯広市とかちプラザ講習室401
講師 澤田結基氏(福山市立大学教授:自然地理学、雪氷学)
内容 十勝坊主は寒冷地特有の奇妙な地形です。どのようにしてつくられるのでしょうか。わずかに残る十勝坊主が語る十勝の自然史を解説します。
参加費 500円(大学生以下無料)
申し込み必要(60名限定・先着順)
申し込み・問い合わせ先 十勝自然保護協会事務局 015-572-4012
(2)パネル展示「とかち野の原風景 十勝坊主」
日時 2022年6月22日(水)~28(火)
平日10:00~20:00 土・日 10:00~18;00
ただし 22日13時開場。27日休館。28日17時終了。
会場 帯広市図書館ロビー
*入場無料
管内の十勝坊主(アースハンモック)は開発などで存亡の危機にあるものが少なくありません。当会は管内の十勝坊主(アースハンモック)保存のための取り組みを行っています。下記の催しを企画しておりますので、ご案内いたします。
(1)講演会「南限の周氷河地形『十勝坊主(アースハンモック)』が語ること」
日時 2022年6月18日(土) 15:00~16:30(14:30開場)
会場 帯広市とかちプラザ講習室401
講師 澤田結基氏(福山市立大学教授:自然地理学、雪氷学)
内容 十勝坊主は寒冷地特有の奇妙な地形です。どのようにしてつくられるのでしょうか。わずかに残る十勝坊主が語る十勝の自然史を解説します。
参加費 500円(大学生以下無料)
申し込み必要(60名限定・先着順)
申し込み・問い合わせ先 十勝自然保護協会事務局 015-572-4012
(2)パネル展示「とかち野の原風景 十勝坊主」
日時 2022年6月22日(水)~28(火)
平日10:00~20:00 土・日 10:00~18;00
ただし 22日13時開場。27日休館。28日17時終了。
会場 帯広市図書館ロビー
*入場無料
2022年06月03日
宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望と回答
5月11日付で大樹町長に送付した「宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望」と大樹町長からの回答を掲載します。
大樹町長 酒森正人 様
当会は貴職に対し、十勝海岸の自然の多様性、貴重性を守る立場からここ数年にわたり、書面・面談を通じ意見を述べ要望してきました。とくに「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」が公表されてから、射場の拡張整備、滑走路の延伸などについて代替案を含め要望書を提出しました。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいております。また、射場整備についての要望に対し「…自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。」との回答もいただいております。
貴町が掲げる「北海道スペースポート」構想の実現に向けた関連事業が今年度より本格的に始まるとのことですが、その開始に当たって以下の要望をいたします。これは、すでに書面や面談を通じて繰り返し要望してきましたが、改めて提出いたします。
ご多忙とは存じますが、6月3日までにご見解をいただければ幸いです。
1.LC1射場の拡張整備について
当該地区のカシワ林は、浜大樹より連続する自然度の高い長大なもので、道内的にも貴重なカシワ海岸林であり、北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、カシワ林周辺の海岸側には多くのガンコウラン群落があり、これも上記の北海道自然環境保全指針の中で他の海岸植生とともに保全が求められているところです。
今後の実施設計に当たっては、カシワ林の伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
また、実施設計に当たっては、当会が意見を述べる機会を設けていただきたく要望します。
2.現滑走路の東側延伸について
上記の観点から、海岸カシワ林の伐採をせず、西側にのみ延伸すべきことを要望してきましたが、今回の決定は残念です。「北海道スペースポート」構想では、今後、3000m級の新滑走路の計画もありますが、カシワ林伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
3.「北海道スペースポート」構想のイメージ図について
スペースコタンがメディアなどに提供する3葉のイメージ図については、貴重な自然環境を破壊するようなイメージであることから、当会は発足当初から再検討を要望してきました。貴町は「あくまでもイメージ図」としていますが、3葉のうち特に右図は「航空宇宙産業が集積する『宇宙のシリコンバレー』を目指す」ものとして、各種イベントやメディアで多用されています。この図は海岸草原台地から当縁川河口をベースにし、河川湿地は埋め立てられています。貴職がおっしゃる「自然環境との共生」とはかけ離れるものです。スペースコタンは貴町が最大株主です。再検討を要望いたします。
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤与志松 様
「宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望」に対する回答について
2022年5月11日付けで要望のあった このことについて、次のとおり回答いたします。
1 LC-1射場の拡張整備について
LC-1射場の整備につきましては、整備事業に係る入札公告を4月に行い、現在、入札参加申込等の受付を行っているところです。
LC-1射場は、ロケッ トの飛行安全や地上安全の確保が必要であることか ら、既存法令に基づく保安距離等を満たした施設整備が前提となりますが、当町は、自然環境と共生する射場の整備を目指 しておりますので、これまで同様、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。
なお、整備にあたっては環境影響を予測・評価する必要があるため、昨年実施した夏期・秋期環境調査に続き、今年度は春期環境調査を行うこととしております。本調査において周辺植生等を事前に把握し、環境に配慮した射場整備について検討してまいります。
2 現滑走路の東側延伸について
昨年度実施した基本設計では、インフラ等の周辺環境から、滑走路については東西へ延伸する設計となっております。
ただし、今後実施する入札においては、滑走路延伸等にかかる技術提案を参加企業から受ける予定となっていることから、基本設計どおり延伸工事を実施するかは、現在のところ未定となっております。
滑走路の延伸につきましても、LC-1射場の整備同様、周辺環境に配慮した整備を検討してまいります。
3 「北海道スペースポー ト」構想のイメージ図について
現在の北海道スペースポートイメージ図は、北海道に形成を目指す「宇宙版シリコンバレー」を分かりやすくイメージできるように集約 したものにあなりますので、町として本図どおりの整備を目指 しているわけではございません。
なおイメージ図は、より具体的な内容に更新することも考えていることから、更新の際には自然環境への配慮についても検討していきたいと考えております。
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2022年5月11日
大樹町長 酒森正人 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望
当会は貴職に対し、十勝海岸の自然の多様性、貴重性を守る立場からここ数年にわたり、書面・面談を通じ意見を述べ要望してきました。とくに「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」が公表されてから、射場の拡張整備、滑走路の延伸などについて代替案を含め要望書を提出しました。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいております。また、射場整備についての要望に対し「…自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。」との回答もいただいております。
貴町が掲げる「北海道スペースポート」構想の実現に向けた関連事業が今年度より本格的に始まるとのことですが、その開始に当たって以下の要望をいたします。これは、すでに書面や面談を通じて繰り返し要望してきましたが、改めて提出いたします。
ご多忙とは存じますが、6月3日までにご見解をいただければ幸いです。
1.LC1射場の拡張整備について
当該地区のカシワ林は、浜大樹より連続する自然度の高い長大なもので、道内的にも貴重なカシワ海岸林であり、北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、カシワ林周辺の海岸側には多くのガンコウラン群落があり、これも上記の北海道自然環境保全指針の中で他の海岸植生とともに保全が求められているところです。
今後の実施設計に当たっては、カシワ林の伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
また、実施設計に当たっては、当会が意見を述べる機会を設けていただきたく要望します。
2.現滑走路の東側延伸について
上記の観点から、海岸カシワ林の伐採をせず、西側にのみ延伸すべきことを要望してきましたが、今回の決定は残念です。「北海道スペースポート」構想では、今後、3000m級の新滑走路の計画もありますが、カシワ林伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
3.「北海道スペースポート」構想のイメージ図について
スペースコタンがメディアなどに提供する3葉のイメージ図については、貴重な自然環境を破壊するようなイメージであることから、当会は発足当初から再検討を要望してきました。貴町は「あくまでもイメージ図」としていますが、3葉のうち特に右図は「航空宇宙産業が集積する『宇宙のシリコンバレー』を目指す」ものとして、各種イベントやメディアで多用されています。この図は海岸草原台地から当縁川河口をベースにし、河川湿地は埋め立てられています。貴職がおっしゃる「自然環境との共生」とはかけ離れるものです。スペースコタンは貴町が最大株主です。再検討を要望いたします。
(イメージ図は省略)
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樹企商第 214 号
令和4年5月26日
令和4年5月26日
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤与志松 様
大樹町長 酒森 正人
「宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望」に対する回答について
2022年5月11日付けで要望のあった このことについて、次のとおり回答いたします。
1 LC-1射場の拡張整備について
LC-1射場の整備につきましては、整備事業に係る入札公告を4月に行い、現在、入札参加申込等の受付を行っているところです。
LC-1射場は、ロケッ トの飛行安全や地上安全の確保が必要であることか ら、既存法令に基づく保安距離等を満たした施設整備が前提となりますが、当町は、自然環境と共生する射場の整備を目指 しておりますので、これまで同様、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。
なお、整備にあたっては環境影響を予測・評価する必要があるため、昨年実施した夏期・秋期環境調査に続き、今年度は春期環境調査を行うこととしております。本調査において周辺植生等を事前に把握し、環境に配慮した射場整備について検討してまいります。
2 現滑走路の東側延伸について
昨年度実施した基本設計では、インフラ等の周辺環境から、滑走路については東西へ延伸する設計となっております。
ただし、今後実施する入札においては、滑走路延伸等にかかる技術提案を参加企業から受ける予定となっていることから、基本設計どおり延伸工事を実施するかは、現在のところ未定となっております。
滑走路の延伸につきましても、LC-1射場の整備同様、周辺環境に配慮した整備を検討してまいります。
3 「北海道スペースポー ト」構想のイメージ図について
現在の北海道スペースポートイメージ図は、北海道に形成を目指す「宇宙版シリコンバレー」を分かりやすくイメージできるように集約 したものにあなりますので、町として本図どおりの整備を目指 しているわけではございません。
なおイメージ図は、より具体的な内容に更新することも考えていることから、更新の際には自然環境への配慮についても検討していきたいと考えております。
(企画商工課航空宇宙推進室)
2022年04月02日
春の講演会『問われる国立公園の役割 ~地熱発電と規制緩和~』のご案内
春の講演会
問われる国立公園の役割 ~地熱発電と規制緩和~
日時 :2022年4月9日(土) 13:30~15:30(13:00開場)
会場 :帯広市とかちプラザ視聴覚室(2階)
参加費:500円(大学生以下無料) *申し込み不要
講師 :寺島 一男氏(大雪と石狩の自然を守る会代表)
2021年環境省が発表した地熱開発加速化プランを契機に、国立公園等の自然公園区域内における地熱発電開発の動きが活発化しています。すでに国立公園等における規制緩和を段階的に進めていますが、さらにその範囲を拡大するとともに自然公園法や温泉法の見直しも進めています。
地熱発電は地熱資源のポテンシャルの高さや自然再生エネルギーのベースロード電源になるとして、その優位性ばかりが強調されていますが、開発には自然環境の破壊を始め多くの負の要因もたくさんあり、技術的にも未だ解決されていない課題が多いのです。規制の立場にある環境省が、自ら率先して地熱開発促進を進める姿勢に転換していることもこれまでにない情勢を生んでいます。
自然環境の質が地球規模で人類最大の問題になっているいま、わが国における“緑の砦”として残り少ない自然環境を維持してきた国立公園等の自然公園の役割はきわめて重要です。地熱発電開発が自然環境に対してどのような影響を与えるのか、それが地域にどのようなメリットをもたらすのか、そしてなによりも国立公園等の自然公園はなんのためにあるのか、その役割を問い直すことがいま大切です。
主催 :十勝自然保護協会
問い合わせ:十勝自然保護協会事務局(015-572-4012)
問われる国立公園の役割 ~地熱発電と規制緩和~
日時 :2022年4月9日(土) 13:30~15:30(13:00開場)
会場 :帯広市とかちプラザ視聴覚室(2階)
参加費:500円(大学生以下無料) *申し込み不要
講師 :寺島 一男氏(大雪と石狩の自然を守る会代表)
2021年環境省が発表した地熱開発加速化プランを契機に、国立公園等の自然公園区域内における地熱発電開発の動きが活発化しています。すでに国立公園等における規制緩和を段階的に進めていますが、さらにその範囲を拡大するとともに自然公園法や温泉法の見直しも進めています。
地熱発電は地熱資源のポテンシャルの高さや自然再生エネルギーのベースロード電源になるとして、その優位性ばかりが強調されていますが、開発には自然環境の破壊を始め多くの負の要因もたくさんあり、技術的にも未だ解決されていない課題が多いのです。規制の立場にある環境省が、自ら率先して地熱開発促進を進める姿勢に転換していることもこれまでにない情勢を生んでいます。
自然環境の質が地球規模で人類最大の問題になっているいま、わが国における“緑の砦”として残り少ない自然環境を維持してきた国立公園等の自然公園の役割はきわめて重要です。地熱発電開発が自然環境に対してどのような影響を与えるのか、それが地域にどのようなメリットをもたらすのか、そしてなによりも国立公園等の自然公園はなんのためにあるのか、その役割を問い直すことがいま大切です。
主催 :十勝自然保護協会
問い合わせ:十勝自然保護協会事務局(015-572-4012)
2022年03月31日
道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問への釧路自然環境事務所からの回答
当会が2021年9月7日付で釧路自然環境事務所長に送付した「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について」に対し、2022年3月22日付で以下の回答がありました。
十勝自然保護協会 御中
平素より、自然保護行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。2021年9月7日付け「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について」に対し、下記のとおり回答します。
(1)について
前田一歩園財団発刊の「阿寒国立公園の自然 1993」のp848及び環境省自然環境局生物多様性センターにより作成された25000分の1の現存植生図(自然環境調査Web-GIS)を参考としました。
(2)について
現時点で公園事業者である北海道から当該路線に関する国立公園事業の協議がなされていないため、見解を述べることは差し控えさせていただきます。公園事業者から当該路線に関する公園事業の申請及び申請に関わる相談があった場合は自然公園法に基づき適切に指導・審査を行う所存です。
********************
事 務 連 絡
令和4年3月22日
令和4年3月22日
十勝自然保護協会 御中
釧路自然環境事務所
平素より、自然保護行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。2021年9月7日付け「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について」に対し、下記のとおり回答します。
記
(1)について
前田一歩園財団発刊の「阿寒国立公園の自然 1993」のp848及び環境省自然環境局生物多様性センターにより作成された25000分の1の現存植生図(自然環境調査Web-GIS)を参考としました。
(2)について
現時点で公園事業者である北海道から当該路線に関する国立公園事業の協議がなされていないため、見解を述べることは差し控えさせていただきます。公園事業者から当該路線に関する公園事業の申請及び申請に関わる相談があった場合は自然公園法に基づき適切に指導・審査を行う所存です。
以上
タグ :モアショロ原野螺湾足寄停車場線
2022年03月22日
十勝帯広空港敷地内のアースハンモック保存について帯広市長からの回答
2021年12月22日付で帯広市長に提出した「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)が市にとって重要なものとして保存および活用のために必要な措置を講ずることの要望」に対し、以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
市民フォーラム十勝
事務局長 高倉 裕一 様
要望書に対する回答について
先にご要望のありました事項について、次のとおり回答いたします。
アースハンモック(十勝坊主)の保存および活用について
回答
とかち帯広空港敷地内の十勝坊主につきましては、文化的価値や空港の事業計画なども確認した上で、保存および活用の是非について判断していく考えです。
********************
帯広報第165号
令和4年3月7日
令和4年3月7日
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
市民フォーラム十勝
事務局長 高倉 裕一 様
帯広市長 米 沢 則 寿
(政策推進部広報秘書室広報広聴課担当)
(政策推進部広報秘書室広報広聴課担当)
要望書に対する回答について
先にご要望のありました事項について、次のとおり回答いたします。
記
アースハンモック(十勝坊主)の保存および活用について
回答
とかち帯広空港敷地内の十勝坊主につきましては、文化的価値や空港の事業計画なども確認した上で、保存および活用の是非について判断していく考えです。
(担当:観光交流課 電話65-4131)
2022年02月02日
とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定を申入れ
十勝鹿追ジオパークにおけるオーバーユースに関し、鹿追町長に以下の申入れを送付しました。
鹿追町長(とかち鹿追ジオパーク推進協議会会長)
喜井 知己 様
近年、とかち鹿追ジオパーク内のナキウサギ生息地において、写真撮影などを目的とした人達による植生破壊などが生じております。ナキウサギ生息地に多人数が長時間滞在することでナキウサギへの悪影響も懸念されます。当会はこの状況を看過できないと考えています。
当会は、とかち鹿追ジオパークの認定により観光客が増加し動植物に悪影響を与えるとの懸念から、2013年5月30日付で貴職あてに「とかち鹿追ジオパークについての申し入れ」を行い、保全ルールの提示を求めました。
また、同年7月17日付で「とかち鹿追ジオパークに係る当会との合意形成について」を提出し、オーバーユース問題について警鐘を鳴らしました。
これらの当会の要望に対し、貴職は同年7月30日付の回答で「持続可能で有効な保全ルールを策定したい」、「素案が作成された際には、当然保全ルールを公にし広く意見を伺う」と表明しました。
当会は、2014年11月17日付で「十勝鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ」を送付し進捗状況を問い合わせましたが回答がなく、同年12月2日には電話で進捗状況を問い合わせたところ調整中とのことでした。
さらに2015年6月22日付で「とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ」を送付して素案策定作業の進捗状況を問い合わせましたが期限までに回答がなく、同年7月28日に「とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ(再)」を送付して回答の催促をしました。
これに対し、貴職から同年8月10日付で「お問い合わせいただいた保全ルールの策定についてですが、他のジオパークの状況などの調査を含め協議をしていますが、自然公園法との整合性等、策定に苦慮しているのが現状です。ただ、保全ルールの重要性については十分認識をしておりますので、素案が策定された際には公にして広く意見を伺うことを考えております」との回答がありました。その後、現在に至るまで当会への保全ルールの提示はありません。
近年のナキウサギ生息地で生じている問題は、貴職が保全ルールの策定を棚上げしてきたことにあると言わざるを得ません。ついては、早急にとかち鹿追ジオパークにおける保全ルールを策定するとともに、当会への提示を求めます。
********************
2022年1月31日
鹿追町長(とかち鹿追ジオパーク推進協議会会長)
喜井 知己 様
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定の申入れ
近年、とかち鹿追ジオパーク内のナキウサギ生息地において、写真撮影などを目的とした人達による植生破壊などが生じております。ナキウサギ生息地に多人数が長時間滞在することでナキウサギへの悪影響も懸念されます。当会はこの状況を看過できないと考えています。
当会は、とかち鹿追ジオパークの認定により観光客が増加し動植物に悪影響を与えるとの懸念から、2013年5月30日付で貴職あてに「とかち鹿追ジオパークについての申し入れ」を行い、保全ルールの提示を求めました。
また、同年7月17日付で「とかち鹿追ジオパークに係る当会との合意形成について」を提出し、オーバーユース問題について警鐘を鳴らしました。
これらの当会の要望に対し、貴職は同年7月30日付の回答で「持続可能で有効な保全ルールを策定したい」、「素案が作成された際には、当然保全ルールを公にし広く意見を伺う」と表明しました。
当会は、2014年11月17日付で「十勝鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ」を送付し進捗状況を問い合わせましたが回答がなく、同年12月2日には電話で進捗状況を問い合わせたところ調整中とのことでした。
さらに2015年6月22日付で「とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ」を送付して素案策定作業の進捗状況を問い合わせましたが期限までに回答がなく、同年7月28日に「とかち鹿追ジオパークの保全ルール策定についての問い合わせ(再)」を送付して回答の催促をしました。
これに対し、貴職から同年8月10日付で「お問い合わせいただいた保全ルールの策定についてですが、他のジオパークの状況などの調査を含め協議をしていますが、自然公園法との整合性等、策定に苦慮しているのが現状です。ただ、保全ルールの重要性については十分認識をしておりますので、素案が策定された際には公にして広く意見を伺うことを考えております」との回答がありました。その後、現在に至るまで当会への保全ルールの提示はありません。
近年のナキウサギ生息地で生じている問題は、貴職が保全ルールの策定を棚上げしてきたことにあると言わざるを得ません。ついては、早急にとかち鹿追ジオパークにおける保全ルールを策定するとともに、当会への提示を求めます。
2021年12月26日
とかち帯広空港敷地内のアースハンモック保存についての要望書
十勝帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の保存についての要望書を帯広市長に提出しました。
なお、この件については12月8日に市議会議長あてに陳情書を提出し、12月16日に経済文教委員会に付託されました。
帯広市長 米沢 則寿 様
帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)が市にとって重要なものとして保存および活用のために必要な措置を講ずることの要望
標記の件について、下記のとおり要望いたしますので、ご検討いただきますようよろしくお願いいたします。
1 物件の名称
アースハンモック(十勝坊主)
2 物件の所在地
帯広市泉町西8線(とかち帯広空港滑走路西側林内市有地)
3 物件の概要
(1)アースハンモック(十勝坊主)について
小疇尚氏(明治大学名誉教授)は次のように説明しています。
「アースハンモックは短茎草本や矮小灌木類におおわれた、径1~2m前後、高さ数十㎝の土饅頭で、周氷河地形のひとつ構造土の一種である。世界的には永久凍土帯から季節凍土帯まで周氷河地域に広く分布し、日本では大雪山、羊蹄山、北上山地、南アルプスの高山帯で分布が知られている。日本の低地では十勝平野で初めて発見され、『十勝坊主』と名付けて報告された(山田、1959)。」
1950年、帯広畜産大学の山田忍氏と田村昇市氏による発見場所は、当時大正町の、現在の帯広空港があるところであり、まさにここが十勝坊主研究の発祥の地です。
(2)調査研究の経緯
十勝自然保護協会は2016年以降、十勝管内のアースハンモックについて、上記、小疇尚氏ら複数の研究者と共同調査を行ってきました。
そして、帯広市泉町のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、とかち帯広空港敷地内で温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、2020年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」が掲載されました(別添)。
(3)泉町空港アースハンモックの特徴
更別村にもいくつかの分布域もあり、とくに帯広・更別一帯(旧イタラタラキ原野)はかつて広い分布地で、空港開港前は一帯に極めて多数のアースハンモックが存在していたと考えられます。空港東側は「以平町」ですが、この以平はアイヌ語「イタラタラキ(itarataraki)」に由来するとの説があり、その意味するところは「でこぼこがあるところ」とされています。かつてはアースハンモックが広範囲に分布していたと考えられます。
まさにこの地域は「十勝の原風景」が残っているところと言えます。
現在は、空港敷地の南西部分にのみ残存しています。推定、数千個あり、多くは大型で整った形状をしています。樹林化がいくつかの区域で進んではいますが、樹林化されていないアースハンモックが明瞭な区域もいくつかあります。
西側に隣接する民有地には、推定1万個ほどの大型で整った形状のアースハンモックが分布していましたが、2019年に地権者が代わり、現在は平地化されてすべて消滅しています。
しかし、この民有地が平地化されアースハンモックが半減したとはいえ、この地域は面積と個数において依然として日本最大の密集地と考えられます。
(4)帯広市内のアースハンモック分布地
帯広市内平地で現在確認されているアースハンモック分布地は空港を含め4か所です。空港以外の3か所は、今後の状態に関してそれぞれ難点があります。
その特徴などを以下に記載します。
帯広畜産大学(稲田町)
①1974年に北海道が指定文化財天然記念物に指定しています。100個ほどで大型ですが、現在は、全域にわたって樹林化しており、多くの形状が損なわれ極めて不明瞭になっています。
②空港南側カシワ林内(泉町)
民有地にあり、その規模は300m×500m。ほぼ全域が樹齢60年ほどの大径木のカシワ林となっています。大型で形状はまだ明瞭であるものが多く、広大な分布地ですが、民有地であるために、この状態が維持されるかはまったく不明です。
③富士町
民有地にあり、規模は100m四方に形状が明瞭なものが30個ほどあります。自然に関心がある個人の土地内の一角に保存されていますが、今後、この状態が維持されるかは不明です。
4 空港敷地内アースハンモックの保存の意義
当該地のアースハンモック(十勝坊主)は、現在は活動しておらず、現在の気候環境からは、この土地で新たにアースハンモックが形成されることはないと考えられ、「絶滅危惧地形」と言っても過言ではありません。ひとたび破壊されると再生することのない自然物であります。
このように低地で大規模に残っていることは貴重な「地形の標本」であり、次世代にも単なる「用語」としてではなく「実物」を伝えるべきものと考えます。
さらに、山田忍氏らによる低地でのアースハンモック(十勝坊主)が発見され、その研究が行われた最初の地域でもあり、保存は意義深いものがあります。
空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、多くの市民や管内外の方々が観察できるような措置も工夫されて、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
以上のことから、極めて文化的価値が高い空港敷地内アースハンモックは、帯広市にとって重要なものとして次世代に伝えるべく、保存および活用が必要と考えます。
その貴重性から公的な保存の必要性を訴えて、十勝自然保護協会は2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課(係長、主任補)
2019年11月6日 帯広市商工観光部空港事務所(所長、副所長、主幹、主査)
また、2020年10月、十勝自然保護協会と市民フォーラム十勝はそれぞれ帯広市教育委員会教育長宛に要望書を提出しています。また、同趣旨の要望書が、もう一つの団体から提出されています。しかしながら、市教育委員会は、当該地の所有者である帯広市から保存の要望が出ていないことを最大の理由として、議論の俎上に全く載せられておりません。
とかち帯広空港の所有者は帯広市です。
所有者として当該物件の貴重性を評価していただき、保存および活用の意思を表示し、そのための必要な措置を講ぜられることを要望いたします。
5 添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」2020年帯広百年記念館紀要第38号
・十勝管内の十勝坊主調査(調査研究者・調査共同協力者・管内分布地)
・十勝坊主の写真
・空港敷地内の十勝坊主の状況
なお、この件については12月8日に市議会議長あてに陳情書を提出し、12月16日に経済文教委員会に付託されました。
********************
2021年12月22日
帯広市長 米沢 則寿 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
市民フォーラム十勝 事務局長 髙倉 裕一
佐藤与志松
市民フォーラム十勝 事務局長 髙倉 裕一
帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)が市にとって重要なものとして保存および活用のために必要な措置を講ずることの要望
標記の件について、下記のとおり要望いたしますので、ご検討いただきますようよろしくお願いいたします。
記
1 物件の名称
アースハンモック(十勝坊主)
2 物件の所在地
帯広市泉町西8線(とかち帯広空港滑走路西側林内市有地)
3 物件の概要
(1)アースハンモック(十勝坊主)について
小疇尚氏(明治大学名誉教授)は次のように説明しています。
「アースハンモックは短茎草本や矮小灌木類におおわれた、径1~2m前後、高さ数十㎝の土饅頭で、周氷河地形のひとつ構造土の一種である。世界的には永久凍土帯から季節凍土帯まで周氷河地域に広く分布し、日本では大雪山、羊蹄山、北上山地、南アルプスの高山帯で分布が知られている。日本の低地では十勝平野で初めて発見され、『十勝坊主』と名付けて報告された(山田、1959)。」
1950年、帯広畜産大学の山田忍氏と田村昇市氏による発見場所は、当時大正町の、現在の帯広空港があるところであり、まさにここが十勝坊主研究の発祥の地です。
(2)調査研究の経緯
十勝自然保護協会は2016年以降、十勝管内のアースハンモックについて、上記、小疇尚氏ら複数の研究者と共同調査を行ってきました。
そして、帯広市泉町のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、とかち帯広空港敷地内で温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、2020年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」が掲載されました(別添)。
(3)泉町空港アースハンモックの特徴
更別村にもいくつかの分布域もあり、とくに帯広・更別一帯(旧イタラタラキ原野)はかつて広い分布地で、空港開港前は一帯に極めて多数のアースハンモックが存在していたと考えられます。空港東側は「以平町」ですが、この以平はアイヌ語「イタラタラキ(itarataraki)」に由来するとの説があり、その意味するところは「でこぼこがあるところ」とされています。かつてはアースハンモックが広範囲に分布していたと考えられます。
まさにこの地域は「十勝の原風景」が残っているところと言えます。
現在は、空港敷地の南西部分にのみ残存しています。推定、数千個あり、多くは大型で整った形状をしています。樹林化がいくつかの区域で進んではいますが、樹林化されていないアースハンモックが明瞭な区域もいくつかあります。
西側に隣接する民有地には、推定1万個ほどの大型で整った形状のアースハンモックが分布していましたが、2019年に地権者が代わり、現在は平地化されてすべて消滅しています。
しかし、この民有地が平地化されアースハンモックが半減したとはいえ、この地域は面積と個数において依然として日本最大の密集地と考えられます。
(4)帯広市内のアースハンモック分布地
帯広市内平地で現在確認されているアースハンモック分布地は空港を含め4か所です。空港以外の3か所は、今後の状態に関してそれぞれ難点があります。
その特徴などを以下に記載します。
帯広畜産大学(稲田町)
①1974年に北海道が指定文化財天然記念物に指定しています。100個ほどで大型ですが、現在は、全域にわたって樹林化しており、多くの形状が損なわれ極めて不明瞭になっています。
②空港南側カシワ林内(泉町)
民有地にあり、その規模は300m×500m。ほぼ全域が樹齢60年ほどの大径木のカシワ林となっています。大型で形状はまだ明瞭であるものが多く、広大な分布地ですが、民有地であるために、この状態が維持されるかはまったく不明です。
③富士町
民有地にあり、規模は100m四方に形状が明瞭なものが30個ほどあります。自然に関心がある個人の土地内の一角に保存されていますが、今後、この状態が維持されるかは不明です。
4 空港敷地内アースハンモックの保存の意義
当該地のアースハンモック(十勝坊主)は、現在は活動しておらず、現在の気候環境からは、この土地で新たにアースハンモックが形成されることはないと考えられ、「絶滅危惧地形」と言っても過言ではありません。ひとたび破壊されると再生することのない自然物であります。
このように低地で大規模に残っていることは貴重な「地形の標本」であり、次世代にも単なる「用語」としてではなく「実物」を伝えるべきものと考えます。
さらに、山田忍氏らによる低地でのアースハンモック(十勝坊主)が発見され、その研究が行われた最初の地域でもあり、保存は意義深いものがあります。
空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、多くの市民や管内外の方々が観察できるような措置も工夫されて、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
以上のことから、極めて文化的価値が高い空港敷地内アースハンモックは、帯広市にとって重要なものとして次世代に伝えるべく、保存および活用が必要と考えます。
その貴重性から公的な保存の必要性を訴えて、十勝自然保護協会は2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課(係長、主任補)
2019年11月6日 帯広市商工観光部空港事務所(所長、副所長、主幹、主査)
また、2020年10月、十勝自然保護協会と市民フォーラム十勝はそれぞれ帯広市教育委員会教育長宛に要望書を提出しています。また、同趣旨の要望書が、もう一つの団体から提出されています。しかしながら、市教育委員会は、当該地の所有者である帯広市から保存の要望が出ていないことを最大の理由として、議論の俎上に全く載せられておりません。
とかち帯広空港の所有者は帯広市です。
所有者として当該物件の貴重性を評価していただき、保存および活用の意思を表示し、そのための必要な措置を講ぜられることを要望いたします。
5 添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」2020年帯広百年記念館紀要第38号
・十勝管内の十勝坊主調査(調査研究者・調査共同協力者・管内分布地)
・十勝坊主の写真
・空港敷地内の十勝坊主の状況
2021年12月26日
トムラウシ地区地熱発電計画についての新得町長からの回答
2021年12月12日付けの「大雪山国立公園内トムラウシ地区地熱発電計画中止を求める要望および質問」に対し、新得町長から以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
大雪山国立公園トムラウシ地区地熱発電計画中止を求める要望および質問について(回答)
令和3年12月12日付で照会のありました質問事項について、別紙のとおり回答いたします。
(別紙)
1.前提
この度、ご質問のあった書く質問事項については、令和3年12月17日時点での新得町の見解として回答いたします。
2.回答
次のとおり質問事項ごとに回答いたします。
なお、質問事項の内容は、送付文書から複写しています。
(1)2014年の計画中止要望書について貴職はどのようにお考えですか。
【回答1】
貴協会と平成26年10月27日に面会した際に説明したとおり、初期調査については問題ないと認識しております。
(2)計画を推進する理由をお聞かせください。
【回答2】
地熱発電を含めた再生可能エネルギーの導入は、カーボンニュートラルに向けた取組や地域振興に繋がる側面から必要であるとの認識から、導入可能性を調査・検討している段階であり、計画の推進ではありません。
(3)この時期に電源開発に要請されたことは、本年4月以降の環境省の施策と関係があるのでしょうか。
【回答3】
具体的な施策との関係が不明なため、質問と回答がかみ合わない可能性もありますが、従前からの考えを公的に掲げ、前に進めるようとしているものです。
********************
新 地 域 号
令和3年12月17日
令和3年12月17日
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
新得町長 浜 田 正 和
大雪山国立公園トムラウシ地区地熱発電計画中止を求める要望および質問について(回答)
令和3年12月12日付で照会のありました質問事項について、別紙のとおり回答いたします。
(地域戦略室地域戦略係 担当:佐藤)
(別紙)
1.前提
この度、ご質問のあった書く質問事項については、令和3年12月17日時点での新得町の見解として回答いたします。
2.回答
次のとおり質問事項ごとに回答いたします。
なお、質問事項の内容は、送付文書から複写しています。
(1)2014年の計画中止要望書について貴職はどのようにお考えですか。
【回答1】
貴協会と平成26年10月27日に面会した際に説明したとおり、初期調査については問題ないと認識しております。
(2)計画を推進する理由をお聞かせください。
【回答2】
地熱発電を含めた再生可能エネルギーの導入は、カーボンニュートラルに向けた取組や地域振興に繋がる側面から必要であるとの認識から、導入可能性を調査・検討している段階であり、計画の推進ではありません。
(3)この時期に電源開発に要請されたことは、本年4月以降の環境省の施策と関係があるのでしょうか。
【回答3】
具体的な施策との関係が不明なため、質問と回答がかみ合わない可能性もありますが、従前からの考えを公的に掲げ、前に進めるようとしているものです。
2021年12月26日
トムラウシ地区地熱発電計画についての要望と質問
トムラウシ地区地熱発電計画について、新得町長に以下の要望・質問書を送付しました。
新得町長 浜田 正利 様
大雪山国立公園内トムラウシ地区地熱発電計画中止を求める要望および質問
2014年10月27日付で、自然保護団体7団体(新得おもしろ調査隊、十勝川源流部を考える会、公益財団法人 日本自然保護協会、一般社団法人 北海道自然保護協会、北海道自然保護連合、大雪と石狩の自然を守る会、十勝自然保護協会)は、貴職および経済産業大臣・環境大臣・林野庁長官に宛て「大雪山国立公園内トムラウシ地区地熱発電計画中止の要望書」を提出しました。
要望書の骨子は次のようです。
(1) 大雪山国立公園は日本最大の国立公園であり、その原生的自然は国際的にきわめて高く評価される地域である。
(2) 計画されているトムラウシ山麓東部には生物多様性保全の屋台骨ともいえる原生自然環境保全地域があり、この隣接部での開発は大きな問題がある。
(3) 林野庁は十勝川源流部原生自然環境保全地域の周辺地域で更生プロジェクトに着手し、本来の森林を復元する取り組みを始めたところである。
そして要望書の末尾で以下のように訴えています。
「私たちの世代で、大雪山国立公園の自然環境をこれ以上衰退させないよう、トムラウシ地区の地熱発電計画については、計画段階の初期調査を含め、計画そのものを中止することを強く要望します。」
また、同趣旨の文書を電源開発株式会社(以下電源開発)にも提出しました。
その後、優良事例の条件たる「地元の合意形成」が作られず、2016年5月に電源開発が「一時(いっとき)間をとる」との意向を示していたことが明らかになりました。
しかしながら、貴職は本年の町長選挙において「地熱開発」を公約に掲げ、11月のトムラウシ地区における懇話会では引き続きその姿勢を明らかにし、11月17日には電源開発本社を訪れて調査実施を要望したことを町議会で行政報告をしています。
計画当該地域の自然環境は全く変わっておらず、引き続き計画中止を求めるものです。
ついては、以下の質問に回答いただきたく存じます。
(1)2014年の計画中止要望書について貴職はどのようにお考えですか。
(2)計画を推進する理由をお聞かせください。
(3)この時期に電源開発に要請されたことは、本年4月以降の環境省の施策と関係があるのでしょうか。
年末でご多忙とは存じますが、12月24日までに回答いただきたくお願いいたします。
********************
2021年12月12日
新得町長 浜田 正利 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
大雪山国立公園内トムラウシ地区地熱発電計画中止を求める要望および質問
2014年10月27日付で、自然保護団体7団体(新得おもしろ調査隊、十勝川源流部を考える会、公益財団法人 日本自然保護協会、一般社団法人 北海道自然保護協会、北海道自然保護連合、大雪と石狩の自然を守る会、十勝自然保護協会)は、貴職および経済産業大臣・環境大臣・林野庁長官に宛て「大雪山国立公園内トムラウシ地区地熱発電計画中止の要望書」を提出しました。
要望書の骨子は次のようです。
(1) 大雪山国立公園は日本最大の国立公園であり、その原生的自然は国際的にきわめて高く評価される地域である。
(2) 計画されているトムラウシ山麓東部には生物多様性保全の屋台骨ともいえる原生自然環境保全地域があり、この隣接部での開発は大きな問題がある。
(3) 林野庁は十勝川源流部原生自然環境保全地域の周辺地域で更生プロジェクトに着手し、本来の森林を復元する取り組みを始めたところである。
そして要望書の末尾で以下のように訴えています。
「私たちの世代で、大雪山国立公園の自然環境をこれ以上衰退させないよう、トムラウシ地区の地熱発電計画については、計画段階の初期調査を含め、計画そのものを中止することを強く要望します。」
また、同趣旨の文書を電源開発株式会社(以下電源開発)にも提出しました。
その後、優良事例の条件たる「地元の合意形成」が作られず、2016年5月に電源開発が「一時(いっとき)間をとる」との意向を示していたことが明らかになりました。
しかしながら、貴職は本年の町長選挙において「地熱開発」を公約に掲げ、11月のトムラウシ地区における懇話会では引き続きその姿勢を明らかにし、11月17日には電源開発本社を訪れて調査実施を要望したことを町議会で行政報告をしています。
計画当該地域の自然環境は全く変わっておらず、引き続き計画中止を求めるものです。
ついては、以下の質問に回答いただきたく存じます。
(1)2014年の計画中止要望書について貴職はどのようにお考えですか。
(2)計画を推進する理由をお聞かせください。
(3)この時期に電源開発に要請されたことは、本年4月以降の環境省の施策と関係があるのでしょうか。
年末でご多忙とは存じますが、12月24日までに回答いただきたくお願いいたします。