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十勝自然保護協会 活動速報

2023年11月28日

大樹海岸の自然の保全に関し、要望および質問書を送付

 大樹町長に大樹海岸の自然の保全に関し、以下の要望および質問書を送付しました。

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2023年11月23日


大樹町長  黒川 豊 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


大樹町の自然の保全に関する要望と質問


 当会は、ここ数年にわたって大樹町の自然、とくに大樹海岸の自然(海岸海蝕断崖草原、海岸砂浜群落、海岸草原、カシワ林、湿原、湿生草原、希少地形十勝坊主など)について、生物多様性の保全、景観の保全を訴えて、貴町に要望・提言をおこなってきました。
 本年10月4日に航空宇宙推進室室長より当面する追加の事業について当会役員に説明がありました。
 当会はすでに新射場LC-1の建設にあたってカシワ林の開削に反対しており、その立場は変わらず、今後の開削にも反対です。カシワ林の海岸側草原には、多数のカシワの低木が生育し、またミヤコザサの下にはガンコウラン、ハマナスなどの植物が広がっています。ここに新たな射点を建設することは景観をさらに損ねるものです。
 この件に関して以下の要望と質問をいたします。
 ご多忙とは存じますが、12月15日までに書面にてご回答いただきたくお願いいたします。



(1)町道整備計画のカシワ林内直線化部分について以下の点を要望いたします。
① 道路面を舗装するのであれば透水性の材質を採用すること。
② いずれ廃道になる現道に敷設されている砂利は撤去し、カシワ林の回復を図ること。
③ 電線は埋設すること。
(2)スペースコタン社による射点の新規造成に関連して以下の点を質問いたします。
 貴町が筆頭株主であるロケット射場運営会社スペースコタンからは、イベント会場で、またメディアに対し「広いのでいくらでも作れる」、「大樹町には約150㎢の敷地に最大10か所の発射地点の整備が可能」、「ケープカナベラルにも伍していける敷地を持っている」などの発言が頻繁に見られます。とくに「約150㎢の敷地に最大10か所の発射地点の整備が可能」とは具体的にどの範囲のどの地点を指すのでしょうか。今回の造成地もこの中に含まれているのでしょうか。ご説明いただきたく存じます。
 スペースコタン社のこれらの発言からは、この地域の自然の貴重さを十分認識なさっておられるのか懸念がもたれます。「自然との共生」を表明している貴町の立場と矛盾はないのでしょうか。ご見解をうかがいます。
以上

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 15:46Comments(0)大樹町航空宇宙開発

2023年11月21日

道道鹿追糠平線駒止湖区間の安全対策について鹿追町からの回答

 2023年10月15日付で、当会、ナキウサギふぁんくらぶ、日本森林生態系保護ネットワークが鹿追町長に提出した「道道鹿追糠平線駒止湖区間の安全対策(速度規制)に関わる要望」に対し、以下の回答がありました。

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鹿  町  住  号
令和  5年11月16日


十勝自然保護協会      共同代表 安藤 御史 様
                   佐藤与志松 様
ナキウサギふぁんくらぶ     代表 市川 利美 様
日本森林生態系保護ネットワーク 代表 金井塚 務 様

鹿追町長  喜井 知己
(公印省略)


道道鹿追糠平線駒止湖区間の安全対策(速度規制)の要望について(報告)

 初冬の候、貴職におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。また、平素より本町の交通安全推進につきましてご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、令和5年10月 5日付け文書で要望のありました、道道鹿追糠平線のうち、駒止湖付近の30キロ速度規制について、11月6日付け文書で北海道釧路方面新得警察署へ要望したところ、11月13日に回答がありましたので、別紙のとおり報告します。

町民課 住民生活係 
TEL 0156-66-4031



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

別紙



■道道鹿追糠平線 駒止湖付近 30キロ速度規制要望に対する
北海道釧路方面新得警察署からの回答

□回答日時:令和5年11月13日 11:40

□回答方法:電話による。

□回答内容:
 道道鹿追糠平線の当該部分は幅員が狭あいであり、道路線形も厳 しく構造的に速度が出せず、30キロ速度規制は実効性に乏しいことから、速度規制は行わない。
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 14:18Comments(0)道路問題

2023年11月21日

更別湿原のヤチカンバ保全について質問書を送付

 更別湿原のヤチカンバの保全について、更別村教育委員会に質問書を送付しました。

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2023年11月13日


更別村教育委員会教育長  細川 徹 様

十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松


北海道指定天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」保全についての質問

 当会は、2014年以降、北海道指定天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」の保全について、指定者である北海道教育委員会、管理者である貴委員会に対し要望等を提出し、回答をいただいてきました。
 2023年2月6日付の質問書では以下の内容の質問をいたしました。
・2021年度実施の「指定地全域のヤチカンバ分布調査」の結果概要について
・上記調査結果に基づく保全対策について
・2021年7月8日付質問書に対する回答以降の進展等について
 これに対し、2月15日付で回答をいただいております。
 つきましては、下記の質問についてご説明をお願いいたします。
 ご多忙とは存じますが、文書にて12月1日までにご回答いただきますようお願いいたします。



1 その後の保全対策の進捗状況についてご説明をお願いいたします。
2 今後の保全対策についてご説明をお願いいたします。
以上

  
タグ :ヤチカンバ


Posted by 十勝自然保護協会 at 14:09Comments(0)道路問題

2023年11月03日

トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、9月29日付回答に対する抗議

 9月29日付のJTOWERからの回答は詭弁と以前の主張の繰り返しであり、誠意のある対応が見られませんでした。この回答を受け、JTOWERに対し、以下の抗議書を送付しました。

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2023年10月29日


株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


JTOWERの9月29日付回答に対する抗議書


 当会の2023年8月6日付「JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問」に対し、貴社より9月29日付で回答がありましたが、詭弁や以前の説明の繰り返しで納得できるような回答ではありませんでした。このような回答では、トムラウシ自然休養林野営場の5G基地局を認めることにはなりません。以下に納得できない理由を説明するとともに、5G基地局設置を強行する姿勢に強く抗議します。なお、毎回同じような回答しかいただけないため、本書面に対する回答は不要です。



1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
 貴社は6月14日付の回答で、「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下『本5G基地局』といいます。)は、総務省にて示された『デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)』1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の『654216』内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、『地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とする・・・」 「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」と説明しています。
 「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の17ページを見ると、「条件不利益地域で5Gを整備する際に補助を実施」と書かれており、条件不利益地域とは「過疎地、辺地、離島、半島、山村、特定農山村又は豪雪地帯の地域」と説明されています。一方で、法令による「過疎地域」は市町村単位に指定されています。つまり、「条件不利益地域の過疎地」は法令による「過疎地域」を指しているわけではありません。
 しかも、当該メッシュには過去も現在も誰も居住しておらず「過疎地」にすら該当しません。貴社の説明は、過疎地に該当しない場所を過疎地とした上に、「条件不利益地域の過疎地」を恣意的に「過疎地域(新得町全体)」であると強弁しているのであり、詭弁と言うほかありません。
 誰も居住者がおらず、夏季の3カ月しかオープンしていない野営場、しかも数百メートル移動すれば4Gの電波が利用できる場所に基地局は不要ですし、補助金事業ですから税金の無駄遣いです。

2 生物多様性に対する電磁波の影響について
 電磁波は光エネルギーを持つ放射線です。人工電磁波の曝露防護指針があるのは人間を含むあらゆる生物に影響がある可能性が高いからです。人工放射線と同様に生物が進化の過程で遭遇していないものなので、その影響は未知の分野です。ICNIRPの曝露防護指針は人工電磁波の熱効果に重きが置かれており、非熱効果については科学的に証明されていないという理由で軽視されています。2018年のスロベニアにおいてWHOがICNIRPを公式に承認できない(endorse 支持する、是認するの意)ことを再確認したのは、その曝露防護指針が完全ではないからです。
 総務省が2022年3月に出した報告書によれば、各国においてそれぞれ独自の防護指針を作成する傾向にあります。例えばブラジル連邦共和国では自然保護区域、環境保護区域、野生生物保護区域での基地局の設置、サポートインフラの設置を法律によって禁止しています。またスイスでは連邦環境保護法の第一条で、生物多様性について予防措置の観点から有害または迷惑となる可能性のある影響を早い段階から制限する必要があると書かれています。
 2023年3月の環境省の「身の回りの電磁波について』も含め日本政府の防護指針はICNIRPの指針に従えば『安全』であるように述べられていますが、国際的に安全指針なるものはありません。原子力の商業利用を平和利用と表現したのと同様に、言葉を変えています。政府に従えば将来に大きな過ちを起こしかねません。
 生命の維持は全て電気的作用によって行われており、必要なエネルギーは5−7eV(電子ボルト)以下と非常に少ないのです。2014ー2015年以降『非熱効果』についての論文が多数見られますが、そのほとんどが生命に対して影響ありとされています。5G、6Gの生命に対する『熱効果』『非熱効果』の影響は未知の分野であり、人工放射能の内部被曝と同様にあらゆる生命体に対して現代に生きる私達は慎重に対処すべきです。

3 予防原則の見解について
 「予防原則」とは「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方」を指します(*)。
 当会は2023年3月7日付の貴社への申し入れの中で、生物多様性に対する電磁波の影響について具体例を挙げて指摘しました。しかし、貴社はこれらの事例を否定することができませんでした。
 貴社が予防原則の考え方を尊重するのであれば、国立公園の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある基地局の設置計画は中止しなければなりません。当該メッシュは誰も居住しておらず、本計画を中止することで不利益を被る人はいません。緊急時の連絡であればトムラウシ温泉の4G電波や衛星電話で十分可能です。それにも関わらず建設を強行するのであれば、貴社に予防原則を尊重する考えがないものと判断せざるを得ません。

https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635


  


Posted by 十勝自然保護協会 at 13:44Comments(0)携帯電話基地局

2023年10月17日

道道鹿追糠平線駒止湖区間の安全対策について鹿追町長に要望書を送付

 道道鹿追糠平線駒止湖区間の速度規制に関する要望書を当会およびナキウサギふぁんくらぶ、日本森林生態系保護ネットワークの連名で鹿追町長に送付しました。

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2023年10月15日


鹿追町長 喜井 知己 様

十勝自然保護協会      共同代表 安藤御史
佐藤与志松
ナキウサギふぁんくらぶ     代表 市川利美
日本森林生態系保護ネットワーク 代表 金井塚務


道道鹿追糠平線駒止湖区間の安全対策(速度規制)に関わる要望


 該当区間(約1km)において2019年1月にバス同士の衝突事故がありました。これに関連し、十勝総合振興局帯広建設管理部(以下「管理部」という)はこの区間の拡幅工事を計画しましたが、私たち3団体は、この区間が大雪山国立公園特別地域で貴重な動植物の生息生育地であることから、拡幅せずに各種安全対策を取ることを要望してきました。
 管理部が掲げたいくつかの対策のうち、今般、警戒標識5基・カーブミラー3基を設置することになりました。
 道道鹿追糠平線は、貴町市街地を抜けて湖畔に向かう場合、笹川小学校を過ぎて速度制限はなくなり60km/hとなります。そしてこの状態は糠平市街まで続きます。しかし、該当区間は60km/hでの走行が可能な設計の曲線ではありません。白樺峠での「この先連続カーブ区間 スピードダウン」だけの注意喚起では運転手の意志にゆだねられているため、現実に相当な速度で走り抜ける自動車が少なくありません。
 狭隘でカーブが多い区間ですので、具体的な速度を提示した規制が効果的と考えます。道路形態からいって「速度30km/h規制」が適当と考えます。阿寒摩周国立公園のオンネトー湖畔道路は、該当区間と同様な形態ですが「速度30km/h規制」がなされており、標識が6か所に立っています。
 以上の状況を鑑み、貴職より釧路公安委員会へ「速度30km/h規制」の設定を要請していただきたく存じます。公安委員会への要請は当該自治体首長から行うのが最も効果的であると考え、本案を要望いたします。

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 14:28Comments(0)道路問題

2023年10月17日

トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その3)

 当会の8月6日付の見解と質問に対し、JTOWERから以下の回答がありました。

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JTW 10587907
令和5年9月29日

十勝自然保護協会
 共同代表 安藤 御史  様
      佐藤 与志松 様

東京都港区南青山二丁目2番3号
株式会社JTOWER      
インフラシェアリング事業本部
建設総括部 タワー建設部長 
高橋 猛          
        

 貴協会からの令和5年8月6日付け見解及び質問について、下記のとおり回答申し上げます。



1. トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について

 令和5年4月13日付の弊社「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」へのご回答(以下「弊社回答書1」といいます。)及び令和5年6月4日付けの弊社「JTOWERの回答に対する当会の見解」へのご回(以下「弊社回答書2」といいます。)に記載させて頂きましたとおり、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「5G基地局」といいます。)は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)(*1)」(令和4年3月29日)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」内のエリアに建設するものになります。
 弊社回答書2において記載をいたしました「過疎地」の用語につきましては、法令の定めるところにより国又は自治体によって指定がされるものと承知しており、具体的には、新得町は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法により過疎地として指定されています。前述の整備計画においても同様の地域を指して5Gのインフラ整備が喚起されております。
 以上の事から、本5G基地局は総務省施策に合致した事業となりますので、何卒ご理解賜りますと幸甚です。

2. 生物多様性に対する電磁波の影響について

 弊社回答書1及び弊社回答書2で記載しましたとおり、本5G基地局で使用される電波は、世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠し総務省において作成された「電波防護指針」の基準値を満たすものとなっており、WHOでは当該ガイドラインを下回る電波の強さにより健康へ悪影響を与える証拠はない(*2)とされております。2023年8月6日付け貴協会文書にてご指摘の件(2018年開催の国際電磁界プロジェクト第23回国際諮問委員会)は確認させていただきましたが、WHOとICNIRPの協力関係は続いており、WHOでは2020年にもICNIRPのガイドラインを国際的なガイドラインとしております(*3)。本5G基地局はこの電波防護指針を遵守して運用をすることから、安全性の観点からも問題ないものと認識しております。
 また、具体的な数値としては、総務省のホームページに記載(*4)のとおりとなります。

3. 予防原則についての見解について
 現在日本においては電波防護指針などの現状の基準を満たすことで安全性を確保することとして運用がされており、当社としても同様の考え方によって本事業を行っております。
 今後、WHOをはじめ、業界団体等によって電波の安全に関する考え方や予防原則の考え方について議論がされる場合にはこれを注視し、国際標準の安全基準を引き続き遵守してくよう努めていくものです。

4. まとめ
 上述のとおり、本5G基地局が総務省の計画に沿った設置であること、また国際的にも認知されている安全基準を満たした本邦の防護指針を遵守していることから、その設置の必要性及び安全性の観点からも問題ないものと考えております。繰り返しになり恐縮ですが、当社としてお答えできる事項は以上の通りとなります。
 当社は、今後 も当該計画・法令・ガイドラインに従い、総務省をはじめ関係官庁及び業界団体とも連携を続けながら、安全性を保って建設・運用をしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

以上


――――――――――
*1  https://www.soumu.go.jp/main_content/000803506.pdf
*2 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/pr/toiawase/ 「携帯電話基地局とわたしたちの暮らし」の資料中
*3 https://www.env.go.jp/chemi/post_173.html 「身のまわりの電磁界について(令和5年3月)」28ページ
*4 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 14:21Comments(0)携帯電話基地局

2023年09月14日

講演会『未来をつくること:気候中立と気候正義』のご案内

*気候危機に関する講演会を開催します*

『未来をつくること:気候中立と気候正義』

講師:山中康裕氏(北海道大学大学院地球環境科学研究院教授)

日時:2023年9月23日(土・祝) 13:30~16:00(13:00開場)

会場:とかちプラザ視聴覚室(帯広市西4条南13丁目1/JR帯広駅南側)

内容:先進国の現世代が引き起こした気候変動の被害を受けるのは次世代や途上国の人々である。科学の目で考え、問題点を深め、人類の今後の在り方を提言する。

参加費:500円(大学生以下 無料)

申し込み不要

主催:十勝自然保護協会
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 16:53Comments(0)講演会・学習会 等

2023年08月11日

トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、6月14日付回答に対する当会の見解と質問

 6月14日付のJTOWERからの回答に対し、当会の見解と質問を送付しました。

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2023年8月6日


株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松



JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問


 2023年6月14日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせするとともに質問をさせていただきます。項目ごとにご回答くださいますようお願いいたします。ご多忙とは存じますが、9月8日までにご回答いただきたくお願いいたします。



1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局は、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の趣旨に沿ったもので、地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)が対象となっており、当該基地局は「過疎地」に該当するとの回答でした。
 「過疎」とは「開発の遅れた農山村において,急激な離村,離農現象が進展した結果,地域住民の生産と生活の諸機能が麻痺し,生活の秩序が破壊された状態。」(ブリタニカ国債大百科事典 小項目事典)。「極度にまばらなこと。特に、ある地域の人口が他に流出して少なすぎること。」(デジタル大辞泉)です。従って、過疎地とはもともと人が住んでいたが、人が流出して減ってしまった地域のことを指します。当該メッシュ(国土地理院の2次メッシュ番号「654216」)はもともと居住者がおらず、今も誰も住んでいませんので、「過疎地」には該当しません。
 「デジタル田園都市国家構想」(*1)の説明を読んでも、人が居住している地域を対象としていると理解されます。
 人が居住していないメッシュでの5G基地局整備は「デジタル田園都市国家構想」に沿うものではなく、このメッシュを選定したこと自体が不適切です。
*1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/index.html

2 生物多様性に対する電磁波の影響について
(1)「本5G基地局で使用される電波は世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠した電波防護指針の基準値を満たすものとなっております」との回答でした。しかし、2018年のスロベニアでのWHO 国際電磁波プロジェクトにおいて、ICNIRPのガイドラインは公式承認できないことが再確認されています(*2)。貴社が主張するWHOが推奨する国際的ガイドラインであるICNIRPに準拠した電波防護指針なるものの具体的基準値を教えてください。
*2 WHO国際電磁界プロジェクトの動向、国立保険医療科学院 生活環境研究部 牛山明 https://www.soumu.go.jp/main_content/000702993.pdf

(2)6月14日付の回答は当会が指摘した電磁波の生物への影響について、何ら具体的見解が述べられていません。科学的にまだ結論が出ていないことでも、将来人類にとって影響を及ぼすことが予見されることに対しては『予防原則』が国際的に認識されています。健康被害や生物多様性への影響について回答できないのであれば、貴社の予防原則についての見解を明らかにしてください。

3 貴社の対応について
 「本5G基地局は、総務省の計画に沿った設置であり」と貴社は述べていますが、総務省(政府)の基準(あるいは言うところ)に従えば安全である、とは必ずしも言えないでしょう。事業者としても安全性、生物多様性に問題がないかどうかを独自に検討し、積極的に総務省(政府)に働きかけるべきと考えます。

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 11:58Comments(0)携帯電話基地局

2023年08月01日

大樹町から質問書への回答

 7月5日付の「大樹町の自然の保全に関する要望と質問」に対し、大樹町長から回答がありました。

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樹企商第3 0 5号
令和5年7月25日


十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御 史 様
              佐藤 与志松 様

大樹町長 黒 川  豊


「大樹町の自然の保全に関する要望と質問」に対する回答について

 2023年7月5日付けで要望・質問のあったこのことについて、次のとおり回答いたします。



1 航空宇宙関係の行政の進め方について
 現在進めている北海道スペースポート拡充整備事業においては、ロケットの飛行安全や地上安全の確保が必要であるため、既存法令に基づく施設整備が前提となりますが、自然環境と共生する施設の整備を目指し事業を進めております。
 また、今後の拡充整備等においても、これまで同様、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生を図る事業実施に向け検討していきたいと考えております。
2 射場の運営形態について
 LC-1射場完成後の北海道スペースポートの運営方法については、現在、コンセッション方式も含め最適な運営手法について、専門機関とともに調査を進めているところです。
 仮にコンセッション方式を採用し運営権を民間に付与したとしても、施設の所有権は町に帰属します。そのため、運営権を付与した後、町が北海道スペースポート周辺の自然環境ヘの配慮に一切責任を持たないということにはならないため、町は運営を行う民間に対して、自然環境への配慮について求めるなど、運営権付与後の管理体制についても検討を進めてまいります。
3 ラムサール条約について
 当町でも以前、ラムサール条約について地域に意見を求めたことがありますが、地域でもそのままにしておいてほしいとの意見がありました。
 十勝管内の太平洋沿岸にはラムサール条約などはないので、町としても、このような自然保護を行うには、地域から要望などの声があれば町も手助けしていくものと考えております。


企画商工課航空宇宙推進室・住民課住民活動係)

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 21:04Comments(0)大樹町航空宇宙開発

2023年07月13日

大樹町の自然の保全に関し、質問書を送付

 大樹町の自然の保全に関し、大樹町長に以下の書面を送付しました。

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2023年7月5日


大樹町長  黒川 豊 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


大樹町の自然の保全に関する要望と質問


 当会は、ここ数年にわたって大樹町の自然、とくに大樹海岸の自然(海岸海蝕断崖草原、海岸砂浜群落、海岸草原、カシワ林、湿原、湿生草原、希少地形十勝坊主など)について、生物多様性の保全、景観の保全を訴えて、貴町に要望・提言をおこなってきました。

 2022年10月に当会が提出した「LC-1射場の整備、滑走路の延伸に関する要望」について、同年11月2日付の回答のなかで、前町長は「自然環境と共生」、「周辺環境に配慮」との立場を表明しておられます。この点は貴町の一貫した立場であると当会は認識しており、継続されることを要望いたします。

 貴職に以下の点について質問いたします。
(1)大樹海岸の自然の保全との関わりで今後の航空宇宙関係の行政の進め方について、ご見解をお伺いいたします。
(2)射場の拡大に伴いロケット射場運営会社(スペースコタン)など今後の運営形態について、ご見解をお伺いいたします。また、射場の運営形態に「コンセッション方式」の検討を考えているとの報道もあり、運営権を民間に設定するとすれば、射場周辺の自然への対応が不十分になるのではないかとの懸念もあります。ご見解をお伺いいたします。
(3)射場周辺のみならず、とくに湖沼群は環境省の「重要湿地」に選定されるなど、大樹海岸の自然には貴重なものが少なくありません。当会は、例えばラムサール条約登録など公的保全が必要と考えていますが、そのためには何よりも当該自治体の住民の理解と行政の積極性が求められるものです。大樹海岸全体への公的保全についてご見解をお伺いいたします。

 ご多忙とは存じますが、7月31日までに書面にてご回答いただきたくお願いいたします。

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 14:25Comments(0)大樹町航空宇宙開発