ヤチカンバの保護問題で北海道教育委員会に質問書を送付

十勝自然保護協会

2014年10月07日 16:18

 更別村のヤチカンバ生育地の保全に関し、天然記念物に指定した北海道教育委員会に質問書を送付しました。

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2014年10月6日


北海道教育委員会
教育委員長 様
教育長 様

十勝自然保護協会

更別村「更別湿原ヤチカンバ群生地」の保全についての質問書


 1963(昭和38)年に北海道教育委員会が天然記念物に指定した「更別湿原ヤチカンバ群生地」のヤチカンバは、今、危機的な状況にあります。
 保護地区内では、そもそも湿地に生育しないミヤコザサ群落が広がり、ワラビ、オオイタドリなどの草本も繁茂しています。さらに近年、根萌芽で増えるヤマナラシが侵入しています。このため、ヤチカンバは被圧されつつあり生存が危ぶまれる状況となっています。また、立ち入りが制限されている地区にもかかわらず、ワラビ採りであろう人為的な踏み付け跡が幾条も見られます。
 すなわち、湿地は明らかに「乾燥化」しているのが現状です。
 ヤチカンバは、周知のように、日本において自生地が当地と別海町西別湿原の2か所しか確認されていない極めて貴重な種です。
 指定者である貴職に対し、以下の質問をいたします。現状をどのように捉え、どのような保全策を講じているのか、ご見解を問うものです。

(1)当会は、この地区の「乾燥化」がかなり進んでおり、ヤチカンバは危機的な状況にあると捉えていますが、貴職にあっては、この地区の現状をどのように捉えているのでしょうか。ご見解をうかがいます。
(2)「乾燥化」の原因は、水位の低下にあり、自然降水も保水されず周囲の明渠に流れ込んでいるものと考えます。明渠についてどのようにお考えか、保水対策をどのようにとっているのか、あるいはとろうとしているのか。ご見解をうかがいます。
(3)本来湿地に生育しない植物の侵入について、除去を行う考えはないのか。ご見解をうかがいます。
(4)更別村では、ヤチカンバの採種がおこなわれ、保護区外で苗が育てられていると聞いていますが、この点での長期的な方策をうかがいます。
(5)立ち入りが制限されている地域であるにもかかわらず、ワラビ採りなどが放置されて「道」ができ、乾燥化に拍車をかけています。この点での対策をうかがいます。
(6)指定者である貴職と、管理者である更別村・更別村教育委員会との間では、どのような連携がとられているのか、具体的な事例を添えて教えてください。
(7)更別村は2004(平成16)年に調査会社に調査を委託し報告を受けていますが、北海道教育委員会は指定者としての立場で、専門家による学術的な調査を早急に行う必要があると当会は考えます。貴職のご見解をうかがいます。

以上について、ご多忙とは存じますが、10月27日までに文書で回答していただきますようお願いいたします。

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