「山のみち」で北海道と意見交換
11月13日に、「山のみち」事業主体である北海道水産林務部(以下道)と、大規模林道問題北海道ネットワーク(以下ネット)の意見交換会が開催されたので、概要を報告する。
【道民からの意見聴取について】
ネット:10月に地元での説明会が開かれたが、「山のみち」には道民の税金が使われるのであり、全道の問題として広く道民の意見を聞くべきである。また、道民に資料を提示する必要もある。
道:地域的な問題と捉えており、地元自治体、関係団体などから意見を聞く予定。地元から離れたところで意見交換会を行なうことは考えていない。ただし、やらないと確定しているわけではない。道民からの意見はホームページなどで聞く。また道議会で議論することで道民の意見が反映される。
ネット:団体を選ぶ基準は何か。意見交換会は、拠点になるところで必要。
道:札幌に本部のある建設関係の団体、林業関係の団体などから意見を聞く予定。自然保護関係の団体や地元の意見も聞く必要があると考えている。団体を選ぶ基準は、これまで意見を言ったことのある団体など。また、意見を言いたい人がいる場合。目黒(えりも町)の住民が生活道路として必要性を訴えている。
ネット:ホームページでは、道民に周知できない。
【「山のみち」の位置づけ、目的、環境調査などについて】
ネット:「山のみち」の位置づけはどのようになっているのか。内容、大規模林道との関係、役割、機能などは?
道:緑資源機構の解体によって事業主体がなくなって地方に振り替えられた事業であり、国の事業を引き継ぐことになる。森林整備のための事業であり、通常の公共事業の一つのメニューとして位置づけている。
ネット:緑資源機構の目的を踏襲するのか?
道:それについても検討する。白紙にして考える。
ネット:滝雄・興和線や置戸・阿寒線は一帯が国有林であるが、国有林の整備なのになぜ道が事業主体になるのか? 北海道の本来の森林整備計画にあてはまる事業なのか? 道の森林整備計画を出してほしい。
道:国有林の計画はわからない。(コメント:質問に回答できず)
ネット:費用対効果も目的によって算出されなければならない。計算の仕方は林野庁と同じか?
道:緑資源機構の費用対効果とは別に考えている。今、計算しているが難航している。
ネット:林野庁の便益や、緑資源機構の調査はずさん。北海道として費用対効果を出すのに、独自の調査をしないで出せるのか?
道:北海道のマニュアルによって計算するが、計算式や手法は林野庁と基本的には同じ。
ネット:生態系保全の便益はどうするのか?
道:入れるデータは道で検討する。緑資源機構のデータをそのまま使うわけではない。
ネット:費用対効果の計算はいつまでにできるのか?
道:来年2月の道議会までには出す。
ネット:代替道路なら林道ではない。目的が変わってしまったなら、あらためて考えるべきこと。
道:目黒の住民は様似に抜ける道がほしいといっている。
ネット:トンネル工事が進み、黄金道路の通行止めは近い将来ほぼなくなるはず。目黒の住民は広尾に出られれば良いと考えているのが実情。生活道路であれば、林道にはならない。
【整備、補修などについて】
ネット:既存の林道と重なっているところがあるが、そこの整備はするのか?
道:整備はしないで、そのまま使う。
ネット:完成したら維持管理は地元の自治体になるが、道路の土地の所有者はどうなるのか?
道:管理は移管しても、国有林の土地は国のもの。
ネット:道が国のために道路をつくり、市町村が維持管理するのはおかしい。崩落などの大きな災害と、小さい被害の境界はどのように考えているのか?
道:一箇所あたり40万円以上の災害であれば、国の災害復旧に該当する。それ以下の被害は市町村の負担になる。
道路の目的が変わってしまったし、北海道は独自の環境調査も行なっていない。このような状態で、納得できる費用対効果が出せるとは思えない。なによりも国有林の林道整備事業を行なうのに、なぜ北海道が事業主体となって整備しなければならないのか疑問だ。
道有林もすでに木材生産目的の施業は全面的にやめたのだ。森林を育てるためには既存の林道で十分であり、「山のみち」の整備は不要である。
(M記)
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