ベア・マウンテンに野生のヒグマが侵入した件で、飼養許可を出した十勝支庁に質問書を送付しました。
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2009年6月2日
北海道十勝支庁長 様
十勝自然保護協会
会長 安藤 御史
「ベア・マウンテン」の飼養許可に関わる質問書
当会の「『ベア・マウンテン』への野生ヒグマの侵入に関する質問書」(3月10日付け)に対する回答(3月12日付け)で、貴職は、事業者より野生ヒグマがベア・マウンテンの放飼場に侵入したとの報告を受けていたことを認めました。
当会は、サファリ形式のヒグマ飼養施設である「ベア・マウンテン」の問題点について、ベア・マウンテンの開業前より貴職に文書で指摘してきましたが、貴職からは「北海道動物の愛護及び管理に関する条例施行規則」で定める施設基準に適合しているかを審査し、現地調査を行って適合しているとの判断のもとに許可したとの回答がありました。条例規則における危険動物の飼養許可の施設基準として以下の項目があります。
・危険動物の種類、数、体力、習性等に応じて、さく等を用いた堅固な構造及び十分な強度を有するものであり、かつ、危険動物の逸走を防止できる構造であること。
・さく等は、外部と完全に隔絶できる構造であり、かつ、適当な間隔をおいて二重に設けられていること。
また、許可に当たって、貴職は「危険動物の飼養許可に関わる付帯条件」をつけたとのことです。この付帯条件には以下の項目があります。
・危険動物の位置、及び行動の把握に努めると共に、放飼場フェンス等による逸走抑止効果が期待できないと判断される行動が認められた場合は、当該個体の行動制限を適正に実施し、必要に応じて放飼を中止すること。
・危険動物の逸走や入場者への危険発生につながる、施設の強度不足、及び危険動物の問題行動の多発等が認められた場合は、申請者は直ちに十勝支庁長に報告するとともに必要な措置を講ずること。
これらのことは、フェンスはヒグマが通り抜けることができない強固な構造でなければならないことを示しています。また、ヒグマがフェンスを通り抜けてしまった場合、申請者は直ちに貴職に報告し、適切な措置をとらなければなりません。
当会の3月10日付け質問書に対し、貴職は、侵入した野生ヒグマがどこから退去したか回答していませんが、当会には野生のヒグマがフェンスの間に入り込み、外周フェンス部分から外部に出たとの情報が寄せられています。このことは外周フェンスが基準を満たしていなかったことを意味します。しかし、事業者のとった措置は「ゲート部分に電気柵を設置する」というものであり、フェンスの強化ではありません。したがって、「北海道動物の愛護及び管理に関する条例施行規則」で定める施設基準に則りフェンスの強化をしない限り、本事業の許可を取り消すべきであると考えます。
このことについて、貴職の見解を6月16日までに回答してください。