然別川砂防ダムの改修問題

十勝自然保護協会

2008年11月27日 21:28

11月24日、北海道が砂防ダムの改修を計画しているという然別川の現場へ、理事6名で行ってきました。

然別川沿いの道路を上流へと車を走らせると、問題の三の沢川砂防ダムが道路のすぐ脇に威容を誇るように聳えていました。ダムに近づくと、着工昭和62年10月、完成昭和63年11月、堤高12m、堤長78m、堆砂量38,000㎥と書かれたプレートが堤体に貼り付いていました。




堤体を迂回し、上流側に出て目にした光景は、予想外でした。
砂防ダムに堆積しているのはシルトや砂、そしてこぶし大以下の礫が主であり、流木も見当りません。上流へ進むと、河道幅は狭く、河床の基盤(シカリベツ川層の礫岩らしい)が所々露出し、基盤を覆う砂礫も多くありません。つまり、この三の沢川は荒れた様子がみられないのです。




左岸の切り立った斜面が林道建設のために削りとられ、ここから出た土砂が沢の方に捨てられていました。また右岸には施業困難地と思えるほどの急斜面に伐採のためのブル道がつけられていました。どうやら砂防ダムに堆積した砂礫は、これらの自然破壊行為によってもたらされたようです。

然別川一帯は、1981(昭和56)年に数百年に1度(だったと思います)の集中豪雨にみまわれました。そこで、三の沢川砂防ダムの下流側に当時の痕跡を発見すべく観察したのですが、河道と河岸に生育する樹木を見る限り、この時の集中豪雨によって大規模撹乱が起きた気配はありませんでした。

以上の所見は、この砂防ダムがこの河川の砂礫運搬量にふさわしくない過大なものであったことを示唆します。

今回、北海道がこの砂防ダムの中央部分のコンクリートを撤去し、ここに鉄格子を入れたいと考えたのも、この川にこれほど強固な構造物が必要なかったと認めたからでしょう。河川規模を無視した過剰な砂防ダムであったことを反省した上で、中央部分のコンクリートを撤去し魚道を確保するというのなら、もっともなことと評価しましょう。しかし、そのあとここに土石・流木防止と称して鉄格子を入れることについては、無駄な公共事業と批判しなければなりません。

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