帯広開発建設部の治水事業計画の問題点
帯広開発建設部による平成22年度の治水事業計画説明会が6月29日に帯広市でおこなわれました。今年度計画しているという19事業について簡単な説明があったのですが、黙って見過ごせない事業が少なからずあります。
1.トッタベツ川の床固工事と帯工工事
トッタベツ川では河床浸食を防ぐとして、床固工と帯工をするのだといいます。この計画について、「河床浸食は上流からの砂礫の供給が絶たれていることが要因ではないか」と質問しました。すると、治水課長の的を射ない発言にはじまり、課長補佐、さらに数人の職員がああだこうだと発言しました。この床固工と帯工の工事根拠を国民にきちんと説明できないというお粗末ぶりでした。そんなわけで、後日書面で回答をもらうことにしました。清流日本一という札内川の主要な支流であるトッタベツ川を砂防ダム・床固工・帯工などコンクリートで固めて水路のようにしてしまっていいのでしょうか。災害防止を錦の御旗にどんな工事でも許されると思うのは心得違いといわなければなりません。
2.相生中島地区の河道掘削工事
当会が十勝川水系河川整備計画策定の公聴会において、工事の不必要性を指摘した相生中島地区の河道掘削について、今年度も引き続き行うとのことです。十勝川水系河川整備計画は北海道知事に提出し同意を得て、効力を発することになるのですが、まだ内部決裁が終わらないので知事にも提出していないとのこと。にもかかわらず今年もやりますというのはフライングでしょう。帯広開発建設部が想定している「目標流量」(戦後最大規模の洪水を安全に流下させる流量のこと)では現状でも氾濫しないので河道掘削の必要性はない、と当会が指摘していることについて、説明を求めましたが、まだ十勝川水系河川整備計画が公表されていないからできないと言って説明責任を放棄しました。これは、自分たちのやっていることを国民に納得させられる自信がないということの証です。なお、説明のなかで、河道掘削した土は築堤の盛り土と高規格道(高速道路のようなもの)に使うと述べました。その利用割合を質問しましたがはっきりと答えることができませんでした。引き続きこの事業の不合理性について追求していきます。
3.猿別川の河道掘削工事
猿別川では下流の曲流部で河畔林を伐採し、土砂を平常の水面レベルまで掘削して水を速く流したいといいます。現場は十勝川との合流点近くであり、水勢が弱まるため掘削による流水速度の増加は望めないのではないかと指摘すると、いくらかでも速く流すことにより樋門を閉めることによる内水の増加を防ぎたいと説明しました。しかしその効果はデータによって裏付けられていないとのこと。つまり言い逃れでしょう。この事業は、然別川の河畔林皆伐と同様の発想により進められているのです。こんないい加減な理由で河畔林を伐採することは認められません。
当会は、帯広開発建設部治水課にこれまで何度か、面談を申入れてきましたが、彼らは応えようとはしませんでした。今回の説明会に参加してその理由がわかりました。彼らは上部で決定されたり、上部から割り振られた事業あるいは予算をこなす立場の人であり、事業決定の裁量権などないのです。だから彼らは国民に対し説明責任を果たす自信などなく、面談に応じられないのです。
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