「ケショウヤナギを知る会」報告
8月11日に札内川の河川敷で若原正博氏を講師に「ケショウヤナギを知る会」が開催され、晴天の中、約20人が参加しました。
今回はケショウヤナギの観察がメインですが、ケショウヤナギのことに限らず、河川に生育するヤナギ類や河畔林のことまで幅広く興味深いお話が聴けました。
河川に生育するヤナギには、砂礫地に生育して樹高が高くなるものと、泥質地に生育して樹高がそれほど高くならないものの二つのタイプがあるとのこと。前者にはケショウヤナギ、ドロノキ、オオバヤナギが、後者にはオノエヤナギ(ナガバヤナギ)、エゾノキヌヤナギなどが含まれるとのことです。
また、河畔林はヤナギばかりではありません。ヤナギ林の下にはヤナギは生えず、ヤチダモやハルニレなどが入り込んで生育するそうです。
河川敷が撹乱されて裸になったところに一番はじめに入ってくるのはヤナギやハンノキです。このような木はパイオニアと言われていますが、パイオニアになる木は菌根菌などで育つために、痩せた土地でも生育することができます。しかし、ヤチダモやハルニレはそのような土地では生育することができません。つまり、河畔林を育てるためにブルドーザーで河川敷をならしてヤチダモやハルニレを植えてもうまく育たないそうです。
開発局などが河川敷で一カ所に何種類ものポット苗を植える「生態学的混播・混植法」を行っていますが、河畔林の更新を無視した手法といえるでしょう。
ケショウヤナギは葉が小さく、枝がたくさん出て独特の樹形になるため、遠くからでも識別ができます。また、ケショウヤナギは砂礫地で更新し、100年くらい生きるとのこと。しかし、ダムなどで河川の流量が安定すると河川敷に樹木が茂り、ケショウヤナギが発芽できる砂礫地がなくなってしまいます。ケショウヤナギが生き続けるためには、洪水などでときどき河川敷が洗われることが必要なのです。
ケショウヤナギの幼樹。新しく伸びた枝は化粧をしたように白い。
ケショウヤナギの若木(写真中央の数本)。円錐形の樹形をしている。
ケショウヤナギの成木(写真の中央の木)。
オオバヤナギの芽生え。ケショウヤナギの芽生えとよく似ている。
今回観察できたヤナギ類はケショウヤナギのほかにオノエヤナギ、エゾノキヌヤナギ、エゾヤナギ、ネコヤナギ、ケショウヤナギ、ドロノキ、オオバヤナギなど。特徴や識別ポイントなどを教えていただきました。
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