帯広市教育委員会の回答に対する見解(名称および分布について)

十勝自然保護協会

2022年12月27日 15:22

 2022年12月6日付帯広市教育委員会教育長回答のうち「3 『十勝坊主』の名称、全国的な分布について」に対する当会の見解を表明します。

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「十勝坊主」の名称について
 「「帯広畜産大学の先生」とは山田忍教授のことでしょう。氏の論文「野地坊主と十勝坊主について」(日本土壌肥料学雑誌第30巻第2号,1959年)のどこに「仮の名前」との記載があるのでしょうか。根拠をご提示ください。」との当会の問いに対し、市教委は「山田忍(1959)先生の「野地坊主と十勝坊主について(北海道におけるPatterned Groundに関する研究第1報)」『日本土壌肥料学雑誌第30巻第2号』でご理解いただけるものと存じます。」と回答し、付記で「便宜的な命名(仮称)だったと理解されます。」と憶測しています。はっきりしたのは山田教授の前述の論文あるいは山田教授の関連論文に十勝坊主を「仮の名前」あるいは「仮称」とする記述を市教委は示すことができなかったということです。
 なお、地形学辞典(二宮書店)では十勝坊主は「構造土の一種でアースハンモックに相当する」とされ、アースハンモックは「thufur(アイスランド語)・芝塚・凍結坊主・十勝坊主ともいわれる」としています。また新版地学事典(平凡社)ではアースハンモックは「十勝坊主・芝塚と呼ばれることもある」とされています。つまり十勝坊主とアースハンモックは同義であり、十勝坊主は仮の名前などではありません。
 アースハンモックは欧米を中心に使用され世界標準の用語といえますが、十勝坊主はローカルであるものの定着した用語です。そのため、帯広畜産大学の十勝坊主はアースハンモックではなく十勝坊主として1974年に北海道の天然記念物に指定されたのです。

全国的な分布について
 「この説明は『本州や九州などでも気温が低い標高が1,000メートル以上の場所』であればどこにでもあるかのような誤解を与える不十分なものと考えます。この発言の根拠をご提示ください」との当会の問いに対し、「道外事情につきましては、貴会陳情書の資料として添付されている紀要の「はじめに」や新聞記事などと同程度の内容と存じます。」と居直りのような回答をしてきました。「本州や九州などでも気温が低い標高が1000メートル以上の限られた場所で分布が確認されております。」くらいの説明はしてもらいたいものです。



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