JTOWERがトムラウシ自然休養林野営場に計画している5G基地局について、当会は3月7日付で反対の申入れをしましたが、4月22日付でJTOWERから建設したいとの回答がありました。その回答に対し5月13日付で当会の見解を送付しました。
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2023年5月13日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会 共同代表
安藤 御史
佐藤与志松
JTOWERの回答に対する当会の見解
2023年4月13日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせします。
貴社の回答に「ご説明経緯」が書かれています。当会は役員会(理事会)によって意思決定をしています。当会の見解を求めるに当たっては、事務局に連絡をとり関係書類を送付していただく必要があります。しかし、ネクサス担当者が事務局以外に連絡をとったために手違いが生じました。当会の回答は理事会の議論を経て決定された2023年3月8日付の書面になります。
2022年12月8日のネクサス担当者からの書面では、「つきましては関係資料を送付致しますのでご理解とご承諾を頂きますよう宜しくお願い致します」とありますが、「承諾できない」というのが当会の回答です。4月13日付の貴社の回答を受けても、「承諾できない」という当会の回答は変わりません。理由は以下の通りです。
1.トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
全国を10km四方エリアに区画した第2次地域区画地域メッシュ中、事業可能性が認められるエリアに親局として設置するとのことでした。先の回答でも指摘している通り、トムラウシ自然休養林野営場が利用できる期間は夏の3カ月のみです。メッシュがどのように区切られているのか不明ですが、当該メッシュはトムラウシ温泉のあるメッシュとは別とのことですので、居住者もおらず野営場の他には施設も道路もほぼない山の中です。このような場所に親局が必要とは全く考えられません。
野営場利用者は人里離れた静かな場所でキャンプを楽しむために来るのであり、ここで大容量の通信の必要性は全くありません。電磁波を避けてこのような野営場に来る人もいるかもしれません。また、どうしても携帯電話を使いたいような状況が発生しても、すぐ近くのトムラウシ温泉方向に移動すれば4Gの電波が利用できます。
山中での自然災害や事故などの緊急時において、救助隊との連絡や地域の防災活動に役立てるとのことですが、山岳や洋上での緊急連絡は無線や衛星電話で対応できます。携帯電話の基地局は災害によって有線ケーブルが切断されることもあり得ますが、衛星電話はそのようなことはないので災害時には携帯電話より優れています。
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
当会は、電磁波が生物に与える悪影響について具体的に示しました。生物に対し悪影響がないというのであれば、当会の示した事例などが電磁波によるものではないとの根拠を示していただきたく存じます。
先の回答でも説明した通り、4Gですら電磁波による健康被害を訴える人達が間違いなくいます。まして5G事業は始まって間もなく、長期間にわたる電磁波被曝が人体や野生生物にどのような影響及ぼすのか分かっていません。ガイドラインや指針に従ったからといって問題ないとは言えません。だからこそ海外では規制する国があるのです。予防原則の立場からも基地局設置には反対です。
なお、人命に関わる緊急時の連絡手段として基地局が必要だといいながら、電磁波による健康被害を無視する姿勢は矛盾しています。