大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問

十勝自然保護協会

2018年09月22日 10:17

 大樹町長に以下の質問書を送付しました。

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2018年9月1日


大樹町長  酒森 正人 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
      佐藤与志松

 
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問
~IST社のロケット打ち上げに関連して~


 十勝海岸は、その湖沼群が環境省の「重要湿地」に選定され、また、海岸草原・カシワ海岸林・自然海岸・水鳥類大規模飛来地などがあることから「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定されています。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを後世に伝えることが重要であるとの立場で広く保全を訴えています。
 去る6月30日、インターステラテクノロジズ(以下IST)社はロケットの打ち上げに失敗し、落下炎上した機体の一部が実験場周辺に飛散しました。当会は翌日実験場周辺の視察を行いましたが、一部の植生では高熱の飛散物により焦げた跡が確認されました。飛散方向が湿原側ではなかったとはいえ実験場周辺は海岸草原であり、浜大樹海岸に特異的にみられるガンコウランも生育しているところです。
 当会はすでに2016年9月17日付「当縁湿原とその周辺の自然環境の保全に関わる要望書」において、IST社の姿勢制御実験機体回収時の植生破壊、司令所建設地選定などをめぐり、今回のようなロケット打ち上げ失敗を想定して次のような懸念を表明しています。
 「…万が一、発射時・発射後に爆発し破砕部が飛散したとき破砕部が500m飛散するとすれば当然湿原内に落下する。その場合、湿原に入って回収するのか。微小なものまで回収できるのか。…」
 これに対してはそのようなことは想定していないとの見解でした。
 今回の落下炎上の件に関わり、事後、当会役員が貴町担当職員と面談し状況などの説明を受けるとともに、当会の要望を口頭で伝えているところですが、改めて書面を提出いたしますので、ご検討いただきたく存じます。ご多忙とは存じますが、9月16日までにご見解を回答くださいますようお願いいたします。

1 IST社に対しては今回の件に関し事後どのような指導を行ったのでしょうか。また、それに対するIST社の対応をご教示ください。
2 IST社は、今後、次の段階としてロケットを大型化していくとの情報をうかがいました。
 現在の実験場で事業を進めるならば必然的に場所の拡張が想定されますが、周辺の海岸草原・湿原植生への影響が現在より大きくなります。さらには、万が一の事故による今回のような被害が引き続き懸念されます。
貴職は、2016年6月23日付、当会の要望書への回答のなかで「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との重要な認識を示しておられます。
 今後「航空宇宙産業基地構想の推進」と「自然環境の保全」の両立をどのようにして行かれるのでしょうか。両立が難しい場合の実験場の移転を含めご見解をうかがいたく存じます。
 
以上



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