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2024年03月22日

「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」への環境省からの回答

 2月26日付の「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」に対し、環境省から回答がありました。
 環境省にとって、「地域の意見」とは「関係する自治体の首長の意見」であり、地域住民、自然保護団体、山岳団体、日高町村議会議長会の意見は「地域の意見」とはみなさないという認識のようです。

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令和6年3月21日


十勝自然保護協会
 共同代表 安藤 御史 様
      佐藤与志松 様

環境省自然環境局
国立公園課


「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」
について(回答)


 平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
 令和6年2月26日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
 御確認の程、よろしくお願いいたします。

担当:環境省自然環境局国立公園課
電話:03-5521-8279      
Email:shizen-kouen@env.go.jp
  


1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。

(回答)令和6年2月16日(金)21時です。

2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。

(回答)「地域の御意見を聴き」とは、本国立公園に関わる地域の市町村の御意見をお聴きすることを想定していました。

3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。

(回答)パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。行政手続法に基づくパブリック・コメントでは、命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すもの)に対して意見を提出できます。
 一方、今回のパブリックコメントは「命令等」に該当しないため、行政手続法に基づくものではなく、各行政機関の任意により実施したものです。国立公園の指定後の管理にあたっては、国民の財産権の行使に一部制限がかかることになるため、国立公園の指定・公園計画の決定及び国定公園の指定の解除・公園計画の廃止について広く一般から意見を募っているものです。名称について御意見を伺う趣旨で実施したものではありません。

4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。

(回答)これまでの国立公園に係る指定においても、個別の要望を審議会に提出することは実施しておりません。御理解いただけますと幸いです。

5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。

(回答)審議会の開催にあたり、全ての関係市町村長へお声がけし、当日出席いただいた2名の方から参加の希望があったものです。国立公園の指定作業において区域及び計画案については、市町村へ意見照会を行って案を取りまとめており、自治体の首長は市町村の代表であると考えております。

6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。

(回答)4、5の回答のとおりです。

7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。

(回答)弊省としては、「日高山脈襟裳十勝国立公園」を地域から提案のあった名称案として審議会に提示しました。2月22日の審議会では御指摘をいただきましたので、次回の自然環境部会で名称案の理由について、補足して御説明いたします。

8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。

(回答)国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。過去の例では、国立公園区域の指定案や計画案とあわせ、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてきました。2月22日の審議会においても、議論を制限したわけではありません。

9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。

(回答)指定に向けた準備を指しています。

10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。

(回答)2月22日の審議会については、国立公園に関係する市町村長へオブザーバーとしての参加についてお声がけしたもので、その他関係者や団体にはご案内を差し上げてはおりません。この点部会長の発言の後に事務局から説明をさせていただいたところです。特定の団体の関わりを排除したわけではありません。

以上

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:39Comments(0)日高山脈