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2020年12月26日

帯広市環境保全推進会議解散等に関わる要望への回答

 12月8日付の「帯広市環境保全推進会議解散等に関わる市長との懇談の要望書」に対する回答がありました。

********************


帯 環 境 第 90号
令和 2年12月18日

十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
             佐藤 与志松 様

帯広市長    米沢 則寿
(都市環境部環境室環境課担当)


「帯広市環境保全推進会議解散等に関わる市長との懇談の要望書」について(回答)

 歳末の候、貴協会におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
 さて、令和 2年12月 8日付の標記要望書について、別紙の通り、回答いたします。
 今後におきましても、帯広市の環境行政へのご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願い致します。



帯広市環境保全推進会議解散等に関わる市長 との懇談の要望書について(回答)

 帯広市環境保全推進会議の解散については、推進会議の中で、前年度4回、今年度1回議論してきたほか、今年2月12月に開催された市議会の厚生委員会で帯広市としての考え方を説明し、最終的には、今年8月5日の推進会議において解散を決定してきていることから、貴協会からの質問に対しては、これまでの議論を踏まえ以下の通り書面により回答させていただきます。

1.帯広市環境保全推進会議の評価と解散の理由について

○帯広市環境保全推進会議の評価について
 帯広市環境保全推進会議が主催し環境学習会や環境交流会などのイベントを開催してきましたが、多くの会員が在籍していた時期は、環境学習会で自然環境のガイドを担っていただいたほか、環境交流会でのブース展示や活動発表会の仕切りなどの運営に、力を発揮していただいたと考えています。
○帯広市環境保全推進会議の解散理由について
 近年は、帯広市環境保全推進会議の会員数が大幅に減少し、これまで主催していたイベントを実質的には運営できない等、活躍の機会が減少していたことのほか、環境審議会や帯広市町内会連合会環境衛生部会など、より豊富な活動実態がある組織を中心に取り組みを進めることとし、会議の解散を提案したものです。

2.基本計画の中にある「市・事業者・市民が協働して」という文言と推進会議解散の整合性について
3.基本計画の中にある「市・事業者・市民が協働して」という文言の具体化について

 市民や事業者との協働については、環境審議会や帯広市町内会連合会環境衛生部会などとの連携をはじめ、企業との協定に基づく取り組みなど、既存の枠組みの中で進めていきたいと考えています。
 一方で、環境学習会や環境交流会などの帯広市環境保全推進会議が主催者として開催してきたイベントについては、今年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため中止 となってしまいましたが、次年度以降は帯広市が中心となり開催する予定であることから、会議の会員であった方々には、引き続き、可能な範囲でご協力をいただければと考えています。

4.「推進会議の活動のまとめ」の作成について

 帯広市環境保全推進会議の活動のまとめについては、平成13年から約 20年に及ぶ活動のまとめとなり作業量が多く、現行の課内職員体制では困難な状況です。 どういった形のまとめであれば可能か、職員配置との兼ね合いを見つつ、引き続き検討していきます。
  

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2020年12月13日

帯広市環境保全推進会議解散等に関わる市長との懇談の要望

 12月8日付で、帯広市長に以下の要望書を送付しました。

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2020年12月8日

帯広市長 米沢 則寿 様 

十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤與志松


帯広市環境保全推進会議解散等に関わる市長との懇談の要望書


 帯広市は令和2年(2020年)3月に、「第三期帯広市環境基本計画」(以下、基本計画)を策定しました。
 この基本計画策定にあたり、「帯広市環境保全推進会議」(以下、推進会議)の今後について、令和元年(2019年)第2回推進会議(8月22日開催)以来数度にわたって、事務局と推進会議委員との間で協議を行ってきました。
 2020年1月23日の第5回推進会議で、当会派遣の委員を通して当会は「地球温暖化の深刻化している中で、市民・企業・行政が協力して取り組みを進めなくてはならない時期に、推進会議を解散すべきでない」との見解を表明しました。
 その後、新型コロナの感染拡大に伴い、3月19日予定の推進会議を開くことができず、8月5日に第6回推進会議を開きました。この時には既に「基本計画」が策定されていました。
 第6回推進会議の中では、「解散やむを得ない」という意見が多く出されましたが、当会委員は態度を保留しました。その後、当会理事会で「やむを得ない」と追認することにし、9月23日に事務局に連絡しました。その際、推進会議の解散は帯広市の環境行政の後退に他ならないので、この件について市長と懇談の場を設けること、また「推進会議の活動のまとめ」をしっかり作成することを口頭で要望しました。
 9月30日に事務局から当会委員に「市長との意見交換の場は必要ない」また「活動のまとめの作成については、今は難しい、結論が出ていない」と電話で回答がありました。
 この問題について、当会理事会で協議した結果、市長に懇談の場を要望することを文書で改めて申し入れることとなりました。
 懇談の場では、下記について市長の見解をうかがうとともに、当会の意見を表明して、帯広市の環境行政の推進に寄与したいと考えています。
 つきましては、年末でご多忙と存じますが12月25日までに文書で回答下さいますようお願い申し上げます。


1 帯広市環境保全推進会議の評価と解散の理由について
2 基本計画の中にある「市・事業者・市民が協働して」という文言と推進会議解散の整合性について
3 基本計画の中にある「市・事業者・市民が協働して」という文言の具体化について 
4 「推進会議の活動のまとめ」の作成について   
以上

  


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2013年10月08日

地熱発電調査への申入れ

 電源開発株式会社が計画している大雪山国立公園での地熱発電調査について説明を求め、10月5日付で同社と新得町に下記の申入れ書を送りました。
*****

大雪山国立公園での地熱発電調査についての申入れ

 今年6月、電源開発株式会社が大雪山国立公園トムラウシ地区において地熱発電のための調査を計画し地元合意が得られれば年内にも着手したい、との報道がなされました(北海道新聞2013年6月4日付)。これは2012年3月27日付で出された、環境省自然環境局長通知「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」(以下、「局長通知」)に基づく開発行為であると当会は理解しております。
 局長通知によれば、「以下に掲げるような特段の取組が行われる事例を選択した上で、その取組の実施状況等についての継続的な確認を行い、真に優良事例としてふさわしいものであると判断される場合は、掘削や工作物の設置の可能性についても個別に検討した上で、その実施について認めることができるものとする。」とし、特段の取組として、自然保護団体を含めた地域における合意形成の場の構築をあげております。このことは貴職も十分認識されていることと存じます。
 当会は、これまで士幌高原道路計画、森林伐採、環境省東大雪地域整備基本計画、富村ダム堆砂処理、然別川水系砂防ダム改修工事、道道鹿追糠平線改修工事、鹿追ジオパーク計画など、大雪山国立公園におけるさまざまな自然保護問題に取組み、提言などを行ってきました。したがって、局長通知にいう「自然保護団体」そのものであると自負しております。
 2013年10月1日付北海道新聞によれば、「新得おもしろ探検隊」に対して7月に地熱開発についての説明を行ったとのことですが、今日まで自然保護団体である当会への説明はなされておりません。これは局長通知に鑑みるなら、不可解なことといわざるを得ません。
 ついては、すみやかに調査計画について説明いただきたくお願いいたします。なお、回答は10月15日までにお願いいたします。

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 08:47Comments(0)その他

2011年04月28日

泊原発の運転中止、廃止を求める声明

 当会は、4月23日の定期総会において、泊原発の運転中止、廃止を求める声明を採択し、高橋はるみ北海道知事と佐藤 佳孝北電社長に送付しました。声明文は以下の通りです。

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 私たちの世代の行為が後世の人々の生命に脅威を絶対に与えないようにすることこそが、今を生きる私たちの大切な役割の一つです。
 生命は誕生以来、遺伝子情報を持つDNAによって、永々と個性豊かな命をつないできました。
 人間が作り出した人工放射線の圧倒的なエネルギーは、人間のみならずあらゆる生物のDNAを壊滅的に破壊、損傷します。微量だから安全という“しきい値”は存在しません。
 私達は広島、長崎、スリーマイル島、チェルノブイリ、福島から多くのことを学びました。
 人工放射線の汚染は地球全体におよび、生物の存在基盤の海洋、大気、土壌を汚染し、深刻な自然環境破壊をおこすことを。そして、後世の、人間を含める多様な生物の生命に脅威を与えることを。
 日本の原子力発電所は“絶対安全”であるという安全神話は、ウソであることがはっきりしました。原発がある限り、どんなに安全対策を講じても事故が起こることは、過去の経験から自明です。
 私たちの世代の行為によって、後世の生命に回復不能の脅威を与えないための選択はただ一つ、危険性のある原発は排除するということです。
 このような観点から、十勝自然保護協会は北海道電力泊原子力発電所のプルサーマル計画の断念を求めるとともに、泊原発の廃止に向けた運転中止を強く要求します。
 原発を無くすることによって電力不足が起こるなら、私たちの世代で自然エネルギー(再生可能エネルギー)の活用などのため広く英知を結集しようではありませんか。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 14:09Comments(0)その他

2011年04月16日

東大雪地域整備計画案への意見に対する回答

 当会は3月11日付で大雪山国立公園東大雪地域整備基本計画案に対する意見を環境省北海道地方環境事務所長に提出しました。
 同事務所長から4月8日付で回答がありましたので掲載します。

**********

【回答】1.ご意見のとおり修正いたしました。(報告書1ページ7行目)
【回答】2.ご意見を踏まえ、「2-3 生物多様性の保全」を追加し、以下を記載いたしました。(告書12ページ6行目)
『平成20年6月6日に施行された生物多様性基本法では、生きものが持つ個性とつながり」がもたらす恵みを将来にわたり上手に利用していくために、野生生物とその生息環境、及び生態系のつながりも含めて保全することとされている。また、平成22年10月に愛知県でCOPlO(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催され、その中で「生物多様性の認識を高めていくこと」「絶滅危倶種のなかでももっとも減退している種の保全状況を改善していくこと」等を目標とした「愛知ターゲット」が採択された。』
【回答】3.ご意見を踏まえ以下のとおり修正いたしました。(報告書15ページ)
 『大雪山は北海道の中央部に位置し、総面積450km2に及ぶ大規模火山であり、大小20をこえる火山体の集合である。第四期火山群の表大雪に対し、東大雪は、中生代に日高累層群の露出により形成された石狩岳、音更山、ユニ石狩岳等の石狩連峰、古い火山性山地であるウペペサンケ山やニペソツ山からなる。三股盆地に位置する十勝三股からはこれらの山々が一望できる。糠平湖(人造湖)周辺には、古糠平湖の湖成層が分布し、この地層から、ウダイカンバ等の植物化石が採取されている。少なくとも夏をはさむ二冬よりも長い期間、0℃以下の温度を保っている土壌・地層・岩石を永久凍土といい、大雪山の高山帯のほか十勝三股及び幌加にも分布している。』
【回答】4.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書16ページ10行目)
 『自然植生であるエゾマツートドマツ群集、下部針広混交林と、代償植生であるヤマハンノキ群落及び牧草地で構成されている。』
【回答】5.ご意見のとおり修正いたしました。(報告書20ページ4行目)
【回答】6.ご意見を踏まえ、「オオアカゲラ、キビタキ、シジュウカラ等」に修正いたしました。(報告書20ページ8行目)
【回答】7.ご意見を踏まえ、以下のとおり追記いたしました。(報告書35ページ)
 ◆十勝自然保護協会
 大雪山国立公園等十勝の自然環境保全に関わる調査活動・自然保護活動等に取り組んでいる。
 ◆ひがし大雪博物館友の会
 大雪山国立公園の自然に関する知識の啓発、向上を図るとともに、ひがし大雪博物館の発展に寄与することを目的として、研究会、講演会、講習会、談話会の開催等を行っている。
【回答】8.最終項に「11その他」を設け、貴十勝自然保護協会及びその他の団体等からの意見書等を添付いたしました。(報告書110ページ)
【回答】9.ご意見のとおり修正いたしました。(報告書49ページ6行目)
【回答】10.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書49ページ7行目)
 『雄大で奥深い原生的な自然環境を厳正に保全する。』
【回答】11.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書49ページ8行目)
 『雄大で奥深い山岳景観、~』
【回答】12.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書49ページ10行目)
 『~人為的な影響により本来の植生が失われた地域~』
【回答】13.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書52ページ10行目)
 『利用者のマナー、高山植物等の盗掘防止等の啓発活動を行う。』
【回答】14.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書52ページ12行目)
 『●生態系・生物多様性の保全に係る調査・研究のネットワーク等体制づくりを進める。』
【回答】15.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書53ページ31行目)
『・間近に糠平湖と接することのできる休息等の場を検討する。』
【回答】16.ご意見につきましては、今後の参考とさせていただきます。
【回答】17.項目の順序につきましては、環境省における施設整備の技術指針に基づいており、本案のとおりといたしました。「中核施設に求められる機能」の記述につきましては、ご意見を踏まえ以下のとおり修正いたしました。(報告書59ページ13行目)
 『中核施設に求められる機能は以下のように整理される。これらの機能の実現に当たっては、整備を行う環境省、上士幌町が相互に連携して取り組む。』
【回答】18.ご意見を踏まえ、『外来種防除等を推進する』に修正いたしました。また、カラマツはこの中に含まれます。(報告書68ページ5行目)
【回答】19.ワークショップで出された意見の中に「現在の眺望を確保する」趣旨の意見も出されていることから、積極的に植林等の手を加え植生復元するゾーンと、山岳景観の眺望を確保するゾーンにより対応することといたしました。
【回答】20.ご意見を踏まえ、『草原の広がり』を『希少種の生育地』に修正いたしました。
(報告書68ページ18行目)
【回答】21.本意見につきましては、「7-4施設計画」において、整理することとし、以下のとおり修正いたしました。(報告書72ページ7行目)
 『既存木道、東屋及びその周辺の保全と利用のあり方について今後も引き続き検討する。』
【回答】22.予算措置については、今後十勝三股における植生管理手法と合わせ検討することとしております。
【回答】23.管理運営の具体的な項目や要員等については、連携する町施設の検討や、今後の基本設計・実施設計と合わせ、引き続き検討していくこととしています。
【回答】24.今後の活動プログラムづくりの中で具体化していくこととしております。
【回答】25.ご意見を踏まえ、『外来種防除等の活動を行う』に修正いたしました。(報告書76ページ7行目)
【回答】26.ご意見を踏まえ、『多様な自然』に修正いたしました。(報告書76ページ10行目)
【回答】27.ご意見を踏まえ、『草原』を削除いたしました。(報告書76ページ10行目)
【回答】28.ご意見を踏まえ、9-2-4実施体制及び資料作成等に項を移動し、以下の通り修正いたしました。(報告書77ページ15行目)
 『●人づくり(利用ガイドラインの作成、ガイド養成、リスクマネジメント等』
【回答】29.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書76ページ30行目)
 『(植生復元、外来種の防除、自然と人との共生等)』
【回答】30.ご意見を踏まえ、以下のとおり修正いたしました。(報告書77ページ3行目)
 『●環境保全活動等(植生復元、外来種の防除、森林学習、登山道の維持補修等』)
【回答】31.上記のような活動もまた活動のコンセプトである「地域や自然の大切さについて学ぶ」ことにつながることから、本文のとおりとしました。
【回答】32.ご意見を踏まえ、上述(30)のとおり修正しました。

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 21:00Comments(0)その他

2011年03月14日

東大雪地域整備基本計画案への意見

 環境省北海道地方環境事務所は、3月4日に大雪山国立公園東大雪地域整備基本計画案について、地元説明会を開催しました。この計画案に対し、当会は3月11日付で下記の意見を同事務所長に提出しました。

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   平成22年度大雪山国立公園東大雪地域整備基本計画策定業務報告書(案)
   に対する意見
1.1ページ7行目 「野生動物とのふれあい」は誤解をまねく表現であり、「野生動物の観察」にでもすべきである。
2.6ページ 与条件の確認・整理において、上位計画である大雪山国立公園計画および大雪山国立公園管理計画を取り上げるのは当然であるが、昨年10月のCOP10において採択された愛知目標は、今後のわが国の環境行政の重要な目標あり、この計画書においてもふれられるべきである。
3.15ページ3行目 東大雪地域は南大雪火山に含まれるとの見解は一般的ではないと思われるので、出典を明らかにする必要がある。
4.16ページ10行目 凡例に従うなら、エゾマツ-トドマツ群集であり、常緑針葉樹林は削除しなければならない。
5.20ページ4行目 移入種であるワカサギを取り上げる必要はない。
6.同8行目 シジュウカラをあえてとりあげる必要はない。
7.34ページ 東大雪地域の主な活動主体として9つの団体をあげているが、ここに当会がないのは不思議なことである。なぜなら、当会は東大雪地域の南西端で自然保護上大問題となった士幌高原道路の中止を求めて活動し、これを実現したからである。今日、生物多様性の保全が世界の大きな課題となっているが、当会の活動は先駆的なものであったと自負している。その団体の存在を無視するのは情けないことであり、再考すべきである。また、キンメフクロウやミユビゲラの保護活動で前田一歩園賞を授与された、ひがし大雪博物館友の会の名前がないのもおかしなことであって再考すべきである。
8.35ページ 関係団体から自然環境保全について聞き取りを行っているが、「十勝三股ふれあい自然塾」以来この問題に関わり、貴職が設置した十勝三股・糠平触れ合い自然塾検討会の委員も務めてきた当会に対し聞き取りが行われなかったことは、行政として公平さを欠き許されないことである。このような不当な扱いを受けたが、当会は貴職に2010年12月16日付で意見書を提出した。自然保護NGOからの意見があったことを明記すべきである。
9.47ページ 整備基本計画は、生態系・生物多様性の保全を最初の項目とすべきである。
10.47ページ20行目 「原生的」の定義をしなければならない。なぜなら、人によって意味するところが異なる可能性があるからである。
11.同21行目 「眺望の対象となる」は削除すべきである。
12.同23行目 「失われた地域」では意味不明であり、「原植生が失われた地域」とでもすべきである。
13.50ページ9行目 「高山帯における高山植物」に限定する必要はない。
14.同 「東大雪地域の自然環境の保護普及及啓発活動及び調査・研究機能の充実」とあるが、自然保護に関わる活動の記述が不十分である。自然破壊・生物多様性の消失について問題意識を喚起する取組みの必要性を記述すべきである。
15.51ページ 表中の「雰囲気づくり」は第三者には意味不明であり、書き換える必要がある。
16.55ページ 環境省ビジターセンターの名称については、自然環境保全活動の拠点であることを知ってもらうという観点から、東大雪自然環境保全センター、東大雪自然保護センター、東大雪生物多様性保全センターなどを検討すべきである。
17.57ページ 表5-4-1-2の基本機能の配列は、中核施設の役割の順序に対応させ、自然保護指導・促進機能を最上段に移動すべきである。また、「中核施設に求められる機能」の記述に欠落があるので訂正すべきである。
18.66ページ 「外来種対策を推進する」は、「外来種駆除を推進する」とすべきである。なお、この中にはカラマツもふくまれていると考えるが、もしそうでなければ含めるべきである。
19.66ページ 十勝三股地区基本計画方針で「広大な山岳景観を継続的に維持できるようにする」とされている。おかしな文だが、文脈からすると眺望を確保するため森林化を防ぐようにすると解される。しかし、ルピナス駆除を行う上で、ルピナスの光条件を奪う森林化が有効であることは明らかである。また、この地域の温度条件と雨量条件は荒地を森林へと導くと考えられる。このようなことから、永遠に草刈を続けることは自然公園のあり方として問題であり再考すべきある。
20.66ページ ゾーニング計画において草原の広がりを確保するとあるが、ここでいう草原とは、失われた植生の姿であり、これを確保することは自らの方針と矛盾するので削除すべきである。
21.66ページ 十勝三股地区において、東屋の扱いについてふれられていないが、和田元所長は、東屋の撤去を検討すると語った。したがって、この問題に言及すべきである。また、大雪山国立公園管理計画のパブリックコメントで当会は、十勝三股の集団施設地区返上を求めた。これに対し、貴職は検討を表明した。このことについても記述するべきである。
22.66ページ 外来種の除去のための予算措置を具体的に記述するべきである。
23.73ページ 中核施設の管理運営経費について書くべきである。また中核施設の職員をどうするのかも明らかにすべきである。
24.74ページ 活動プログラムのコンセプトとして、「地域や自然の大切さを学ぶ」としているのだが、地域の大切さを学ぶについて、具体的に説明すべきである。
25.同 活動プログラムのコンセプトとして「外来種対策等の活動を行う」とあるが、「外来種駆除等の活動を行う」とすべきである
26.同 活動プログラムの基本方針に「多様で良質な自然」とあるが、「良質な自然」の意味が不明であり、削除するか書き換えるべきである。
27.同 活動プログラムの基本方針のなかで、「多様で良質な自然」として草原もあげられているが、北海道において自然草原は高山草原と海岸草原に限定される。ここでいう草原が何をさしているのか具体的に明らかにすべきである。伐開跡地を指すのであれば不要である。
28.同 活動プログラムのテーマのひとつに「人づくり」があり、そのプログラムとしてマナーの普及やリスクマネイジメントがあげられているが、これらが人づくりプログラムとはいえないので修正すべきである。
29.同 活動プログラムのテーマのひとつに「東大雪地域本来の生物多様性をめざして(森づくり、外来生物対応、人との共生等)」とあるが、(森林復元、外来生物駆除等)とすべきである。また「人との共生」をそのまま使いたいのなら、この聞きなれない言葉には説明が必要である。
30.75ページ 活動プログラムの(2)活動形態のなかに、外来種駆除のための活動を明記すべきである。なぜなら、66ページの三股地区の基本計画方針では「セイヨウオオマルハナバチ及びルピナス等の外来種対策を推進する」となっているからである。
31.同 活動プログラムの(2)活動形態のなかに「自然を題材・素材にしたクラフト・芸術活動」とあるが、これは自然保護のための啓発活動とは言えず、必要ない。
32.同 活動プログラムの活動形態に林業体験があげられているが、森林復元は林業体験ではない。ここで林業体験をする必然性はないので書き換えるべきである。

 この計画書の内容は、国民に十分理解されるべきものである。しかし、すでに一部指摘したとおり、この報告書には、意味不明な文や要領を得ない文が多くあることから、文章の推敲がなされなければならない。例えば、1ページ6行目の「本調査」は、「本業務」としなければ、お粗末な日本語となる。
 上記の当会の意見について、貴職の見解をすみやかに文書で下記に送付していただきたい。
以上

  


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2010年12月17日

十勝三股・糠平地区整備計画策定にあたっての意見書

 環境省北海道地方環境事務所は、十勝三股・糠平地区整備基本計画策定のためとして、関係団体から人を募りワークショップを行っています。新聞報道(北海道新聞・十勝毎日新聞)によると、環境省は2007年に糠平集団施設地区基本計画をまとめビジターセンターを設置することとしていたが、国内情勢の変動などで凍結状態となったので、以前のプランを再構築するためワークショップを開催したといいます。当会は、この基本計画策定に対し12月16日付で環境省北海道地方環境事務所長に下記の意見書を送付しました。
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十勝三股・糠平地区整備計画策定にあたっての意見書

1.北海道地方環境事務所のワークショップについて
 貴所が行っている「ワークショップ」は、山北育実自然保護官からの説明により以下のように理解されました。
 (1)話し合う事柄
  (大テーマ)
 「東大雪地域全体と各地区(十勝三股地区、糠平地区等)での望ましい活動形態と求められる機能」
「活動形態」とは、各々の地区ごとで、どんな活動を目指していくか。例として、自然体験、植生復元の活動等が想定されます。また、「機能」とは、各々の地区での望ましい活動形態を具現化するための仕組みづくりや、ソフト・ハード面のことを考えています。
  (小テーマ)
○東大雪地域での連携した望ましい活動形態について
○十勝三股地区の活動形態とそのゾーニングについて
○糠平地区の活動形態とそのゾーニングについて
 (2)話し合いの方法
 はじめに、過去の検討経緯等について、事務局からご説明いたします。
 第1回ワークショップでは、小テーマについてグループに分かれ、望ましい活動形態や求められる機能等についてご意見を出していただき、発表していただきます。各班で決めていただいた方から発表をしていただく予定です。
 第2回ワークショップでは、第1回ワークショップで出されたご意見のより具体的な活動内容、管理運営等に関してご意見を出していただき、発表していただきます。
 第3回ワークショップは、まとめといたします。第1回及び第2回ワークショップで出された意見等を第3回ワークショップにおいて整理し、とりまとめたいと考えています。なお、このワークショップでは、参加者の意見を基にその場で結論を出すものではございません。
 (3)計画の確定
   ワークショップ終了後、ワークショップのご意見も参考に、北海道地方環境事務所にて当該基本計画案を作成し、地元説明会にてご説明いたします。これらの過程を踏まえ、当該基本計画を策定いたします。

2.当会がワークショップに参加しない理由
 貴所は計画案作成のため「ワークショップ」を実施するとのことですが、一般にワークショップは、団体の意思を反映させる手段として適切ではありません。また、今回のワークショップは、各グループの選ばれた代表者が意見を発表するとのことですが、当会の意見を第三者に発表してもらう必要はありません。また、ワークショップであれば主催者が原案を提示すべきと思いますが、基本計画案の作成のための意見集約との位置付けにして原案を提示しないのであれば環境省の基本的な考え方が分からず、無責任なやり方と言わざるを得ません。このような場が必要なのかという疑問も生じます。しかも、このワークショップ参加呼びかけが団体に限定されており、広く国民の声を聞くというものではありません。
 以上のような理由から、当会はこのワークショップへ参加せず、整備計画に対して意見を書面で提出することとしました。

3.十勝三股・糠平地区整備計画に対する当会の考え方
 当会は、2007年の大雪山国立公園計画策定にあたり意見(パブリックコメント)を提出しました。このなかで大雪山国立公園の管理に関し多くの意見を述べましたが、十勝三股および糠平地区にかかわる部分は下記のとおりです。

10.47ページ ⑦博物館
要約 博物館前のパークゴルフコースの芝はエゾシカを誘引するので,検討すべきである.
意見および理由
「既存のパークゴルフコースは,草地状の休憩園地の機能を損なわない範囲で利用するものとし,コースの造成は行わないものとする」とあるが,このパークゴルフ場の芝は早春から夏にかけてエゾシカの採食地となっている.人為的な植生がエゾシカを誘引するのはエゾシカの増殖や交通事故にもつながり好ましくないので,エゾシカを誘引しないような植生に替えるべきである.
11.47ページ 8博物展示施設
要約 糠平に計画されているビジターセンターは,自然保護や自然復元を目的とした「自然保護センター」にすべきである.
意見および理由
当会は「十勝三股ふれあい自然熟整備検討会」や「十勝三股・糠平ふれあい自然熟検討会」で糠平のビジターセンターの目的を自然保護や自然復元,自然保護教育とし,「自然保護センター」とすることを要望してきた.これからの国立公園の管理でもっとも力を入れていく必要があるのは「自然保護」と「自然復元」またそのための「自然保護教育」や「環境教育」であり,環境省はその目的を達成するために必要な施設の整備を計画すべきである.
12.48ページ 十勝三股集団施設地区
要約 十勝三股集団施設地区は積極的に森林を復元する地域とし,外来種を早急に除去すべきである.施設は基本的に必要ない.集団施設地区を返上すべきである.
意見および理由
「自然の回復を目指しつつ,自然体験及び学習活動フィールドとして活用する地区として位置づけた」としているが,ここは原生林が伐り開かれ,森林破壊の中心となった地域である.このような森林破壊によって,かつて生息していたミユビゲラなどの希少動物が絶滅の危機に瀕している.したがってかつての森林を復元する場として捉えるべきである.森林の復元を自然に委ねても容易に樹木が芽生え生長できるような状況にはないので,掻き起こしや周辺からの植栽を行うなど積極的に森林の復元を図るべきである.
また,ここに繁茂するルピナスやキショウブ,その他の外来種はセイヨウオオマルハナバチを誘引するほか,本来の生態系を撹乱するものであり,早急な駆除が望まれる.そのような場所なので,自然体験のための整備は基本的に必要ない.そもそもここの集団施設地区の指定は「十勝三股ふれあい自然塾」の設置が目的であったが,この計画は中止になったのであるから集団施設地区を返上し,特別地域にもどすべきである.

 当会は、わが国の国立公園がよりよいものとなることを願うという大局的視点から意見を提出しました。当会の意見を真摯に検討され、今回の十勝三股・糠平地区整備計画に反映されることを期待しております。
 最後に言及しなければならないことがあります。今年8月に環境省所管地である十勝三股でセイヨウオオマルハナバチの女王蜂が確認されました。しかも十勝三股での女王蜂侵入の情報は8月下旬に北海道地方環境事務所の職員にもたらされていたのにも関わらず、その事実を速やかに公表しなかったことが明らかとなりました。もし当会の意見を受入れルピナスの駆除などに迅速に取り組んでいたなら本種の侵入を防げたのではないでしょうか。自らの所管地の管理責任を放棄し、特定外来生物の侵入を招いたという今回の事態は、わが国の環境行政の汚点として記録されることでしょう。この事例を深刻に受け止め教訓としていただきたく思います。
以上


  


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2009年10月07日

トムラウシ山の避難小屋問題で要望書を送付

 新得町が環境省に対し、トムラウシ山に避難小屋を設置するよう要望しましたが、この問題で環境省に以下の要望書を送付しました。

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2009年10月6日

環境省北海道地方環境事務所長 様
十勝自然保護協会
会長 安藤 御史


トムラウシ山の避難小屋設置に関する要望書


 北海道新聞(9月15日付け)は、今年7月にトムラウシ山で9人が死亡した遭難事故を受け、新得町がトムラウシ山山頂から新得側登山口の間に避難小屋とトイレを設置することを求める整備提案書を提出したと報じた。
 今回の遭難者の死亡原因は暴風雨の中を行動したことに起因する低体温症であったが、この日の行動を中止していれば回避できた事故である。また最初の遭難者はトムラウシ山の手前で動けなくなったのであり、トムラウシ山に避難小屋があったとしても助からなかった可能性が高い。トムラウシでの遭難事故と同じ日に、美瑛岳でツアー登山に参加した女性も低体温症で亡くなったが、この方は避難小屋に運ばれたにも関わらず亡くなったのである。これらのことから、トムラウシ山に避難小屋があれば今回の事故が防げたとは考えられない。
 トムラウシ山の遭難事故によって、近年のツアー登山の実態や問題点が明らかになってきたが、遭難の陰には悪天であるにも関わらず予定通りの日程をこなそうとした無謀さや参加者の装備に問題があったことは否めない。トムラウシ山での遭難事故については、現在、山岳ガイド協会が事故調査特別委員会を設置して検証を行っており、トムラウシ山に避難小屋が必要かどうかについての判断は、委員会の報告を待って検討する必要がある。
 避難小屋の設置は、無謀なツアー登山を助長したり安易な登山者を増加させることにもつながりかねず、慎重な判断が求められる。
 以上の理由から、避難小屋の設置については、国立公園の自然環境保全の観点からも十分な検討をするよう要望する。
  


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