十勝自然保護協会 活動速報 › 日高山脈
2024年09月11日
日高山脈襟裳十勝国立公園協議会の会議運営に関する質問と要望
日高山脈襟裳十勝国立公園協議会の会議運営に関し、環境省北海道地方環境事務所に以下の書面を送付しました。
環境省北海道地方環境事務所 所長 山本 麻衣 様
8月27日に日高山脈襟裳十勝国立公園協議会が開催されました。
当会からは共同代表2名が出席しました。
開催数日前に、当会に複数の報道関係者から、本会議の開催日程について貴庁から全く案内がないことから問い合わせがありました。また、本会議が非公開ではないのかとの危惧も寄せられました。
当会は帯広自然保護官事務所に問い合わせたところ、開催直前の8月23日(金)午後に報道に案内するとの回答がありました。
当日、報道関係者は冒頭に取材が行われた後、退室を要求され非公開の会議となりました。
しかし、会議の内容は非公開にされなければならないようなものは全くありませんでした。
当会は、国立公園は国民の財産であることから、本協議会が民主的に運営され国民に公開されるべきものとして、以下の質問と要望を提出します。
【質問】
8月27日の会議はなぜ非公開にしたのか、理由をご説明ください。
【要望】
(1)今後の会議は公開とすること。
(2)会議の資料は公開すること。
(3)会議の議事録は速やかに公開すること。
(4)会議の議案は遅くとも2週間前に提示すること。
ご多忙とは存じますが、9月27日までに書面にてご回答いただけますようお願いいたします。
******************************
2024年9月9日
環境省北海道地方環境事務所 所長 山本 麻衣 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
日高山脈襟裳十勝国立公園協議会の会議運営に関する質問と要望
8月27日に日高山脈襟裳十勝国立公園協議会が開催されました。
当会からは共同代表2名が出席しました。
開催数日前に、当会に複数の報道関係者から、本会議の開催日程について貴庁から全く案内がないことから問い合わせがありました。また、本会議が非公開ではないのかとの危惧も寄せられました。
当会は帯広自然保護官事務所に問い合わせたところ、開催直前の8月23日(金)午後に報道に案内するとの回答がありました。
当日、報道関係者は冒頭に取材が行われた後、退室を要求され非公開の会議となりました。
しかし、会議の内容は非公開にされなければならないようなものは全くありませんでした。
当会は、国立公園は国民の財産であることから、本協議会が民主的に運営され国民に公開されるべきものとして、以下の質問と要望を提出します。
【質問】
8月27日の会議はなぜ非公開にしたのか、理由をご説明ください。
【要望】
(1)今後の会議は公開とすること。
(2)会議の資料は公開すること。
(3)会議の議事録は速やかに公開すること。
(4)会議の議案は遅くとも2週間前に提示すること。
ご多忙とは存じますが、9月27日までに書面にてご回答いただけますようお願いいたします。
2024年05月31日
日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する中央環境審議会の答申に関する声明
環境省中央環境審議会自然環境部会で、日高山脈を中心とする国立公園の名称が「日高山脈襟裳十勝国立公園」と決まりましたが、北海道自然保護連合はこれに関して声明を発表しました。
日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する中央環境審議会の答申に関する声明
北海道自然保護連合
構成団体
環境省中央環境審議会自然環境部会(第49回:2024年5月22日開催)は、日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する環境省の諮問案を妥当として環境大臣に答申することを決めました。
当連合は、2006年3月に道内の11の自然保護団体の連名で、環境大臣に「日高山脈と夕張山地を新たな国立公園に指定することの要望書」を提出していましたが、夕張山地(富良野芦別道立自然公園)は含まれなかったものの、この度の審議を以て指定の実現に至ったことは大きな前進であったと受け止めています。
しかし、新たな国立公園の名称として決定された、「日高山脈襟裳十勝国立公園」は、地元市町村長から要望があったとして「十勝」が加えられましたが、その理由に妥当性がなく決定のあり方にも問題があります。名称はその国立公園の特徴や核心となるエリアを端的に想起させるいわば表看板です。決め方は国立公園の管理運営のあり方と深く関わっています。国立公園の維持管理に地域住民や自治体等の協力は、いうまでもなく欠かすことのできない大切なことがらですが、その意向の反映には合理性が必要です。改めて当連合の見解を以下に表明いたします。
すでに、当連合は、環境大臣に要望書を提出し、自然環境部会での審議に関して自然環境局国立公園課に質問や要望を繰り返してきました。また、「十勝を入れるべきでない」との環境大臣宛署名活動を行い、今回の自然環境部会の直前の5月20日には1003筆の署名を提出しています。
十勝を入れる必然性がない理由として掲げてきた主なものは以下のとおりです。
・日高山脈はその領域が日高と十勝にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包しており、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなる。
・周辺13市町村の要望書には十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」とあるが、日高山脈は地理的固有名詞で小中学生の地図帳にも明確に記載されている。
・十勝は畑作・酪農を特色とする「農業王国」として全国的な知名度も高く、むしろ加えることによって原生的環境を特色とする日高山脈からなる公園の本質が極めてあいまいになる。
・「十勝平野から眺める日高山脈の山並みは雄大」であるからと、眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異である。日高山脈が見える十勝中央部からは大雪山国立公園の山塊の雄大な連なりも見えるが、大雪山国立公園に十勝を加えよとの声は全くない。
しかし、環境省は、当連合が求めてきた「名称に十勝を入れることの理由・根拠」には正面から答えることをせず、また、2月22日の自然環境部会(第48回)において、経緯の説明などでは、自然保護団体・山岳団体の要望書提出などには一切触れず、一方で、関係首長を招聘するなど、不公平な運営を行ってきました。さらに、当連合の14項目の質問書にも逐条回答をしないなど不誠実な対応を取ってきました。
5月22日の自然環境部会(第49回)に提出された資料2-2には、2月22日の第48回自然環境部会での部会長からの次回で新国立公園の名称に「十勝」を加える理由を説明して欲しいとの要望を受けて、「新国立公園の名称を『日高山脈襟裳十勝国立公園』とする理由」が掲載されていますが、「理由」と言いながらまったく「理由・根拠」にはなっておらず、終始「十勝を入れることの意義・効果」ばかりが強調されています。そしてその論理は誤りであると断言せざるを得ません。
すなわち、
1 十勝側に広大に拡張したと言っても、日高山脈の山麓部を含む周辺地域で、言わば山脈の膨張的拡大で、拡大された「十勝」は独立した地域でなく、日高山脈に付随した地域である。
2 新国立公園の十勝側面積が阿蘇くじゅう国立公園ほどに拡大されたことを「十勝」を加える理由としているが、環境省資料を見ると、今回拡大されたのは多くが日高側であり、日高山脈襟裳国定公園ではほぼ半々であった日高側と十勝側の面積比は、日高が十勝の約2倍となっている。面積からみると、国定公園にはなかった「十勝」を加える理由はない。加えるべきは「日高」である。
注:国定公園時の面積…日高側 54,183ha 十勝側49,264ha
国立公園時の面積…日高側161,954ha 十勝側83,715ha
国定公園から国立公園になって増える面積
…日高側107,771ha(約3倍)十勝側34,451ha(約1.7倍)
3 日高と十勝がほぼ等分である日高山脈と「十勝」を併記することは、すなわち「日高山脈(日高・十勝)プラス十勝」ということである。これは国語表現でいう重言にあたる。
4 上記1、2、3で指摘した論理で言えば、「日高山脈」と「日高」はまったく別であるから、名称には「日高」もまた対等に名称に加えなければならない。すなわち「日高山脈襟裳十勝日高国立公園」とすべきである。
5 一方、「日高山脈プラス十勝」を独立した地域とみなす場合、国立公園の名称なのだから、自然公園法が定める選定基準「傑出した自然」という条件を満たすかどうかが問われる。もし「十勝」にそれがあるのであれば、国定公園指定時に「十勝」も入ったはずだが、入らなかった。つまり、残念ながら「十勝」には「傑出した自然」はないのである。 *重要湿地などがある十勝海岸は該当するが、離れており独立した地域である。
6 それでも、「十勝」をねじ込むのは、看板に嘘あり、羊頭を掲げて狗肉を売る、つまり詐欺行為に外ならない。十勝の住民は公園入口の看板を見てどんな思いをするだろうか。
7 関係市町村との今後の連携は必須であると強調するが、それを理由に直接関係のない地域名をあえて国立公園名称に加えずとも全国の国立公園関係自治体は十分に連携協力しているではないか。
以上のように、今回の国立公園名命名の理由づけは、不合理で妥当性がないものです。
環境省は国立公園の命名に決まりはないと言っていますが、戦前からの国立公園の命名には、時代により多少の変化はあるものの、暗黙の了解、伝統、守られてきた規範・道理があるように思います。それは「傑出した自然」がある地域の名前(新たに作り出した名称もあるが)をつけたということです。この暗黙の了解を逸脱した今回の命名は無理を通して道理を無視したと感じられます。
国立公園として保全すべき地域以外の地名を周辺市町村の要望により入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものです。今後「わが町名も」というのに対し、悪しき前例を作ったことになります。
今回の名称問題が将来の国立公園の健全な命名に関して禍根を残すことを危惧します。
当連合は、国立公園は国民全体の財産で地域だけの財産ではないとの立場から、世界に誇ることができる日高山脈の原生的自然をこれからも守ることを根幹にして、観光優先の利活用にならないことを強く願いながら、引き続き環境・自然保護行政に提言していきます。
******************************
2024年5月31日
日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する中央環境審議会の答申に関する声明
北海道自然保護連合
共同代表 安藤御史
菊地宏冶
西畑智光
菊地宏冶
西畑智光
構成団体
十勝自然保護協会(共同代表 安藤御史・佐藤与志松)
大雪と石狩の自然を守る会(代表 寺島一男)
ユウパリコザクラの会(代表 藤井純一)
南北海道自然保護協会(理事長 藤島 斉)
一般社団法人北海道自然保護協会(会長 在田一則)
大雪と石狩の自然を守る会(代表 寺島一男)
ユウパリコザクラの会(代表 藤井純一)
南北海道自然保護協会(理事長 藤島 斉)
一般社団法人北海道自然保護協会(会長 在田一則)
環境省中央環境審議会自然環境部会(第49回:2024年5月22日開催)は、日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する環境省の諮問案を妥当として環境大臣に答申することを決めました。
当連合は、2006年3月に道内の11の自然保護団体の連名で、環境大臣に「日高山脈と夕張山地を新たな国立公園に指定することの要望書」を提出していましたが、夕張山地(富良野芦別道立自然公園)は含まれなかったものの、この度の審議を以て指定の実現に至ったことは大きな前進であったと受け止めています。
しかし、新たな国立公園の名称として決定された、「日高山脈襟裳十勝国立公園」は、地元市町村長から要望があったとして「十勝」が加えられましたが、その理由に妥当性がなく決定のあり方にも問題があります。名称はその国立公園の特徴や核心となるエリアを端的に想起させるいわば表看板です。決め方は国立公園の管理運営のあり方と深く関わっています。国立公園の維持管理に地域住民や自治体等の協力は、いうまでもなく欠かすことのできない大切なことがらですが、その意向の反映には合理性が必要です。改めて当連合の見解を以下に表明いたします。
すでに、当連合は、環境大臣に要望書を提出し、自然環境部会での審議に関して自然環境局国立公園課に質問や要望を繰り返してきました。また、「十勝を入れるべきでない」との環境大臣宛署名活動を行い、今回の自然環境部会の直前の5月20日には1003筆の署名を提出しています。
十勝を入れる必然性がない理由として掲げてきた主なものは以下のとおりです。
・日高山脈はその領域が日高と十勝にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包しており、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなる。
・周辺13市町村の要望書には十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」とあるが、日高山脈は地理的固有名詞で小中学生の地図帳にも明確に記載されている。
・十勝は畑作・酪農を特色とする「農業王国」として全国的な知名度も高く、むしろ加えることによって原生的環境を特色とする日高山脈からなる公園の本質が極めてあいまいになる。
・「十勝平野から眺める日高山脈の山並みは雄大」であるからと、眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異である。日高山脈が見える十勝中央部からは大雪山国立公園の山塊の雄大な連なりも見えるが、大雪山国立公園に十勝を加えよとの声は全くない。
しかし、環境省は、当連合が求めてきた「名称に十勝を入れることの理由・根拠」には正面から答えることをせず、また、2月22日の自然環境部会(第48回)において、経緯の説明などでは、自然保護団体・山岳団体の要望書提出などには一切触れず、一方で、関係首長を招聘するなど、不公平な運営を行ってきました。さらに、当連合の14項目の質問書にも逐条回答をしないなど不誠実な対応を取ってきました。
5月22日の自然環境部会(第49回)に提出された資料2-2には、2月22日の第48回自然環境部会での部会長からの次回で新国立公園の名称に「十勝」を加える理由を説明して欲しいとの要望を受けて、「新国立公園の名称を『日高山脈襟裳十勝国立公園』とする理由」が掲載されていますが、「理由」と言いながらまったく「理由・根拠」にはなっておらず、終始「十勝を入れることの意義・効果」ばかりが強調されています。そしてその論理は誤りであると断言せざるを得ません。
すなわち、
1 十勝側に広大に拡張したと言っても、日高山脈の山麓部を含む周辺地域で、言わば山脈の膨張的拡大で、拡大された「十勝」は独立した地域でなく、日高山脈に付随した地域である。
2 新国立公園の十勝側面積が阿蘇くじゅう国立公園ほどに拡大されたことを「十勝」を加える理由としているが、環境省資料を見ると、今回拡大されたのは多くが日高側であり、日高山脈襟裳国定公園ではほぼ半々であった日高側と十勝側の面積比は、日高が十勝の約2倍となっている。面積からみると、国定公園にはなかった「十勝」を加える理由はない。加えるべきは「日高」である。
注:国定公園時の面積…日高側 54,183ha 十勝側49,264ha
国立公園時の面積…日高側161,954ha 十勝側83,715ha
国定公園から国立公園になって増える面積
…日高側107,771ha(約3倍)十勝側34,451ha(約1.7倍)
3 日高と十勝がほぼ等分である日高山脈と「十勝」を併記することは、すなわち「日高山脈(日高・十勝)プラス十勝」ということである。これは国語表現でいう重言にあたる。
4 上記1、2、3で指摘した論理で言えば、「日高山脈」と「日高」はまったく別であるから、名称には「日高」もまた対等に名称に加えなければならない。すなわち「日高山脈襟裳十勝日高国立公園」とすべきである。
5 一方、「日高山脈プラス十勝」を独立した地域とみなす場合、国立公園の名称なのだから、自然公園法が定める選定基準「傑出した自然」という条件を満たすかどうかが問われる。もし「十勝」にそれがあるのであれば、国定公園指定時に「十勝」も入ったはずだが、入らなかった。つまり、残念ながら「十勝」には「傑出した自然」はないのである。 *重要湿地などがある十勝海岸は該当するが、離れており独立した地域である。
6 それでも、「十勝」をねじ込むのは、看板に嘘あり、羊頭を掲げて狗肉を売る、つまり詐欺行為に外ならない。十勝の住民は公園入口の看板を見てどんな思いをするだろうか。
7 関係市町村との今後の連携は必須であると強調するが、それを理由に直接関係のない地域名をあえて国立公園名称に加えずとも全国の国立公園関係自治体は十分に連携協力しているではないか。
以上のように、今回の国立公園名命名の理由づけは、不合理で妥当性がないものです。
環境省は国立公園の命名に決まりはないと言っていますが、戦前からの国立公園の命名には、時代により多少の変化はあるものの、暗黙の了解、伝統、守られてきた規範・道理があるように思います。それは「傑出した自然」がある地域の名前(新たに作り出した名称もあるが)をつけたということです。この暗黙の了解を逸脱した今回の命名は無理を通して道理を無視したと感じられます。
国立公園として保全すべき地域以外の地名を周辺市町村の要望により入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものです。今後「わが町名も」というのに対し、悪しき前例を作ったことになります。
今回の名称問題が将来の国立公園の健全な命名に関して禍根を残すことを危惧します。
当連合は、国立公園は国民全体の財産で地域だけの財産ではないとの立場から、世界に誇ることができる日高山脈の原生的自然をこれからも守ることを根幹にして、観光優先の利活用にならないことを強く願いながら、引き続き環境・自然保護行政に提言していきます。
2024年05月15日
日高山脈を含む新国立公園の名称に関する質問への回答
北海道自然保護連合が4月30日付で環境省自然環境局長および国立公園課長へ送付した再質問に対して回答がありました。
3月29日付の14項目の質問への回答が一括回答になっていたため、逐条回答するように求めたことに対する回答です。しかし、今回の回答も逐条回答になっていません。
北海道自然保護連合
共同代表 安藤御史 様
菊地宏冶 様
西畑智光 様
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年4月30日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
担当:環境省自然環境局国立公園課
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
(回答)
新しい国立公園の指定に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
4月30日付けの文書においてご要望いただいた件について、次のとおり回答させていただきます。
(質問1、2、3、4、5関係)
貴団体の意見をはじめ名称について様々な意見があることは承知しており、その意見について2月の審議会においても適宜口頭により紹介したところではありますが、各市町村長は各関係市町村の代表と考えており、その意見を尊重しています。なお、名称の決定は、国立公園区域の指定案や計画案とあわせ環境大臣が行うこととなります。
(質問6、7、14関係)
貴団体の意見をはじめ名称について様々な意見があることは承知しております。その上で、国立公園の選定の基準はありますが、名称の基準については存在していません。前回回答のとおり、新国立公園は、日高地方及び十勝地方双方の関係市町村の協力があり、国定公園の2倍以上の面積となる広大な原生地域を包含する我が国の陸域最大の国立公園となります。国立公園の管理には、地域との協働が求められており、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、関係市町村との連携は必須と考えています。環境省としては、この度の新国立公園の指定にあたり、日高側・十勝側双方の地域住民にとって、日高山脈を中心とした新国立公園の素晴らしい風景がより身近になり、その価値を改めて認識する機会となり、かけがえのない財産を次世代へ引継いでいく意識が一層高まることを期待し、新国立公園に指定される区域に関係する全13市町村長の名前が列記された上で要望のあった名称案を審議会に提示したものであり、今回の事例を今後の前例とするようなことは考えておりません。
(質問8、10、11、12、13関係)
要望書、要望趣意書については、関係市町村長らにより作成されたものでありコメントを差し控えます。また、13についてもどなたのご意見かわからず、コメントを差し控えさせていただきます。いずれにせよ、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、指定後の国立公園の保護管理において、関係市町村に積極的に関わっていただけることは望ましいことであると考えます。
(質問9関係)
公園計画は、保護又は利用のための規制又は事業に関する計画を定めるものであり、名称によってその内容があいまいになるものではないと考えます。
3月29日付の14項目の質問への回答が一括回答になっていたため、逐条回答するように求めたことに対する回答です。しかし、今回の回答も逐条回答になっていません。
******************************
令和6年5月1 4日
北海道自然保護連合
共同代表 安藤御史 様
菊地宏冶 様
西畑智光 様
環境省自然環境局
国立公園課
国立公園課
「4月22日付環境省回答に関わる要望」について(回答)
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年4月30日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
担当:環境省自然環境局国立公園課
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
(回答)
新しい国立公園の指定に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
4月30日付けの文書においてご要望いただいた件について、次のとおり回答させていただきます。
(質問1、2、3、4、5関係)
貴団体の意見をはじめ名称について様々な意見があることは承知しており、その意見について2月の審議会においても適宜口頭により紹介したところではありますが、各市町村長は各関係市町村の代表と考えており、その意見を尊重しています。なお、名称の決定は、国立公園区域の指定案や計画案とあわせ環境大臣が行うこととなります。
(質問6、7、14関係)
貴団体の意見をはじめ名称について様々な意見があることは承知しております。その上で、国立公園の選定の基準はありますが、名称の基準については存在していません。前回回答のとおり、新国立公園は、日高地方及び十勝地方双方の関係市町村の協力があり、国定公園の2倍以上の面積となる広大な原生地域を包含する我が国の陸域最大の国立公園となります。国立公園の管理には、地域との協働が求められており、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、関係市町村との連携は必須と考えています。環境省としては、この度の新国立公園の指定にあたり、日高側・十勝側双方の地域住民にとって、日高山脈を中心とした新国立公園の素晴らしい風景がより身近になり、その価値を改めて認識する機会となり、かけがえのない財産を次世代へ引継いでいく意識が一層高まることを期待し、新国立公園に指定される区域に関係する全13市町村長の名前が列記された上で要望のあった名称案を審議会に提示したものであり、今回の事例を今後の前例とするようなことは考えておりません。
(質問8、10、11、12、13関係)
要望書、要望趣意書については、関係市町村長らにより作成されたものでありコメントを差し控えます。また、13についてもどなたのご意見かわからず、コメントを差し控えさせていただきます。いずれにせよ、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、指定後の国立公園の保護管理において、関係市町村に積極的に関わっていただけることは望ましいことであると考えます。
(質問9関係)
公園計画は、保護又は利用のための規制又は事業に関する計画を定めるものであり、名称によってその内容があいまいになるものではないと考えます。
2024年05月04日
環境省自然環境局長・国立公園課長に再回答を求めるとともに環境大臣に文書を送付
日高山脈を含む新国立公園の名称に関する14項目の質問に対し、環境省自然環境局長・国立公園課長からの回答は逐条回答になっていませんでした。このために再度回答を求めると共に、環境大臣に抗議と要望の文書を送付しました。
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
4月22日付回答を受け取りました。貴職の回答は当連合の14項目の質問に対して逐条回答せず、一括した回答となっています。この回答には各項目の質問に答える妥当な内容が含まれておらず回答になっておりません。改めて14項目に対する逐条回答を要望します。
貴職の一括回答の主旨は、「関係市町村との連携は必須」、「関係する全13市町村長の名前が列記された要望書にあった名称案」、「だから『十勝』を入れる」と受け取れます。そうであれば、当該要望書に記載されている「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」という理由をもって国立公園の名称を決めたことになります。この理由には、地元自治体の国立公園という名声にあやかりたいという願いは感じられても、自然公園法で謳う「我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地」であるべき国立公園の名称決定の正当な理由は汲み取れません。
この度の日高山脈の国立公園昇格に関して関係市町村の尽力や協力があったとしても、国立公園は国民全体の共有財産であり、その名称は自然公園法の定める趣旨に沿った合理的な理由から決定されるべきであり、地元市町村の恣意的な要望によって決定されるべきではありません。当連合の14項目にわたる質問は、その合理性を検証する重要な内容ですので、誠意ある逐条回答を改めて要望いたします。
ご多忙とは存じますが、次回自然環境部会の1週間前までに届くように書面にて回答くださいますようお願いいたします。
環境大臣 伊藤 信太郎 様
今夏、日高山脈とその周辺地域の国立公園化が予定されていますが、2月22日に開催された自然環境部会(第48回)での名称を巡る審議に関わって、2月26日付で十勝自然保護協会が環境省自然環境局長および国立公園課長に提出した質問要望書に対する回答を自然環境局国立公園課から3月21日付でいただきました。それに対し、北海道内の自然保護団体5団体(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)で構成する北海道自然保護連合は3月29日付で14項目の質問書を提出しました。
4月22日付で回答を自然環境局国立公園課から受け取りましたが、回答は当連合の14項目の質問に対して逐条回答せず、一括した回答となっています。この回答には各項目の質問に答える妥当な内容が含まれておらず回答になっておりません。率直に申し上げれば、これまでのやりとりを一方的に終わらせようとする意思さえ感じられます。
極めて不誠実な対応について強く抗議するものです。
当連合は、改めて14項目に対する誠意ある逐条回答を求めますので、担当部局へのご指導を要望いたします。
******************************
2024年4月30日
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
北海道自然保護連合 共同代表 安藤御史 菊地宏冶 西畑智光
構成団体十勝自然保護協会 共同代表 安藤御史 佐藤与志松
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
4月22日付環境省回答について
4月22日付回答を受け取りました。貴職の回答は当連合の14項目の質問に対して逐条回答せず、一括した回答となっています。この回答には各項目の質問に答える妥当な内容が含まれておらず回答になっておりません。改めて14項目に対する逐条回答を要望します。
貴職の一括回答の主旨は、「関係市町村との連携は必須」、「関係する全13市町村長の名前が列記された要望書にあった名称案」、「だから『十勝』を入れる」と受け取れます。そうであれば、当該要望書に記載されている「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」という理由をもって国立公園の名称を決めたことになります。この理由には、地元自治体の国立公園という名声にあやかりたいという願いは感じられても、自然公園法で謳う「我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地」であるべき国立公園の名称決定の正当な理由は汲み取れません。
この度の日高山脈の国立公園昇格に関して関係市町村の尽力や協力があったとしても、国立公園は国民全体の共有財産であり、その名称は自然公園法の定める趣旨に沿った合理的な理由から決定されるべきであり、地元市町村の恣意的な要望によって決定されるべきではありません。当連合の14項目にわたる質問は、その合理性を検証する重要な内容ですので、誠意ある逐条回答を改めて要望いたします。
ご多忙とは存じますが、次回自然環境部会の1週間前までに届くように書面にて回答くださいますようお願いいたします。
******************************
2024年4月30日
環境大臣 伊藤 信太郎 様
北海道自然保護連合 共同代表 安藤御史 菊地宏冶 西畑智光
構成団体十勝自然保護協会 共同代表 安藤御史 佐藤与志松
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
4月22日付環境省自然環境局国立公園課の回答について
今夏、日高山脈とその周辺地域の国立公園化が予定されていますが、2月22日に開催された自然環境部会(第48回)での名称を巡る審議に関わって、2月26日付で十勝自然保護協会が環境省自然環境局長および国立公園課長に提出した質問要望書に対する回答を自然環境局国立公園課から3月21日付でいただきました。それに対し、北海道内の自然保護団体5団体(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)で構成する北海道自然保護連合は3月29日付で14項目の質問書を提出しました。
4月22日付で回答を自然環境局国立公園課から受け取りましたが、回答は当連合の14項目の質問に対して逐条回答せず、一括した回答となっています。この回答には各項目の質問に答える妥当な内容が含まれておらず回答になっておりません。率直に申し上げれば、これまでのやりとりを一方的に終わらせようとする意思さえ感じられます。
極めて不誠実な対応について強く抗議するものです。
当連合は、改めて14項目に対する誠意ある逐条回答を求めますので、担当部局へのご指導を要望いたします。
2024年04月23日
中央環境審議会自然保護部会に関する再質問への環境省からの回答
3月29日付の「3月21日付環境省回答に関わる質問」に対し、環境省から以下の回答がありました。14項目の質問をしていますが、個々の質問には回答していません。
北海道自然保護連合
共同代表 安藤御史 様
菊地宏冶 様
西畑智光 様
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年3月29日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
(回答)
新しい国立公園の指定に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。多くの御質問をいただいておりますが、以下まとめて当方の考えを回答させていただきます。
新国立公園は、日高地方及び十勝地方双方の関係市町村の協力があり、国定公園の2倍以上の面積となる広大な原生地域を包含する我が国の陸域最大の国立公園となります。
国立公園の管理には、地域との協働が求められており、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、関係市町村との連携は必須と考えます。
環境省としては、この度の新国立公園の指定にあたり、日高側・十勝側双方の地域住民にとって、日高山脈を中心とした新国立公園の素晴らしい風景がより身近になり、その価値を改めて認識する機会となり、かけがえのない財産を次世代へ引継いでいく意識が一層高まることを期待し、新国立公園に指定される区域に関係する全13市町村長の名前が列記された上で要望のあった名称案を審議会に提示したものです。
また、指定後の国立公園の管理においては、市町村だけでなく、地域の多様な主体との協働が重要であると認識しております。今後も御理解・御協力をいただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
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令和6年4月22日
北海道自然保護連合
共同代表 安藤御史 様
菊地宏冶 様
西畑智光 様
環境省自然環境局
国立公園課
国立公園課
「3月21日付環境省回答に関わる質問」について(回答)
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年3月29日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
担当:環境省自然環境局国立公園課
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
(回答)
新しい国立公園の指定に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。多くの御質問をいただいておりますが、以下まとめて当方の考えを回答させていただきます。
新国立公園は、日高地方及び十勝地方双方の関係市町村の協力があり、国定公園の2倍以上の面積となる広大な原生地域を包含する我が国の陸域最大の国立公園となります。
国立公園の管理には、地域との協働が求められており、この広大な面積の新国立公園の自然環境を将来にわたって保全し、提供していくにあたり、関係市町村との連携は必須と考えます。
環境省としては、この度の新国立公園の指定にあたり、日高側・十勝側双方の地域住民にとって、日高山脈を中心とした新国立公園の素晴らしい風景がより身近になり、その価値を改めて認識する機会となり、かけがえのない財産を次世代へ引継いでいく意識が一層高まることを期待し、新国立公園に指定される区域に関係する全13市町村長の名前が列記された上で要望のあった名称案を審議会に提示したものです。
また、指定後の国立公園の管理においては、市町村だけでなく、地域の多様な主体との協働が重要であると認識しております。今後も御理解・御協力をいただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
2024年04月08日
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を始めました
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を始めました。締め切りは4月22日5月19日です。署名および拡散のご協力をお願いします。
オンライン署名はこちら↓から。
日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!
*紙の署名をされた方はオンライン署名はできないのでご注意ください。
なお、紙の署名の締め切りは4月12日でしたが、4月20日5月19日まで延長しています。紙の署名は以下から。
日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないよう求める署名を始めました
オンライン署名はこちら↓から。
日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!
*紙の署名をされた方はオンライン署名はできないのでご注意ください。
なお、紙の署名の締め切りは4月12日でしたが、
日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないよう求める署名を始めました
2024年03月29日
中央環境審議会自然環境部会に関する環境省の回答に対し質問書を送付
日高山脈を含む新国立公園の名称に関わり、当会は環境省に2月26日付で「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」を送付しました。環境省からは3月21日付で回答がありました。その回答を踏まえ、北海道自然保護連合の5団体は環境省に以下の質問書を送付しました。
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
十勝自然保護協会は、貴職宛に2024年2月26日付で「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」を提出しました。それに対し、3月21日付で貴省国立公園課より回答をいただきました。
国立公園は国民の財産であり、地域だけの財産ではないとの立場から、北海道内の自然保護団体5団体(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)で構成する北海道自然保護連合は回答を精査しました。また、貴省の過去の資料からも検討しました。質問を提出いたします。
年度末、年度始めのご多忙の時期と存じますが、4月22日までにご見解をいただきたく書面での回答をお願いいたします。
1 パブリックコメントに関し「名称について御意見を伺う趣旨で実施したものではありません。」との回答がありました。名称は国立公園指定・公園計画決定の案件の一つです。パブリックコメントの時点では名称未定です。しかし、名称についてはパブリックコメント前に複数の団体が貴省に要望をしてマスコミ報道にもなっていました。このような状況の中でパブリックコメントにおいて名称に関する意見があるのは当然のことであり、国民の意見として尊重すべきです。パブリックコメントを実施した結果出てきた意見も審議会で取り上げるべきではありませんか。ご説明ください。
2 貴省はパブリックコメント募集時には「名称未定」であったものを、なぜ2月22日の自然環境部会で明確な理由を示すことなく、「地域の要望」だからとして13市町村長の要望『日高山脈襟裳十勝国立公園』を名称案として出したのですか。ご説明ください。
3 「『地域の御意見を聴き』とは、本国立公園に関わる地域の市町村の御意見をお聴きすることを想定していました。」、「これまでの国立公園に係る指定においても、個別の要望を審議会に提出することは実施しておりません。」、「弊省としては、『日高山脈襟裳十勝国立公園』を地域から提案のあった名称案として審議会に提示しました。」との回答があります。回答によれば「地域の意見」というのは関係市町村の首長の意見だけであり、自然保護団体、山岳団体、地域住民、日高町村議会議長会の意見は「個別の要望」として対象外であると解釈できますが、なぜ区別されるのかご説明ください。また、なぜ地域の市町村長の要望書が他の団体やパブリックコメントの意見より「重い」のかご説明ください。
4 名称決定が関係自治体首長にゆだねられるのは「国立公園の指定作業において区域及び計画案については、市町村へ意見照会を行って案を取りまとめて」いることが理由ですか。ご説明ください。
5 貴省の国立公園行政は、関係自治体首長の意見だけを「地域の意見」とし、多様な意見を聴かずに排除することと理解します。このような姿勢は、公務員は国民のなかの一部の者の利益のために奉仕してはならないとする憲法15条第2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」に反します。このような姿勢を今後も続けるのですか。ご見解をうかがいます。
6 「名称を決めるルールがあるわけではない」としていますが、そもそも自然保護法に「国立公園は我が国の風景を代表するに足る傑出した自然の風景地であって環境大臣が指定するもの」とあります。これが選定の基準(ルール)です。「十勝」を入れるとすれば「十勝」とはどの範囲を指すのでしょうか。また「十勝」には「傑出した自然の風景地」がどこにあるのでしょうか。ご説明ください。
7 日高山脈という名称は定着した地理的固有名詞です。日高山脈の領域は、地理的・行政的に日高(振興局)と十勝(総合振興局)にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝は内包しています。したがって、「十勝」を入れることは、屋上屋を架すこととなり、論理的におかしいことになります。ご見解をうかがいます。
8 周辺13市町村長会から提出されている要望書には、唯一の理由として、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」とありますが、日高山脈という名称は、小中学生の地図帳にも明確にその位置が記載されており、このようなあまりにも平易な理由で名称を決めることは貴省としては構わないのですか。また、観光客にとっては公園の範囲が分かりにくくなり、むしろ混乱を引き起こすものと考えますが、貴省としては問題を感じませんか。ご見解をうかがいます。
9 日高山脈周辺の国立公園化の価値はその「原生的環境」にあることは貴省の文書のいたるところに記載されています。「農業王国・食糧基地・広大な平野」というイメージの強い「十勝」を加えることによって、原生的環境を特色とする公園計画の本質が極めてあいまいになると考えられます。ご見解をうかがいます。
10 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には「十勝平野から眺める(日高山脈の)山並みは雄大」との一文があります。しかし、西方に日高山脈の山並みが見える十勝平野中央部からも、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、然別火山群、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みも見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。また、東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町で、市街地には雌阿寒岳・阿寒富士が美しく見える丘があります。この二つの山は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは貴省としてはどのようにお考えですか。ご見解をうかがいます。
11 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には、「こうした特色(雄大な眺望)を活かしたアドベンチャートラベルや周遊観光など、国立公園の魅力向上が期待されるものであり、国立公園区域外の利用拠点等とも連携した新たなツアーの造成やPR 活動に取り組んでまいります。」ともあります。このような事業・活用は全国の国立公園周辺ではごく普通に行われているものです。ツアーの企画やPRなどにあたって名称に「十勝」を入れることが必要なのでしょうか。ご見解をうかがいます。
12 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には、「6市町村として国立公園の指定を機に自然をしっかりと守りさらに価値を高めていきたい」こと、具体的には「希少動植物の保護マナー啓発、ヒグマ対策、遭難防止対策、登山道の草刈りや避難小屋の手入れ、簡易トイレの設置や登山道の整備などに取り組んでいくこと、また国立公園区域外の利用拠点等とも連携したツアー造成やPR活動等に取り組んでいくこと」が強調されていますが、これらのことは名称に「十勝」を入れることと関係あるのでしょうか。ご見解をうかがいます。
13 「今後、関係市町村が積極的に関わってもらうから」、「誇りを持ってもらうため」などという理由もあると聞いています。「十勝側に円満に祝福していただく国立公園になってほしい」という激励の声がありますが、このようなことも「十勝」を入れる理由になるのですか。ご見解をうかがいます。
14 国立公園として保全すべき地域以外の地名を国立公園周辺市町村の要望により入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものと考えます。そのような前例を作ると、今後国立公園周辺の市町村から同様の要望が出てくると認めざるを得なくなるのではないでしょうか。悪しき前例を作ることになります。ご見解をうかがいます。
******************************
2024年3月29日
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
北海道自然保護連合 共同代表 安藤御史 菊地宏冶 西畑智光
構成団体
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
十勝自然保護協会 共同代表 安藤御史 佐藤与志松
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
構成団体
大雪と石狩の自然を守る会 代表 寺島一男
十勝自然保護協会 共同代表 安藤御史 佐藤与志松
南北海道自然保護協会 理事長 藤島 斉
ユウパリコザクラの会 代表 藤井純一
一般社団法人北海道自然保護協会 会長 在田一則
3月21日付環境省回答に関わる質問
十勝自然保護協会は、貴職宛に2024年2月26日付で「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」を提出しました。それに対し、3月21日付で貴省国立公園課より回答をいただきました。
国立公園は国民の財産であり、地域だけの財産ではないとの立場から、北海道内の自然保護団体5団体(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)で構成する北海道自然保護連合は回答を精査しました。また、貴省の過去の資料からも検討しました。質問を提出いたします。
年度末、年度始めのご多忙の時期と存じますが、4月22日までにご見解をいただきたく書面での回答をお願いいたします。
記
1 パブリックコメントに関し「名称について御意見を伺う趣旨で実施したものではありません。」との回答がありました。名称は国立公園指定・公園計画決定の案件の一つです。パブリックコメントの時点では名称未定です。しかし、名称についてはパブリックコメント前に複数の団体が貴省に要望をしてマスコミ報道にもなっていました。このような状況の中でパブリックコメントにおいて名称に関する意見があるのは当然のことであり、国民の意見として尊重すべきです。パブリックコメントを実施した結果出てきた意見も審議会で取り上げるべきではありませんか。ご説明ください。
2 貴省はパブリックコメント募集時には「名称未定」であったものを、なぜ2月22日の自然環境部会で明確な理由を示すことなく、「地域の要望」だからとして13市町村長の要望『日高山脈襟裳十勝国立公園』を名称案として出したのですか。ご説明ください。
3 「『地域の御意見を聴き』とは、本国立公園に関わる地域の市町村の御意見をお聴きすることを想定していました。」、「これまでの国立公園に係る指定においても、個別の要望を審議会に提出することは実施しておりません。」、「弊省としては、『日高山脈襟裳十勝国立公園』を地域から提案のあった名称案として審議会に提示しました。」との回答があります。回答によれば「地域の意見」というのは関係市町村の首長の意見だけであり、自然保護団体、山岳団体、地域住民、日高町村議会議長会の意見は「個別の要望」として対象外であると解釈できますが、なぜ区別されるのかご説明ください。また、なぜ地域の市町村長の要望書が他の団体やパブリックコメントの意見より「重い」のかご説明ください。
4 名称決定が関係自治体首長にゆだねられるのは「国立公園の指定作業において区域及び計画案については、市町村へ意見照会を行って案を取りまとめて」いることが理由ですか。ご説明ください。
5 貴省の国立公園行政は、関係自治体首長の意見だけを「地域の意見」とし、多様な意見を聴かずに排除することと理解します。このような姿勢は、公務員は国民のなかの一部の者の利益のために奉仕してはならないとする憲法15条第2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」に反します。このような姿勢を今後も続けるのですか。ご見解をうかがいます。
6 「名称を決めるルールがあるわけではない」としていますが、そもそも自然保護法に「国立公園は我が国の風景を代表するに足る傑出した自然の風景地であって環境大臣が指定するもの」とあります。これが選定の基準(ルール)です。「十勝」を入れるとすれば「十勝」とはどの範囲を指すのでしょうか。また「十勝」には「傑出した自然の風景地」がどこにあるのでしょうか。ご説明ください。
7 日高山脈という名称は定着した地理的固有名詞です。日高山脈の領域は、地理的・行政的に日高(振興局)と十勝(総合振興局)にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝は内包しています。したがって、「十勝」を入れることは、屋上屋を架すこととなり、論理的におかしいことになります。ご見解をうかがいます。
8 周辺13市町村長会から提出されている要望書には、唯一の理由として、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」とありますが、日高山脈という名称は、小中学生の地図帳にも明確にその位置が記載されており、このようなあまりにも平易な理由で名称を決めることは貴省としては構わないのですか。また、観光客にとっては公園の範囲が分かりにくくなり、むしろ混乱を引き起こすものと考えますが、貴省としては問題を感じませんか。ご見解をうかがいます。
9 日高山脈周辺の国立公園化の価値はその「原生的環境」にあることは貴省の文書のいたるところに記載されています。「農業王国・食糧基地・広大な平野」というイメージの強い「十勝」を加えることによって、原生的環境を特色とする公園計画の本質が極めてあいまいになると考えられます。ご見解をうかがいます。
10 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には「十勝平野から眺める(日高山脈の)山並みは雄大」との一文があります。しかし、西方に日高山脈の山並みが見える十勝平野中央部からも、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、然別火山群、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みも見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。また、東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町で、市街地には雌阿寒岳・阿寒富士が美しく見える丘があります。この二つの山は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは貴省としてはどのようにお考えですか。ご見解をうかがいます。
11 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には、「こうした特色(雄大な眺望)を活かしたアドベンチャートラベルや周遊観光など、国立公園の魅力向上が期待されるものであり、国立公園区域外の利用拠点等とも連携した新たなツアーの造成やPR 活動に取り組んでまいります。」ともあります。このような事業・活用は全国の国立公園周辺ではごく普通に行われているものです。ツアーの企画やPRなどにあたって名称に「十勝」を入れることが必要なのでしょうか。ご見解をうかがいます。
12 十勝の関係6市町村長から提出されている「要望趣旨書」には、「6市町村として国立公園の指定を機に自然をしっかりと守りさらに価値を高めていきたい」こと、具体的には「希少動植物の保護マナー啓発、ヒグマ対策、遭難防止対策、登山道の草刈りや避難小屋の手入れ、簡易トイレの設置や登山道の整備などに取り組んでいくこと、また国立公園区域外の利用拠点等とも連携したツアー造成やPR活動等に取り組んでいくこと」が強調されていますが、これらのことは名称に「十勝」を入れることと関係あるのでしょうか。ご見解をうかがいます。
13 「今後、関係市町村が積極的に関わってもらうから」、「誇りを持ってもらうため」などという理由もあると聞いています。「十勝側に円満に祝福していただく国立公園になってほしい」という激励の声がありますが、このようなことも「十勝」を入れる理由になるのですか。ご見解をうかがいます。
14 国立公園として保全すべき地域以外の地名を国立公園周辺市町村の要望により入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものと考えます。そのような前例を作ると、今後国立公園周辺の市町村から同様の要望が出てくると認めざるを得なくなるのではないでしょうか。悪しき前例を作ることになります。ご見解をうかがいます。
以上
2024年03月22日
「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」への環境省からの回答
2月26日付の「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」に対し、環境省から回答がありました。
環境省にとって、「地域の意見」とは「関係する自治体の首長の意見」であり、地域住民、自然保護団体、山岳団体、日高町村議会議長会の意見は「地域の意見」とはみなさないという認識のようです。
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤与志松 様
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年2月26日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。
(回答)令和6年2月16日(金)21時です。
2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。
(回答)「地域の御意見を聴き」とは、本国立公園に関わる地域の市町村の御意見をお聴きすることを想定していました。
3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。
(回答)パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。行政手続法に基づくパブリック・コメントでは、命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すもの)に対して意見を提出できます。
一方、今回のパブリックコメントは「命令等」に該当しないため、行政手続法に基づくものではなく、各行政機関の任意により実施したものです。国立公園の指定後の管理にあたっては、国民の財産権の行使に一部制限がかかることになるため、国立公園の指定・公園計画の決定及び国定公園の指定の解除・公園計画の廃止について広く一般から意見を募っているものです。名称について御意見を伺う趣旨で実施したものではありません。
4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。
(回答)これまでの国立公園に係る指定においても、個別の要望を審議会に提出することは実施しておりません。御理解いただけますと幸いです。
5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。
(回答)審議会の開催にあたり、全ての関係市町村長へお声がけし、当日出席いただいた2名の方から参加の希望があったものです。国立公園の指定作業において区域及び計画案については、市町村へ意見照会を行って案を取りまとめており、自治体の首長は市町村の代表であると考えております。
6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。
(回答)4、5の回答のとおりです。
7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。
(回答)弊省としては、「日高山脈襟裳十勝国立公園」を地域から提案のあった名称案として審議会に提示しました。2月22日の審議会では御指摘をいただきましたので、次回の自然環境部会で名称案の理由について、補足して御説明いたします。
8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。
(回答)国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。過去の例では、国立公園区域の指定案や計画案とあわせ、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてきました。2月22日の審議会においても、議論を制限したわけではありません。
9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。
(回答)指定に向けた準備を指しています。
10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。
(回答)2月22日の審議会については、国立公園に関係する市町村長へオブザーバーとしての参加についてお声がけしたもので、その他関係者や団体にはご案内を差し上げてはおりません。この点部会長の発言の後に事務局から説明をさせていただいたところです。特定の団体の関わりを排除したわけではありません。
環境省にとって、「地域の意見」とは「関係する自治体の首長の意見」であり、地域住民、自然保護団体、山岳団体、日高町村議会議長会の意見は「地域の意見」とはみなさないという認識のようです。
******************************
令和6年3月21日
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤与志松 様
環境省自然環境局
国立公園課
国立公園課
「中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望」
について(回答)
について(回答)
平素より、自然環境行政に御理解と御協力を賜り、御礼申し上げます。
令和6年2月26日付けで送付のあった表題の件につきまして、下記のとおり回答いたします。
御確認の程、よろしくお願いいたします。
担当:環境省自然環境局国立公園課
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
電話:03-5521-8279
Email:shizen-kouen@env.go.jp
1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。
(回答)令和6年2月16日(金)21時です。
2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。
(回答)「地域の御意見を聴き」とは、本国立公園に関わる地域の市町村の御意見をお聴きすることを想定していました。
3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。
(回答)パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。行政手続法に基づくパブリック・コメントでは、命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すもの)に対して意見を提出できます。
一方、今回のパブリックコメントは「命令等」に該当しないため、行政手続法に基づくものではなく、各行政機関の任意により実施したものです。国立公園の指定後の管理にあたっては、国民の財産権の行使に一部制限がかかることになるため、国立公園の指定・公園計画の決定及び国定公園の指定の解除・公園計画の廃止について広く一般から意見を募っているものです。名称について御意見を伺う趣旨で実施したものではありません。
4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。
(回答)これまでの国立公園に係る指定においても、個別の要望を審議会に提出することは実施しておりません。御理解いただけますと幸いです。
5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。
(回答)審議会の開催にあたり、全ての関係市町村長へお声がけし、当日出席いただいた2名の方から参加の希望があったものです。国立公園の指定作業において区域及び計画案については、市町村へ意見照会を行って案を取りまとめており、自治体の首長は市町村の代表であると考えております。
6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。
(回答)4、5の回答のとおりです。
7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。
(回答)弊省としては、「日高山脈襟裳十勝国立公園」を地域から提案のあった名称案として審議会に提示しました。2月22日の審議会では御指摘をいただきましたので、次回の自然環境部会で名称案の理由について、補足して御説明いたします。
8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。
(回答)国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。過去の例では、国立公園区域の指定案や計画案とあわせ、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてきました。2月22日の審議会においても、議論を制限したわけではありません。
9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。
(回答)指定に向けた準備を指しています。
10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。
(回答)2月22日の審議会については、国立公園に関係する市町村長へオブザーバーとしての参加についてお声がけしたもので、その他関係者や団体にはご案内を差し上げてはおりません。この点部会長の発言の後に事務局から説明をさせていただいたところです。特定の団体の関わりを排除したわけではありません。
以上
2024年03月18日
日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないよう求める署名を始めました
北海道自然保護連合に加盟の5団体(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)は、環境大臣宛てに、日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないことを求める署名活動を始めました。
以下に署名の趣旨(署名用紙の前文)とその理由について掲載します。賛同いただける方のご協力をお願いいたします。締め切りは2024年4月12日です。4月20日5月19日に延長しました。
署名用紙の入手は、右側のサイドバーの「オーナーへメッセージ」から、住所、氏名、枚数をお知らせください。署名用紙一枚に5筆記入できます(5筆に満たなくても構いません)。メール添付をご希望の方はその旨をお知らせください。
*署名用紙はこちらからダウンロードできます。
環境大臣宛、日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないことを求める署名活動
環境大臣 伊藤信太郎 様
日高山脈を含む新国立公園の名称には「十勝」を入れないでください
日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴い、2月22日の中央環境審議会自然環境部会で「日高山脈襟裳十勝国立公園」案が多数意見として承認されました。しかし「十勝を入れる」理由が「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」ということでは国立公園の意義を損なうものです。
名称に「十勝を入れない」という声は、パブリックコメント提出意見14件のすべてにもあります。北海道内の自然保護団体・山岳団体も要望書を提出しています。また、日高地方の方々の声を反映する日高町村議会議長会も十勝を含めない旨の要望書を提出しています。
「十勝を入れない」理由には、「日高山脈は日高と十勝にまたがっており、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包し十勝を入れることは屋上屋を架す」、「日高山脈に内包されていない十勝、つまり十勝平野には海岸部を除き国立公園として保存すべき貴重な自然はない」などがあげられます。
しかし、自然環境部会にはそれら「十勝を入れない」との要望文書すら資料として提出されておらず、極めて公平性に欠けるものです。十分な資料を委員に提供し再度の審議を求めます。
この署名を環境大臣宛に提出する以外の目的に使用することはありません。
日高山脈を含む新国立公園の名称になぜ「十勝」を入れるべきでないのか
北海道自然保護連合(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)
環境省は日高山脈をどうとらえているのか
環境省は、2023年11月9日発表の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)について」の中で「1.背景」として、次のように述べています。
「北海道中央南部に位置する日高山脈は、新第三紀以降に大陸プレート同士の衝突によって生じた大起伏山地です。稜線部から山麓部にかけては自然度の高い森林や河川が存在しており、シマフクロウやクマタカ等の生態系上位種や、特異な地質や環境に対応した固有種及び希少種の生育地等となっています。海岸部には襟裳岬等の発達した海食崖や海成段丘が見られ、浅海域から高山帯に至る生態系が流域単位で健全な状態で存在しているなど、多様で良好な自然環境を擁しています。
日高山脈の稜線部には北海道で唯一の典型的な氷食地形が分布しており、カール(圏谷)などのダイナミックな地形と高山植物や雪氷とが織りなす山岳景観は、当該地域における景観要素の核心です。(中略)
このように、本公園は地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な森林生態系及び我が国最大の原生流域面積を持つ河川を軸として、これらが海域まで一体的につながる景観を有する、我が国を代表する傑出した自然の風景地であることから、国立公園として新たに指定するものです。(後略)」
まさに、これが日高山脈の国立公園化の意義のすべてを述べています。原生的自然が現国定公園よりも大きく拡大し日本最大になり、また、飛び地状態だった襟裳岬周辺、アポイ岳周辺と一体化しました。この説明自体から新国立公園の名称は「日高山脈国立公園」が最適であるといっていいでしょう。
名称に「十勝」を入れるべきではない理由
2024年1月のパブリックコメント結果公表以降、2月になってから、名称を「日高山脈襟裳十勝国立公園」とし、「十勝」を入れるべきとする要望が周辺13市町村首長から提出されています。以下にその非合理性を指摘し、論理的にも、常識的にも、また国立公園における行政的視点からも新たな国立公園の名称は「日高山脈国立公園」が最適である理由を述べます。
1 日高山脈という名称は定着した地理的固有名詞です。日高山脈の領域は、地理的・行政的に日高(振興局)と十勝(総合振興局)にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝は内包しています。したがって、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなり、論理的におかしいことになります。
2 日高山脈という名称は、小中学生の地図帳にも明確に記載されております。したがって、周辺市町村長会の要望理由のように、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」必要もありません。
3 「日高山脈」と「十勝」を並置するならば、日高山脈に内包されていない十勝、つまり日高山脈に近接する十勝平野には国立公園として保存すべき貴重な自然がある必要があります。しかし、私たちは十勝平野には、湿地・湖沼群を有する海岸部を除き、そのような貴重な自然はないと考えます。十勝平野は、広大で整然とした畑作・酪農を中心とする日本の代表的穀倉地帯であり、本来の意味での自然はほとんど残っていません。したがって、国立公園の名称にはふさわしくありません。むしろ「農業王国・食糧基地・広大な平野」というイメージの強い「十勝」を加えることによって、上記の原生的環境を特色とする公園計画の本質が極めてあいまいになります。国内の国立公園の名称には2つあるいは3つの地域名が並置されているものがありますが、それは、それらの地域が飛び地になっており、またそれぞれの地域に国立公園として保存されるべき貴重な自然があるためと考えられます。
4 「十勝平野から眺める山並みは雄大」です。しかし、西方に日高山脈の山並みが見える十勝平野中央部からも、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、然別火山群、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みも見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町で、市街地には雌阿寒岳・阿寒富士が美しく見える丘があります。この二つの山は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異と言ってもよいでしょう。
5 本来国立公園として保全すべき地域以外の地名を国立公園周辺市町村の要望によりその地域名を入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものです。そのような前例を作ると、今後国立公園周辺の市町村から同様の要望が出てくると認めざるを得なくなるのではないでしょうか。悪しき前例を作ることになります。
6 今回のパブリックコメント意見募集の結果によると、提出された意見は127通、その中で名称に関する意見は14件ありますが、そこには襟裳を入れて欲しいとする意見は2〜3通あるようですが、十勝を入れて欲しいとする意見はありませんでした。十分に尊重すべきです。
「襟裳」はどうする
新しい国立公園の範囲は、公園計画では「日高山脈一帯、アポイ岳周辺、豊似湖周辺、襟裳岬やその周辺海域等」です。ここには「襟裳岬やその周辺海域等」が含まれていますが、地理的表現では一般に日高山脈は襟裳岬で太平洋に没していると言われているように、日高山脈の地理的範囲は、北の佐幌岳付近から南の襟裳岬まで約150kmです。公園の範囲になる日勝峠から襟裳岬まで日高山脈そのものです。
今回は、指定地域の大幅な拡大により飛び地問題は解消され、文字どおり日勝峠から襟裳岬に至る日高山脈そのものになりました。「襟裳」は「日高山脈」に内包されており、「日高山脈襟裳国立公園」とする必要はないと考えます。
なお、襟裳岬と周辺海域を今後は「海域公園」(海中・海上を含む海域の景観や生物多様性を保全するため国立・国定公園内に指定される保護区)として設定が想定されるかもしれないとの観点から残しても良いという見解もあります。
自然環境部会で審議のやり直しを!
2月22日の中央環境審議会自然環境部会で「日高山脈襟裳十勝国立公園」案が多数の意見として承認されました。部会には自然保護団体・山岳団体や日高町村議会議長会の要望書など「十勝を入れない」との文書すら資料として提出されませんでした。「十勝を入れる」理由が「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」ということでは国立公園の意義を損なうものです。
私たちは、部会の進行が極めて公平性に欠けるため、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで再度審議するべきことを求めます。
以下に署名の趣旨(署名用紙の前文)とその理由について掲載します。賛同いただける方のご協力をお願いいたします。締め切りは2024年
署名用紙の入手は、右側のサイドバーの「オーナーへメッセージ」から、住所、氏名、枚数をお知らせください。署名用紙一枚に5筆記入できます(5筆に満たなくても構いません)。メール添付をご希望の方はその旨をお知らせください。
*署名用紙はこちらからダウンロードできます。
環境大臣宛、日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れないことを求める署名活動
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環境大臣 伊藤信太郎 様
日高山脈を含む新国立公園の名称には「十勝」を入れないでください
日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴い、2月22日の中央環境審議会自然環境部会で「日高山脈襟裳十勝国立公園」案が多数意見として承認されました。しかし「十勝を入れる」理由が「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」ということでは国立公園の意義を損なうものです。
名称に「十勝を入れない」という声は、パブリックコメント提出意見14件のすべてにもあります。北海道内の自然保護団体・山岳団体も要望書を提出しています。また、日高地方の方々の声を反映する日高町村議会議長会も十勝を含めない旨の要望書を提出しています。
「十勝を入れない」理由には、「日高山脈は日高と十勝にまたがっており、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包し十勝を入れることは屋上屋を架す」、「日高山脈に内包されていない十勝、つまり十勝平野には海岸部を除き国立公園として保存すべき貴重な自然はない」などがあげられます。
しかし、自然環境部会にはそれら「十勝を入れない」との要望文書すら資料として提出されておらず、極めて公平性に欠けるものです。十分な資料を委員に提供し再度の審議を求めます。
この署名を環境大臣宛に提出する以外の目的に使用することはありません。
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日高山脈を含む新国立公園の名称になぜ「十勝」を入れるべきでないのか
北海道自然保護連合(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)
環境省は日高山脈をどうとらえているのか
環境省は、2023年11月9日発表の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)について」の中で「1.背景」として、次のように述べています。
「北海道中央南部に位置する日高山脈は、新第三紀以降に大陸プレート同士の衝突によって生じた大起伏山地です。稜線部から山麓部にかけては自然度の高い森林や河川が存在しており、シマフクロウやクマタカ等の生態系上位種や、特異な地質や環境に対応した固有種及び希少種の生育地等となっています。海岸部には襟裳岬等の発達した海食崖や海成段丘が見られ、浅海域から高山帯に至る生態系が流域単位で健全な状態で存在しているなど、多様で良好な自然環境を擁しています。
日高山脈の稜線部には北海道で唯一の典型的な氷食地形が分布しており、カール(圏谷)などのダイナミックな地形と高山植物や雪氷とが織りなす山岳景観は、当該地域における景観要素の核心です。(中略)
このように、本公園は地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な森林生態系及び我が国最大の原生流域面積を持つ河川を軸として、これらが海域まで一体的につながる景観を有する、我が国を代表する傑出した自然の風景地であることから、国立公園として新たに指定するものです。(後略)」
まさに、これが日高山脈の国立公園化の意義のすべてを述べています。原生的自然が現国定公園よりも大きく拡大し日本最大になり、また、飛び地状態だった襟裳岬周辺、アポイ岳周辺と一体化しました。この説明自体から新国立公園の名称は「日高山脈国立公園」が最適であるといっていいでしょう。
名称に「十勝」を入れるべきではない理由
2024年1月のパブリックコメント結果公表以降、2月になってから、名称を「日高山脈襟裳十勝国立公園」とし、「十勝」を入れるべきとする要望が周辺13市町村首長から提出されています。以下にその非合理性を指摘し、論理的にも、常識的にも、また国立公園における行政的視点からも新たな国立公園の名称は「日高山脈国立公園」が最適である理由を述べます。
1 日高山脈という名称は定着した地理的固有名詞です。日高山脈の領域は、地理的・行政的に日高(振興局)と十勝(総合振興局)にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝は内包しています。したがって、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなり、論理的におかしいことになります。
2 日高山脈という名称は、小中学生の地図帳にも明確に記載されております。したがって、周辺市町村長会の要望理由のように、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」必要もありません。
3 「日高山脈」と「十勝」を並置するならば、日高山脈に内包されていない十勝、つまり日高山脈に近接する十勝平野には国立公園として保存すべき貴重な自然がある必要があります。しかし、私たちは十勝平野には、湿地・湖沼群を有する海岸部を除き、そのような貴重な自然はないと考えます。十勝平野は、広大で整然とした畑作・酪農を中心とする日本の代表的穀倉地帯であり、本来の意味での自然はほとんど残っていません。したがって、国立公園の名称にはふさわしくありません。むしろ「農業王国・食糧基地・広大な平野」というイメージの強い「十勝」を加えることによって、上記の原生的環境を特色とする公園計画の本質が極めてあいまいになります。国内の国立公園の名称には2つあるいは3つの地域名が並置されているものがありますが、それは、それらの地域が飛び地になっており、またそれぞれの地域に国立公園として保存されるべき貴重な自然があるためと考えられます。
4 「十勝平野から眺める山並みは雄大」です。しかし、西方に日高山脈の山並みが見える十勝平野中央部からも、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、然別火山群、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みも見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町で、市街地には雌阿寒岳・阿寒富士が美しく見える丘があります。この二つの山は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異と言ってもよいでしょう。
5 本来国立公園として保全すべき地域以外の地名を国立公園周辺市町村の要望によりその地域名を入れることは、環境省が本来行うべき環境・自然保護行政を歪曲するものです。そのような前例を作ると、今後国立公園周辺の市町村から同様の要望が出てくると認めざるを得なくなるのではないでしょうか。悪しき前例を作ることになります。
6 今回のパブリックコメント意見募集の結果によると、提出された意見は127通、その中で名称に関する意見は14件ありますが、そこには襟裳を入れて欲しいとする意見は2〜3通あるようですが、十勝を入れて欲しいとする意見はありませんでした。十分に尊重すべきです。
「襟裳」はどうする
新しい国立公園の範囲は、公園計画では「日高山脈一帯、アポイ岳周辺、豊似湖周辺、襟裳岬やその周辺海域等」です。ここには「襟裳岬やその周辺海域等」が含まれていますが、地理的表現では一般に日高山脈は襟裳岬で太平洋に没していると言われているように、日高山脈の地理的範囲は、北の佐幌岳付近から南の襟裳岬まで約150kmです。公園の範囲になる日勝峠から襟裳岬まで日高山脈そのものです。
今回は、指定地域の大幅な拡大により飛び地問題は解消され、文字どおり日勝峠から襟裳岬に至る日高山脈そのものになりました。「襟裳」は「日高山脈」に内包されており、「日高山脈襟裳国立公園」とする必要はないと考えます。
なお、襟裳岬と周辺海域を今後は「海域公園」(海中・海上を含む海域の景観や生物多様性を保全するため国立・国定公園内に指定される保護区)として設定が想定されるかもしれないとの観点から残しても良いという見解もあります。
自然環境部会で審議のやり直しを!
2月22日の中央環境審議会自然環境部会で「日高山脈襟裳十勝国立公園」案が多数の意見として承認されました。部会には自然保護団体・山岳団体や日高町村議会議長会の要望書など「十勝を入れない」との文書すら資料として提出されませんでした。「十勝を入れる」理由が「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」ということでは国立公園の意義を損なうものです。
私たちは、部会の進行が極めて公平性に欠けるため、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで再度審議するべきことを求めます。
2024年02月29日
日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴う名称について環境省に質問および要望書を送付
「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に伴う新しい名称について、環境省の中央環境審議会自然環境部会は「日高山脈襟裳十勝国立公園」とする方針を了承しました。しかし、この審議は著しく公平さを欠いたものであったため、環境省自然環境局に以下の質問および要望書を送付しました。
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
2月22日、中央環境審議会自然環境部会(第48回)が開催されました。公開でしたが傍聴は直接できず、指定されたサイトから視聴しました。「議題(3)日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の指定等について【報告】」に関し、とくに名称の審議については、長年にわたり使用される重要な案件にもかかわらず、事務方の説明と2人の首長の発言を含んで40分ほどの短い審議時間のうえ、関係市町村の要望書のみが資料として配布され、その要望に沿った審議に誘導するなど公平な進行とはとても言い難いものでした。当会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで委員全員の参加のもとに再度の審議をすべきことを要望いたします。また、多数の問題点について、以下に質問いたします。
年度末で大変ご多忙と存じますが、3月14日までに回答いただくようお願いいたします。
1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。
2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。
3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。
4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。
5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。
6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。
7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。
8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。
9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。
10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。
以上のように著しく公平さを欠いた進行と、道理ある説明もないまま意味不明な「十勝」の名称を入れることを誘導した環境省の責任は重大です。自然環境部会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで、再度審議することを要望いたします。
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2024年2月26日
環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
国立公園課長 番匠 克二 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望
2月22日、中央環境審議会自然環境部会(第48回)が開催されました。公開でしたが傍聴は直接できず、指定されたサイトから視聴しました。「議題(3)日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の指定等について【報告】」に関し、とくに名称の審議については、長年にわたり使用される重要な案件にもかかわらず、事務方の説明と2人の首長の発言を含んで40分ほどの短い審議時間のうえ、関係市町村の要望書のみが資料として配布され、その要望に沿った審議に誘導するなど公平な進行とはとても言い難いものでした。当会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで委員全員の参加のもとに再度の審議をすべきことを要望いたします。また、多数の問題点について、以下に質問いたします。
年度末で大変ご多忙と存じますが、3月14日までに回答いただくようお願いいたします。
1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。
2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。
3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。
4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。
5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。
6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。
7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。
8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。
9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。
10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。
以上のように著しく公平さを欠いた進行と、道理ある説明もないまま意味不明な「十勝」の名称を入れることを誘導した環境省の責任は重大です。自然環境部会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで、再度審議することを要望いたします。