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2024年02月29日

日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴う名称について環境省に質問および要望書を送付

 「日高山脈襟裳国定公園」の国立公園化に伴う新しい名称について、環境省の中央環境審議会自然環境部会は「日高山脈襟裳十勝国立公園」とする方針を了承しました。しかし、この審議は著しく公平さを欠いたものであったため、環境省自然環境局に以下の質問および要望書を送付しました。

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2024年2月26日


環境省自然環境局長 白石 隆夫 様
   国立公園課長 番匠 克二 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


中央環境審議会自然環境部会(第48回)に関する質問と要望


 2月22日、中央環境審議会自然環境部会(第48回)が開催されました。公開でしたが傍聴は直接できず、指定されたサイトから視聴しました。「議題(3)日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の指定等について【報告】」に関し、とくに名称の審議については、長年にわたり使用される重要な案件にもかかわらず、事務方の説明と2人の首長の発言を含んで40分ほどの短い審議時間のうえ、関係市町村の要望書のみが資料として配布され、その要望に沿った審議に誘導するなど公平な進行とはとても言い難いものでした。当会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで委員全員の参加のもとに再度の審議をすべきことを要望いたします。また、多数の問題点について、以下に質問いたします。
 年度末で大変ご多忙と存じますが、3月14日までに回答いただくようお願いいたします。

1 審議には十分な資料が事前に早く届く必要があります。委員には、関係資料をいつ配信、発信したのでしょうか。日時をご教示ください。

2 パブリックコメントの結果、名称について14件の意見がありましたが、「十勝」を入れてほしいとする意見はありませんでした。これについて実施結果概要の「対応方針」は「名称については、地域の御意見を聴き、審議会において議論します。」と記載されています。「地域の御意見を聴き」とはどのようなことを言うのでしょうか。パブリックコメントは「聴き置く」だけで審議会での議論には反映させないことも含まれているのでしょうか。ご説明ください。

3 そもそも「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)」は何のために実施したのですか。ご説明ください。

4 2月14日付で十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が要望書を提出しています。また、同16日付で北海道自然保護協会と北海道勤労者山岳連盟が要望書を提出しています。部会では、資料としても配布されず、一言の経過説明もありませんでした。「様々なご意見を地域からいただいている」というのであれば、なぜ審議にかけないのでしょうか。自然保護団体、山岳団体の要望を無視した理由をご説明ください。

5 「地域の意見」とはどのように考えているのですか。地元自治体の首長2人のみがオブザーバーとして出席し、発言の機会を与えられました。地元の自然保護団体や地元住民の意見も「地域の意見」ですが、自治体の首長がなぜ「地域の代表」なのですか。

6 自治体の議長もまた住民の代表です。日高町村議会議長会の要望書については経過説明として一言触れただけで資料として配布されなかったのはなぜですか。その理由を明らかにしてください。

7 審議の冒頭、「地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。」と説明があり、関係13市町村の要望がそのまま「原案」となって審議が進んでいます。審議というものにかける以上、これは環境省が責任をもって提案する「環境省案」であるべきです。関係13市町村の要望書には理由として「観光客や利用者に地理的な位置をわかりやすくするため」とあります。環境省としてはこれが「十勝を入れる」理由として成り立つとお考えでしょうか。部会長は議論の締め括りに「名称の中に十勝を入れるということの意義について、あるいはその具体的な中身についてはもうちょっと説明が必要だ、ということのご意見をたくさんいただきました。」と発言されたように、「案」としては不適切だったことを意味します。なぜ環境省として責任を持った案を出さなかったのか、ご説明ください。

8 当会が2月14日に北海道地方環境事務所長に要望書を手交した際、所長は「名称を決めるに当たってルールはない」と明言しました。部会でも名称についての審議の冒頭に「国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。」としながら「国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。」と過去の手続きを踏襲する説明がありました。規則はなくても従来からの手順があるということを強調し、審議が進み「3案について多数決を取る」流れになった時には、「地域の意見と審議会の意見が万一ずれた時には、決め方というのはちょっと簡単にはいかないかな、というふうに思っております。」と審議に牽制をかけています。これは委員の自由な討論を制限するもので審議会にふさわしいと思えません。「地域の意見」であればどのような内容であってもそれに合わせていくような審議を部会に望んでいるのでしょうか。

9 局長発言に「初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から大変口はばったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、とりあえずは作業を始めさせていただけないか、というのが我々事務方としての思いでございます。まだ今日は決める場ではございませんけれども、決める場は正式に夏、春に決めますけれども、看板の準備とかがありますので、そういうことも含めて作業には入らせていただけないかな」とあり、初夏には発足させたい、そのための作業を進めるために今決めてくれ、という姿勢を強く表明しています。「作業」として「看板の準備とか」とありますが、どのようなことなのかご説明ください。

10 地元自治体の首長が2人オブザーバーとして出席したことに関し、一委員から「じゃあ反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。」との質問に部会長は「それはご要望がなかったからだと思いますけど」と答えています。まったく事実に反することです。当会はこのようなことがあることは直前になって知ったことで、「要望」などはあずかり知らぬことです。そもそも、上記要望書の件も含め、公園計画策定に関わって自然保護団体には一切意見聴取もなく、自然保護団体のほうから出向いて意見を述べるしかありませんでした。このことは指定後に発足するであろう総合型協議会の構成に偏りが出るのではないかと危惧するものです。なぜ自然保護団体の関わりを排除するのか、ご説明ください。

 以上のように著しく公平さを欠いた進行と、道理ある説明もないまま意味不明な「十勝」の名称を入れることを誘導した環境省の責任は重大です。自然環境部会は、十分な時間の確保と適切な資料を委員に提供したうえで、再度審議することを要望いたします。



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Posted by 十勝自然保護協会 at 20:09│Comments(0)日高山脈
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