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十勝自然保護協会 活動速報 › モアショロ原野螺湾足寄停車場線

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2025年01月30日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線について北海道からの回答

 北海道自然保護連合が2024年12月22日付で北海道に送付した要望書に対し、以下の回答がありました。

*************************


道  路  第  4 6 1  号
令和7年(2025年)1月 27日


北海道自然保護連合
 共同代表 安藤 御史 様
      菊地 宏治 様
      西畑 智光 様

北海道知事 鈴木 直道
(公印省略)


道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画に関する要望(回答)


 平素より、北海道の建設行政について、ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 2024年 12月 2 2日付けで要望のありましたこのことについて、次のとおり回答します。



1 当該道路は「雌阿寒岳火山防災計画」において避難道路に位置付けられていますが、現道は砂利道で幅員が狭く、急カーブ、急勾配の箇所が多数存在するなどの課題を抱えています。避難体制については、今後も雌阿寒岳火山防災協議会にて関係機関と必要な協議を行ってまいりますが、火山活動は一足飛びに急速に高まることもあり、噴火警戒レベルが順を追って一段ずつ上昇するとは限らないため、円滑な避難のためには、当該道路の整備が必要と考えています。

2 当該道路の整備計画については、環境省と協議してまいります。

3 当該道路の整備にあたっては、環境への配慮が必要であることから、引き続き動植物の専門家などで構成するワークショップにおいて意見を伺いながら、周辺自然環境への影響や必要となる保全措置などについて検討を進めてまいりますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。

(連絡先 建設部土木局道路課道路計画係)

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 15:52Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2025年01月29日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線について環境省からの回答

 北海道自然保護連合が2024年11月27日付で環境省に送付した要望書に対し、以下の回答がありました。

*************************


事  務  連  絡
令和7年1月22日


北海道自然保護連合 御中

釧路自然環境事務所


 平素より、自然環境行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。2024年11月24日付け「阿寒摩周国立公園内道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の事業変更に関する要望について」に対し、下記のとおり回答します。



1及び2について
 現時点で公園事業執行者である北海道から当該路線に関する自然公園法の協議がなされていないため、見解を述べることは差し控えさせていただきます。公園事業者から当該路線に関する申請があった場合は、自然公園法の規定に即して協議を行う所存です。

3について
 道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線は雌阿寒岳火山防災会議協議会が策定している雌阿寒岳火山防災計画において避難道路として位置付けられており、具体的な避難体制については、今後も当該協議会において検討されるものと認識しています。

以上

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 15:58Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2025年01月06日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画について北海道に要望書を送付


 北海道自然保護連合は、北海道知事に道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望書を提出しました。

*************************

2024年12月22日


北海道知事 鈴木 直道 様

北海道自然保護連合 共同代表 安藤御史 菊地宏治 西畑智光

        構成団体
大雪と石狩の自然を守る会      代表 寺島一男
十勝自然保護協会  共同代表 安藤御史 佐藤与志松
南北海道自然保護協会        理事長 藤島 斉
ユウパリコザクラの会        代表 藤井純一
一般社団法人北海道自然保護協会   会長 在田一則



道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画に関する要望 


 現在、北海道が進めている道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画について、私たち北海道自然保護連合(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)は、当該事業計画がわが国の傑出した景観と生物多様性等を保全する重要な拠点である阿寒摩周国立公園を含む国有林の自然環境に大きな影響を与える恐れがあることから反対しています。雌阿寒岳・阿寒富士西麓一帯の当該地域の優れた自然を保全し後世に残すために、当該事業計画の見直しを強く要望いたします。
 年末年始のご多忙の時期と存じますが、以下の私たちの要望・意見について、ご検討いただき、貴職のご見解を1月24日までに書面にてご回答を下さるようお願いいたします。

1 雌阿寒岳が2014年に重点的な観測・研究を行う火山に指定されたことによる充実した火山観測体制を踏まえて、当該地域における避難体制を再検討し、あわせて当該道路計画を見直すべきです。


 2014年の御嶽山噴火により、文部省科学技術・学術審議会測地学分科会地震火山部会は雌阿寒岳含む全国9か所の火山を重点的な観測・研究を行う重点火山に指定しました。それに伴い、2015(平成27)年5月、雌阿寒岳火山防災会議は「足寄町道雌阿寒オンネトー線」を噴火時の避難路として位置づけました。その後の約10年間で、24時間観測も行われるなど雌阿寒岳の観測体制は当時よりも充実してきており、避難体制は再検討されるべき段階にあります。
 北海道は以下の点を検討して、雌阿寒岳火山防災協議会(以下「協議会」)の構成員として協議会に進言すべきです。
 噴火警戒レベルは現在段階毎に定められていますが、当該地域の状況を勘案して、必要ならばレベル2(火口周辺規制)の段階で一般車両に対し、ただちに域内脱出、進入禁止を実施する検討を要望いたします。
 雌阿寒岳で大規模噴火が起きた場合、火口の位置によっては、オンネトー南側は火砕流、土石流、泥流、溶岩流の通り道になりますので、こちら側に避難路を建設するのは不適切です。これらを伴わない小規模の噴火であれば、現道による避難で十分対応できます。また、噴石等の被害軽減にはシェルターが有効なことから設置を検討すべきです。
 これらの目的・必要性・効果について総合的に考えることが重要と思われます。

2 現在、北海道が進めている道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画における阿寒摩周国立公園第2種特別地域内の計画路線は、2015年環境省中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)が有効幅員等の変更を承認した「町道雌阿寒オンネトー線」とは異なる新規路線です。

 環境省は、2015(平成27)年12月22日、中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)(以下「小委員会」)において、阿寒国立公園事業の変更について、「町道雌阿寒オンネトー線(湖岸から公園境界)の有効幅員の変更(5.5m)」を諮問し、承認されました。その後、この町道は道道に昇格し、「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の一部」となり、北海道(帯広建設管理部)が整備計画をたて、本年3月に第2種特別地域の新規開削を含む路線案(路線案候補の第5案)を確定しました。
 小委員会における事業変更の説明では、環境省は「拡幅部分は、シラカバ等の二次林であって、特に保護の必要な希少種等の生育・生息は確認されておりません」と述べておりますが、この説明は現道沿いのシラカバ等の二次林を対象としており、「現道の拡幅整備」が主眼となっています。つまり、現在帯広建設管理部が進めている計画路線とは全く異なるものです。
 計画路線は延長4.4㎞で、そのうちオンネトー南端のSp0からおよそSp1200までは、現道の南側を約1.2㎞にわたって国立公園第2種特別地域の森林を新規開削する計画です。阿寒富士からの玄武岩質溶岩流による凹凸の激しい地形を平坦な道路に造成するため、切土・盛土などで大きく改変することになっています。このため連続した広大な法面が形成され、幅30mから最大約50mの空間が大森林を切り開いて出現する計画になっています。
 この計画は、環境省が許可したものをはるかに超えています。

3 現在、北海道が進めている道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画は、地形や植生に特徴がある「風穴地帯の特異な自然生態系」を破壊し、阿寒摩周国立公園第2種特別地域の存在価値を失わせます。この計画はまた、Sp1200からSp4200までの国立公園に隣接する国有林等においても、上記と同様の特異な自然生態系を破壊します。

 路線は、計画起点から約Sp3200まで阿寒富士からの玄武岩質溶岩流上に計画されています。この溶岩流は、地形図上では緩傾斜の浅く広い溝に見えますが、実際には累積する溶岩によって凹凸の激しい地形を呈しています。とくに諸処に散在する凹地には多数の風穴が見られ、夏季でも地温が0℃に近い場所も少なくなく、地下に凍土の存在が推定できます。低温湿潤環境となる風穴周辺には、ミズゴケ属(ホソバミズゴケ、ゴレツミズゴケなど)をはじめとして、ダチョウゴケなど高山性ないし亜高山性の蘚苔類、コケモモ、イソツツジなどの高山植物が繁茂しています。
 以上の溶岩流は、凸地を含んでアカエゾマツ林に被われ、林床ではササ類を欠く代わりに多種の蘚苔類や高山・亜高山の維管束植物が生育しています。ここは、全国的に特記される生態系として「風穴地帯の特異な自然生態系」と呼ぶことができます。計画路線がこの特異な自然生態系が成立する範囲にほぼ絞られて設定されたことは、事前の自然把握と評価に不足があったと考えられますが、いずれであっても我が国の自然環境保全上大きな問題になります。そのため、この計画は、ぜひ考え直していただきたいと切望します。
 帯広建設管理部の計画路線上の植物リストによれば、本国立公園の指定植物のうち、蘚苔類2種、維管束植物82種の計84種が見られ、その中には環境省レッドリスト・北海道レッドリストに掲載された17種も含まれ、これらは保全上重要な種です。当連合も本年7月に専門家を含めて現地を視察しており、大開削によってこれらの貴重な植生が破壊され、生物多様性保全を主目的とする国立公園(第2種特別地域)の意義が損なわれることを確信しました。
 さらに、多数の切土・盛土により大きな空間が開削されることによるエッジ効果により、風穴を包含する優れた森林生態系は広範囲に大きなダメージを被ることが危惧されます。また、凍土の存在が推定される森林地帯での大開削は、かつて上士幌町十勝三股十四の沢の低標高にあった永久凍土が、林道工事(1972年)により融解し大規模な崩壊地を発生させていることから、当該地の環境に様々な影響を与えることが十分考えられます。

 なお、帯広建設管理部の環境調査について、とくに以下の問題点を指摘します。
 ・計画路線内について風穴の存在や低温環境は、すでに2016年に帯広建設管理部の調査によって明らかになっています。しかし、2020(令和2)年度第2回ワークショップでは風穴の存在を否定する認識を表明しておりますが、これはこの地域の低温環境の評価を無視するものですので、改めていただく必要があります。
 ・計画路線上の植生調査におけるコドラート設置は小サイズであり、森林環境の実態を十分に反映しておりません。実態が反映できるサイズのコドラート設置での再調査を求めます。このような調査でも、林床のコケ層はほとんどの調査地点において広い規模で確認されているように、林床全体に広がる蘚苔類をもっと重視すべきであり、環境評価を維管束植物だけの消失箇所の多少に偏らせるべきではないと考えます。

 計画路線の森林の改変面積は、帯広建設管理部の資料によれば、国立公園内が25,000㎡、国立公園外の保安林が82,000㎡、合計107,000㎡とあります。これは北海道大学植物園の敷地(133,957㎡)に近い面積の森林が一挙に失われるということです。
 森林の適切な保護はCO2吸収源となり、気候変動の緩和のためになります。北海道は、日頃から、脱炭素、また、SDGsを奨励しています。このような森林大開削はそのような精神に反します。

 本国立公園当該地域を含む計画路線について、避難路としての妥当性・原生的な自然環境の保持・生物多様性の保全・景観の維持の観点から、一度立ち止まって見直すことを強く要望いたします。
以上

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 15:30Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2024年11月27日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画について環境省に要望書を送付

 北海道自然保護連合は、環境省に阿寒摩周国立公園内に計画している道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望書を提出しました。

******************************



2024年11月24日


環境大臣 浅尾 慶一郎 様
環境省自然環境局長 植田 明浩 様
 国立公園課長 西村 学 様
 釧路自然環境事務所長 岡野 隆宏 様

北海道自然保護連合 共同代表 安藤御史 菊地宏治 西畑智光

       構成団体
大雪と石狩の自然を守る会      代表 寺島一男
十勝自然保護協会  共同代表 安藤御史 佐藤与志松
南北海道自然保護協会        理事長 藤島 斉
ユウパリコザクラの会        代表 藤井純一
一般社団法人北海道自然保護協会   会長 在田一則



阿寒摩周国立公園内道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の事業変更に関する要望

 現在、北海道により進められている標記の道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画について、私たち北海道自然保護連合(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ユウパリコザクラの会・南北海道自然保護協会・一般社団法人北海道自然保護協会)は、当該事業計画がわが国の傑出した風景と生物多様性等を保全する重要な拠点である国立公園の自然環境に大きな影響を与える恐れがあることから強く反対しています。雌阿寒岳一帯の当該地域の優れた自然を保全し後世に残すためには、現行計画の見直しは欠かせないと考えており、自然公園法に基づいて当該事業について協議をする貴省に対し以下の点を強く要望いたします。
 要望の案件について、年末の多忙の時期と存じますが12月27日までに書面での回答(見解)をお願いいたします。

1 現在、北海道が進めている道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の整備計画は、2015年環境省中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)が有効幅員等の変更を承認した「町道雌阿寒オンネトー線」(2016年道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の一部に昇格)とは、路線位置および線形・規模が多くの部分で異なる新規路線です。承認済み路線の経緯にとらわれず新規路線としての協議を要望します。

 貴省は、2015(平成27)年5月、雌阿寒岳火山防災会議が「足寄町道雌阿寒オンネトー線」を噴火時の避難路として位置づけたことから、同年12月22日、中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)(以下「小委員会」)において、阿寒国立公園事業の変更について、「町道雌阿寒オンネトー線(湖岸から公園境界)の有効幅員の変更(5.5m)」を諮問し、承認されました。
 その後、町道は道道に昇格し、「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の一部」(以下「現道」)となり、北海道(帯広建設管理部)が整備計画をたて、本年3月に第2種特別地域の新規開削を含む路線案(路線案候補の第5案)を確定しました。
 小委員会における事業変更の説明では、「拡幅部分は、シラカバ等の二次林であって、特に保護の必要な希少種等の生育・生息は確認されておりません」と述べておりますが、この説明は現道沿いのシラカバ等の二次林を対象としており、「現道の拡幅整備」が主眼となっています。現行の帯広建設管理部の計画路線とは全く異なるものです。
 貴省は、帯広建設管理部が主催するワークショップにオブザーバーとして出席されており、この計画を十分に認識されていると思われますが、計画路線は全線約4.4㎞で、うちオンネトー南端のSp0からおよそSp1200までの第2種特別地域の森林を、現道を離れて約1.2㎞に渡って新規開削するものです。阿寒富士からの玄武岩質溶岩流による凹凸の激しい地形を平坦な道路に造成するため、切土・盛土などで大きく改変することになっています。このため連続した広大な法面が形成され、幅30mから最大約50mの空間が出現する計画になっています。
 これは小委員会が当初想定したものとは大きく異なっていると思われます。「実際の工事に当たっては、十分に注意をして工事を進めて、計画をしてまいりたいと現場では考えております。」と説明されていますが、この計画はそのような考えをはるかに超えています。

2 現在、北海道が進めている道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の計画は、周辺の貴重な地形や植
生を破壊し、第2種特別地域の存在価値が失われます。まれに見る当該地域の優れた自然環境を保全する
よう強く要望いたします。


 阿寒富士からの玄武岩質溶岩流による凹凸の激しい地形のとくに凹地では多数の風穴が見られ、周囲は低温環境になっています。夏季でも地温が0℃に近い場所も少なくなく、地下に凍土の存在が推定できます。この低温環境のもと、アカエゾマツ林が発達し、林床には多種の蘚苔類が広がり、とくに本国立公園の指定植物であるミズゴケ属(ホソバミズゴケ、ゴレツミズゴケなど)が風穴の周辺によく見られ、ダチョウゴケなど高山性ないし亜高山性の蘚苔類も多数見られます。また、低標高でありながら、コケモモ、イソツツジなど高山植物が繁茂しており、低温環境に依拠している植物が多いなど特異な場所となっています。
 帯広建設管理部の計画路線上の植物リストによれば、本国立公園の指定植物のうち、蘚苔類2種、維管束植物82種の計84種が見られ、その中には環境省レッドリスト・北海道レッドリストに載る17種も含まれ、これらは保全上重要な種です。当連合も本年7月に専門家を含めて現地を視察しており、大開削によってこれらの貴重な植生が破壊され、第2種特別地域の意義が損なわれることを確信しました。さらに、多数の切土・盛土により大きな空間が開削されることによるエッジ効果により周辺の低温環境による優れた森林生態系は大きなダメージを被ることが危惧されます。また、このような凍土の存在が推定される森林地帯での大開削は、かつて上士幌町十勝三股十四の沢の低標高にあった永久凍土が、林道工事(1972年)により融解し大規模な崩壊地を発生させていることから、当該地とその周辺の環境に様々な影響を与えることも十分考えられます。

3 2014年に御嶽山噴火で文部省科学技術・学術審議会測地学分科会地震火山部会が全国9箇所の重点的な観測・研究を行う火山に、雌阿寒岳を指定したことを含め、また最近の充実した火山観測体制を踏まえて、当該地域における避難体制の再検討とあわせて当該道路計画の見直しをする協議を進めるよう要望します。

 小委員会での事業変更承認後の約10年間で、24時間観測も行われるなど雌阿寒岳の観測体制も当時よりも充実してきており、避難体制は再検討されるべき段階にあります。
 噴火警戒レベルは現在段階毎に定められていますが、当該地域の状況を勘案して必要ならば、レベル2(火口周辺規制)の段階で一般車両に対し、ただちに域内脱出、進入禁止を実施することも考えられます。
 貴省は、オンネトー湖岸周辺は第1種特別地域であり、湖岸の風致を保護するため有効幅員4mとし、現道の舗装程度にとどめるとしていますが、現在の状態は大型バス(車幅約2.5m)が入れるようになっているため、湖岸部分においては普通乗用車(車幅約1.7m)とのすれ違いが極めて難しく、出合った場合普通乗用車が退避場所まで後退を余儀なくされています。対策として大型バス走行の禁止、あるいは噴石等を考えるなら被害軽減にはシェルターが有効なことから、このような施策を関係機関に進言すべきと考えます。
 また、雌阿寒岳で大規模噴火が起きた場合、火口の位置によっては、螺湾川沿いは火砕流、土石流、泥流、溶岩流の通り道になりますので、そもそも当該道路計画を含めて螺湾川沿いに避難路を建設するのは不適切です。これらを伴わない小規模の噴火であれば、現道の整備による避難で十分対応できます。これらのことを総合的に考えることが重要と思われます。

 貴省においては、今後、帯広建設管理部からの事業変更にかかる施設変更の協議については、本国立公園当該地域の原生的な自然環境の保持・生物多様性の保全・景観の維持の観点から、問題点を明確にして再検討を求めていただきたく強く要望いたします。

以上

  

Posted by 十勝自然保護協会 at 13:43Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2022年03月31日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問への釧路自然環境事務所からの回答

 当会が2021年9月7日付で釧路自然環境事務所長に送付した「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について」に対し、2022年3月22日付で以下の回答がありました。

********************


事  務  連  絡
令和4年3月22日


十勝自然保護協会 御中

釧路自然環境事務所


 平素より、自然保護行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。2021年9月7日付け「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について」に対し、下記のとおり回答します。



(1)について
 前田一歩園財団発刊の「阿寒国立公園の自然 1993」のp848及び環境省自然環境局生物多様性センターにより作成された25000分の1の現存植生図(自然環境調査Web-GIS)を参考としました。

(2)について
 現時点で公園事業者である北海道から当該路線に関する国立公園事業の協議がなされていないため、見解を述べることは差し控えさせていただきます。公園事業者から当該路線に関する公園事業の申請及び申請に関わる相談があった場合は自然公園法に基づき適切に指導・審査を行う所存です。
以上



  


Posted by 十勝自然保護協会 at 15:05Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2021年09月11日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関して環境省に再質問書を送付

 当会の2021年6月9日付の「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問」に対し、7月26日付で環境省釧路自然環境事務所から回答がありましたが、その回答に対し以下の再質問書を送付しました。

********************


2021年9月7日


釧路自然環境事務所長 田邊 仁 様

十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松


   道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する再質問について

 当会は2021年6月9日付で貴職に質問書を提出し、7月26日付事務連絡として貴職より回答をいただきました。
 この回答について、以下に再質問をいたします。
 ご多忙とは存じますが、10月1日までに回答をいただきたくお願いいたします。



(1)平成27(2015)年12月22日の環境省中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)での説明根拠について「オンネトー線道路(車道)事業の決定規模を変更する検討にあたっては、前田一歩園財団発刊の『阿寒国立公園の自然1993』をはじめとした文献を参考にしました」とのことでしたが、『阿寒国立公園の自然1993』の何ページなのか、どの図版なのかをご教示ください。また、その他の文献についても、名称等をご教示ください。官庁などの刊行物で一般の手に入りにくいものについてはコピーをいただければ幸いです。
(2)計画路線について「現在の北海道案」は、第3種特別地域を通過していませんが、第2種特別地域は引き続き通過しています。第2種特別地域では現道を使用せず、現道に沿って新たに森林を開削するようになっています。上記小委員会における諮問の対象は現道のことを指しているのではないでしょうか。なお、この計画案では、切土・盛土が連続するため、開削の幅は30m~40mになり、巨大な空間が出現し生態系に大きな影響を与えることは、貴庁職員がオブザーバーとしてご出席しているワークショップの参加者の皆さんが指摘しています。施工方法等以前の問題とはならないでしょうか。貴職のご見解をうかがいたく存じます。

以上


  


Posted by 十勝自然保護協会 at 11:51Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2021年08月12日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問に対し環境省から回答

 6月9日付の「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問」に対し、釧路自然環境事務所から以下の回答がありました。

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事  務  連  絡
令和3年7月26日


十勝自然保護協会
 共同代表 安藤 御史 様
      佐藤 与志松 様

釧路自然環境事務所長 田邊 仁


 平素より、自然保護行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいたたき、誠に感謝申し上げます。6月14日付けで接受した「道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問」に対し、以下のとおり回答します。



(1)
①ご存知のとおり、平成27年度の中央環境審議会で事業の決定規模の変更を諮問したオンネトー線道路(車道)は雌阿寒岳山頂火口域から3km付近にあり、雌阿寒岳火山防災協議会が作成した雌阿寒岳火山防災計画において避難経路に位置づけられています。当時から現在に至るまで、大部分が未舗装路であり、カーブの連続による視距不足や狭隆な幅員のため、対向車との交差が困難な状況です。環境省としても、防災上の観点から避難経路としての機能を持たせる必要性を認識し、このことから、オンネトー線道路(車道)事業の決定規模を変更することで当該区間を公園事業道路に位置づけるべく、諮問しました。

②オンネトー線道路 (車道)事業の決定規模を変更する検討にあたっては、前田一歩園財団発刊の「阿寒国立公園の自然1993」をはじめとした文献を参考にしました。

③第1種特別地域であるオンネトーの風致および原生的な自然環境を維持するため、湖岸付近については拡幅および線形の改良は極力行わず、現道の舗装程度にとどめる方針としています。

④ご質問の「現在の北海道案」が、令和 3年3月23日に示されたものと同一か分かりませんが、環境省がオブザーバーとして出席した令和3年3月23日開催の「一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線モアショロ原野地区の環境影響に関するワークショップ」では、これまでの自然環境調査の結果を踏まえ、第2種特別地域ではなく、国立公園区域外に新設する計画案となっていました。最新の計画路線の詳細については、事業者である北海道にご確認いただければと思います。

(2)
国立公園満喫プ ロジェクトでは国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化を目指し、訪日外国人を惹きつける取組を計画的、集中的に実施しています。本プロジェクトでは「最大の魅力は自然そのもの」をコンセプトに考 えており、今ある自然を生かしつつ、高品質・高付加価値のインバウンド市場を創造するという観点を重視しています。オンネトー湖岸の静かな環境は国立公園の利用の観点からも重要な資源であるため、当該路線の拡幅については想定されていません。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:51Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2021年06月11日

道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関し質問書を送付

 北海道が拡幅整備を計画している道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関し、釧路自然環境事務所に以下の質問書を送付しました。

********************


2021年6月9日


環境省釧路自然環境事務所長 田邊 仁 様

十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松


道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線に関する質問


 現在、道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線のモアショロ原野地区において、北海道は拡幅整備計画に基づき、自然環境調査及び懇談会・ワークショップなどを行っております。
 北海道の事業計画に関し、環境省の関わりについての以下の質問にお答えいただきたくお願いいたします。
 ご多忙とは存じますが、6月30日までに回答をいただきたくお願いいたします。

(1)本事業は阿寒(摩周)国立公園内を通ることから、平成27(2015)年12月22日、環境省中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会(第31回)において、「オンネトー線(車道) 事業の変更」として審議されています。
①どのような経緯で本件が諮問されたのでしょうか。
②「拡幅部分は、シラカバ等二次林であって、特に保護の必要な希少種等の生育・生息は確認されておりませんが…」と説明がなされていますが、実態はシラカバだけではなくダケカバ・ウダイカンバなどが多く、また、アカエゾマツ・トドマツが主要であり、正確な説明ではないのではないでしょうか。どのような知見を根拠にしたのかご教示願います。
③「オンネトー線」の湖岸付近については変更がなされていませんが、その理由をご教示願います。
④諮問の対象になった道路は現道ですが、現在の北海道案は現道を外れ、第2種特別区域の中核部に入っています。施工方法等以前の問題とならないでしょうか。
(2)オンネトーは「満喫プロジェクト」のエリアの一つとなっています。今後のプロジェクトの展開状況次第で湖岸付近の拡幅を考えていないのでしょうか。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 22:15Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2021年05月02日

モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望に対する環境省の回答

 2月22日付で環境大臣に「一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望書」を送付しましたが、環境大臣ではなく釧路自然保護管事務所長から以下の回答がありました。火山噴火に応じた避難の観点から大きな自然破壊を伴う新規開削ではなく現道の改修で対応すべき、という当会の提案に対する見解は示されていません。

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事 務 連 絡
令和3年4月26日


十勝自然保護協会
 共同代表 安藤 御史 様
      佐藤 与志松 様

釧路自然環境事務所長 田邊 仁


 平素より、自然保護行政の推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただき、誠に感謝 申し上げます。環境本省にて2月24日付けで接受した「一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望書」(令和3年2月22日付け)に対し、以下のとおり環境省の見解を回答します。
 なお、本件は環境大臣宛に要望を受けたものですが、国立公園事業の内容変更にかかる要望へ回答するものですので、本件について処理を行う釧路自然環境事務所長名で回答させていただきます。



 北海道による当該道路の整備計画のうち、阿寒摩周国立公園内で道路の拡幅や線形改良等を実施する場合は、自然公園法第10条第6項に基づくオンネトー線道路(車道)事業の内容の変更の協議をする必要があり、環境省としてはその段階になって初めて審査をします。審査基準は国立公園事業取扱要領第14に基づき、国立公園計画及び国立公園事業の決定事項に適合すること、国立公園管理計画の規定に適合すること、公園施設の位置、規模及び構造が、執行内容に対して適正であり、安全性及び利用上の快適性が確保されていること、国立公園事業の執行が国立公園の保護又は利用に支障を及ぼすものでないこと等が定められており、これらの基準に適合するものに対して認可することとなっています。
 これまで、北海道の主催するワークショップに環境省もオブザーバー参し、情報収集に努めていますが、北海道による施工方法等の詳細は明らかにされていないため、現時点でその善し悪しを申し上げることはできません。環境省としては、引き続き情報収集に努めるとともに、北海道から具体的に相談があった場合に、自然環境への配慮も含めて、審査基準に適合する範囲内での整備とするよう適切に指導していきます。

以上

(環境省釧路自然環境事務所 国立公園課)

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 15:35Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線

2021年02月25日

環境省にモアショロ原野螺湾足寄停車場線について要望書を送付

 当会は雌阿寒岳が噴火した際の避難路として一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線を拡幅・新規開削する計画に対し、現道の改修で対応するよう北海道に要望してきましたが、国立公園内の事業の適否について最終的な判断をする環境省に以下の要望書を送付しました。

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2021年2月22日


環境大臣 小泉進次郎 様

十勝自然保護協会 共同代表
安藤 御史
佐藤与志松



一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についての要望書


 貴省の中央環境審議会自然環境部自然公園等小委員会は2015年12月22日に、町道雌阿寒オンネトー線(現在は道道に昇格し、一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の一部となる)の幅員を3.5mから5.5mへ変更することを認めました。これは足寄町が、本路線を雌阿寒岳が噴火した際の避難路とするために拡幅舗装を北海道や環境省に要望したことに基づいています。
 道路管理者である北海道は、2015年から自然環境調査を始め、2017年にはワークショップを開催して検討を進めてきました。これはワークショップで道民の意見を聞く前に拡幅舗装化が前提となっていたと解されます。
 当会もワークショップに参加して意見を述べてきましたが、その中で雌阿寒岳噴火の際の避難路として完全二車線の舗装道路が本当に必要なのかという疑問が生じました。噴火による避難は火山性微動の増加など噴火の前兆現象が見られた場合に噴火の前に避難する「事前避難」と、突然噴火した場合の「緊急避難」に分けることができます。前者の場合は噴火前ですから一分一秒を争って避難するという状況ではありません。後者の場合、噴火現象に対応した避難をすることになります。これをまとめると以下のようになります。

1.火山噴火による山体崩壊や火砕流は流下速度が極めて速いため、発生してから避難をしても間に合いません。融雪型泥流も同様で、螺湾川沿いに流れ下った場合、道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線は避難路として使えません。したがってこれらの噴火現象が発生した場合は避難のための道路を建設しても利用できません。
2.溶岩の流下速度は歩く程度ですので、既存道路でも避難可能です。
3.噴石は速度が速く、発生した場合は避難する時間的猶予がないため、噴石が直接当たらない建物や岩陰等に身を寄せるしかありません。大きな噴石は自動車のフロントガラスや鉄板も貫通しますので、自動車に留まるのは危険です。道路に大きな噴石が落ちたら自動車の走行もできません。噴石による被害軽減はシェルターが最も有効です。
4.火山灰が降下した場合視界不良となるため、自動車が高速で走行することは不可能です。また、道路に火山灰が積もるとスリップしやすくなり、厚く堆積した場合は、避難の車両も緊急車両も走行ができなくなる可能性があります。

 このように噴火現象に応じた避難を考えた場合、二車線の舗装道路を整備しても降灰がほとんどなく自動車走行に支障がないときにわずかな時間短縮になるだけです。そもそもそのような状況であれば一分一秒を争って避難する必要はありません。
 当会は、この点について帯広建設管理部および北海道知事に質問書を送付しましたが、これらの指摘を否定する回答は示されませんでした(資料参照)。つまり、道路管理者である北海道は「噴火現象に対応した避難」について何ら検討することなく拡幅舗装化を計画したことになります。これは計画の妥当性の検討を怠ったということであり、あってはならないことです。
 当会はその点ついて見直しを求め、新規開削ではなく現道の改修を提案しました。当会の提案は以下です。

1.幅員を広げることが可能な場所では幅員を広げ、対向車に備え待避場を多めに設ける。
2.カーブは基本的にそのままとし、カーブ部分の幅員を広くする。
3.路面はオンネトー湖岸の道路のような簡易舗装とする。
4.崩落の可能性がある場所に関しては、環境に配慮した上でできる限り小規模の崩落防止工事をする。

 しかし北海道は、噴火現象に対応した避難について検討をしなかったことは認めようとせず、「雌阿寒岳火山防災計画」を引き合いに出して責任転嫁しています。また、当会の提案もワークショップで議題として取り上げず無視しています。
 北海道は迅速性・安全性・確実性を理由にカーブや起伏がほとんどない完全二車線の舗装道路が必要だという主張のようですが、避難が必要な状況であれば速やかに一般車両の侵入を禁止することで交差は防げます。また、緊急車両も安全が確認されない限り現場に入ることはできません。仮に緊急車両とのすれ違いが生じても、当会の提案するような現道の改修を行えば、支障が生じるとは考えられません。
 北海道が考えているような完全二車線の舗装道路を建設した場合、第2種特別地域の自然が大きく損なわれ希少な動植物の生息地が破壊されるばかりではなく、9万㎡という広大な天然林の伐採が行われ森林が大きく分断されることになります。路線変更によって国立公園内を回避したからといって、このような自然破壊は許されることではありません。
 貴職におかれましては「噴火に対応した避難」を念頭に、北海道に本道路計画の妥当性について質し、不要な道路建設によって貴重な自然を損なうことがないよう賢明な判断をしていただくことを要望いたします。

 なお、この要望に関して貴職のご見解を伺いたく存じます。年度末でご多忙のところ恐縮ですが3月22日までにご回答くださいますようお願い申しあげます。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 13:38Comments(0)モアショロ原野螺湾足寄停車場線