十勝自然保護協会 活動速報 › 携帯電話基地局
2023年11月03日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、9月29日付回答に対する抗議
9月29日付のJTOWERからの回答は詭弁と以前の主張の繰り返しであり、誠意のある対応が見られませんでした。この回答を受け、JTOWERに対し、以下の抗議書を送付しました。
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
当会の2023年8月6日付「JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問」に対し、貴社より9月29日付で回答がありましたが、詭弁や以前の説明の繰り返しで納得できるような回答ではありませんでした。このような回答では、トムラウシ自然休養林野営場の5G基地局を認めることにはなりません。以下に納得できない理由を説明するとともに、5G基地局設置を強行する姿勢に強く抗議します。なお、毎回同じような回答しかいただけないため、本書面に対する回答は不要です。
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
貴社は6月14日付の回答で、「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下『本5G基地局』といいます。)は、総務省にて示された『デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)』1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の『654216』内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、『地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とする・・・」 「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」と説明しています。
「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の17ページを見ると、「条件不利益地域で5Gを整備する際に補助を実施」と書かれており、条件不利益地域とは「過疎地、辺地、離島、半島、山村、特定農山村又は豪雪地帯の地域」と説明されています。一方で、法令による「過疎地域」は市町村単位に指定されています。つまり、「条件不利益地域の過疎地」は法令による「過疎地域」を指しているわけではありません。
しかも、当該メッシュには過去も現在も誰も居住しておらず「過疎地」にすら該当しません。貴社の説明は、過疎地に該当しない場所を過疎地とした上に、「条件不利益地域の過疎地」を恣意的に「過疎地域(新得町全体)」であると強弁しているのであり、詭弁と言うほかありません。
誰も居住者がおらず、夏季の3カ月しかオープンしていない野営場、しかも数百メートル移動すれば4Gの電波が利用できる場所に基地局は不要ですし、補助金事業ですから税金の無駄遣いです。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
電磁波は光エネルギーを持つ放射線です。人工電磁波の曝露防護指針があるのは人間を含むあらゆる生物に影響がある可能性が高いからです。人工放射線と同様に生物が進化の過程で遭遇していないものなので、その影響は未知の分野です。ICNIRPの曝露防護指針は人工電磁波の熱効果に重きが置かれており、非熱効果については科学的に証明されていないという理由で軽視されています。2018年のスロベニアにおいてWHOがICNIRPを公式に承認できない(endorse 支持する、是認するの意)ことを再確認したのは、その曝露防護指針が完全ではないからです。
総務省が2022年3月に出した報告書によれば、各国においてそれぞれ独自の防護指針を作成する傾向にあります。例えばブラジル連邦共和国では自然保護区域、環境保護区域、野生生物保護区域での基地局の設置、サポートインフラの設置を法律によって禁止しています。またスイスでは連邦環境保護法の第一条で、生物多様性について予防措置の観点から有害または迷惑となる可能性のある影響を早い段階から制限する必要があると書かれています。
2023年3月の環境省の「身の回りの電磁波について』も含め日本政府の防護指針はICNIRPの指針に従えば『安全』であるように述べられていますが、国際的に安全指針なるものはありません。原子力の商業利用を平和利用と表現したのと同様に、言葉を変えています。政府に従えば将来に大きな過ちを起こしかねません。
生命の維持は全て電気的作用によって行われており、必要なエネルギーは5−7eV(電子ボルト)以下と非常に少ないのです。2014ー2015年以降『非熱効果』についての論文が多数見られますが、そのほとんどが生命に対して影響ありとされています。5G、6Gの生命に対する『熱効果』『非熱効果』の影響は未知の分野であり、人工放射能の内部被曝と同様にあらゆる生命体に対して現代に生きる私達は慎重に対処すべきです。
3 予防原則の見解について
「予防原則」とは「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方」を指します(*)。
当会は2023年3月7日付の貴社への申し入れの中で、生物多様性に対する電磁波の影響について具体例を挙げて指摘しました。しかし、貴社はこれらの事例を否定することができませんでした。
貴社が予防原則の考え方を尊重するのであれば、国立公園の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある基地局の設置計画は中止しなければなりません。当該メッシュは誰も居住しておらず、本計画を中止することで不利益を被る人はいません。緊急時の連絡であればトムラウシ温泉の4G電波や衛星電話で十分可能です。それにも関わらず建設を強行するのであれば、貴社に予防原則を尊重する考えがないものと判断せざるを得ません。
*https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635
********************
2023年10月29日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
JTOWERの9月29日付回答に対する抗議書
当会の2023年8月6日付「JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問」に対し、貴社より9月29日付で回答がありましたが、詭弁や以前の説明の繰り返しで納得できるような回答ではありませんでした。このような回答では、トムラウシ自然休養林野営場の5G基地局を認めることにはなりません。以下に納得できない理由を説明するとともに、5G基地局設置を強行する姿勢に強く抗議します。なお、毎回同じような回答しかいただけないため、本書面に対する回答は不要です。
記
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
貴社は6月14日付の回答で、「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下『本5G基地局』といいます。)は、総務省にて示された『デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)』1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の『654216』内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、『地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とする・・・」 「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」と説明しています。
「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の17ページを見ると、「条件不利益地域で5Gを整備する際に補助を実施」と書かれており、条件不利益地域とは「過疎地、辺地、離島、半島、山村、特定農山村又は豪雪地帯の地域」と説明されています。一方で、法令による「過疎地域」は市町村単位に指定されています。つまり、「条件不利益地域の過疎地」は法令による「過疎地域」を指しているわけではありません。
しかも、当該メッシュには過去も現在も誰も居住しておらず「過疎地」にすら該当しません。貴社の説明は、過疎地に該当しない場所を過疎地とした上に、「条件不利益地域の過疎地」を恣意的に「過疎地域(新得町全体)」であると強弁しているのであり、詭弁と言うほかありません。
誰も居住者がおらず、夏季の3カ月しかオープンしていない野営場、しかも数百メートル移動すれば4Gの電波が利用できる場所に基地局は不要ですし、補助金事業ですから税金の無駄遣いです。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
電磁波は光エネルギーを持つ放射線です。人工電磁波の曝露防護指針があるのは人間を含むあらゆる生物に影響がある可能性が高いからです。人工放射線と同様に生物が進化の過程で遭遇していないものなので、その影響は未知の分野です。ICNIRPの曝露防護指針は人工電磁波の熱効果に重きが置かれており、非熱効果については科学的に証明されていないという理由で軽視されています。2018年のスロベニアにおいてWHOがICNIRPを公式に承認できない(endorse 支持する、是認するの意)ことを再確認したのは、その曝露防護指針が完全ではないからです。
総務省が2022年3月に出した報告書によれば、各国においてそれぞれ独自の防護指針を作成する傾向にあります。例えばブラジル連邦共和国では自然保護区域、環境保護区域、野生生物保護区域での基地局の設置、サポートインフラの設置を法律によって禁止しています。またスイスでは連邦環境保護法の第一条で、生物多様性について予防措置の観点から有害または迷惑となる可能性のある影響を早い段階から制限する必要があると書かれています。
2023年3月の環境省の「身の回りの電磁波について』も含め日本政府の防護指針はICNIRPの指針に従えば『安全』であるように述べられていますが、国際的に安全指針なるものはありません。原子力の商業利用を平和利用と表現したのと同様に、言葉を変えています。政府に従えば将来に大きな過ちを起こしかねません。
生命の維持は全て電気的作用によって行われており、必要なエネルギーは5−7eV(電子ボルト)以下と非常に少ないのです。2014ー2015年以降『非熱効果』についての論文が多数見られますが、そのほとんどが生命に対して影響ありとされています。5G、6Gの生命に対する『熱効果』『非熱効果』の影響は未知の分野であり、人工放射能の内部被曝と同様にあらゆる生命体に対して現代に生きる私達は慎重に対処すべきです。
3 予防原則の見解について
「予防原則」とは「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方」を指します(*)。
当会は2023年3月7日付の貴社への申し入れの中で、生物多様性に対する電磁波の影響について具体例を挙げて指摘しました。しかし、貴社はこれらの事例を否定することができませんでした。
貴社が予防原則の考え方を尊重するのであれば、国立公園の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある基地局の設置計画は中止しなければなりません。当該メッシュは誰も居住しておらず、本計画を中止することで不利益を被る人はいません。緊急時の連絡であればトムラウシ温泉の4G電波や衛星電話で十分可能です。それにも関わらず建設を強行するのであれば、貴社に予防原則を尊重する考えがないものと判断せざるを得ません。
*https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635
2023年10月17日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その3)
当会の8月6日付の見解と質問に対し、JTOWERから以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
貴協会からの令和5年8月6日付け見解及び質問について、下記のとおり回答申し上げます。
1. トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
令和5年4月13日付の弊社「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」へのご回答(以下「弊社回答書1」といいます。)及び令和5年6月4日付けの弊社「JTOWERの回答に対する当会の見解」へのご回(以下「弊社回答書2」といいます。)に記載させて頂きましたとおり、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「5G基地局」といいます。)は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)(*1)」(令和4年3月29日)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」内のエリアに建設するものになります。
弊社回答書2において記載をいたしました「過疎地」の用語につきましては、法令の定めるところにより国又は自治体によって指定がされるものと承知しており、具体的には、新得町は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法により過疎地として指定されています。前述の整備計画においても同様の地域を指して5Gのインフラ整備が喚起されております。
以上の事から、本5G基地局は総務省施策に合致した事業となりますので、何卒ご理解賜りますと幸甚です。
2. 生物多様性に対する電磁波の影響について
弊社回答書1及び弊社回答書2で記載しましたとおり、本5G基地局で使用される電波は、世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠し総務省において作成された「電波防護指針」の基準値を満たすものとなっており、WHOでは当該ガイドラインを下回る電波の強さにより健康へ悪影響を与える証拠はない(*2)とされております。2023年8月6日付け貴協会文書にてご指摘の件(2018年開催の国際電磁界プロジェクト第23回国際諮問委員会)は確認させていただきましたが、WHOとICNIRPの協力関係は続いており、WHOでは2020年にもICNIRPのガイドラインを国際的なガイドラインとしております(*3)。本5G基地局はこの電波防護指針を遵守して運用をすることから、安全性の観点からも問題ないものと認識しております。
また、具体的な数値としては、総務省のホームページに記載(*4)のとおりとなります。
3. 予防原則についての見解について
現在日本においては電波防護指針などの現状の基準を満たすことで安全性を確保することとして運用がされており、当社としても同様の考え方によって本事業を行っております。
今後、WHOをはじめ、業界団体等によって電波の安全に関する考え方や予防原則の考え方について議論がされる場合にはこれを注視し、国際標準の安全基準を引き続き遵守してくよう努めていくものです。
4. まとめ
上述のとおり、本5G基地局が総務省の計画に沿った設置であること、また国際的にも認知されている安全基準を満たした本邦の防護指針を遵守していることから、その設置の必要性及び安全性の観点からも問題ないものと考えております。繰り返しになり恐縮ですが、当社としてお答えできる事項は以上の通りとなります。
当社は、今後 も当該計画・法令・ガイドラインに従い、総務省をはじめ関係官庁及び業界団体とも連携を続けながら、安全性を保って建設・運用をしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
――――――――――
*1 https://www.soumu.go.jp/main_content/000803506.pdf
*2 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/pr/toiawase/ 「携帯電話基地局とわたしたちの暮らし」の資料中
*3 https://www.env.go.jp/chemi/post_173.html 「身のまわりの電磁界について(令和5年3月)」28ページ
*4 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/
********************
JTW 10587907
令和5年9月29日
令和5年9月29日
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
東京都港区南青山二丁目2番3号
株式会社JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設総括部 タワー建設部長
高橋 猛
株式会社JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設総括部 タワー建設部長
高橋 猛
貴協会からの令和5年8月6日付け見解及び質問について、下記のとおり回答申し上げます。
記
1. トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
令和5年4月13日付の弊社「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」へのご回答(以下「弊社回答書1」といいます。)及び令和5年6月4日付けの弊社「JTOWERの回答に対する当会の見解」へのご回(以下「弊社回答書2」といいます。)に記載させて頂きましたとおり、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「5G基地局」といいます。)は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)(*1)」(令和4年3月29日)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」内のエリアに建設するものになります。
弊社回答書2において記載をいたしました「過疎地」の用語につきましては、法令の定めるところにより国又は自治体によって指定がされるものと承知しており、具体的には、新得町は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法により過疎地として指定されています。前述の整備計画においても同様の地域を指して5Gのインフラ整備が喚起されております。
以上の事から、本5G基地局は総務省施策に合致した事業となりますので、何卒ご理解賜りますと幸甚です。
2. 生物多様性に対する電磁波の影響について
弊社回答書1及び弊社回答書2で記載しましたとおり、本5G基地局で使用される電波は、世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠し総務省において作成された「電波防護指針」の基準値を満たすものとなっており、WHOでは当該ガイドラインを下回る電波の強さにより健康へ悪影響を与える証拠はない(*2)とされております。2023年8月6日付け貴協会文書にてご指摘の件(2018年開催の国際電磁界プロジェクト第23回国際諮問委員会)は確認させていただきましたが、WHOとICNIRPの協力関係は続いており、WHOでは2020年にもICNIRPのガイドラインを国際的なガイドラインとしております(*3)。本5G基地局はこの電波防護指針を遵守して運用をすることから、安全性の観点からも問題ないものと認識しております。
また、具体的な数値としては、総務省のホームページに記載(*4)のとおりとなります。
3. 予防原則についての見解について
現在日本においては電波防護指針などの現状の基準を満たすことで安全性を確保することとして運用がされており、当社としても同様の考え方によって本事業を行っております。
今後、WHOをはじめ、業界団体等によって電波の安全に関する考え方や予防原則の考え方について議論がされる場合にはこれを注視し、国際標準の安全基準を引き続き遵守してくよう努めていくものです。
4. まとめ
上述のとおり、本5G基地局が総務省の計画に沿った設置であること、また国際的にも認知されている安全基準を満たした本邦の防護指針を遵守していることから、その設置の必要性及び安全性の観点からも問題ないものと考えております。繰り返しになり恐縮ですが、当社としてお答えできる事項は以上の通りとなります。
当社は、今後 も当該計画・法令・ガイドラインに従い、総務省をはじめ関係官庁及び業界団体とも連携を続けながら、安全性を保って建設・運用をしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上
――――――――――
*1 https://www.soumu.go.jp/main_content/000803506.pdf
*2 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/pr/toiawase/ 「携帯電話基地局とわたしたちの暮らし」の資料中
*3 https://www.env.go.jp/chemi/post_173.html 「身のまわりの電磁界について(令和5年3月)」28ページ
*4 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/
2023年08月11日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、6月14日付回答に対する当会の見解と質問
6月14日付のJTOWERからの回答に対し、当会の見解と質問を送付しました。
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
2023年6月14日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせするとともに質問をさせていただきます。項目ごとにご回答くださいますようお願いいたします。ご多忙とは存じますが、9月8日までにご回答いただきたくお願いいたします。
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局は、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の趣旨に沿ったもので、地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)が対象となっており、当該基地局は「過疎地」に該当するとの回答でした。
「過疎」とは「開発の遅れた農山村において,急激な離村,離農現象が進展した結果,地域住民の生産と生活の諸機能が麻痺し,生活の秩序が破壊された状態。」(ブリタニカ国債大百科事典 小項目事典)。「極度にまばらなこと。特に、ある地域の人口が他に流出して少なすぎること。」(デジタル大辞泉)です。従って、過疎地とはもともと人が住んでいたが、人が流出して減ってしまった地域のことを指します。当該メッシュ(国土地理院の2次メッシュ番号「654216」)はもともと居住者がおらず、今も誰も住んでいませんので、「過疎地」には該当しません。
「デジタル田園都市国家構想」(*1)の説明を読んでも、人が居住している地域を対象としていると理解されます。
人が居住していないメッシュでの5G基地局整備は「デジタル田園都市国家構想」に沿うものではなく、このメッシュを選定したこと自体が不適切です。
*1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/index.html
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
(1)「本5G基地局で使用される電波は世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠した電波防護指針の基準値を満たすものとなっております」との回答でした。しかし、2018年のスロベニアでのWHO 国際電磁波プロジェクトにおいて、ICNIRPのガイドラインは公式承認できないことが再確認されています(*2)。貴社が主張するWHOが推奨する国際的ガイドラインであるICNIRPに準拠した電波防護指針なるものの具体的基準値を教えてください。
*2 WHO国際電磁界プロジェクトの動向、国立保険医療科学院 生活環境研究部 牛山明 https://www.soumu.go.jp/main_content/000702993.pdf
(2)6月14日付の回答は当会が指摘した電磁波の生物への影響について、何ら具体的見解が述べられていません。科学的にまだ結論が出ていないことでも、将来人類にとって影響を及ぼすことが予見されることに対しては『予防原則』が国際的に認識されています。健康被害や生物多様性への影響について回答できないのであれば、貴社の予防原則についての見解を明らかにしてください。
3 貴社の対応について
「本5G基地局は、総務省の計画に沿った設置であり」と貴社は述べていますが、総務省(政府)の基準(あるいは言うところ)に従えば安全である、とは必ずしも言えないでしょう。事業者としても安全性、生物多様性に問題がないかどうかを独自に検討し、積極的に総務省(政府)に働きかけるべきと考えます。
*******************
2023年8月6日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問
2023年6月14日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせするとともに質問をさせていただきます。項目ごとにご回答くださいますようお願いいたします。ご多忙とは存じますが、9月8日までにご回答いただきたくお願いいたします。
記
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局は、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の趣旨に沿ったもので、地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)が対象となっており、当該基地局は「過疎地」に該当するとの回答でした。
「過疎」とは「開発の遅れた農山村において,急激な離村,離農現象が進展した結果,地域住民の生産と生活の諸機能が麻痺し,生活の秩序が破壊された状態。」(ブリタニカ国債大百科事典 小項目事典)。「極度にまばらなこと。特に、ある地域の人口が他に流出して少なすぎること。」(デジタル大辞泉)です。従って、過疎地とはもともと人が住んでいたが、人が流出して減ってしまった地域のことを指します。当該メッシュ(国土地理院の2次メッシュ番号「654216」)はもともと居住者がおらず、今も誰も住んでいませんので、「過疎地」には該当しません。
「デジタル田園都市国家構想」(*1)の説明を読んでも、人が居住している地域を対象としていると理解されます。
人が居住していないメッシュでの5G基地局整備は「デジタル田園都市国家構想」に沿うものではなく、このメッシュを選定したこと自体が不適切です。
*1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/index.html
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
(1)「本5G基地局で使用される電波は世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠した電波防護指針の基準値を満たすものとなっております」との回答でした。しかし、2018年のスロベニアでのWHO 国際電磁波プロジェクトにおいて、ICNIRPのガイドラインは公式承認できないことが再確認されています(*2)。貴社が主張するWHOが推奨する国際的ガイドラインであるICNIRPに準拠した電波防護指針なるものの具体的基準値を教えてください。
*2 WHO国際電磁界プロジェクトの動向、国立保険医療科学院 生活環境研究部 牛山明 https://www.soumu.go.jp/main_content/000702993.pdf
(2)6月14日付の回答は当会が指摘した電磁波の生物への影響について、何ら具体的見解が述べられていません。科学的にまだ結論が出ていないことでも、将来人類にとって影響を及ぼすことが予見されることに対しては『予防原則』が国際的に認識されています。健康被害や生物多様性への影響について回答できないのであれば、貴社の予防原則についての見解を明らかにしてください。
3 貴社の対応について
「本5G基地局は、総務省の計画に沿った設置であり」と貴社は述べていますが、総務省(政府)の基準(あるいは言うところ)に従えば安全である、とは必ずしも言えないでしょう。事業者としても安全性、生物多様性に問題がないかどうかを独自に検討し、積極的に総務省(政府)に働きかけるべきと考えます。
2023年06月18日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その2)
当会は5月13日付でJTOWERの回答に対し見解を表明しましたが、それに対しJTOWERから以下の回答がありました。
JTOWERの回答は、「総務省の計画に沿った設置であり、また国際的なガイドラインも遵守している総務省の整備の趣旨に沿っている」という説明を繰り返すだけで、当会の指摘に対応した回答になっていません。また、「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」との主張ですが、過疎地(域)とは「人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域」と規定されています。しかし本5G基地局のメッシュは居住者がおらず、「過疎地」には該当しません。
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
貴協会からの令和5年5月13日付標記見解について、下記のとおり回答申し上げます。
1.トムラウシ自然体養林野営場での5G基地局の必要性について
令和5年4月13日付の弊社「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」への回答書(以下「弊社回答書」といいます。)に記載させていただきましたとおり、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「本5G基地局」といいます。)は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、「地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とするとともに、5G等の高度サービスの普及を促進することにより、電波の利用に関する不均衡を緩和し、電波の適正な利用を確保することを目的とする。」とされており、本5G基地局の建設地は、「過疎地」に該当していることから、前述の趣旨にも沿った事業内容となっております。
1) https://www.soumu.go.jp/main_content/000803506.pdf
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
弊社回答書で記載しましたとおり、本5G基地局で使用される電波は世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠した電波防護指針の基準値を満たすものとなっております。本5G基地局はこの電波防護指針を遵守して運用をすることから、安全性の観点からも差支えないものと認識しております。
3.最後に
上述のとおり、本5G基地局は、総務省の計画に沿った設置であり、また国際的なガイドラインも遵守していることから、その設置の必要性及び安全性の観点からも差支えないものと考えており、当社としてお答えできる事項は以上の通りとなります。
当社は、今後も当該計画・法令・ガイドラインに従い、安全性を保って建設・運用をしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
JTOWERの回答は、「総務省の計画に沿った設置であり、また国際的なガイドラインも遵守している総務省の整備の趣旨に沿っている」という説明を繰り返すだけで、当会の指摘に対応した回答になっていません。また、「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」との主張ですが、過疎地(域)とは「人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域」と規定されています。しかし本5G基地局のメッシュは居住者がおらず、「過疎地」には該当しません。
********************
JTW-10380024
令和5年6月14日
令和5年6月14日
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
東京都港区南青山二丁目2番3号
株式会社JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設統括部タワー建設部長
髙橋 猛
株式会社JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設統括部タワー建設部長
髙橋 猛
「JTOWERの回答に対する当会の見解」へのご回答
貴協会からの令和5年5月13日付標記見解について、下記のとおり回答申し上げます。
記
1.トムラウシ自然体養林野営場での5G基地局の必要性について
令和5年4月13日付の弊社「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」への回答書(以下「弊社回答書」といいます。)に記載させていただきましたとおり、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「本5G基地局」といいます。)は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、「地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とするとともに、5G等の高度サービスの普及を促進することにより、電波の利用に関する不均衡を緩和し、電波の適正な利用を確保することを目的とする。」とされており、本5G基地局の建設地は、「過疎地」に該当していることから、前述の趣旨にも沿った事業内容となっております。
1) https://www.soumu.go.jp/main_content/000803506.pdf
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
弊社回答書で記載しましたとおり、本5G基地局で使用される電波は世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)に準拠した電波防護指針の基準値を満たすものとなっております。本5G基地局はこの電波防護指針を遵守して運用をすることから、安全性の観点からも差支えないものと認識しております。
3.最後に
上述のとおり、本5G基地局は、総務省の計画に沿った設置であり、また国際的なガイドラインも遵守していることから、その設置の必要性及び安全性の観点からも差支えないものと考えており、当社としてお答えできる事項は以上の通りとなります。
当社は、今後も当該計画・法令・ガイドラインに従い、安全性を保って建設・運用をしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上
2023年06月04日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、JTOWERの回答に対する当会の見解
JTOWERがトムラウシ自然休養林野営場に計画している5G基地局について、当会は3月7日付で反対の申入れをしましたが、4月22日付でJTOWERから建設したいとの回答がありました。その回答に対し5月13日付で当会の見解を送付しました。
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
2023年4月13日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせします。
貴社の回答に「ご説明経緯」が書かれています。当会は役員会(理事会)によって意思決定をしています。当会の見解を求めるに当たっては、事務局に連絡をとり関係書類を送付していただく必要があります。しかし、ネクサス担当者が事務局以外に連絡をとったために手違いが生じました。当会の回答は理事会の議論を経て決定された2023年3月8日付の書面になります。
2022年12月8日のネクサス担当者からの書面では、「つきましては関係資料を送付致しますのでご理解とご承諾を頂きますよう宜しくお願い致します」とありますが、「承諾できない」というのが当会の回答です。4月13日付の貴社の回答を受けても、「承諾できない」という当会の回答は変わりません。理由は以下の通りです。
1.トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
全国を10km四方エリアに区画した第2次地域区画地域メッシュ中、事業可能性が認められるエリアに親局として設置するとのことでした。先の回答でも指摘している通り、トムラウシ自然休養林野営場が利用できる期間は夏の3カ月のみです。メッシュがどのように区切られているのか不明ですが、当該メッシュはトムラウシ温泉のあるメッシュとは別とのことですので、居住者もおらず野営場の他には施設も道路もほぼない山の中です。このような場所に親局が必要とは全く考えられません。
野営場利用者は人里離れた静かな場所でキャンプを楽しむために来るのであり、ここで大容量の通信の必要性は全くありません。電磁波を避けてこのような野営場に来る人もいるかもしれません。また、どうしても携帯電話を使いたいような状況が発生しても、すぐ近くのトムラウシ温泉方向に移動すれば4Gの電波が利用できます。
山中での自然災害や事故などの緊急時において、救助隊との連絡や地域の防災活動に役立てるとのことですが、山岳や洋上での緊急連絡は無線や衛星電話で対応できます。携帯電話の基地局は災害によって有線ケーブルが切断されることもあり得ますが、衛星電話はそのようなことはないので災害時には携帯電話より優れています。
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
当会は、電磁波が生物に与える悪影響について具体的に示しました。生物に対し悪影響がないというのであれば、当会の示した事例などが電磁波によるものではないとの根拠を示していただきたく存じます。
先の回答でも説明した通り、4Gですら電磁波による健康被害を訴える人達が間違いなくいます。まして5G事業は始まって間もなく、長期間にわたる電磁波被曝が人体や野生生物にどのような影響及ぼすのか分かっていません。ガイドラインや指針に従ったからといって問題ないとは言えません。だからこそ海外では規制する国があるのです。予防原則の立場からも基地局設置には反対です。
なお、人命に関わる緊急時の連絡手段として基地局が必要だといいながら、電磁波による健康被害を無視する姿勢は矛盾しています。
********************
2023年5月13日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会 共同代表
安藤 御史
佐藤与志松
安藤 御史
佐藤与志松
JTOWERの回答に対する当会の見解
2023年4月13日付の貴社の回答について、当会の見解をお知らせします。
貴社の回答に「ご説明経緯」が書かれています。当会は役員会(理事会)によって意思決定をしています。当会の見解を求めるに当たっては、事務局に連絡をとり関係書類を送付していただく必要があります。しかし、ネクサス担当者が事務局以外に連絡をとったために手違いが生じました。当会の回答は理事会の議論を経て決定された2023年3月8日付の書面になります。
2022年12月8日のネクサス担当者からの書面では、「つきましては関係資料を送付致しますのでご理解とご承諾を頂きますよう宜しくお願い致します」とありますが、「承諾できない」というのが当会の回答です。4月13日付の貴社の回答を受けても、「承諾できない」という当会の回答は変わりません。理由は以下の通りです。
1.トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
全国を10km四方エリアに区画した第2次地域区画地域メッシュ中、事業可能性が認められるエリアに親局として設置するとのことでした。先の回答でも指摘している通り、トムラウシ自然休養林野営場が利用できる期間は夏の3カ月のみです。メッシュがどのように区切られているのか不明ですが、当該メッシュはトムラウシ温泉のあるメッシュとは別とのことですので、居住者もおらず野営場の他には施設も道路もほぼない山の中です。このような場所に親局が必要とは全く考えられません。
野営場利用者は人里離れた静かな場所でキャンプを楽しむために来るのであり、ここで大容量の通信の必要性は全くありません。電磁波を避けてこのような野営場に来る人もいるかもしれません。また、どうしても携帯電話を使いたいような状況が発生しても、すぐ近くのトムラウシ温泉方向に移動すれば4Gの電波が利用できます。
山中での自然災害や事故などの緊急時において、救助隊との連絡や地域の防災活動に役立てるとのことですが、山岳や洋上での緊急連絡は無線や衛星電話で対応できます。携帯電話の基地局は災害によって有線ケーブルが切断されることもあり得ますが、衛星電話はそのようなことはないので災害時には携帯電話より優れています。
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
当会は、電磁波が生物に与える悪影響について具体的に示しました。生物に対し悪影響がないというのであれば、当会の示した事例などが電磁波によるものではないとの根拠を示していただきたく存じます。
先の回答でも説明した通り、4Gですら電磁波による健康被害を訴える人達が間違いなくいます。まして5G事業は始まって間もなく、長期間にわたる電磁波被曝が人体や野生生物にどのような影響及ぼすのか分かっていません。ガイドラインや指針に従ったからといって問題ないとは言えません。だからこそ海外では規制する国があるのです。予防原則の立場からも基地局設置には反対です。
なお、人命に関わる緊急時の連絡手段として基地局が必要だといいながら、電磁波による健康被害を無視する姿勢は矛盾しています。
2023年04月22日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答
3月7日付の「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」に対し、JTOWERから以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」へのご回答
貴協会からの令和5年3月6日付け標記申し入れについて、下記のとおり回答申し上げます。
1.トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
わが国における5G基盤の整備は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づいて、全国エリアの展開に向けて推進されているものと認識しております。
今般、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「本5G基地局」といいます。)は、全国を10km四方エリアに区画した第2次地域区画地域メッシュ(以下「2次メッシュ」といいます。)中、都市部・地方を問わず事業可能性が認められるエリア(約4,500メッシュ)への5G展開の基盤となる親局(高度特定基地局)として設置するものです。本5G基地局は、上記全国エリアヘの5G基盤整備の趣旨に沿ったものであり、総務省の「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設に関する指針」において定められた条件を遵守しております。なお、本5G基地局は、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」に存しますが、トムラウシ自然休養林野営場近傍のトムラウシ温泉の既存基地局は2次メッシュ番号「654217」に設置されているため、5G基盤の親局(高度特定基地局)としては、別に設置が必要となるものです。
このような状況の下、本5G基地局の設置場所は、2次メッシュ番号「654216」の範囲内の土地において、道路に面しており建設工事が進めやすい・電力や通信線を容易に引き込める・電波の遮蔽となる障害物がなるべく少なく開けている土地である、などの諸条件を総合的に考慮して選定した結果、トムラウシ自然休養林野営場付近を建設候補地としております。さらに、携帯電話基地局があることにより、山間部においても、地震・豪雨・雪崩などの自然災害が発生した場合や事故などの緊急時において、救助隊との連絡や地域の防災活動に役立てることができます。また、トムラウシ温泉の既存の基地局に加えて、本 5G基地局を建設することにより、トムラウシ自然休養林野営場一帯の携帯電話サービスの向上も図られることになります。
なお、本5G基地局の設置計画については、以下【ご説明経緯】のとおり、すでに貴協会に対して説明をさせていただいており、重複する事項も多いものと存じますが、トムラウシ自然休養林野営場において5G基地局を建設させていただく理由は以上のとおりでございますので、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
【ご説明経緯】
(略)
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
本5G基地局で使用される電波は、わが国の電波防護指針の基準値を満たすものとなっております。また、わが国の電波防護指針は、世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインに準拠しているものと理解しております。ICNIRPでは2020年に5Gの周波数を含む新たなガイドラインを発表しており、その中で、当該ガイドラインを遵守する運用の中では健康へ悪影響を与える証拠はない旨が記載されております1。
以上のとおり、弊社は、本5G基地局の設置につき、法令等を遵守しており、今後も当該指針に従って安全性を保って運用をしてまいります。
なお、弊社は、電波防護指針に則った運用に加えて、当該地区が大雪山国立公園内であることから景観 に配慮した建設も実施いたしますので、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
ーーーーーーーーーー
1 https://www.icnirp.org/cms/upload/publications/ICNIRP_RF_GL2020_Japanese.pdf
********************
JTW-10418440
令和5年4月13日
令和5年4月13日
十勝自然保護協会
共共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
東京都港区南青山二丁目2番3号
株式会社 JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設統括部 タワー建設部長
髙橋 猛
株式会社 JTOWER
インフラシェアリング事業本部
建設統括部 タワー建設部長
髙橋 猛
「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ」へのご回答
貴協会からの令和5年3月6日付け標記申し入れについて、下記のとおり回答申し上げます。
記
1.トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
わが国における5G基盤の整備は、総務省にて示された「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づいて、全国エリアの展開に向けて推進されているものと認識しております。
今般、弊社が建設を予定している「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下「本5G基地局」といいます。)は、全国を10km四方エリアに区画した第2次地域区画地域メッシュ(以下「2次メッシュ」といいます。)中、都市部・地方を問わず事業可能性が認められるエリア(約4,500メッシュ)への5G展開の基盤となる親局(高度特定基地局)として設置するものです。本5G基地局は、上記全国エリアヘの5G基盤整備の趣旨に沿ったものであり、総務省の「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設に関する指針」において定められた条件を遵守しております。なお、本5G基地局は、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の「654216」に存しますが、トムラウシ自然休養林野営場近傍のトムラウシ温泉の既存基地局は2次メッシュ番号「654217」に設置されているため、5G基盤の親局(高度特定基地局)としては、別に設置が必要となるものです。
このような状況の下、本5G基地局の設置場所は、2次メッシュ番号「654216」の範囲内の土地において、道路に面しており建設工事が進めやすい・電力や通信線を容易に引き込める・電波の遮蔽となる障害物がなるべく少なく開けている土地である、などの諸条件を総合的に考慮して選定した結果、トムラウシ自然休養林野営場付近を建設候補地としております。さらに、携帯電話基地局があることにより、山間部においても、地震・豪雨・雪崩などの自然災害が発生した場合や事故などの緊急時において、救助隊との連絡や地域の防災活動に役立てることができます。また、トムラウシ温泉の既存の基地局に加えて、本 5G基地局を建設することにより、トムラウシ自然休養林野営場一帯の携帯電話サービスの向上も図られることになります。
なお、本5G基地局の設置計画については、以下【ご説明経緯】のとおり、すでに貴協会に対して説明をさせていただいており、重複する事項も多いものと存じますが、トムラウシ自然休養林野営場において5G基地局を建設させていただく理由は以上のとおりでございますので、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
【ご説明経緯】
(略)
2.生物多様性に対する電磁波の影響について
本5G基地局で使用される電波は、わが国の電波防護指針の基準値を満たすものとなっております。また、わが国の電波防護指針は、世界保健機関(WHO)の推奨する国際的なガイドラインであるICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインに準拠しているものと理解しております。ICNIRPでは2020年に5Gの周波数を含む新たなガイドラインを発表しており、その中で、当該ガイドラインを遵守する運用の中では健康へ悪影響を与える証拠はない旨が記載されております1。
以上のとおり、弊社は、本5G基地局の設置につき、法令等を遵守しており、今後も当該指針に従って安全性を保って運用をしてまいります。
なお、弊社は、電波防護指針に則った運用に加えて、当該地区が大雪山国立公園内であることから景観 に配慮した建設も実施いたしますので、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上
ーーーーーーーーーー
1 https://www.icnirp.org/cms/upload/publications/ICNIRP_RF_GL2020_Japanese.pdf
2023年03月11日
トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置についてJTOWERに申し入れ
大雪山国立公園内のトムラウシ自然休養林野営場にJTOWERが5G基地局を設置するとの計画があり、当会は計画に反対の立場から申入れをしました。
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
当会は2月22日に、貴社の事業を請け負う株式会社つうけん及び合同会社ネクサスの担当者より、トムラウシ自然休養林野営場の5G高度特定基地局共用施設設置について説明を受けました。これについて、当会の見解を以下に述べます。
年度末でご多忙と存じますが、3月27日までに貴職のご見解をいただきたくお願いいたします。
1 トムラウシ自然休養林野営場での5Gアンテナの必要性について
5G高度特定基地局共用施設の設置場所をどのように選定したのかについては分からないとの説明がありました。
トムラウシ自然休養林野営場はオープンしている期間が7月~9月の3カ月しかありません。直線距離で1km弱のトムラウシ温泉にはすでに4Gのアンテナがあり、野営場が圏外であってもわずかな移動で利用することができます。
また、過疎地でも人命にかかわるような事故などの際に連絡ができるようにする必要性があるとの説明がありました。トムラウシ山の登山者の遭難などへの対応を考えられますが、5Gの電波は到達距離が短いうえ地形的にも電波が届く範囲は限られ野営場の近辺しか利用できません。なお、高山部の稜線では4Gの電波が届いています。したがって、不要な施設であり設置には同意できません。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
配布された総務省の資料では電磁波の強さは基準値以下であり、WHOも国際ガイドラインを下回れば健康に悪影響を及ぼす証拠はないとの見解であると説明されています。しかし、WHOの基準は過去のものであり、これより厳しい基準にしている国が増えています。例えばベルギーの首都ブリュッセルでは5Gが禁止され、イタリア、スイスのボード市、アメリカのサンフランシスコ市でも5Gを制限する決定がなされています。
電磁波による健康被害についての論文は多数あります。携帯電話の基地局設置に対して各地で反対運動も起きており、「電磁波からいのちを守る全国ネット」や「いのち環境ネットワーク」は、電磁波による健康被害について様々な情報を発信しています。健康被害の懸念がないのであれば、このような動きは起きません。
また、強い電磁波による人体への影響は調査され基準もありますが、弱い電磁波に長期間被曝することによる影響は調査されていません。電磁波による健康被害は個人差が大きく、本人にその自覚がないこともあります。4Gの電磁波ですら健康被害を訴え、電磁波の影響が小さい場所への転居を余儀なくされる人もいます。どこにいても高速大容量通信ができることは便利ですから、今のところ健康被害のない多数の人は、その便利さを享受するために被害者に目をつむりたくなる心情がどうしても生まれます。しかし、少数の被害者を無視する社会であってはなりません。
人体に影響があるということは、ヒト以外の生物にも影響があると言えます。実際に、5Gの電磁波は昆虫や鳥類、哺乳類などさまざまな生物に悪影響を与えることが指摘されています。例えば、ドイツではハチやハエの生態にダメージを与えていることが確認されており、昆虫が減少することが懸念されます。昆虫が減ればそれを捕食する動物も減ります。ハチやアブなどの訪花性昆虫の減少により花粉媒介が行われなくなれば植物も減り、農作物にも影響を及ぼす可能性があります(注1)。電磁波がスズメ類などの野鳥の生息数や行動に悪影響を及ぼすという研究もあります(注2)。哺乳類では、妊娠中の牛が電磁波を発する基地局の近くにいると、生まれた子牛が白内障に罹患する可能性が高くなることが分かっており(注3)、野生動物への影響も懸念されます。
このように電磁波は人里離れている山地でも生態系に大きな影響を与える可能性があります。生物多様性保全の観点からも国立公園内に強力な電磁波を発生させる5G基地局を設置することに反対します。
注1 昆虫の減少に「スマホの電波」が関与か、”5G”の導入で地球から昆虫がいなくなる可能性が示される
https://nazology.net/archives/70005
注2 電磁波のさまざまな発生源: 危険は身体の健康だけにとどまらない
https://alzhacker.com/the-different-sources-of-electromagnetic-fields-dangers-are-not-limited-to-physical-health/
注3 次世代通信技術5Gのもつ危険性に目をつむる日本政府(後)
https://www.data-max.co.jp/article/30924
********************
2023年3月7日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ
当会は2月22日に、貴社の事業を請け負う株式会社つうけん及び合同会社ネクサスの担当者より、トムラウシ自然休養林野営場の5G高度特定基地局共用施設設置について説明を受けました。これについて、当会の見解を以下に述べます。
年度末でご多忙と存じますが、3月27日までに貴職のご見解をいただきたくお願いいたします。
記
1 トムラウシ自然休養林野営場での5Gアンテナの必要性について
5G高度特定基地局共用施設の設置場所をどのように選定したのかについては分からないとの説明がありました。
トムラウシ自然休養林野営場はオープンしている期間が7月~9月の3カ月しかありません。直線距離で1km弱のトムラウシ温泉にはすでに4Gのアンテナがあり、野営場が圏外であってもわずかな移動で利用することができます。
また、過疎地でも人命にかかわるような事故などの際に連絡ができるようにする必要性があるとの説明がありました。トムラウシ山の登山者の遭難などへの対応を考えられますが、5Gの電波は到達距離が短いうえ地形的にも電波が届く範囲は限られ野営場の近辺しか利用できません。なお、高山部の稜線では4Gの電波が届いています。したがって、不要な施設であり設置には同意できません。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
配布された総務省の資料では電磁波の強さは基準値以下であり、WHOも国際ガイドラインを下回れば健康に悪影響を及ぼす証拠はないとの見解であると説明されています。しかし、WHOの基準は過去のものであり、これより厳しい基準にしている国が増えています。例えばベルギーの首都ブリュッセルでは5Gが禁止され、イタリア、スイスのボード市、アメリカのサンフランシスコ市でも5Gを制限する決定がなされています。
電磁波による健康被害についての論文は多数あります。携帯電話の基地局設置に対して各地で反対運動も起きており、「電磁波からいのちを守る全国ネット」や「いのち環境ネットワーク」は、電磁波による健康被害について様々な情報を発信しています。健康被害の懸念がないのであれば、このような動きは起きません。
また、強い電磁波による人体への影響は調査され基準もありますが、弱い電磁波に長期間被曝することによる影響は調査されていません。電磁波による健康被害は個人差が大きく、本人にその自覚がないこともあります。4Gの電磁波ですら健康被害を訴え、電磁波の影響が小さい場所への転居を余儀なくされる人もいます。どこにいても高速大容量通信ができることは便利ですから、今のところ健康被害のない多数の人は、その便利さを享受するために被害者に目をつむりたくなる心情がどうしても生まれます。しかし、少数の被害者を無視する社会であってはなりません。
人体に影響があるということは、ヒト以外の生物にも影響があると言えます。実際に、5Gの電磁波は昆虫や鳥類、哺乳類などさまざまな生物に悪影響を与えることが指摘されています。例えば、ドイツではハチやハエの生態にダメージを与えていることが確認されており、昆虫が減少することが懸念されます。昆虫が減ればそれを捕食する動物も減ります。ハチやアブなどの訪花性昆虫の減少により花粉媒介が行われなくなれば植物も減り、農作物にも影響を及ぼす可能性があります(注1)。電磁波がスズメ類などの野鳥の生息数や行動に悪影響を及ぼすという研究もあります(注2)。哺乳類では、妊娠中の牛が電磁波を発する基地局の近くにいると、生まれた子牛が白内障に罹患する可能性が高くなることが分かっており(注3)、野生動物への影響も懸念されます。
このように電磁波は人里離れている山地でも生態系に大きな影響を与える可能性があります。生物多様性保全の観点からも国立公園内に強力な電磁波を発生させる5G基地局を設置することに反対します。
注1 昆虫の減少に「スマホの電波」が関与か、”5G”の導入で地球から昆虫がいなくなる可能性が示される
https://nazology.net/archives/70005
注2 電磁波のさまざまな発生源: 危険は身体の健康だけにとどまらない
https://alzhacker.com/the-different-sources-of-electromagnetic-fields-dangers-are-not-limited-to-physical-health/
注3 次世代通信技術5Gのもつ危険性に目をつむる日本政府(後)
https://www.data-max.co.jp/article/30924