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2023年11月03日
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、9月29日付回答に対する抗議
9月29日付のJTOWERからの回答は詭弁と以前の主張の繰り返しであり、誠意のある対応が見られませんでした。この回答を受け、JTOWERに対し、以下の抗議書を送付しました。
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
当会の2023年8月6日付「JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問」に対し、貴社より9月29日付で回答がありましたが、詭弁や以前の説明の繰り返しで納得できるような回答ではありませんでした。このような回答では、トムラウシ自然休養林野営場の5G基地局を認めることにはなりません。以下に納得できない理由を説明するとともに、5G基地局設置を強行する姿勢に強く抗議します。なお、毎回同じような回答しかいただけないため、本書面に対する回答は不要です。
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
貴社は6月14日付の回答で、「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下『本5G基地局』といいます。)は、総務省にて示された『デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)』1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の『654216』内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、『地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とする・・・」 「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」と説明しています。
「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の17ページを見ると、「条件不利益地域で5Gを整備する際に補助を実施」と書かれており、条件不利益地域とは「過疎地、辺地、離島、半島、山村、特定農山村又は豪雪地帯の地域」と説明されています。一方で、法令による「過疎地域」は市町村単位に指定されています。つまり、「条件不利益地域の過疎地」は法令による「過疎地域」を指しているわけではありません。
しかも、当該メッシュには過去も現在も誰も居住しておらず「過疎地」にすら該当しません。貴社の説明は、過疎地に該当しない場所を過疎地とした上に、「条件不利益地域の過疎地」を恣意的に「過疎地域(新得町全体)」であると強弁しているのであり、詭弁と言うほかありません。
誰も居住者がおらず、夏季の3カ月しかオープンしていない野営場、しかも数百メートル移動すれば4Gの電波が利用できる場所に基地局は不要ですし、補助金事業ですから税金の無駄遣いです。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
電磁波は光エネルギーを持つ放射線です。人工電磁波の曝露防護指針があるのは人間を含むあらゆる生物に影響がある可能性が高いからです。人工放射線と同様に生物が進化の過程で遭遇していないものなので、その影響は未知の分野です。ICNIRPの曝露防護指針は人工電磁波の熱効果に重きが置かれており、非熱効果については科学的に証明されていないという理由で軽視されています。2018年のスロベニアにおいてWHOがICNIRPを公式に承認できない(endorse 支持する、是認するの意)ことを再確認したのは、その曝露防護指針が完全ではないからです。
総務省が2022年3月に出した報告書によれば、各国においてそれぞれ独自の防護指針を作成する傾向にあります。例えばブラジル連邦共和国では自然保護区域、環境保護区域、野生生物保護区域での基地局の設置、サポートインフラの設置を法律によって禁止しています。またスイスでは連邦環境保護法の第一条で、生物多様性について予防措置の観点から有害または迷惑となる可能性のある影響を早い段階から制限する必要があると書かれています。
2023年3月の環境省の「身の回りの電磁波について』も含め日本政府の防護指針はICNIRPの指針に従えば『安全』であるように述べられていますが、国際的に安全指針なるものはありません。原子力の商業利用を平和利用と表現したのと同様に、言葉を変えています。政府に従えば将来に大きな過ちを起こしかねません。
生命の維持は全て電気的作用によって行われており、必要なエネルギーは5−7eV(電子ボルト)以下と非常に少ないのです。2014ー2015年以降『非熱効果』についての論文が多数見られますが、そのほとんどが生命に対して影響ありとされています。5G、6Gの生命に対する『熱効果』『非熱効果』の影響は未知の分野であり、人工放射能の内部被曝と同様にあらゆる生命体に対して現代に生きる私達は慎重に対処すべきです。
3 予防原則の見解について
「予防原則」とは「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方」を指します(*)。
当会は2023年3月7日付の貴社への申し入れの中で、生物多様性に対する電磁波の影響について具体例を挙げて指摘しました。しかし、貴社はこれらの事例を否定することができませんでした。
貴社が予防原則の考え方を尊重するのであれば、国立公園の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある基地局の設置計画は中止しなければなりません。当該メッシュは誰も居住しておらず、本計画を中止することで不利益を被る人はいません。緊急時の連絡であればトムラウシ温泉の4G電波や衛星電話で十分可能です。それにも関わらず建設を強行するのであれば、貴社に予防原則を尊重する考えがないものと判断せざるを得ません。
*https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635
********************
2023年10月29日
株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様
十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
JTOWERの9月29日付回答に対する抗議書
当会の2023年8月6日付「JTOWERの6月14日付回答に対する当会の見解と質問」に対し、貴社より9月29日付で回答がありましたが、詭弁や以前の説明の繰り返しで納得できるような回答ではありませんでした。このような回答では、トムラウシ自然休養林野営場の5G基地局を認めることにはなりません。以下に納得できない理由を説明するとともに、5G基地局設置を強行する姿勢に強く抗議します。なお、毎回同じような回答しかいただけないため、本書面に対する回答は不要です。
記
1 トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局の必要性について
貴社は6月14日付の回答で、「トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局(以下『本5G基地局』といいます。)は、総務省にて示された『デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)』1)の5G整備の趣旨に沿って、2次メッシュ番号(国土地理院発行)の『654216』内のエリアに建設するものになります。同整備計画の“携帯電話等エリア整備事業の概要"(p.17)において、『地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において携帯電話等を利用可能とする・・・」 「本5G基地局の建設地は、『過疎地』に該当している」と説明しています。
「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(概要)」の17ページを見ると、「条件不利益地域で5Gを整備する際に補助を実施」と書かれており、条件不利益地域とは「過疎地、辺地、離島、半島、山村、特定農山村又は豪雪地帯の地域」と説明されています。一方で、法令による「過疎地域」は市町村単位に指定されています。つまり、「条件不利益地域の過疎地」は法令による「過疎地域」を指しているわけではありません。
しかも、当該メッシュには過去も現在も誰も居住しておらず「過疎地」にすら該当しません。貴社の説明は、過疎地に該当しない場所を過疎地とした上に、「条件不利益地域の過疎地」を恣意的に「過疎地域(新得町全体)」であると強弁しているのであり、詭弁と言うほかありません。
誰も居住者がおらず、夏季の3カ月しかオープンしていない野営場、しかも数百メートル移動すれば4Gの電波が利用できる場所に基地局は不要ですし、補助金事業ですから税金の無駄遣いです。
2 生物多様性に対する電磁波の影響について
電磁波は光エネルギーを持つ放射線です。人工電磁波の曝露防護指針があるのは人間を含むあらゆる生物に影響がある可能性が高いからです。人工放射線と同様に生物が進化の過程で遭遇していないものなので、その影響は未知の分野です。ICNIRPの曝露防護指針は人工電磁波の熱効果に重きが置かれており、非熱効果については科学的に証明されていないという理由で軽視されています。2018年のスロベニアにおいてWHOがICNIRPを公式に承認できない(endorse 支持する、是認するの意)ことを再確認したのは、その曝露防護指針が完全ではないからです。
総務省が2022年3月に出した報告書によれば、各国においてそれぞれ独自の防護指針を作成する傾向にあります。例えばブラジル連邦共和国では自然保護区域、環境保護区域、野生生物保護区域での基地局の設置、サポートインフラの設置を法律によって禁止しています。またスイスでは連邦環境保護法の第一条で、生物多様性について予防措置の観点から有害または迷惑となる可能性のある影響を早い段階から制限する必要があると書かれています。
2023年3月の環境省の「身の回りの電磁波について』も含め日本政府の防護指針はICNIRPの指針に従えば『安全』であるように述べられていますが、国際的に安全指針なるものはありません。原子力の商業利用を平和利用と表現したのと同様に、言葉を変えています。政府に従えば将来に大きな過ちを起こしかねません。
生命の維持は全て電気的作用によって行われており、必要なエネルギーは5−7eV(電子ボルト)以下と非常に少ないのです。2014ー2015年以降『非熱効果』についての論文が多数見られますが、そのほとんどが生命に対して影響ありとされています。5G、6Gの生命に対する『熱効果』『非熱効果』の影響は未知の分野であり、人工放射能の内部被曝と同様にあらゆる生命体に対して現代に生きる私達は慎重に対処すべきです。
3 予防原則の見解について
「予防原則」とは「化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方」を指します(*)。
当会は2023年3月7日付の貴社への申し入れの中で、生物多様性に対する電磁波の影響について具体例を挙げて指摘しました。しかし、貴社はこれらの事例を否定することができませんでした。
貴社が予防原則の考え方を尊重するのであれば、国立公園の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある基地局の設置計画は中止しなければなりません。当該メッシュは誰も居住しておらず、本計画を中止することで不利益を被る人はいません。緊急時の連絡であればトムラウシ温泉の4G電波や衛星電話で十分可能です。それにも関わらず建設を強行するのであれば、貴社に予防原則を尊重する考えがないものと判断せざるを得ません。
*https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2635
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その3)
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、6月14日付回答に対する当会の見解と質問
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その2)
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、JTOWERの回答に対する当会の見解
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答
トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置についてJTOWERに申し入れ
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、6月14日付回答に対する当会の見解と質問
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答(その2)
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置について、JTOWERの回答に対する当会の見解
トムラウシ自然休養林野営場での5G基地局設置についてJTOWERからの回答
トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置についてJTOWERに申し入れ
Posted by 十勝自然保護協会 at 13:44│Comments(0)
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