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十勝自然保護協会 活動速報 › サホロスキー場問題

2016年12月29日

サホロスキー場北斜面オープンにあたっての声明

声明


 加森観光は、佐幌岳北斜面に新たなスキー場を開発し、12月25日、その一部をオープンした。私たちは、次の理由により、このオープンに強く抗議するとともに、北斜面スキー場の営業について再考することを求める。

理由
1 佐幌岳北斜面は、エゾナキウサギの生息地であることが私たちの調査により確認された。エゾナキウサギは環境省レッドデータブックに準絶滅危惧として掲載されている。新たなスキー場造成はその生息地を直撃するものである。そのような場所にスキー場を開設することの是非については、目下、札幌地方裁判所において係争中である。その事態を無視して、スキー場オープンを強行したことは、加森観光の理不尽な軽挙妄動と言うべきもので、容認できない。
2 加森観光は、過去において自然環境上問題ありという理由で中止された北斜面のスキー場開発を、今回無理に復活させ押し通した。その計画の許認可に当たっては、北海道行政当局から再三指導を受けているが、私たちの正当な多くの疑念に対し、不誠実な態度を示し、無視した上で、今回のオープンを強行したものであり容認できない。

                  2016年12月25日
                     十勝自然保護協会
                              共同代表 安藤御史
                                    佐藤与志松
                     ナキウサギふぁんくらぶ
                                 代表 市川利美

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:42Comments(0)サホロスキー場問題

2013年10月17日

佐幌岳北斜面のスキー場造成中止をもとめ提訴

 本日、当会などが原告となり、佐幌岳北斜面のスキー場造成の中止を求める訴状を札幌地方裁判所に提出しました。
 これがマスコミで取り上げられたことから、当会のブログのコメント欄に、自然を徹底的に破壊して道内経済がよくなるのなら開発を希望するという方からの書込みがありました。

 自然破壊推進論を主張するのは個人の自由の範疇かもしれませんが、もはや生物多様性を保全する(今回の場合は、ナキウサギの保護)という世界の潮流を押しとどめることはできません。
 1992年、リオデジャネイロの地球サミットで、生物の多様性を保全する,つまり生態系や生息地の保全などを目的とする生物多様性条約が採択されました。
 翌年、わが国は生物多様性条約の締約国となりました。現在190カ国が締約国となっています。締約国は生物多様性を保全するための法整備が義務付けられ、これに基づく施策をしなければなりません。
 北海道が今年4月から、「北海道生物の多様性の保全等に関する条例」(通称、北海道生物多様性条例)を施行したのもこの流れに沿うものです。
 
 いまは、生物多様性を保全、すなわち自然保護を前提に経済活動をおこなうという時代になったのです。これは生物多様性の保全が人類の生存に不可欠、あるいは有益との認識が世界の大勢を占めているということを意味します。自然破壊をする刹那的経済活動ではなく、将来を見通した「大局的な視野」での経済活動が求められているのです。
 生物多様性条約についてはhttp://city.hokkai.or.jp/~kagami/もご覧ください。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 23:05Comments(0)サホロスキー場問題

2013年10月16日

北海道の要請も無視して加森観光がスキーコース造成を強行

 いま佐幌岳の麓で加森観光が大々的に森林を伐採し、スキーコース造成を進めています。

 自然保護団体は、昨年12月27日付で北海道から「『今後事業を進めるに当たっては、道の付帯意見などを踏まえ、山腹のガレ場については、そのまま残して生息可能環境の保全を図る』ことを事業者(注:加森観光のこと)に確認をしております」との文書を受け取りました。
 このため、2月23日付で、ガレ場をそのまま残しかつ生息可能環境の保全を図る工事が可能なのか加森観光に説明を求めました。しかしまったく応答がないことから、6月1日付で加森観光に代わって説明するよう北海道に求めました。
 これに対し北海道から「平成25年6月1日付けで北海道自然保護連合ほか2団体から道に寄せられた質問につきましては、事業者が行うとしている配慮の具体的内容に関するものであり、事業者において回答すべきものであるため、道としては、6月19日付けで加森観光(株)に対し、別添のとおり、責任を持って適切に対応するよう文書で求めているところです。しかし、未だに対応がなされていないもようであるため、道としては、引き続き適切な対応を求めるとともに、事業者において責任を持った対応がなされない場合には、その理由を明確にするよう求めているところです。」との回答がありました。
 北海道が6月19日付で加森観光に送付した文書には「今般、北海道自然保護連合ほか2団体から道に対し、エゾナキウサギの生息可能環境の保全についての質問書が別添のとおり寄せられていますが、質問は、貴社が行うとしている配慮の具体的内容に関するものであり、貴社において回答していただくべきものですので、責任をもって適切に対応してください。なお、当該団体への対応結果につきましては、その内容を当職にもお知らせいただきますようよろしくお願いいたします。」と書かれていました。

 北海道からこのような要請を受けているにもかかわらず、エゾナキウサギの生息可能環境の保全について自然保護団体になんら説明することなく、加森観光はスキー場造成工事を強行し大々的に森林を切り払っているのです。
 生物多様性条約の締約国であるわが国では国をあげて生物多様性の保全にとりくむことが求められています。それにもかかわらず加森観光が行政や自然保護団体の要請を無視し、スキー場造成工事を進めることは社会への挑戦といわなければなりません。
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 22:52Comments(2)サホロスキー場問題

2013年03月07日

佐幌岳北斜面スキー場造成でダンマリを決め込む加森観光

 佐幌岳北斜面のスキー場造成について、その後の動きです。

 自然保護団体は、昨年6月29日付で北海道知事に「佐幌岳の開発中止とナキウサギ生息地保全を求める要望書」を提出し、6月5日に北海道が加森観光へ出した開発許可の取り消しを求めました。

 これに対し2012年7月19日付で北海道環境生活部環境局長から、事業者にたいし必要に応じて情報の提供をもとめるなどして、環境配慮の取組みを促すとの返答がありました。そして8月31日に環境局長と話し合いの場をもち、この席で環境局長は、これまでの対応は説明不足でご迷惑をかけた申し訳ない。知事の付帯意見については、引き続き事業者にお願いしていく。加森観光の調査については道にだけでなく(道民にも)情報公開するようお願いしていく、と発言しました。

 加森観光に対しては7月11日に加森観光の本社に行き、佐幌岳北斜面でのナキウサギ生活痕跡の写真を示したうえで開発の中止を求めました。1か月半後、写真はナキウサギ生息の根拠にならないとの見解が加森観光から電話で伝えられました。このため9月17日付で「根拠を示さず、当方の見解を否定することは社会的に通用しませんので、根拠を具体的に文書で示していただきますようあらためて要請いたします。」との文書を送ったのですが、これを無視したまま加森観光は10月に佐幌岳の麓に重機を入れスキーコース造成のための作業に着手しました(北海道新聞2012年10月17日付)。

 当会などの主催で10月20日にナキウサギフォーラムを開催し、計画の中止を求める決議文を採択して加森観光へ送付しました。そして12月17日付で道知事に、加森観光が北斜面でのスキー場造成工事に着手したが、これは、知事の付帯意見を踏みにじるものであり、加森観光に対し知事の付帯意見を遵守するよう働きかけをしたのかと質問書を送りました。これに対し、12月27日付で環境局長から「道の付帯意見を踏まえ、山腹のガレ場については、そのまま残して生息可能環境の保全を図る」ことを事業者に確認した、との回答がありました。

 そこで、さる2月5日に加森観光に対し、貴社はガレ場をそのまま残すと道に説明しているが、私たちはガレ場で測量杭を確認しているので、ガレ場をそのまま残しかつ生息可能環境の保全を図ることが可能なのか、説明して欲しいと面談を求めるファックスをいれ、2度電話したのですが、担当者は電話に出ませんでした。やむなく2月23日付で下記の文書を加森観光に送りました。3月7日現在、加森観光からは回答はありません。加森観光には社会に説明できない不都合があるようです。

******

佐幌岳北斜面スキーコース造成とナキウサギ生息地保全についての質問

 私たちは、サホロスキー場開発について、昨年12月に北海道環境生活部環境局長から「『今後事業を進めるに当たっては、道の付帯意見などを踏まえ、山腹のガレ場については、そのまま残して生息可能環境の保全を図る』ことを事業者に確認をしております」との文書(2012年12月27日付)を受け取りました。
 貴社はガレ場をそのまま残すと道に説明していますが、私たちはガレ場で測量杭を確認していますので、ガレ場をそのまま残しかつ生息可能環境の保全を図ることが可能なのか疑問に思っております。
 つきましては、どのような工事を考えておられるのか回答いただきたくお願いいたします。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 21:24Comments(0)サホロスキー場問題

2012年07月14日

佐幌岳のスキー場開発中止を求める要望書を提出

 佐幌岳北斜面でのナキウサギの生息確認をうけて、北海道自然保護連合・サホロリゾート開発問題協議会・ナキウサギふぁんくらぶは、6月29日付で北海道知事にスキー場造成の中止をもとめる下記の要望書を提出しました。

佐幌岳の開発中止とナキウサギ生息地保全を求める要望書

一 佐幌岳の北斜面でエゾナキウサギの生息を確認
 佐幌岳では1987 年に東斜面の標高760m付近で、1991 年に北斜面の標高850m付近でエゾナキウサギの生息地が発見されていたが、今回の加森観光株式会社(以下、加森観光という)による調査により、佐幌岳山頂から250m北東の地点に岩塊堆積地のあることが明らかになった。ここは、加森観光によりスキーコースとリフトの設置が計画されているところである。
 そこで私たちは、この岩塊堆積地において調査を行ってきた。その結果、2012年3 月には巨大な岩塊近くでエゾナキウサギの可能性のある足跡(別紙・写真1)を発見し、まだ積雪の残る5 月にはエゾナキウサギの採餌痕(ハナヒリノキの噛み切り跡)(写真2)とエゾナキウサギによる小枝の貯食(一時的あるいは断片的貯食)(写真3)を複数の岩穴で多数、確認した。
 そして先日、6 月24 日には、エゾナキウサギによる多数の採餌痕(ハナヒリノキなど)(写真18~20)、13 カ所以上で新しい貯食(マイヅルソウの葉、シダなど)(写真4~16)、1 カ所で古い貯食(写真17)を確認した。
 以上により、この岩塊堆積地一帯において、エゾナキウサギが周年生息して
いることは明らかである。
 なお、加森観光は、私たちの調査を報じた新聞記事(北海道新聞2012 年3月30 日付帯広十勝版)にもとづき、4 月19、20 日に調査を行ったが痕跡を発見できなかったとのことである(6 月14 日の面談における米安道環境計画担当課の発言)が、雪が残る森林内の岩塊堆積地における調査であるから、痕跡を確認できなかったことをもって生息を否定することは極めて恣意的な結論である。

二 造成計画地はエゾナキウサギにとって重要な生息地
 この岩塊堆積地は、これまで(1987 年と1991 年)に確認されていた岩塊堆積地よりも面積が大きく、エゾナキウサギの複数のつがいの生息が可能な規模であることから、佐幌岳におけるエゾナキウサギのコア的生息地であるといえる。
 北海道におけるエゾナキウサギの分布は、1991 年に北海道が刊行した「野生動物分布等実態調査報告書 ナキウサギ生態等調査報告書」により概要が明らかになった。これによると、ナキウサギの分布域は大きく3 つに分けられる(別添資料参照)。すなわち、大雪山系・北見山地、日高山脈そして夕張山地である。このうち大雪山系・北見山地と日高山脈の生息地を結ぶのが佐幌岳の生息地である。もし佐幌岳での生息地が撹乱により失われると、大雪山系・北見山地のナキウサギ個体群と日高山脈のナキウサギ個体群との遺伝子交流が大きく損なわれると考えられる。したがって、北海道におけるエゾナキウサギの保護を考えるうえからも、佐幌岳の岩塊堆積地を保全することは極めて重要である。

三 北海道の許可手続きの重大な問題点
 北海道は、この5 月末に特定開発行為を許可したが、この手続きには以下の重大な瑕疵があり、許可は無効である。

1 知事の付帯意見の無視
 かつて佐幌岳一帯のリゾート開発が進められたときに、北斜面の開発は中止され、H4(1992)年の北海道環境影響評価条例に基づく狩勝高原サホロリゾート開発事業の環境影響評価において、知事は事業者に以下の意見を出した。
 付帯意見1.エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力すること。
 私たちは、昨年11 月17 日付で「サホロリゾート北斜面開発(スキー場拡張)の『知事意見』無視についての申入れ」を知事に送付し、北斜面スキーコースの開発区域コース1、コース2 でガレ場を確認した事実は上記知事の付帯意見1に該当するため、これを尊重するよう申し入れをした。
 これに対し、貴職からは、米安環境計画担当課長名で、「付帯意見のナキウサギの件についてでありますが、環境影響評価は事業者に自主的な環境配慮の取組みを促すものであり、当該案件に係る審査意見書については、旧環境影響評価条例(S53)に基づき平成4 年に事業者あてに発出し手続きは終了しております」(2011 年11 月25 日付文書)との回答があった。
 しかし、これは事実に反するものであった。
 北海道は、2010 年1 月7 日に加森観光に対し「平成4 年の知事意見に対応した事業者の考え方及び既に講じた措置を報告書に記載し提出すること」と指導していたのである(同日付「環境影響評価業務相談票」)。
 私たちの指摘に対して、米安課長は、森林管理局から知事意見のことを指摘された加森観光が相談にきて指導した、と道が指導した事実を認めた。
知事の付帯意見は、佐幌岳におけるエゾナキウサギの生息地の重要性を十分認識したうえで、事業予定地のみならず、予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力することを求めるという、知事の高い見識と強い意志が明記されたものである。
 したがって、平成4年に手続きが終了するものではなく、この地域での開発に際しては、周辺も含めて調査を詳細に行う必要があり、生息地に影響を与える開発は一切許されない。
 それゆえ、道の環境推進課は2010 年度に何度も加森観光に対して「指導」を行っているのである。
 環境推進課は、2010 年1 月に加森観光が北海道森林管理局へ提出した「2008年 十勝北海道サホロリゾート北斜面開発行為に伴う森林施業のあり方調査調査報告書」(以下、「調査報告書」)において北斜面のエゾナキウサギ生息地を隠蔽している」と私たちから指摘されていたにも関わらず(2010 年4 月12 日・新得町における住民説明会)、この報告書を容認し、エゾナキウサギの生息環境の悪化についての検討をすることなく、特定開発行為の手続きを進めたのである。
 これは知事の付帯意見の無視と言わざるを得ない。
 今回、私たちの調査により北斜面のエゾナキウサギの生息が明らかになった以上、知事の付帯意見を尊重し、エゾナキウサギの生息に重大な影響を及ぼす本事業の中止を加森観光に求める必要がある。

2 特定開発行為における許可基準の無視
 「北海道自然環境等保全条例」30 条第3 項(1)は、「特定の開発行為をする土地の区域に所在する森林が、当該区域及びその周辺の地域の環境の保全上又は水源のかん養上必要な限度において、適正に保存されるように措置されていること」を定めている。
 「当該区域及びその周辺の地域の環境の保全上」とは、「例えば、貴重な動植物の生息・生育環境、大切な自然景観、人の生活に重要な憩いの場を悪化させるおそれがある開発行為」である(北海道のホームページ)。
 エゾナキウサギが地史的、生態的側面だけから見ても学術的に貴重な動物であることは、北海道自らが認めていることである(上記「エゾナキウサギ生態等調査報告書」)。その生息地において森林を伐採しスキーコースを造成することは、エゾナキウサギの生息環境を著しく悪化させる開発行為であるから、許可基準(1)に反する。
 また上記条例30 条第7 項に基づく北海道特定開発行為審査会が2011 年に3回開催されているが、この中で、知事意見やエゾナキウサギのガレ場が存在していることについては一切資料が配布されておらず、審査委員に知らされていない。
 このように、エゾナキウサギの生息地への影響の検討が全くなされていない許可手続きには重大な瑕疵があり、許可は無効である。

3 加森観光の調査報告書の重大な問題点
 前記「調査報告書」は、加森観光が北海道森林管理局の指示に基づき調査し、提出したものであるが、加森観光は北海道にも提出している。この「調査報告書」は、道の特定開発行為の許可の検討のための資料になっていると考えられる。仮に、道が資料として一顧だにしていないとすると、知事の付帯意見及び許可基準の無視といえ、重大な手続き上の瑕疵である。
 その内容に重大な事実の隠蔽があり、調査内容も極めて不十分であったことは、私たちがこれまでに再三指摘してきたことであるが、ここに再度詳述する。

 (1) 事実の隠蔽
 加森観光は新得町において4 月12 日に住民説明会、5 月17 日に意見交換会を行ったが、この席上、十勝自然保護協会から調査報告書に佐幌岳北斜面のエゾナキウサギの生息の事実が全くふれられていないと問いただされたのに対し、環境調査を行った株式会社森林環境リアライズの担当者は、佐幌岳北斜面でエゾナキウサギの生息が確認されていたことは知っていたと証言した。つまり知っていながら調査報告書では佐幌岳北斜面のエゾナキウサギの生息についてふれなかったのである。開発を計画している北斜面においてエゾナキウサギの生息が確認されていたという重大な事実を隠蔽し、森林管理局に報告が行われていた。その後、十勝自然保護協会などの要請により森林管理局が指導して、加森観光は北斜面からエゾナキウサギの生息が確認されていると修正した調査報告書を提出した。
 この調査報告書にはまだ重大な欠陥がある。加森観光は、佐幌岳山頂から北西へ1.4km ほどのところにある「佐幌岳北西尾根ガレ場」でエゾナキウサギの調査を行ったが、生息や生息痕跡を確認できなかったと調査報告書に記述している。しかし、ここから900mほど北に位置し、1993 年にエゾナキウサギの貯食や糞が発見された「佐幌岳北方尾根1036mピーク」では調査を行わなかったのである。ここでエゾナキウサギの貯食や糞が発見されていたことは、彼らが調査報告書で引用した「北海道中央部、佐幌岳とその周辺におけるエゾナキウ
サギの生息地」(ひがし大雪博物館友の会エゾナキウサギ調査グループ 2000)に書かれていることである。しかもこの地点は彼らの調査範囲に含まれているのである。
 このように加森観光は、調査では有力な生息地である佐幌岳北方尾根1036mピークでの生息調査を避け、調査報告書では開発計画地ある佐幌岳北斜面における過去の生息事実を隠していた。

 (2) 不十分な調査内容
 加森観光の「調査報告書」71 頁によると、各ガレ場は(北斜面コース沿いガレ場以外)、わずか1 日しか調査されていない。北斜面ガレ場の調査は2009 年7 月2 日、北斜面コース沿いガレ場は2009年11 月5、6 日に調査されただけである。それにも関わらず、生息を否定することは、およそ科学的とは言い難い。エゾナキウサギが生息していることの確認であれば一日の調査で判明することもあるが、生息していないことの確認は、通常一日の調査では困難である。特に森林帯のガレ場での調査は鳴き声、目視が困難である。また、生息痕跡の内容も季節によって異なることが多く、例えば貯食は秋から初冬にかけて多い。
以上から複数日、複数の季節、複数の年数にわたる調査が求められる。特に北斜面のような過去にエゾナキウサギが生息していたことが明らかであり、生息環境としても適している場所での調査には慎重さが求められる。
 現に私たちは北斜面における今年3 月、5 月、6 月の3 回の調査によって、エゾナキウサギの生息痕跡を複数確認した。
 以上、加森観光の調査は、極めて不十分であるばかりか意図的に事実を隠蔽しようとするものであり、信憑性に欠ける。繰り返しになるが、このような報告書を前提にした許可手続きは無効である。

四 結 論
 佐幌岳はエゾナキウサギにとって重要な生息地であり、佐幌岳北斜面におけるスキー場造成はエゾナキウサギの生存に深刻な影響を与える可能性が高い。
 私たちは、知事に、知事の付帯意見を尊重し、すでに出した特定開発行為の許可を撤回し、佐幌岳の開発を中止することを強く要望する。
 加森観光は、昨年12 月27 日の私たちのとの話合いの席で、私たちが知事の付帯意見を無視するのかと問うたのに対し、加森観光の担当者は知事の付帯意見を無視しませんと明言したことを申し添えておく。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 11:44Comments(0)サホロスキー場問題

2012年06月22日

知事意見を棚上げし佐幌岳スキー場の開発許可を出した北海道

 6月5日付十勝毎日新聞は、北海道が佐幌岳北斜面のスキー場の造成に許可を出したことを報じた。この許可に関して6月14日、北海道自然保護連合・十勝自然保護協会・ナキウサギふぁんくらぶは道庁へ行き、北海道環境推進課と話合いを行なった。対応したのは、環境計画担当課長、環境推進課主幹、アセス担当主査、特定開発担当主査。

 まず、われわれの調査で今回スキーコースとリフトを予定している佐幌岳北斜面のナキウサギ生息地が佐幌岳におけるナキウサギの中核的生息地であることが明らかになり、スキー場造成は佐幌岳のナキウサギに重大なダメージを与える可能性が極めて高いだけでなく、ナキウサギにとって佐幌岳が大雪山系と日高山脈の個体群を結ぶ生息地であることからエゾナキウサギ全体へのダメージとなることを指摘して、今回の開発行為がエゾナキウサギの将来に大きなあやまちを犯すことになるということを、米安環境計画担当課長から局長、次長、部長、さらには知事に伝えてもらいたい。もしできないなら、直接話したいので面談の手配をしてもらいたい、と要請した。

 次に、北海道知事がナキウサギ保護の意見(「エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力すること」)を出していながら、ナキウサギ生息地にスキー場を造成するという本末転倒の話は、道民の常識からは信じがたいことであると指摘したうえで、今回の開発許可決定の最大のポイントは、知事の意見の扱いにあることからその手続きを検証したいと告げて何点か質問した。このなかで環境推進課の虚言が明らかになった。

 われわれは、昨年11月17日付「サホロリゾート北斜面開発(スキー場拡張)の『知事意見』無視についての申入れ」で、高橋はるみ知事に「『北斜面スキーコースの開発区域コース1、コース2でガレ場を確認した』という事実は、知事意見を満たすどころか、開発行為がナキウサギの生息地そのものに重大な影響を与える可能性が大である。今回の特定開発行為は自然環境に大きな損失をもたらすものであり、貴職が明示した「許可基準」(「(1)特定の開発行為をする土地の区域に所在する森林が、環境の保全上又は水源のかん養上必要な限度において、適正に保存されるように措置されていること。 ・例えば、貴重な動植物の生息・生育環境、大切な自然景観、人の生活に重要な憩いの場を悪化させるおそれがある開発行為や、水を貯える働きを失い、渇水を起こすおそれがある開発行為などは許可基準に合致しません」)にも反することから、特定開発行為の承認はなされるべきではない」と申入れた。

 これに対し、米安環境計画担当課長名で、「まずは、付帯意見のナキウサギの件についてでありますが、環境影響評価は事業者に自主的な環境配慮の取組みを促すものであり、当該案件に係る審査意見書については、旧環境影響評価条例(S53)に基づき平成4年に事業者あてに発出し手続きは終了しております」(2011年11月25日付文書)と回答してきた。つまり、もう条例上の手続きが終わっているから行政としては関与できませんというのである。しかし、これは虚言であった。

 環境推進課は、2010年1月7日に加森観光株式会社に対し「平成4年の知事意見に対応した事業者の考え方及び既に講じた措置を報告書に記載し提出すること」と指導していたのである。開示資料(「環境影響評価業務相談票」)に基づき、この事実を指摘すると、米安課長は、部下を部屋の片隅にあつめ相談をはじめた。そして林野から知事意見のことを指摘された加森観光が相談にきて指導した、と道が指導した事実をわれわれに認めたのである。昨年7月と12月の話合いで、ことあるごとに誠心誠意対応していますといってきた米安課長のこれまでの説明の信憑性が音を立てて崩れ去った瞬間であった。米安課長は突きつけた文書を見ようともせず、「環境影響評価業務相談票」の存在を知らなかったかのように振舞ったが、われわれの追及をかわすパーフォーマンスとみてとれた。管理職の決済が必要な「環境影響評価業務相談票」の存在を知らないはずがないからである。

 加森観光から報告書を受取った環境推進課は、2010年4月12日に新得町で開催された住民説明会で、加森観光が森林管理局へ提出した調査報告書において佐幌岳北斜面のナキウサギ生息地を隠蔽していると指摘されていたにもかかわらず、加森観光の報告書の内容をチェックもせず、加森観光の報告書をそのまま容認したことも認めた。こうしてスキー場開発を許可する特定開発行為の手続きを進めたのである。だから環境推進課は、自分たちの事務手続きの落ち度を追及されないように、平成4年に事業者に審査意見書を発出し手続きは終了している、と道民に事実を隠さなければならなかったのである。

 米安課長は、これまで2回の話合いでは言い訳とはぐらかしで肝心なことを語ろうとしなかったのだが、今回は加森観光に開発許可を出した安堵感からか、重大な事実を語ってくれた。3月30日の北海道新聞十勝版に「ナキウサギか 足跡確認」との当会がおこなった調査の記事が掲載されたが、これを見た加森観光が4月19、20日に現地調査(あの虚偽の報告書を作成した「森林環境リアライズ」がやったのだろう)をして痕跡を確認できなかったと報告に来たというのだ。「平成4年に事業者あてに発出し手続きは終了しております」との米安課長の見解に立つなら、こんな報告を受ける筋合いではないはずである。知事意見を棚上げし、開発許可をだすという事務手続きが二人三脚で進められたことを暗示する発言であった。

 米安課長は、北海道は全国にさきがけ環境影響条例を制定したと自慢げに語っていた。また別のセクションである北海道自然環境課は、先進的な生物多様性保全計画を作成したと誇らしげに説明していた。全国にさきがけいくら立派な条例や計画を作ろうと、条例を遵守し計画を生かすことのできなければ絵に描いた餅であり、お笑い種である。加森観光の無謀な佐幌岳スキー場造成をやめさせるよう努力しなければ、北海道の環境行政は全国の笑いものになるだろう。道民にとってはなはだ不名誉なことである。北海道はこの間の事務手続きを猛省し、平成4年の知事意見に基づき事態を正常化しなければならない。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 15:06Comments(0)サホロスキー場問題

2011年10月18日

サホロスキー場造成で森林管理局に質問書

佐幌岳北斜面の森林を破壊してスキー場造成を計画している加森観光は、自然保護団体との話し合いを拒否し、年内にも森林伐採に着手しようとしています。このようなことから、当会が加盟する北海道自然保護合とサホロリゾート開発問題協議会、ナキウサギふぁんくらぶは、この森林を管理する北海道森林管理局長と十勝西部森林管理署東大雪支署長に対しこのスキー場造成について質問書を10月15日付で送付しました。

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サホロリゾート北斜面開発行為に関する質問書

 北海道の自然保護団体は、加森観光株式会社(以下、加森)が十勝西部森林管理署東大雪支署管内で計画している「十勝・北海道サホロリゾート北斜面開発行為(スキー場拡張)」について、自然保護上多くの問題点があることから、加森に対して2010年6月10日付で「サホロリゾート北斜面開発行為に伴う再調査の申入れ」を、同年7月29日付で「サホロリゾート北斜面開発行為に関する要望書」を、そして2011年7月19日付で「サホロリゾート北斜面での特定開発行為申請への抗議および申請取り下げを求める申入れ」を送付してきました(これらの文書は貴職に配布済み)。
 しかし、加森はわたしたち自然保護NGOに対し一切の説明をすることなく、今年3月に北海道特定開発行為の申請を行ない、9月30日には新得町での説明会において、今年から工事に着手し来年12月に使用開始を予定していると表明しました。
 このように国有林の使用を計画している事業者が社会への説明責任を果たそうとしないことから、今回のスキー場開発による天然林破壊について、当該国有林の管理者である貴職に見解を質さなければならない事態となりました。ついては、下記の質問に10月31日までに回答いただきますようお願いいたします。

質問事項

1.新得町で2010年4月12日および5月17日に加森が主催した説明会において、自然保護上重大な事実が隠蔽されていたことが明らかになりました。すなわち「2008年 十勝・北海道サホロリゾート北斜面開発行為に伴う森林施業のあり方調査 調査報告書」(以下、2008年調査報告書)において、開発予定地でナキウサギの生息が確認されていた事実を隠蔽していたのです。このため、北海道自然保護連合加盟団体である十勝自然保護協会は、2010年6月10日付で貴職に「サホロリゾート北斜面開発行為に伴う再調査の申入れ」をしました。貴職は加森に再調査を指導したのでしょうか。もし指導していないのであればその理由を明らかにしていただきたい。

2.このように2008年調査報告書において、ナキウサギ生息の事実を隠蔽したというは、貴職の許可が得られなくなることを避けるためになされたと考えられます。国有林の使用許可権限をもつ林野庁を欺く、このような行為に対して、しかるべき対処がなされるべきと考えます。貴職は加森にどのような対応をしたのでしょうか。
3.貴職が2008年報告書を受理し、虚偽記載を指摘しなかったということは、貴職には記述に虚偽があったことについて判断できなかったと理解されます。これは貴職の動物に関する知識不足に起因すると考えますが、貴職の見解を明らかにしていただきたい。

4.2008年報告書の虚偽を見抜けなかった貴職が2010年7月9日に受理した「あり方調査」報告書(以下、2010年報告書)の妥当性を評価することは困難と考えますが、貴職はどのように報告書の妥当性を判断したのか明らかにしていただきたい。

5.2010年報告書の妥当性を判断する上で、2008年報告書の虚偽を指摘した自然保護団体に2010年報告書の内容を加森から説明させることが有効であると考えますが、なぜそのような措置をとらなかったのでしょうか。また、今後もそのような措置をとる考えはないのでしょうか。

6.昨年7月29日付の「サホロリゾート北斜面開発行為に関する再要望書」(以下、再要望書)でも指摘しましたが、当該地域は佐幌岳一帯ではまとまった天然林や天然生林が残る貴重な場所であり、しかも、貴職が自然保護上重要な位置づけをしている「緑の回廊」の隣接地です。昨年10月にCOP10で採択された「愛知目標」の「戦略目標B.生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する」の目標5では、「2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する」としています。つまり、天然林などの自然生息地の消失を限りなく最小化しようというのが今日の国際的な約束事です。この愛知目標の実現がわが国の行政機関にとって重要な任務となったということに異存はないと思います。愛知目標と今回の加森のスキー場造成による天然林伐採は相容れないものと私たちは考えますが、貴職の見解を明らかにしていただきたい。

7.花コウ岩からなる佐幌岳には岩塊堆積地が形成されるため、エゾナキウサギの生息地があります。エゾナキウサギは特殊な分布をし、その生息地は北海道の中軸部の山岳地帯に限定されています。彼らの生息地は、大きく大雪山系(北見山地を含む)、日高山脈、夕張山地からなります。佐幌岳周辺は大雪山系と日高山脈のエゾナキウサギ個体群を結ぶ地点にあたり、エゾナキウサギの遺伝子交流を考えるうえで重要な位置を占めるとみなされます。したがって、佐幌岳周辺での環境改変にあたっては、エゾナキウサギ個体群の生息実態の解明が不可欠ですが、貴職は本地域のエゾナキウサギについて十分な知見が得られたと考えているのでしょうか。もしそう考えるのであれば、本種の生息実態について具体的に説明していただきたい。

8.さる9月30日に開催された加森の説明会において、新得町新内在住の住民がサホロリゾートにおけるシマフクロウの確認情報を明らかにし、加森に生息状況の把握について説明を求めましたが、加森から明確な説明はありませんでした。私たちは、本年7月19日付の再要望書において貴職に生息の実態を把握するよう要請しましたが、実態把握の調査は行ったのでしょうか。もし、実施していないのであれば、その理由を明らかにしていただきたい。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 09:47Comments(0)サホロスキー場問題

2011年07月28日

佐幌岳スキー場造成で知事に要望書を提出

 北海道は、7月12日に佐幌岳北斜面でのスキー場造成について、特定開発行為審査会を開催しました。審査結果は許可を認めるというものでした。これを受けて、当会が加盟する北海道自然保護連合とサホロリゾート開発問題協議会、ナキウサギふぁんくらぶは、7月19日に北海道の担当部局である環境推進課を訪れ、このスキー場造成の事前相談から申請受理にいたる事務手続きの進め方と特定開発行為審査会の審議内容を聞きました。その結果、つぎの事実が明らかになりました。
 1.環境推進課の職員は申請者である加森観光株式会社が昨年4月と5月に新得町で開催した説明会を報じた新聞において、自然保護団体が意見を述べていたことは知っていた。
 2.環境推進課は、加森観光に対し自然保護上の問題がないか、聞取りしていなかった。
 3.事務局である環境推進課は、北海道特定開発行為審査会に対して、動植物への影響などについての審議資料を提出していなかった。
 4.加森観光は、自然保護団体からの再調査の申入れやスキー場増設計画の中止を求める要望書を受取っていることについて、事前相談、事前審査の際に北海道に説明しなかった。
 これは、北海道の特定開発行為を許可するうえでの指針「特定の開発行為許可制度のあらまし」「北海道自然環境等保全条例に基づく特定開発行為申請の手引き」に背くものです。
 そこで、私たちは高橋はるみ北海道知事にたいし、自然保護上重要である、貴重動植物および樹林について再度審査をすることと加森観光に説明責任を果たすよう指導することを求める以下の要望書を7月26日付けで送付しました。
 なお、北海道特定開発行為審査会の委員は、以下の人たちです。
 三浦清一さん(会長:北大工学部防災地盤工学講座) 五十嵐敏文さん(北大工学部地圏循環工学講座) 高野伸栄さん(北大工学部北方圏環境政策工学部門建設管理工学研究室) 中村太士さん(北大農学部森林生態系管理学研究室) 吉田惠介さん(札幌市立大デザイン学部) 山本裕子さん(北海学園大工学部社会環境工学科) 奈良顕子さん(設計業)

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サホロリゾート北斜面スキー場造成に係る要望書

 わが国は、1993年に生物多様性条約の締約国となり、同条約の第6条にもとづき河川法、海岸法、森林法、自然公園法などすべての国内法が同条約の目的(第1条)である生物の多様性の保全のため改正されたことはご承知のことと思います。また、昨年10月にはわが国で第10回締約国会議、COP10が開催され、「愛知目標」が採択されました。愛知目標の目標5では、「2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する」と明記されていることもご存知と思います。
 北海道は、自然環境の保全、すなわち生物多様性の保全のため、無秩序な自然環境の開発などを防止することを目的に1973(昭和48)年に北海道自然環境等保全条例を制定しました。この制度を周知するために、特定開発行為の担当課である環境推進課は、平成22年4月に「北海道自然環境等保全条例に基づく特定開発行為申請の手引き」(以下、「申請の手引き」という)を作成し、北海道のホームページに「特定の開発行為許可制度のあらまし」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/tokuteikaihatu.htm 2011年7月18日アクセス:以下「許可制度のあらまし」という)を掲載しています。
 申請の手引きでは、その前文で「環境への配慮事項について(お願い)」と題して、「事業者の皆様におかれましても、特定開発行為の申請に当っては、下記事項などの環境に配慮した事業計画を検討されるようお願いいたします」とし、「1.事業予定地及びその周辺の概況を十分に把握するとともに、特に貴重な動植物が分布する地域においては必要に応じて詳細な調査の実施とその保全対策を検討すること。2.既存樹林(樹木)に考慮した計画を検討し、自然性の高い樹林(樹木)や谷筋あるいは風衝地の樹林(樹木)については、できる限り現状保存等を検討すること」などをあげています。
 また、許可制度のあらましでは、「Ⅱ許可を受けるために」において、申請者に対しあらかじめ事前相談をするよう要請し、「許可基準」として「(1)特定の開発行為をする土地の区域に所在する森林が、環境の保全上又は水源のかん養上必要な限度において、適正に保存されるように措置されていること。 ・例えば、貴重な動植物の生息・生育環境、大切な自然景観、人の生活に重要な憩いの場を悪化させるおそれがある開発行為や、水を貯える働きを失い、渇水を起こすおそれがある開発行為などは許可基準に合致しません」と明記しています。また「環境への配慮」として、「北海道では、よりよい環境を未来に引き継ぐ環境重視型社会を形成していくため、行政や事業者、そして住民一人ひとりが、環境保全に向けて自ら考え、共に行動することが最も大切なことと考えています。」と宣言しています。

 さる7月12日に北海道特定開発行為審査会が開催され「サホロリゾート北斜面スキー場造成に係る審査」が行われました。審査結果は、許可を認めるというものでした。これを受けて、私たちは、7月19日に事務担当部局である環境推進課を訪問し、サホロリゾート北斜面スキー場造成に係る事前相談から申請受理にいたる事務手続きの進め方と特定開発行為審査会の審議内容を聞きました。その結果、以下のことが明らかになりました。
 1.環境推進課の職員は申請者である加森観光株式会社(以下、加森観光)が昨年4月5月に新得町で開催した説明会を報じた新聞において、自然保護団体が意見を述べていたことは知っていた。
 2.環境推進課は、加森観光に対し自然保護上の問題がないか、聞取りしていなかった。
 3.事務局である環境推進課は、北海道特定開発行為審査会に対して、動植物への影響などについての審議資料を提出していなかった。
 4.加森観光は、自然保護団体からの再調査の申入れやスキー場増設計画の中止を求める要望書を受取っていることについて、事前相談、事前審査の際に北海道に説明しなかった。

 このように環境推進課は、自然保護上の問題が環境NGOから指摘されていることを知りながら、申請者に聞き取りもせず、審査会にも自然保護上の問題を諮りませんでした。したがって今回の事務手続きは、申請の手引きの前文に書かれた環境への配慮事項1および2、そして許可制度のあらましに明記された「貴重な動植物の生息・生育環境、大切な自然景観、人の生活に重要な憩いの場を悪化させるおそれがある開発行為(中略)は許可基準に合致しません」との北海道の指針を無視するものであり、このような事務手続きは、環境重視型社会の形成を妨げるものです。
 一方、申請者である加森観光は、自然保護NGOの申入れや要望(別添)に一切耳を傾けることなく、北海道に特定開発行為の申請をしました。このような行為は、許可制度のあらましに掲げている「環境への配慮」すなわち「北海道では、よりよい環境を未来に引き継ぐ環境重視型社会を形成していくため、行政や事業者、そして住民一人ひとりが、環境保全に向けて自ら考え、共に行動することが最も大切なことと考えています。(中略)事業者の皆様におかれても、開発計画にあたっては、現地の状況を踏まえて環境に配慮した事業計画をご検討されるようお願いいたします」に背くものです。
 以上のことから、私たちは、次の2点を強く要望いたします。
 1.北海道は、生物多様性条約、愛知目標を踏まえ、申請の手引きにおける環境への配慮事項1および2に明記された貴重動植物および樹林に関する資料を、特定開発行為審査会に提出し再度審査すること。
 2.北海道は、生物多様性条約、愛知目標、申請の手引き、許可制度のあらましを踏まえ、加森観光に対し自然保護団体への説明責任を果たすよう指導すること。
 貴職におかれては、今日の国内外の環境重視の潮流を理解され、真摯に検討されますようお願いいたします。

付言
 7月19日に行われた、わたしたちと環境推進課との話合いの席上、環境計画担当課長からホームページに掲載した「特定の開発行為許可制度のあらまし」の記述について、北海道自然環境等保全条例の規定と反する内容であれば削除したい、との発言がありました。
 冒頭で述べたように、国内外の自然環境保護の潮流は生物多様性条約によって大きく変わりました。北海道がホームページに掲載した「特定の開発行為許可制度のあらまし」は、このような潮流を踏まえ、策定したものと私たちは理解します。したがって、これを削除するとは生物多様性条約を無視することであり、生物多様性条約締約国の行政機関としてやってはならないことである、ということを警告しておきます。
以上

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 18:01Comments(0)サホロスキー場問題

2011年07月23日

北海道森林管理局にサホロスキー場造成で再要望

 当会が加盟する北海道自然保護連合とサホロリゾート開発問題協議会、ナキウサギふぁんくらぶは、7月19日に土地管理者である北海道森林管理局を訪れて下記の北海道森林管理局長および東大雪支署長宛の文書を手渡し、佐幌岳北斜面でのスキー場造成の問題点を説明しました。

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サホロリゾート北斜面開発行為に関する再要望書

 北海道の自然保護団体は、加森観光株式会社(以下、加森)が、十勝西部森林管理署東大雪支署管内で計画している「十勝・北海道サホロリゾート北斜面開発行為(スキー場拡張)」について、自然保護上多くの問題点があることから、2010年7月29日付で貴職に開発行為を認めないよう要望書を提出しました。
 また、地元の十勝自然保護協会は、新得町で2010年4月12日および5月17日に加森が主催した説明会においてナキウサギ生息の事実を隠蔽していたことを指摘し、2010年6月10日付で貴職に「サホロリゾート北斜面開発行為に伴う再調査の申入れ」をしています。
 一方、加森に対しても、2010年6月10日付で「サホロリゾート北斜面開発行為に伴う再調査の申入れ」を2010年7月29日付で「サホロリゾート北斜面開発行為に関する要望書」を送付しています(別添)。しかし、加森はわたしたち自然保護NGOに何ら説明することもなく、今年3月北海道に北海道特定開発行為の申請を行ないました。
 北海道は、「特定の開発行為許可制度のあらまし」において「北海道では、よりよい環境を未来に引き継ぐ環境重視型社会を形成していくため、行政や事業者、そして住民一人ひとりが、環境保全に向けて自ら考え、共に行動することが最も大切なことと考えています。(中略)事業者の皆様におかれても、開発計画にあたっては、現地の状況を踏まえて環境に配慮した事業計画をご検討されるようお願いいたします。」との方針を示しています。したがって、わたしたち自然保護NGOと話し合うこともなく、特定開発行為申請を行なった加森の行為は、北海道の方針に反するものであり、現在わたしたちは、申請を受理した北海道に対し問題を指摘するとともに、加森に対し申請の取り下げを要求しています(別添)。現在このような状況にあることに、貴職も注意を払っていただきたく思います。
 7月12日に開催された北海道特定開発行為審査会は、許可相当との考えを示しました。しかしこの審査会のメンバーに生物に精通した人物はおらず、この開発行為の妥当性を正当に評価したとみなすことはできません。つまり、この審査会は単に行政の追認をした、との批判に耐えられないものであり、わたしたちはこの点を問題にしたいと考えています。貴職におかれては、このことにも配意していただきたく思います。
 昨年7月29日付の要望書でも指摘しましたが、当該地域は佐幌岳一帯ではまとまった天然林や天然生林が残る貴重な場所であり、しかも、貴職が自然保護上重要な位置づけをしている「緑の回廊」の隣接地です。このようなことからも当該地域の保全の意義についてご理解いただけることと思います。また、当該地域の近くからシマフクロウの生息情報が寄せられており、貴職において生息の実態を把握されるよう要請します。
 昨年7月に私たちが要望書を提出したあとに、森林保全をめぐる新たな、そして重要な動きがありました。昨年10月にわが国で開催されたCOP10における「愛知目標」の採択です。
 愛知目標の「戦略目標B.生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する」の目標5では、「2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する」としています。つまり、天然林などの自然生息地の消失を限りなく最小化しようというのが国際的な約束事となったのです。
 この愛知目標の実現は、わが国の、とりわけ行政機関にとって重要な任務となりました。このことを踏まえ、貴職におかれては、利用者が乏しく公益性のない、無謀とも言える今回の加森の開発行為を認めることのないよう改めて要望いたします。


  


Posted by 十勝自然保護協会 at 23:03Comments(0)サホロスキー場問題

2011年07月23日

サホロスキー場造成で加森観光に抗議と申入れ

 当会が加盟する北海道自然保護連合とサホロリゾート開発問題協議会、ナキウサギふぁんくらぶは、佐幌岳北斜面でのスキー場造成について話合いを求め、7月19日に加森観光株式会社本社を訪ねました。
 受付でしかるべき立場の社員との面談を求めたのですが、出張中、会議中といって取り合おうとしません。10日ほど前に担当者に繋ぐよう電話を入れたときには、折り返し電話するといいながら、なしのつぶてでした。二度目の電話も同じ対応でしたので、ファックスで面談日と時刻を通知し本社を訪ねたのですが、受付の社員はファックスを知りませんでしたと繰り返すばかりでした。いま事務所にいる一番上のポストの社員に話しをしたいというと、総務課長がようやく姿を表しました。彼に来訪の目的を伝え、加森公人氏宛の文書(下記)を手渡してきました。
 生物多様性締約国であるわが国で、自然保護NGOにこんな対応をする企業があるというのは驚きでした。この会社はサービス提供を生業としていると思うのですが、こんなおとなげない対応をしていて、サービス業基本である顧客満足度を高められるわけがありません。

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サホロリゾート北斜面での特定開発行為申請への抗議
および申請取り下げを求める申入れ

 私たち、北海道の自然保護団体は、昨年7月29日付けで「サホロリゾート北斜面開発行為に関する要望書」を貴職に送付し、佐幌岳でのスキー場開発を中止するよう要望しました。また、地元の十勝自然保護協会は、昨年6月10日付けで、貴社の調査を請負った株式会社森林環境リアライズ(以下、リアライズ)による不正に操作された「2008年 十勝・北海道サホロリゾート北斜面開発行為に伴う森林施業のあり方調査 調査報告書」の存在を明らかにし「サホロリゾート北斜面開発行為に伴う再調査の申入れ」を送付しております。
 昨年10月、わが国でCOP10が開催され、愛知目標が採択されたことはご承知のことと思います。愛知目標の「戦略目標B.生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する。」の目標5では、「2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する。」としています。つまり、天然林などの自然生息地の消失を限りなく最小化しようというのが今日の国際的な約束事なのです。このことは貴職にも理解できるでしょう。
 また、北海道は、「特定の開発行為許可制度のあらまし」の第7項 環境への配慮において「北海道では、よりよい環境を未来に引き継ぐ環境重視型社会を形成していくため、行政や事業者、そして住民一人ひとりが、環境保全に向けて自ら考え、共に行動することが最も大切なことと考えています。(中略)事業者の皆様におかれても、開発計画にあたっては、現地の状況を踏まえて環境に配慮した事業計画をご検討されるようお願いいたします。」と事業者に環境問題の重要性を訴えています。
 貴職は、自然保護NGOとの話合いもすることなく、3月に北海道に特定開発行為の申請をしました。これは、愛知目標に背くばかりでなく、北海道の特定開発行為の指針にも反することです。
 わたしたちは、貴職の今回の特定開発行為申請に強く抗議するとともに、世界の環境保護の潮流と北海道の特定開発行為の主旨を理解され、特定開発行為の申請を取り下げるよう求めます。

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 22:41Comments(0)サホロスキー場問題