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2012年06月22日

知事意見を棚上げし佐幌岳スキー場の開発許可を出した北海道

 6月5日付十勝毎日新聞は、北海道が佐幌岳北斜面のスキー場の造成に許可を出したことを報じた。この許可に関して6月14日、北海道自然保護連合・十勝自然保護協会・ナキウサギふぁんくらぶは道庁へ行き、北海道環境推進課と話合いを行なった。対応したのは、環境計画担当課長、環境推進課主幹、アセス担当主査、特定開発担当主査。

 まず、われわれの調査で今回スキーコースとリフトを予定している佐幌岳北斜面のナキウサギ生息地が佐幌岳におけるナキウサギの中核的生息地であることが明らかになり、スキー場造成は佐幌岳のナキウサギに重大なダメージを与える可能性が極めて高いだけでなく、ナキウサギにとって佐幌岳が大雪山系と日高山脈の個体群を結ぶ生息地であることからエゾナキウサギ全体へのダメージとなることを指摘して、今回の開発行為がエゾナキウサギの将来に大きなあやまちを犯すことになるということを、米安環境計画担当課長から局長、次長、部長、さらには知事に伝えてもらいたい。もしできないなら、直接話したいので面談の手配をしてもらいたい、と要請した。

 次に、北海道知事がナキウサギ保護の意見(「エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力すること」)を出していながら、ナキウサギ生息地にスキー場を造成するという本末転倒の話は、道民の常識からは信じがたいことであると指摘したうえで、今回の開発許可決定の最大のポイントは、知事の意見の扱いにあることからその手続きを検証したいと告げて何点か質問した。このなかで環境推進課の虚言が明らかになった。

 われわれは、昨年11月17日付「サホロリゾート北斜面開発(スキー場拡張)の『知事意見』無視についての申入れ」で、高橋はるみ知事に「『北斜面スキーコースの開発区域コース1、コース2でガレ場を確認した』という事実は、知事意見を満たすどころか、開発行為がナキウサギの生息地そのものに重大な影響を与える可能性が大である。今回の特定開発行為は自然環境に大きな損失をもたらすものであり、貴職が明示した「許可基準」(「(1)特定の開発行為をする土地の区域に所在する森林が、環境の保全上又は水源のかん養上必要な限度において、適正に保存されるように措置されていること。 ・例えば、貴重な動植物の生息・生育環境、大切な自然景観、人の生活に重要な憩いの場を悪化させるおそれがある開発行為や、水を貯える働きを失い、渇水を起こすおそれがある開発行為などは許可基準に合致しません」)にも反することから、特定開発行為の承認はなされるべきではない」と申入れた。

 これに対し、米安環境計画担当課長名で、「まずは、付帯意見のナキウサギの件についてでありますが、環境影響評価は事業者に自主的な環境配慮の取組みを促すものであり、当該案件に係る審査意見書については、旧環境影響評価条例(S53)に基づき平成4年に事業者あてに発出し手続きは終了しております」(2011年11月25日付文書)と回答してきた。つまり、もう条例上の手続きが終わっているから行政としては関与できませんというのである。しかし、これは虚言であった。

 環境推進課は、2010年1月7日に加森観光株式会社に対し「平成4年の知事意見に対応した事業者の考え方及び既に講じた措置を報告書に記載し提出すること」と指導していたのである。開示資料(「環境影響評価業務相談票」)に基づき、この事実を指摘すると、米安課長は、部下を部屋の片隅にあつめ相談をはじめた。そして林野から知事意見のことを指摘された加森観光が相談にきて指導した、と道が指導した事実をわれわれに認めたのである。昨年7月と12月の話合いで、ことあるごとに誠心誠意対応していますといってきた米安課長のこれまでの説明の信憑性が音を立てて崩れ去った瞬間であった。米安課長は突きつけた文書を見ようともせず、「環境影響評価業務相談票」の存在を知らなかったかのように振舞ったが、われわれの追及をかわすパーフォーマンスとみてとれた。管理職の決済が必要な「環境影響評価業務相談票」の存在を知らないはずがないからである。

 加森観光から報告書を受取った環境推進課は、2010年4月12日に新得町で開催された住民説明会で、加森観光が森林管理局へ提出した調査報告書において佐幌岳北斜面のナキウサギ生息地を隠蔽していると指摘されていたにもかかわらず、加森観光の報告書の内容をチェックもせず、加森観光の報告書をそのまま容認したことも認めた。こうしてスキー場開発を許可する特定開発行為の手続きを進めたのである。だから環境推進課は、自分たちの事務手続きの落ち度を追及されないように、平成4年に事業者に審査意見書を発出し手続きは終了している、と道民に事実を隠さなければならなかったのである。

 米安課長は、これまで2回の話合いでは言い訳とはぐらかしで肝心なことを語ろうとしなかったのだが、今回は加森観光に開発許可を出した安堵感からか、重大な事実を語ってくれた。3月30日の北海道新聞十勝版に「ナキウサギか 足跡確認」との当会がおこなった調査の記事が掲載されたが、これを見た加森観光が4月19、20日に現地調査(あの虚偽の報告書を作成した「森林環境リアライズ」がやったのだろう)をして痕跡を確認できなかったと報告に来たというのだ。「平成4年に事業者あてに発出し手続きは終了しております」との米安課長の見解に立つなら、こんな報告を受ける筋合いではないはずである。知事意見を棚上げし、開発許可をだすという事務手続きが二人三脚で進められたことを暗示する発言であった。

 米安課長は、北海道は全国にさきがけ環境影響条例を制定したと自慢げに語っていた。また別のセクションである北海道自然環境課は、先進的な生物多様性保全計画を作成したと誇らしげに説明していた。全国にさきがけいくら立派な条例や計画を作ろうと、条例を遵守し計画を生かすことのできなければ絵に描いた餅であり、お笑い種である。加森観光の無謀な佐幌岳スキー場造成をやめさせるよう努力しなければ、北海道の環境行政は全国の笑いものになるだろう。道民にとってはなはだ不名誉なことである。北海道はこの間の事務手続きを猛省し、平成4年の知事意見に基づき事態を正常化しなければならない。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 15:06│Comments(0)サホロスキー場問題
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