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十勝自然保護協会 活動速報 › 携帯電話基地局 › トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置についてJTOWERに申し入れ

2023年03月11日

トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置についてJTOWERに申し入れ

 大雪山国立公園内のトムラウシ自然休養林野営場にJTOWERが5G基地局を設置するとの計画があり、当会は計画に反対の立場から申入れをしました。

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2023年3月7日


株式会社JTOWER 代表取締役社長
田中 敦史 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松



トムラウシ自然休養林野営場における5G基地局設置への申し入れ


 当会は2月22日に、貴社の事業を請け負う株式会社つうけん及び合同会社ネクサスの担当者より、トムラウシ自然休養林野営場の5G高度特定基地局共用施設設置について説明を受けました。これについて、当会の見解を以下に述べます。
 年度末でご多忙と存じますが、3月27日までに貴職のご見解をいただきたくお願いいたします。



1 トムラウシ自然休養林野営場での5Gアンテナの必要性について
 5G高度特定基地局共用施設の設置場所をどのように選定したのかについては分からないとの説明がありました。
 トムラウシ自然休養林野営場はオープンしている期間が7月~9月の3カ月しかありません。直線距離で1km弱のトムラウシ温泉にはすでに4Gのアンテナがあり、野営場が圏外であってもわずかな移動で利用することができます。
 また、過疎地でも人命にかかわるような事故などの際に連絡ができるようにする必要性があるとの説明がありました。トムラウシ山の登山者の遭難などへの対応を考えられますが、5Gの電波は到達距離が短いうえ地形的にも電波が届く範囲は限られ野営場の近辺しか利用できません。なお、高山部の稜線では4Gの電波が届いています。したがって、不要な施設であり設置には同意できません。

2 生物多様性に対する電磁波の影響について
 配布された総務省の資料では電磁波の強さは基準値以下であり、WHOも国際ガイドラインを下回れば健康に悪影響を及ぼす証拠はないとの見解であると説明されています。しかし、WHOの基準は過去のものであり、これより厳しい基準にしている国が増えています。例えばベルギーの首都ブリュッセルでは5Gが禁止され、イタリア、スイスのボード市、アメリカのサンフランシスコ市でも5Gを制限する決定がなされています。
 電磁波による健康被害についての論文は多数あります。携帯電話の基地局設置に対して各地で反対運動も起きており、「電磁波からいのちを守る全国ネット」や「いのち環境ネットワーク」は、電磁波による健康被害について様々な情報を発信しています。健康被害の懸念がないのであれば、このような動きは起きません。
 また、強い電磁波による人体への影響は調査され基準もありますが、弱い電磁波に長期間被曝することによる影響は調査されていません。電磁波による健康被害は個人差が大きく、本人にその自覚がないこともあります。4Gの電磁波ですら健康被害を訴え、電磁波の影響が小さい場所への転居を余儀なくされる人もいます。どこにいても高速大容量通信ができることは便利ですから、今のところ健康被害のない多数の人は、その便利さを享受するために被害者に目をつむりたくなる心情がどうしても生まれます。しかし、少数の被害者を無視する社会であってはなりません。
 人体に影響があるということは、ヒト以外の生物にも影響があると言えます。実際に、5Gの電磁波は昆虫や鳥類、哺乳類などさまざまな生物に悪影響を与えることが指摘されています。例えば、ドイツではハチやハエの生態にダメージを与えていることが確認されており、昆虫が減少することが懸念されます。昆虫が減ればそれを捕食する動物も減ります。ハチやアブなどの訪花性昆虫の減少により花粉媒介が行われなくなれば植物も減り、農作物にも影響を及ぼす可能性があります(注1)。電磁波がスズメ類などの野鳥の生息数や行動に悪影響を及ぼすという研究もあります(注2)。哺乳類では、妊娠中の牛が電磁波を発する基地局の近くにいると、生まれた子牛が白内障に罹患する可能性が高くなることが分かっており(注3)、野生動物への影響も懸念されます。
 このように電磁波は人里離れている山地でも生態系に大きな影響を与える可能性があります。生物多様性保全の観点からも国立公園内に強力な電磁波を発生させる5G基地局を設置することに反対します。

注1 昆虫の減少に「スマホの電波」が関与か、”5G”の導入で地球から昆虫がいなくなる可能性が示される 
https://nazology.net/archives/70005
注2 電磁波のさまざまな発生源: 危険は身体の健康だけにとどまらない
https://alzhacker.com/the-different-sources-of-electromagnetic-fields-dangers-are-not-limited-to-physical-health/
注3 次世代通信技術5Gのもつ危険性に目をつむる日本政府(後) 
https://www.data-max.co.jp/article/30924


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Posted by 十勝自然保護協会 at 16:27│Comments(0)携帯電話基地局
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