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2024年02月16日
日高山脈を含む新国立公園の名称について環境省に要望
当会および北海道自然保護連合は、日高山脈を含む新国立公園の名称について環境省に以下の要望書を提出しました。
環境大臣 伊藤信太郎 様
十勝自然保護協会と北海道自然保護連合は、今回の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画」に関わって、すでにそれぞれ意見を提出していますが、本要望書において、とくに名称について改めて意見を提出します。
北海道自然保護連合は、2006年3月18日に当連合を含む道内の11の自然保護団体の連名で当時の小池百合子環境大臣に「日高山脈と夕張山地を新たな国立公園に指定することの要望書」を提出し、日高山脈(日高山脈襟裳国定公園)と夕張山地(富良野芦別道立自然公園)を合わせて一つの国立公園に指定することを要望しております。さらに、今般のパブリックコメントへの提出意見のなかでも、名称について「日高山脈国立公園」が適切であると述べました。
また、十勝自然保護協会は、2021年2月13日に当時の小泉進次郎環境大臣に提出した「日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴う名称についての要望書」において「名称に十勝を入れることの不適切さ」を示しました。パブリックコメントへの提出意見のなかでも、名称について「日高山脈国立公園」が適切であると述べました。
貴省は、2023年11月9日発表の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)について」の中で「1.背景」として、次のように述べています。
「北海道中央南部に位置する日高山脈は、新第三紀以降に大陸プレート同士の衝突によって生じた大起伏山地です。稜線部から山麓部にかけては自然度の高い森林や河川が存在しており、シマフクロウやクマタカ等の生態系上位種や、特異な地質や環境に対応した固有種及び希少種の生育地等となっています。海岸部には襟裳岬等の発達した海食崖や海成段丘が見られ、浅海域から高山帯に至る生態系が流域単位で健全な状態で存在しているなど、多様で良好な自然環境を擁しています。
日高山脈の稜線部には北海道で唯一の典型的な氷食地形が分布しており、カール(圏谷)などのダイナミックな地形と高山植物や雪氷とが織りなす山岳景観は、当該地域における景観要素の核心です。(中略)
このように、本公園は地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な森林生態系及び我が国最大の原生流域面積を持つ河川を軸として、これらが海域まで一体的につながる景観を有する、我が国を代表する傑出した自然の風景地であることから、国立公園として新たに指定するものです。(後略)」
まさに、これが日高山脈の国立公園化の意義のすべてを述べています。原生的自然が現国定公園よりも大きく拡大し日本最大になり、また、飛び地状態だった襟裳岬周辺、アポイ岳周辺と一体化したことにより、私たちは上記の観点から、国立公園化に当たって名称は「日高山脈国立公園」が最適であることを改めて申し上げます。
パブリックコメントの結果公表以降、2月になってから、貴省(環境省北海道地方環境事務所)に名称を「日高山脈襟裳十勝国立公園」とし、「十勝」を入れるべきとする要望が一部から提出されていますが、以下にその非合理性を指摘し、「日高山脈国立公園」が最適である理由を改めて述べます。
1 日高山脈という名称は、定着した地理的固有名詞です。日高山脈はその領域が日高と十勝にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包しており、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなります。
2 日高山脈という名称は、小学生の地図帳にも明確に記載されており、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」必要もありません。そもそも「十勝」もまた、農作物・酪農を特色とする「農業王国」として全国的な知名度も高く、むしろ加えることによって上記の原生的環境を特色とする本質が極めてあいまいになります。
3 「十勝平野から眺める山並みは雄大」です。しかし、十勝平野中央部からは、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みが見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には十勝の新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町です。雌阿寒岳・阿寒富士は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異と言ってもよいでしょう。
以上のように、十勝を入れる必然性がありません。
十勝を入れない名称こそが、「日高山脈の価値を認識し、かけがえのない財産を次世代へ引き継いでいく意識」を作っていくものになると考えます。
貴職の賢明なるご判断を望みます。
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2024年2月14日
環境大臣 伊藤信太郎 様
十勝自然保護協会
北海道自然保護連合
構成団体
大雪と石狩の自然を守る会
十勝自然保護協会
南北海道自然保護協会
ユウパリコザクラの会
一般社団法人北海道自然保護協会
北海道自然保護連合
構成団体
大雪と石狩の自然を守る会
十勝自然保護協会
南北海道自然保護協会
ユウパリコザクラの会
一般社団法人北海道自然保護協会
日高山脈を含む新国立公園の名称についての要望
十勝自然保護協会と北海道自然保護連合は、今回の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画」に関わって、すでにそれぞれ意見を提出していますが、本要望書において、とくに名称について改めて意見を提出します。
北海道自然保護連合は、2006年3月18日に当連合を含む道内の11の自然保護団体の連名で当時の小池百合子環境大臣に「日高山脈と夕張山地を新たな国立公園に指定することの要望書」を提出し、日高山脈(日高山脈襟裳国定公園)と夕張山地(富良野芦別道立自然公園)を合わせて一つの国立公園に指定することを要望しております。さらに、今般のパブリックコメントへの提出意見のなかでも、名称について「日高山脈国立公園」が適切であると述べました。
また、十勝自然保護協会は、2021年2月13日に当時の小泉進次郎環境大臣に提出した「日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に伴う名称についての要望書」において「名称に十勝を入れることの不適切さ」を示しました。パブリックコメントへの提出意見のなかでも、名称について「日高山脈国立公園」が適切であると述べました。
貴省は、2023年11月9日発表の「日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園(名称未定)の指定及び公園計画の決定並びに日高山脈襟裳国定公園の指定の解除及び公園計画の廃止に関する意見の募集(パブリックコメント)について」の中で「1.背景」として、次のように述べています。
「北海道中央南部に位置する日高山脈は、新第三紀以降に大陸プレート同士の衝突によって生じた大起伏山地です。稜線部から山麓部にかけては自然度の高い森林や河川が存在しており、シマフクロウやクマタカ等の生態系上位種や、特異な地質や環境に対応した固有種及び希少種の生育地等となっています。海岸部には襟裳岬等の発達した海食崖や海成段丘が見られ、浅海域から高山帯に至る生態系が流域単位で健全な状態で存在しているなど、多様で良好な自然環境を擁しています。
日高山脈の稜線部には北海道で唯一の典型的な氷食地形が分布しており、カール(圏谷)などのダイナミックな地形と高山植物や雪氷とが織りなす山岳景観は、当該地域における景観要素の核心です。(中略)
このように、本公園は地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な森林生態系及び我が国最大の原生流域面積を持つ河川を軸として、これらが海域まで一体的につながる景観を有する、我が国を代表する傑出した自然の風景地であることから、国立公園として新たに指定するものです。(後略)」
まさに、これが日高山脈の国立公園化の意義のすべてを述べています。原生的自然が現国定公園よりも大きく拡大し日本最大になり、また、飛び地状態だった襟裳岬周辺、アポイ岳周辺と一体化したことにより、私たちは上記の観点から、国立公園化に当たって名称は「日高山脈国立公園」が最適であることを改めて申し上げます。
パブリックコメントの結果公表以降、2月になってから、貴省(環境省北海道地方環境事務所)に名称を「日高山脈襟裳十勝国立公園」とし、「十勝」を入れるべきとする要望が一部から提出されていますが、以下にその非合理性を指摘し、「日高山脈国立公園」が最適である理由を改めて述べます。
1 日高山脈という名称は、定着した地理的固有名詞です。日高山脈はその領域が日高と十勝にまたがっているので、日高山脈の名称の中にすでに十勝が内包しており、十勝を入れることは、屋上屋を架すこととなります。
2 日高山脈という名称は、小学生の地図帳にも明確に記載されており、十勝を加えることで「観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくする」必要もありません。そもそも「十勝」もまた、農作物・酪農を特色とする「農業王国」として全国的な知名度も高く、むしろ加えることによって上記の原生的環境を特色とする本質が極めてあいまいになります。
3 「十勝平野から眺める山並みは雄大」です。しかし、十勝平野中央部からは、北方には、十勝岳連峰、トムラウシ山、東大雪を含め大雪山の雄大な山並みが見えます。これらの山々は大雪山国立公園に含まれ、位置的には十勝の新得町、鹿追町、士幌町、上士幌町の各町の範囲に入ります。しかし、この大雪山国立公園の名称に十勝を加えよとの声は全くありません。東方の阿寒摩周国立公園の雌阿寒岳・阿寒富士・オンネトー周辺は足寄町です。雌阿寒岳・阿寒富士は本別町からも見えます。しかし、阿寒摩周国立公園に十勝を加えよという声は全くありません。眺望を理由に名称に「十勝」を加えることは奇異と言ってもよいでしょう。
以上のように、十勝を入れる必然性がありません。
十勝を入れない名称こそが、「日高山脈の価値を認識し、かけがえのない財産を次世代へ引き継いでいく意識」を作っていくものになると考えます。
貴職の賢明なるご判断を望みます。
日高山脈襟裳十勝国立公園協議会の会議運営に関する質問と要望
日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する中央環境審議会の答申に関する声明
日高山脈を含む新国立公園の名称に関する質問への回答
環境省自然環境局長・国立公園課長に再回答を求めるとともに環境大臣に文書を送付
中央環境審議会自然保護部会に関する再質問への環境省からの回答
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を始めました
日高山脈襟裳国定公園を国立公園に指定する中央環境審議会の答申に関する声明
日高山脈を含む新国立公園の名称に関する質問への回答
環境省自然環境局長・国立公園課長に再回答を求めるとともに環境大臣に文書を送付
中央環境審議会自然保護部会に関する再質問への環境省からの回答
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を始めました
Posted by 十勝自然保護協会 at 20:36│Comments(0)
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