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十勝自然保護協会 活動速報 › その他 › 東大雪地域整備基本計画案への意見

2011年03月14日

東大雪地域整備基本計画案への意見

 環境省北海道地方環境事務所は、3月4日に大雪山国立公園東大雪地域整備基本計画案について、地元説明会を開催しました。この計画案に対し、当会は3月11日付で下記の意見を同事務所長に提出しました。

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   平成22年度大雪山国立公園東大雪地域整備基本計画策定業務報告書(案)
   に対する意見
1.1ページ7行目 「野生動物とのふれあい」は誤解をまねく表現であり、「野生動物の観察」にでもすべきである。
2.6ページ 与条件の確認・整理において、上位計画である大雪山国立公園計画および大雪山国立公園管理計画を取り上げるのは当然であるが、昨年10月のCOP10において採択された愛知目標は、今後のわが国の環境行政の重要な目標あり、この計画書においてもふれられるべきである。
3.15ページ3行目 東大雪地域は南大雪火山に含まれるとの見解は一般的ではないと思われるので、出典を明らかにする必要がある。
4.16ページ10行目 凡例に従うなら、エゾマツ-トドマツ群集であり、常緑針葉樹林は削除しなければならない。
5.20ページ4行目 移入種であるワカサギを取り上げる必要はない。
6.同8行目 シジュウカラをあえてとりあげる必要はない。
7.34ページ 東大雪地域の主な活動主体として9つの団体をあげているが、ここに当会がないのは不思議なことである。なぜなら、当会は東大雪地域の南西端で自然保護上大問題となった士幌高原道路の中止を求めて活動し、これを実現したからである。今日、生物多様性の保全が世界の大きな課題となっているが、当会の活動は先駆的なものであったと自負している。その団体の存在を無視するのは情けないことであり、再考すべきである。また、キンメフクロウやミユビゲラの保護活動で前田一歩園賞を授与された、ひがし大雪博物館友の会の名前がないのもおかしなことであって再考すべきである。
8.35ページ 関係団体から自然環境保全について聞き取りを行っているが、「十勝三股ふれあい自然塾」以来この問題に関わり、貴職が設置した十勝三股・糠平触れ合い自然塾検討会の委員も務めてきた当会に対し聞き取りが行われなかったことは、行政として公平さを欠き許されないことである。このような不当な扱いを受けたが、当会は貴職に2010年12月16日付で意見書を提出した。自然保護NGOからの意見があったことを明記すべきである。
9.47ページ 整備基本計画は、生態系・生物多様性の保全を最初の項目とすべきである。
10.47ページ20行目 「原生的」の定義をしなければならない。なぜなら、人によって意味するところが異なる可能性があるからである。
11.同21行目 「眺望の対象となる」は削除すべきである。
12.同23行目 「失われた地域」では意味不明であり、「原植生が失われた地域」とでもすべきである。
13.50ページ9行目 「高山帯における高山植物」に限定する必要はない。
14.同 「東大雪地域の自然環境の保護普及及啓発活動及び調査・研究機能の充実」とあるが、自然保護に関わる活動の記述が不十分である。自然破壊・生物多様性の消失について問題意識を喚起する取組みの必要性を記述すべきである。
15.51ページ 表中の「雰囲気づくり」は第三者には意味不明であり、書き換える必要がある。
16.55ページ 環境省ビジターセンターの名称については、自然環境保全活動の拠点であることを知ってもらうという観点から、東大雪自然環境保全センター、東大雪自然保護センター、東大雪生物多様性保全センターなどを検討すべきである。
17.57ページ 表5-4-1-2の基本機能の配列は、中核施設の役割の順序に対応させ、自然保護指導・促進機能を最上段に移動すべきである。また、「中核施設に求められる機能」の記述に欠落があるので訂正すべきである。
18.66ページ 「外来種対策を推進する」は、「外来種駆除を推進する」とすべきである。なお、この中にはカラマツもふくまれていると考えるが、もしそうでなければ含めるべきである。
19.66ページ 十勝三股地区基本計画方針で「広大な山岳景観を継続的に維持できるようにする」とされている。おかしな文だが、文脈からすると眺望を確保するため森林化を防ぐようにすると解される。しかし、ルピナス駆除を行う上で、ルピナスの光条件を奪う森林化が有効であることは明らかである。また、この地域の温度条件と雨量条件は荒地を森林へと導くと考えられる。このようなことから、永遠に草刈を続けることは自然公園のあり方として問題であり再考すべきある。
20.66ページ ゾーニング計画において草原の広がりを確保するとあるが、ここでいう草原とは、失われた植生の姿であり、これを確保することは自らの方針と矛盾するので削除すべきである。
21.66ページ 十勝三股地区において、東屋の扱いについてふれられていないが、和田元所長は、東屋の撤去を検討すると語った。したがって、この問題に言及すべきである。また、大雪山国立公園管理計画のパブリックコメントで当会は、十勝三股の集団施設地区返上を求めた。これに対し、貴職は検討を表明した。このことについても記述するべきである。
22.66ページ 外来種の除去のための予算措置を具体的に記述するべきである。
23.73ページ 中核施設の管理運営経費について書くべきである。また中核施設の職員をどうするのかも明らかにすべきである。
24.74ページ 活動プログラムのコンセプトとして、「地域や自然の大切さを学ぶ」としているのだが、地域の大切さを学ぶについて、具体的に説明すべきである。
25.同 活動プログラムのコンセプトとして「外来種対策等の活動を行う」とあるが、「外来種駆除等の活動を行う」とすべきである
26.同 活動プログラムの基本方針に「多様で良質な自然」とあるが、「良質な自然」の意味が不明であり、削除するか書き換えるべきである。
27.同 活動プログラムの基本方針のなかで、「多様で良質な自然」として草原もあげられているが、北海道において自然草原は高山草原と海岸草原に限定される。ここでいう草原が何をさしているのか具体的に明らかにすべきである。伐開跡地を指すのであれば不要である。
28.同 活動プログラムのテーマのひとつに「人づくり」があり、そのプログラムとしてマナーの普及やリスクマネイジメントがあげられているが、これらが人づくりプログラムとはいえないので修正すべきである。
29.同 活動プログラムのテーマのひとつに「東大雪地域本来の生物多様性をめざして(森づくり、外来生物対応、人との共生等)」とあるが、(森林復元、外来生物駆除等)とすべきである。また「人との共生」をそのまま使いたいのなら、この聞きなれない言葉には説明が必要である。
30.75ページ 活動プログラムの(2)活動形態のなかに、外来種駆除のための活動を明記すべきである。なぜなら、66ページの三股地区の基本計画方針では「セイヨウオオマルハナバチ及びルピナス等の外来種対策を推進する」となっているからである。
31.同 活動プログラムの(2)活動形態のなかに「自然を題材・素材にしたクラフト・芸術活動」とあるが、これは自然保護のための啓発活動とは言えず、必要ない。
32.同 活動プログラムの活動形態に林業体験があげられているが、森林復元は林業体験ではない。ここで林業体験をする必然性はないので書き換えるべきである。

 この計画書の内容は、国民に十分理解されるべきものである。しかし、すでに一部指摘したとおり、この報告書には、意味不明な文や要領を得ない文が多くあることから、文章の推敲がなされなければならない。例えば、1ページ6行目の「本調査」は、「本業務」としなければ、お粗末な日本語となる。
 上記の当会の意見について、貴職の見解をすみやかに文書で下記に送付していただきたい。
以上



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Posted by 十勝自然保護協会 at 22:10│Comments(0)その他
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