十勝自然保護協会 活動速報 › 更別村の貴重な自然の保全を求める要望書を送付
2016年03月02日
更別村の貴重な自然の保全を求める要望書を送付
以下の「更別村の貴重な自然の保全についての要望」を更別村に送付しました。
更別村長 西山 猛 様
十勝自然保護協会は、十勝地方の自然を保全し、自然環境の保護育成につとめ、生活と文化向上に貢献することを目的に、さまざまな活動をしています。
更別村は、南十勝に位置し平坦で広大な耕作地が広がる畑作畜産業を中心とした自治体で、遠くに日高山系を望む農村的景観が特徴です。自然林の豊富な高山地帯や原生花園を有する海岸線を持たず自然環境は少ないと思われますが、地名の由来である「湿地」に因んだ「豊かな自然」が数か所残存します。それらを「さらべつふるさとマップ」及びパンフレット「さらべつ『いとなみ』と『自然』」(平成17年12月発行)で紹介して、村民等に頒布し、啓発を行っており、その取り組みの姿勢に敬意を表するものです。
それから10年が経過している現在、当会は、更別村における最近の調査・観察を通じて、とくに次の3件について貴重な自然として次の世代に残すべきと考え、特別な保全策を要望いたします。
1 北海道天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」
2 イタラタラキ川排水路周辺の十勝坊主群
3 第2更別川(俗称・アキアジ川)の湧水植物群と生育地
以下、それぞれについて保全を求める理由を記載します。
1 北海道天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」
「更別湿原のヤチカンバ」は1963(昭和38)年に北海道天然記念物に指定されました。国内では、別海町西別湿原と2か所にしか自生しない極めて貴重な種です。しかし、生育地の乾燥化が長期間続き、ミヤコザサ・ヤマナラシなどが侵入繁茂し、極めて危機的な状況にあります。
当会は、指定者である北海道教育委員会、管理者である貴村教育委員会に対し、専門家による調査委員会の設置など意見・要望を提出しております。
貴職におかれましては、指定の価値を消滅させないために、北海道教育委員会と連携し、一層の保全に努めていただきたく存じます。
2 イタラタラキ川排水路周辺の十勝坊主群(添付図参照)
十勝坊主は、かつて途別川上流、イタラタラキ川や売買川の流域などに普通に見られた微地形です。しかし、開発により急激に減少し、十勝地方において今では数か所に見られるにすぎません。更別村勢雄に0.47haの「学術自然保護地区」(1975(昭和50)年北海道指定)(添付図:青枠)がありますが、樹木の侵入が進んで形状が不明瞭になった十勝坊主が少なくありません。しかし、近隣のイタラタラキ川排水路周辺(添付図:赤枠)には、排水路で分断されてはいるもののほとんど樹木の侵入がない十勝坊主群があり、特有の形状は極めて明瞭です。なお、排水路の左岸部は財務省所有、右岸部は更別村が地権者ではあるが幕別町の土地であるとうかがっています。
貴職におかれましては、この地域を「勢雄学術自然保護地区」の拡大という観点で保全すべく、各方面へご尽力いただきたく存じます。
3 第2更別川(俗称・アキアジ川)の湧水植物群と生育地
更別村には日高山脈を水源にする湧水が各所に見られます。第2更別川(俗称・アキアジ川)もその一つで、そこには次のような貴重な湧水植物群が生育することは前記パンフレットにも記載されています。
・カラフトダイオウ(カラフトノダイオウ)
・ヌマハコベ
・クロミサンザシ
・ヤチツツジ
・イソツツジ
さらに記載以外にも次のような希少種が生育しています。
・チシマウスバスミレ
・タルマエスゲ
・ホソバオゼヌマスゲ
・ミクリゼキショウ
・オニコメススキ
十勝地方でこのように多種の貴重種が生育する湧水地はここにしか確認されてなく、特別な保全が必要と考えます。最近は外来種の侵入も見られますので早急な対策が望まれます。
なお、この河川には、現在は稼働していないが水利権を得ているという養魚場があることはうかがっており、経営者のご理解を得なければならない難しさもあると存じます。
貴職におかれましては、貴重種の減少を防止するために、この湧水地の保全にご尽力いただきたく存じます。
以上、美しい村づくりの一環としてよろしくご検討いただき、年度末でご多忙とは存じますが、3月15日(火)までにご見解をいただきたくお願いいたします。
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2016年2月14日
更別村長 西山 猛 様
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
更別村の貴重な自然の保全についての要望
十勝自然保護協会は、十勝地方の自然を保全し、自然環境の保護育成につとめ、生活と文化向上に貢献することを目的に、さまざまな活動をしています。
更別村は、南十勝に位置し平坦で広大な耕作地が広がる畑作畜産業を中心とした自治体で、遠くに日高山系を望む農村的景観が特徴です。自然林の豊富な高山地帯や原生花園を有する海岸線を持たず自然環境は少ないと思われますが、地名の由来である「湿地」に因んだ「豊かな自然」が数か所残存します。それらを「さらべつふるさとマップ」及びパンフレット「さらべつ『いとなみ』と『自然』」(平成17年12月発行)で紹介して、村民等に頒布し、啓発を行っており、その取り組みの姿勢に敬意を表するものです。
それから10年が経過している現在、当会は、更別村における最近の調査・観察を通じて、とくに次の3件について貴重な自然として次の世代に残すべきと考え、特別な保全策を要望いたします。
1 北海道天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」
2 イタラタラキ川排水路周辺の十勝坊主群
3 第2更別川(俗称・アキアジ川)の湧水植物群と生育地
以下、それぞれについて保全を求める理由を記載します。
1 北海道天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」
「更別湿原のヤチカンバ」は1963(昭和38)年に北海道天然記念物に指定されました。国内では、別海町西別湿原と2か所にしか自生しない極めて貴重な種です。しかし、生育地の乾燥化が長期間続き、ミヤコザサ・ヤマナラシなどが侵入繁茂し、極めて危機的な状況にあります。
当会は、指定者である北海道教育委員会、管理者である貴村教育委員会に対し、専門家による調査委員会の設置など意見・要望を提出しております。
貴職におかれましては、指定の価値を消滅させないために、北海道教育委員会と連携し、一層の保全に努めていただきたく存じます。
2 イタラタラキ川排水路周辺の十勝坊主群(添付図参照)
十勝坊主は、かつて途別川上流、イタラタラキ川や売買川の流域などに普通に見られた微地形です。しかし、開発により急激に減少し、十勝地方において今では数か所に見られるにすぎません。更別村勢雄に0.47haの「学術自然保護地区」(1975(昭和50)年北海道指定)(添付図:青枠)がありますが、樹木の侵入が進んで形状が不明瞭になった十勝坊主が少なくありません。しかし、近隣のイタラタラキ川排水路周辺(添付図:赤枠)には、排水路で分断されてはいるもののほとんど樹木の侵入がない十勝坊主群があり、特有の形状は極めて明瞭です。なお、排水路の左岸部は財務省所有、右岸部は更別村が地権者ではあるが幕別町の土地であるとうかがっています。
貴職におかれましては、この地域を「勢雄学術自然保護地区」の拡大という観点で保全すべく、各方面へご尽力いただきたく存じます。
3 第2更別川(俗称・アキアジ川)の湧水植物群と生育地
更別村には日高山脈を水源にする湧水が各所に見られます。第2更別川(俗称・アキアジ川)もその一つで、そこには次のような貴重な湧水植物群が生育することは前記パンフレットにも記載されています。
・カラフトダイオウ(カラフトノダイオウ)
・ヌマハコベ
・クロミサンザシ
・ヤチツツジ
・イソツツジ
さらに記載以外にも次のような希少種が生育しています。
・チシマウスバスミレ
・タルマエスゲ
・ホソバオゼヌマスゲ
・ミクリゼキショウ
・オニコメススキ
十勝地方でこのように多種の貴重種が生育する湧水地はここにしか確認されてなく、特別な保全が必要と考えます。最近は外来種の侵入も見られますので早急な対策が望まれます。
なお、この河川には、現在は稼働していないが水利権を得ているという養魚場があることはうかがっており、経営者のご理解を得なければならない難しさもあると存じます。
貴職におかれましては、貴重種の減少を防止するために、この湧水地の保全にご尽力いただきたく存じます。
以上、美しい村づくりの一環としてよろしくご検討いただき、年度末でご多忙とは存じますが、3月15日(火)までにご見解をいただきたくお願いいたします。
以上
Posted by 十勝自然保護協会 at 12:04│Comments(0)
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