十勝自然保護協会 活動速報 › モアショロ原野螺湾足寄停車場線 › 一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の新規開削中止を求める要望書を送付
2020年05月26日
一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の新規開削中止を求める要望書を送付
当会は一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線についてこれまで帯広建設管理部に説明を求めてきましたが、そのやりとりを踏まえ北海道知事に対し新規開削の中止を求める要望書を送付しました。
北海道知事 鈴木直道 様
北海道は雌阿寒岳の噴火の際に迅速かつ安全に避難するために、一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の未舗装区間(モアショロ原野地区の4.4キロ)で二車線の舗装道路を新規に開削する事業を進めています。
当会は帯広建設管理部の主催するワークショップに参加するとともに、生態系・生物多様性の保全、景観の保全、必要性の観点から帯広建設管理部に質問書を送付して疑問点を指摘してきました。その結果、本整備計画が火山噴火のさまざまな状況を想定し必要性を検討した上で計画されたものではなかったことが明らかになりました。(添付資料参照)
当会は以下の理由により本整備計画の中止を求めます。貴職の見解について6月25日までに回答いただきたく存じます。
1 避難の時間的余裕がない噴火現象
・山体崩壊、火砕流
山体崩壊や火砕流は流下速度が極めて速いため発生してから避難しても間に合いません。
・融雪型火山泥流
融雪型泥流が雌阿寒岳の西側で発生した場合には螺湾川沿いに流れ下るため、モアショロ方面に向かう本道路は避難道路としては使えません。
これらの噴火現象が発生した場合は避難する時間的余裕がありませんので、迅速に避難できる道路を建設しても意味がありません。
2 現道で対応可能な噴火現象
・溶岩流
マグマには粘性があり流下速度は歩く程度ですので、既存道路による避難で対応できます。
・大きな噴石
大きな噴石は噴火して数分で落下すると考えられますが、オンネトー見学の観光客がその間にすべきは建物など噴石が直接当たらない場所に避難することです。大きな噴石は自動車のフロントガラスや鉄板も貫通しますので、自動車に留まるのは危険です。道路に大きな噴石が落ちたら自動車の走行もできません。この場合はシェルターが最も有効です。
・小さな噴石、火山灰
小さな噴石や火山灰が降れば、視界が悪くなりますし、道路に火山灰や小さな噴石が堆積すれば高速での走行はできません。また火山灰の降下だけであれば、高速で避難する必要性はありません。したがって既存の道路で避難できます。
これらの火山現象が発生した場合、現道を利用しての避難で十分対応できると考えます。なお、帯広建設管理部からは現道では現場に向かう緊急車両とのすれ違いが困難との回答がありましたが、噴石が落下しているような状況では緊急車両も現場に近づくことはできません。
3 立ち入り禁止体制を強化すべき
雌阿寒岳は気象庁が常時観測をして噴火警戒レベルを公表している火山で、噴火警戒レベルに応じて登山や観光の自粛や中止、避難などが定められています。また、人が居住しているのは雌阿寒温泉だけであり、雌阿寒岳やオンネトー周辺への立ち入りを規制しても観光業者への影響は大きくありません。したがって道路開通期間中に火山活動が活発化した場合、火山噴火レベルの周知や速やかな立ち入り規制を実施することで、噴火による被害の軽減が可能です。
4 噴石には自動車の避難よりシェルターが有効
気象庁が24時間監視している火山であっても、噴火警戒レベルを上げたり立ち入り規制を実施する前に突然噴火をする可能性はあります。突然噴火した場合、前述したように自動車による避難は危険であり、一刻も早く噴石から身を守る行動が求められます。観光要所に噴石シェルターを設置することで人的被害を減らすことができます。新たな道路開削より噴石シェルターの設置を検討すべきです。
5 新規開削は生態系および景観の破壊になる
雌阿寒岳の山麓には自然度の高い森林が広がっており、希少な動植物の生息地になっています。ここを開削して幅員5.5メートルの道路を建設した場合、のり面も含めると広大な面積の森林が破壊され森林が分断されるとともに景観が大きく破壊されます。生物多様性や自然環境の保全、景観保全の観点からも、新規開削は中止すべきです。
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2020年5月22日
北海道知事 鈴木直道 様
十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の新規開削中止を求める要望書
北海道は雌阿寒岳の噴火の際に迅速かつ安全に避難するために、一般道道モアショロ原野螺湾足寄停車場線の未舗装区間(モアショロ原野地区の4.4キロ)で二車線の舗装道路を新規に開削する事業を進めています。
当会は帯広建設管理部の主催するワークショップに参加するとともに、生態系・生物多様性の保全、景観の保全、必要性の観点から帯広建設管理部に質問書を送付して疑問点を指摘してきました。その結果、本整備計画が火山噴火のさまざまな状況を想定し必要性を検討した上で計画されたものではなかったことが明らかになりました。(添付資料参照)
当会は以下の理由により本整備計画の中止を求めます。貴職の見解について6月25日までに回答いただきたく存じます。
記
1 避難の時間的余裕がない噴火現象
・山体崩壊、火砕流
山体崩壊や火砕流は流下速度が極めて速いため発生してから避難しても間に合いません。
・融雪型火山泥流
融雪型泥流が雌阿寒岳の西側で発生した場合には螺湾川沿いに流れ下るため、モアショロ方面に向かう本道路は避難道路としては使えません。
これらの噴火現象が発生した場合は避難する時間的余裕がありませんので、迅速に避難できる道路を建設しても意味がありません。
2 現道で対応可能な噴火現象
・溶岩流
マグマには粘性があり流下速度は歩く程度ですので、既存道路による避難で対応できます。
・大きな噴石
大きな噴石は噴火して数分で落下すると考えられますが、オンネトー見学の観光客がその間にすべきは建物など噴石が直接当たらない場所に避難することです。大きな噴石は自動車のフロントガラスや鉄板も貫通しますので、自動車に留まるのは危険です。道路に大きな噴石が落ちたら自動車の走行もできません。この場合はシェルターが最も有効です。
・小さな噴石、火山灰
小さな噴石や火山灰が降れば、視界が悪くなりますし、道路に火山灰や小さな噴石が堆積すれば高速での走行はできません。また火山灰の降下だけであれば、高速で避難する必要性はありません。したがって既存の道路で避難できます。
これらの火山現象が発生した場合、現道を利用しての避難で十分対応できると考えます。なお、帯広建設管理部からは現道では現場に向かう緊急車両とのすれ違いが困難との回答がありましたが、噴石が落下しているような状況では緊急車両も現場に近づくことはできません。
3 立ち入り禁止体制を強化すべき
雌阿寒岳は気象庁が常時観測をして噴火警戒レベルを公表している火山で、噴火警戒レベルに応じて登山や観光の自粛や中止、避難などが定められています。また、人が居住しているのは雌阿寒温泉だけであり、雌阿寒岳やオンネトー周辺への立ち入りを規制しても観光業者への影響は大きくありません。したがって道路開通期間中に火山活動が活発化した場合、火山噴火レベルの周知や速やかな立ち入り規制を実施することで、噴火による被害の軽減が可能です。
4 噴石には自動車の避難よりシェルターが有効
気象庁が24時間監視している火山であっても、噴火警戒レベルを上げたり立ち入り規制を実施する前に突然噴火をする可能性はあります。突然噴火した場合、前述したように自動車による避難は危険であり、一刻も早く噴石から身を守る行動が求められます。観光要所に噴石シェルターを設置することで人的被害を減らすことができます。新たな道路開削より噴石シェルターの設置を検討すべきです。
5 新規開削は生態系および景観の破壊になる
雌阿寒岳の山麓には自然度の高い森林が広がっており、希少な動植物の生息地になっています。ここを開削して幅員5.5メートルの道路を建設した場合、のり面も含めると広大な面積の森林が破壊され森林が分断されるとともに景観が大きく破壊されます。生物多様性や自然環境の保全、景観保全の観点からも、新規開削は中止すべきです。
以上
タグ :モアショロ原野螺湾足寄停車場線
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