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2014年11月28日

農高カシワ林調査内容についての申し入れ

 当会は帯広農高のカシワ林保護のため、学園道理の整備に関して変則3車線案を提案していましたが、この要望は受け入れられずカシワ林の一部が伐採されることが決定してしまいました。帯広市はカシワ林の環境調査を行った上で整備に入るとしています。この環境調査に関して、帯広市に以下の申入れをしました。

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2014年11月25日


帯広市長 様

十勝自然保護協会


農高カシワ林調査内容についての申し入れ


 11月11日、「学園通の整備に係る農高カシワ林の環境調査内容に関する意見交換会」が開催され、当会も出席し意見を述べました。第1回ということで調査内容の概要が示された段階での議論ため、問題点が十分に整理されたとは言い難く、まだ議論すべきところが残っており、さらに深めるべきです。
 当会は、工事の事前事後調査について、今回の「意見交換会」で述べた意見に加え、派生する問題点に関連し、以下の提言をいたします。これらが、次回の「意見交換会」に提出される環境調査内容案に反映されることを要望いたします。
 なお、環境調査内容が事前に参加者(参加団体)に配布されるならば、当日の議論がより建設的なものになると期待されますので、合わせてご検討をお願いします。
 この提言について、貴職のご見解を12月5日まで回答をいただきたくお願いいたします。
 


A.調査の意義
帯広市が行った過去の都市計画道路整備において伐採の影響を見た調査は、移植木や貴重種の活着率程度である(平成25 年11 月20 日付都市計画課回答文書)。私たちは道路整備のための伐採が残存林にどのような影響を与えたかを知ることが重要であると考えている。
今回の調査は、工事前にカシワ林について現況把握をすることはいうまでもないが、工事がカシワ林にどのような影響を与えたかを解明する事後調査を行うことが不可欠である。(2014年5月21日付「事前事後調査についての申し入れ」より)

B.調査の大前提として
1.調査方法等を議論するにあたって、担当部署は専門家と共に事前に現地を十分に視察し、問題点を具体的に把握すべきである。
2.調査者は、調査方法・種の識別に精通したそれぞれの専門分野の研究者が配置されるべきである。

C.植物の調査
1.希少種・貴重種など特定種の調査に偏ることは、今回の調査の意義・方向から外れるものである。
2.改変部は当然であるが調査対象範囲全体に目を向け、コアとエコトーン部分の現状調査をすべきである。
3.事後調査(モニタリング・追跡調査)を行わなければならないことは前述(A)のとおりである。
4.調査は水平方向・垂直方向の全体を行うべきである。
5.植物相調査(踏査)と植生調査(帯状区調査・方形区調査・植生図調査)を中心にすべきである。
①これらの調査は事後調査につながるため重要不可欠である。   
②工事前の調査では、改変部(コアとエコトーン)と非改変部(コアとエコトーン)に必ず固定調査区を設置すべきである。特に非改変部のなかでも工事後エコトーンが形成されそうな場所(将来の林縁)には調査区を必ず設置すべきである。もちろん工事後の調査も重要である。
③工事後の外来種の侵入に対応した調査を加味すべきである。
6.調査時期は春(5月)と夏(7月)は最低行うべきであるが、回数を増やすことでより精度の高いものを求めるべきである。
7.担当専門家の意見を十分に尊重し、決して財政上からくる制限を強制すべきではない。
8.今回は工事方法についての議論までは行っていないが、工事による根圏への影響は明白である。したがって、事前調査段階で、どの程度の影響が考えられるかを調査し把握すべきであり、適切な工法を並行して研究すべきである。
①カシワ林冠木については、道路から20mくらいの幅に入る個体について活生度(葉の付き方や新梢の数など)を調べ、工事前後を比較しモニタリングすべきである。その際、各林冠木の根圏への推定ダメージ度や林縁からの距離などのパラメータも記録しておくことが重要である。
②林冠を形成していないカシワについても上記のデータを記録しておくべきである。

D.動物(哺乳類・鳥類・両生類・昆虫類など)の調査
1.一般に行動圏が広いことから、意見交流会では調査不要との意見も出されたが、行動圏の狭い種については対象範囲内での利用法・依存度などは調査すべきである。
2.調査時期は調査対象種によって異なるので、担当専門家の意見を尊重すべきである。

E.議事の記録
調査内容についての意見交換会、説明会などの議事内容をしっかりと記録し、議事録は閲覧できるようにしなければならない。
以上




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Posted by 十勝自然保護協会 at 20:36│Comments(0)道路問題近郊の自然
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