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十勝自然保護協会 活動速報 › アースハンモックの保全 › 帯広市のアースハンモックの文化財指定を求める要望書

2020年10月08日

帯広市のアースハンモックの文化財指定を求める要望書

 周氷河地形の一つであるアースハンモック(十勝坊主)を、帯広市の文化財に指定するよう求める要望書を帯広市教育委員会に送付しました。

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2020年10月5日


帯広市教育委員会教育長  池原 佳一 様

十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する要望

 当会は、十勝地方の自然環境を保全するため、さまざまな活動をしています。日頃よりご理解とご協力を賜り、感謝申し上げます。
 当会の活動の一つに、十勝管内のアースハンモック(十勝坊主)を保全する活動があります。

(1)アースハンモック(十勝坊主)について
 共同調査者である小疇尚氏(明治大学名誉教授)は次のように説明しています。
 「アースハンモックは短茎草本や矮小灌木類におおわれた、径1~2m前後、高さ数十㎝の土饅頭で、周氷河地形のひとつ構造土の一種である。世界的には永久凍土帯から季節凍土帯まで周氷河地域に広く分布し、日本では大雪山、羊蹄山、北上山地、南アルプスの高山帯で分布が知られている。日本の低地では十勝平野で初めて発見され、『十勝坊主』と名付けて報告された(山田、1959)。」

(2)調査研究の経緯
 当会は2016年以降、十勝管内のアースハンモック(十勝坊主)について、上記、小疇尚氏ら複数の研究者と共同調査を行ってきました。
 そして、帯広市泉町のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、とかち帯広空港敷地内で温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、本年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」が掲載されました(別添)。
 その貴重性から公的な保存の必要性を訴えて、2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
 2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課(係長、主任補)
 2019年11月6日  帯広市商工観光部空港事務所(所長、副所長、主幹、主査)  

(3)泉町空港アースハンモックの特徴
 開港前は一帯に極めて多数の十勝坊主群が存在していたと考えられます。空港東側は「以平町」ですが、この以平はアイヌ語「イタラタラキ(itarataraki)」に由来するとの説があり、その意味するところは「でこぼこがあるところ」とされています。かつては十勝坊主が広範囲に分布していたと考えられます。
 現在は、空港敷地の西南側にのみ残存しています。推定、数千個あり、多くは大型で整った形状をしています。樹林化が全体に進んではいますが、樹林化されていない十勝坊主群が明瞭な区域もいくつかあります。
 西側に隣接する民有地は、大型で整った形状の十勝坊主群が推定1万個見られる広大な分布地でしたが、2019年に地権者が代わり、現在は平地化されてすべて消滅しています。
 しかし、この民有地が平地化され十勝坊主が半減したとはいえ、依然として日本最大の密集地と考えられます。

(4)帯広市内の十勝坊主分布地
 帯広市内平地で現在確認されている十勝坊主分布地は空港を含め4か所です。空港以外の3か所は、今後の状態に関してそれぞれ難点があります。
 その特徴などを以下に記載します。
①帯広畜産大学(川西町)
 1974年に北海道指定文化財天然記念物に指定。100個ほどで大型ではあるが、現在は、ほとんど樹林化しており、形状が極めて不明瞭になっている。 
②空港南側カシワ林内(泉町)
 民有地にあり、その規模は300m×500m。ほぼ全域が樹齢60年ほどのカシワ林となっている。大型で形状はまだ明瞭であるものが多く、広大な分布地である。
 1996年度に帯広市環境植生調査が行われ、調査者により「天然記念物相当」の推奨を受けている。しかし、民有地であるために、今後、この状態が維持されるかはまったく不明である。
③富士町
 民有地にあり、規模は100m四方。自然に関心がある個人の土地内の一角に保存されている。樹木の侵入が多数あるが、まだ、形状は明瞭である。個人の善意で保存されているが、高齢であり、今後、この状態が維持されるかは不明である。

(5)空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の保存の意義
 更別村にもいくつかの分布域もあり、帯広・更別一帯は、かつて広い分布地であったと考えられます。
 しかし、現在は活動しておらず、現在の気候環境からは、この土地で新たに十勝坊主が形成されることはないと考えられます。ひとたび破壊されると再生することのない自然物であります。
 このように残っていることは貴重な「地形の標本」といってもよく、次世代にも単なる「用語」としてではなく実物を伝えるべきものと考えます。
 空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、多くの市民が観察できるような措置も工夫され、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
 以上のことから、極めて文化的価値が高い空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)を帯広市の文化財として指定されるよう要望いたします。
 この程、定例の文化財審議委員会が開催されるとのことで、ぜひ、議題に上程し、ご検討いただきたくお願いいたします。

添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」2020年帯広百年記念館紀要第38号
・十勝管内の十勝坊主分布地


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