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2023年02月25日
ヤチカンバの保全について更別村教育長からの回答
当会の2月6日付の『北海道指定天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」保全についての質問』に対し、更別村教育長から回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御 史 様
佐藤 与志松 様
北海道指定天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」保全に関わる質問書への回答について
2023年2月6日付け標記質問書について、下記のとおり回答いたします。
1 2021年度実施の「指定地全域のヤチカンバ分布調査」の結果概要について
・「ヤチカンバ保護地域内現況調査」という名称にて実施いたしました。
・調査内容については大きく分けて2つあり、1つはヤチカンバ生育位置等調査、もう1つは土壌調査 です。いずれも前回平成16年度に実施した調査を再度実施したものです。
・ヤチカンバ生育位置等調査では保護地域内に生育する全てのヤチカンバの生育位置、樹高、樹冠径 (枝張り)、幹数を測定しました。
・調査の結果、確認したヤチカンバは1,494株であり、前回よりも1,745株(54%)減少していました。
・土壌調査では代表地点(ヤチカンバ生育密度「疎」「中」「密」の3地点)で深さ1mの試坑を人口掘削し、土壌断面等を確認しました。
・調査の結果、いずれの調査地点でも土壌構造や堅密度、pH等の土壌理化学性は、樹木の生育に適した状態と判断され、ヤチカンバの生育密度の地点間差に土壌条件が及ぼす影響は小さいと考えられました。また、水湿状態では、他地域の過湿地で見られる特徴である、多湿もしくは過湿の土層、地下水、斑紋および泥炭が出現せず、比較的乾燥した条件にあると結論付けられました。(いずれの地点も前回調査から大きな変化なし。)
2 上記調査結果に基づく保全対策について
・当該調査結果から、ヤチカンバの個体数減少傾向が極めて早く進行し、その要因にはエゾヤマナラシやオオイタドリによる被陰以外も関わっていることが示唆されました。このため原因解明に向けて、令和4年度には保護地域内で植生図作成調査、オオイタドリの駆除試験(環境影響が小さいとされる重曹を使用)を実施しました。
・植生図作成調査からは、保護地域内のほぼ全域に生育するミヤコザサが、ヤチカンバの枯死したシュートと置き換わる次世代の若いシュートを被陰し、成長を阻害していることが推測されました。また、衰退要因ではこれまで同様、オオイタドリとエゾヤマナラシ(高木)による被陰のほか、オオイタドリの地下茎(高密度な分布、小空洞の増加)が関与している可能性も推測されました。
・オオイタドリ駆除試験からは、重曹での枯殺効果が認められ、周辺植生への影響もありませんでした。しかし、本種は保護地域内の40%弱の広範囲に生育しており、また、地下茎を衰弱・枯死させるには複数年継続した駆除が必要となり、財政的な面での課題が残る形となりました。
・これらの結果を踏まえ、次年度以降にはヤチカンバの遺伝子保存のための保護優先区画の設定(下草等の除去)や、エゾヤマナラシの伐採、地盤掘り下げによる湿原環境生育種の再生試験の実施を検討してまいります。
3 2021年7月8日付質問書に対する回答以降の進展等について
① 専門的な有識者による組織の立ち上げについて
・本年度より外部有識者として浦幌町立博物館学芸員の持田誠様にご協力をいただいております。今後、各種保全策を実施するにあたり、必要に応じて他の分野の有識者の方にご協力いただくことも見込まれますが、現時点で組織化の予定はありません。
② 指定地内の十勝坊主群の保全及び啓発活動について
・前回の回答と同様に、指定地内のヤチカンバ以外の貴重な植物やその生育環境・地形なども含めた保全が必要と考えておりますが、解説板を設置する予定はございませんので、ご理解願います。
③ ヤチカンバの分布・特徴などの解説をした追加の掲示板の設置について
・来訪いただいた方にヤチカンバという貴重種の存在を確認いただけるよう、情報発信の取組の必要性は認識しております。現時点では具体的な掲示板の設置計画はございませんが、今後の保全活動 を進めるにあたり併せて検討してまいりたいと考えております。
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更 教 号
令和5年2月15日
令和5年2月15日
十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御 史 様
佐藤 与志松 様
更別村教育委員会
教育長 荻 原 正
教育長 荻 原 正
北海道指定天然記念物「更別湿原のヤチカンバ」保全に関わる質問書への回答について
2023年2月6日付け標記質問書について、下記のとおり回答いたします。
記
1 2021年度実施の「指定地全域のヤチカンバ分布調査」の結果概要について
・「ヤチカンバ保護地域内現況調査」という名称にて実施いたしました。
・調査内容については大きく分けて2つあり、1つはヤチカンバ生育位置等調査、もう1つは土壌調査 です。いずれも前回平成16年度に実施した調査を再度実施したものです。
・ヤチカンバ生育位置等調査では保護地域内に生育する全てのヤチカンバの生育位置、樹高、樹冠径 (枝張り)、幹数を測定しました。
・調査の結果、確認したヤチカンバは1,494株であり、前回よりも1,745株(54%)減少していました。
・土壌調査では代表地点(ヤチカンバ生育密度「疎」「中」「密」の3地点)で深さ1mの試坑を人口掘削し、土壌断面等を確認しました。
・調査の結果、いずれの調査地点でも土壌構造や堅密度、pH等の土壌理化学性は、樹木の生育に適した状態と判断され、ヤチカンバの生育密度の地点間差に土壌条件が及ぼす影響は小さいと考えられました。また、水湿状態では、他地域の過湿地で見られる特徴である、多湿もしくは過湿の土層、地下水、斑紋および泥炭が出現せず、比較的乾燥した条件にあると結論付けられました。(いずれの地点も前回調査から大きな変化なし。)
2 上記調査結果に基づく保全対策について
・当該調査結果から、ヤチカンバの個体数減少傾向が極めて早く進行し、その要因にはエゾヤマナラシやオオイタドリによる被陰以外も関わっていることが示唆されました。このため原因解明に向けて、令和4年度には保護地域内で植生図作成調査、オオイタドリの駆除試験(環境影響が小さいとされる重曹を使用)を実施しました。
・植生図作成調査からは、保護地域内のほぼ全域に生育するミヤコザサが、ヤチカンバの枯死したシュートと置き換わる次世代の若いシュートを被陰し、成長を阻害していることが推測されました。また、衰退要因ではこれまで同様、オオイタドリとエゾヤマナラシ(高木)による被陰のほか、オオイタドリの地下茎(高密度な分布、小空洞の増加)が関与している可能性も推測されました。
・オオイタドリ駆除試験からは、重曹での枯殺効果が認められ、周辺植生への影響もありませんでした。しかし、本種は保護地域内の40%弱の広範囲に生育しており、また、地下茎を衰弱・枯死させるには複数年継続した駆除が必要となり、財政的な面での課題が残る形となりました。
・これらの結果を踏まえ、次年度以降にはヤチカンバの遺伝子保存のための保護優先区画の設定(下草等の除去)や、エゾヤマナラシの伐採、地盤掘り下げによる湿原環境生育種の再生試験の実施を検討してまいります。
3 2021年7月8日付質問書に対する回答以降の進展等について
① 専門的な有識者による組織の立ち上げについて
・本年度より外部有識者として浦幌町立博物館学芸員の持田誠様にご協力をいただいております。今後、各種保全策を実施するにあたり、必要に応じて他の分野の有識者の方にご協力いただくことも見込まれますが、現時点で組織化の予定はありません。
② 指定地内の十勝坊主群の保全及び啓発活動について
・前回の回答と同様に、指定地内のヤチカンバ以外の貴重な植物やその生育環境・地形なども含めた保全が必要と考えておりますが、解説板を設置する予定はございませんので、ご理解願います。
③ ヤチカンバの分布・特徴などの解説をした追加の掲示板の設置について
・来訪いただいた方にヤチカンバという貴重種の存在を確認いただけるよう、情報発信の取組の必要性は認識しております。現時点では具体的な掲示板の設置計画はございませんが、今後の保全活動 を進めるにあたり併せて検討してまいりたいと考えております。
(社会教育係)
更別湿原のヤチカンバ保全についての回答
ヤチカンバ保全についての質問書
更別湿原のヤチカンバ保全に関し更別村教育委員会より回答
更別湿原のヤチカンバの保全について質問と要望を送付
ヤチカンバ保全に関する回答
更別湿原のヤチカンバ保全についての質問と要望
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Posted by 十勝自然保護協会 at 16:09│Comments(0)
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