十勝自然保護協会 活動速報 › 大樹町航空宇宙開発 › 北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わる要望
2019年10月06日
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わる要望
本年6月21日に、大樹町が中心となって4組織・企業が北海道航空宇宙株式会社(以下HAP)を設立しました。
大樹町の説明によれば、「国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進める」(当会への回答より)会社です。
当会は、本会社の設立にあたって、社長(大樹町長)、取締役、監査役の他、9名の顧問あてに個別に「大樹町海岸の自然環境の保全」について要望書を提出しました。
以下、大樹町長あて要望書全文と顧問のうち鈴木直道北海道知事、稲川貴大インターステラテクノロジズIST社長あての要望書抜粋を掲載します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大樹町長
北海道航空宇宙企画株式会社 社長
酒森 正人 様
新聞報道によると、北海道航空宇宙企画株式会社(以下HAP)は、今月下旬にHAPを構成する機関・団体の実務者による「宇宙のまちづくり推進連絡会議」の設置が予定されるなど具体的な事業計画の策定が進められ、年内には事業運営会社へ移行するとされています。
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAP立ち上げに際しあらためて大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全について要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントウ・生花苗沼・キモントウ・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣をともなう生息地でもあります。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このような地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林があり林床植物も含め貴重なものです。
さらに、実験場に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で広く保全を訴えています。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいています。
このような観点が、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定に反映され、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、ご見解を伺えれば幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*鈴木北海道知事への要望書より抜粋
「当会は大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAPの事業計画策定に際し、ご助言をなさる貴職におかれましては、北海道の自然環境の保全に行政として関わる立場から大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。」
「貴職におかれましては、HAPの顧問を務められるにあたり、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、「北海道自然環境保全指針」の理念をしっかりと堅持して臨まれますよう要望いたします。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*稲川IST社長への要望書より抜粋
「今後、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定にあたって、貴社は、大樹町の航空宇宙事業の中核をなす企業として多くの提言を求められることと存じますが、足元に広がる自然環境の希少性、重要性をご理解いただき、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。」
大樹町の説明によれば、「国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進める」(当会への回答より)会社です。
当会は、本会社の設立にあたって、社長(大樹町長)、取締役、監査役の他、9名の顧問あてに個別に「大樹町海岸の自然環境の保全」について要望書を提出しました。
以下、大樹町長あて要望書全文と顧問のうち鈴木直道北海道知事、稲川貴大インターステラテクノロジズIST社長あての要望書抜粋を掲載します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2019年9月17日
大樹町長
北海道航空宇宙企画株式会社 社長
酒森 正人 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
新聞報道によると、北海道航空宇宙企画株式会社(以下HAP)は、今月下旬にHAPを構成する機関・団体の実務者による「宇宙のまちづくり推進連絡会議」の設置が予定されるなど具体的な事業計画の策定が進められ、年内には事業運営会社へ移行するとされています。
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAP立ち上げに際しあらためて大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全について要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントウ・生花苗沼・キモントウ・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣をともなう生息地でもあります。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このような地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林があり林床植物も含め貴重なものです。
さらに、実験場に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で広く保全を訴えています。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいています。
このような観点が、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定に反映され、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、ご見解を伺えれば幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*鈴木北海道知事への要望書より抜粋
「当会は大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAPの事業計画策定に際し、ご助言をなさる貴職におかれましては、北海道の自然環境の保全に行政として関わる立場から大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。」
「貴職におかれましては、HAPの顧問を務められるにあたり、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、「北海道自然環境保全指針」の理念をしっかりと堅持して臨まれますよう要望いたします。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*稲川IST社長への要望書より抜粋
「今後、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定にあたって、貴社は、大樹町の航空宇宙事業の中核をなす企業として多くの提言を求められることと存じますが、足元に広がる自然環境の希少性、重要性をご理解いただき、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。」
「新射場LC-1の建設工事に関する要望」への大樹町長からの回答
新射場LC-1の建設工事に関し大樹町長に要望書を送付
大樹海岸の自然の保全に関し大樹町長から回答
大樹海岸の自然の保全に関し、要望および質問書を送付
大樹町から質問書への回答
大樹町の自然の保全に関し、質問書を送付
新射場LC-1の建設工事に関し大樹町長に要望書を送付
大樹海岸の自然の保全に関し大樹町長から回答
大樹海岸の自然の保全に関し、要望および質問書を送付
大樹町から質問書への回答
大樹町の自然の保全に関し、質問書を送付
Posted by 十勝自然保護協会 at 10:02│Comments(0)
│大樹町航空宇宙開発
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。