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十勝自然保護協会 活動速報 › 大樹町航空宇宙開発 › 宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望と回答

2022年06月03日

宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望と回答

 5月11日付で大樹町長に送付した「宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望」と大樹町長からの回答を掲載します。

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2022年5月11日


大樹町長  酒森正人 様

十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松


宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望


 当会は貴職に対し、十勝海岸の自然の多様性、貴重性を守る立場からここ数年にわたり、書面・面談を通じ意見を述べ要望してきました。とくに「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」が公表されてから、射場の拡張整備、滑走路の延伸などについて代替案を含め要望書を提出しました。
 貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいております。また、射場整備についての要望に対し「…自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。」との回答もいただいております。
 貴町が掲げる「北海道スペースポート」構想の実現に向けた関連事業が今年度より本格的に始まるとのことですが、その開始に当たって以下の要望をいたします。これは、すでに書面や面談を通じて繰り返し要望してきましたが、改めて提出いたします。
 ご多忙とは存じますが、6月3日までにご見解をいただければ幸いです。

1.LC1射場の拡張整備について
 当該地区のカシワ林は、浜大樹より連続する自然度の高い長大なもので、道内的にも貴重なカシワ海岸林であり、北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、カシワ林周辺の海岸側には多くのガンコウラン群落があり、これも上記の北海道自然環境保全指針の中で他の海岸植生とともに保全が求められているところです。
 今後の実施設計に当たっては、カシワ林の伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
 また、実施設計に当たっては、当会が意見を述べる機会を設けていただきたく要望します。
2.現滑走路の東側延伸について
 上記の観点から、海岸カシワ林の伐採をせず、西側にのみ延伸すべきことを要望してきましたが、今回の決定は残念です。「北海道スペースポート」構想では、今後、3000m級の新滑走路の計画もありますが、カシワ林伐採を伴わない計画を最後まで追及していただきたく存じます。
3.「北海道スペースポート」構想のイメージ図について
 スペースコタンがメディアなどに提供する3葉のイメージ図については、貴重な自然環境を破壊するようなイメージであることから、当会は発足当初から再検討を要望してきました。貴町は「あくまでもイメージ図」としていますが、3葉のうち特に右図は「航空宇宙産業が集積する『宇宙のシリコンバレー』を目指す」ものとして、各種イベントやメディアで多用されています。この図は海岸草原台地から当縁川河口をベースにし、河川湿地は埋め立てられています。貴職がおっしゃる「自然環境との共生」とはかけ離れるものです。スペースコタンは貴町が最大株主です。再検討を要望いたします。

(イメージ図は省略)


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樹企商第 214 号
令和4年5月26日


十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
              佐藤与志松 様

大樹町長 酒森 正人


「宇宙関連事業の本格的な開始に当たっての要望」に対する回答について
2022年5月11日付けで要望のあった このことについて、次のとおり回答いたします。

1 LC-1射場の拡張整備について
 LC-1射場の整備につきましては、整備事業に係る入札公告を4月に行い、現在、入札参加申込等の受付を行っているところです。
 LC-1射場は、ロケッ トの飛行安全や地上安全の確保が必要であることか ら、既存法令に基づく保安距離等を満たした施設整備が前提となりますが、当町は、自然環境と共生する射場の整備を目指 しておりますので、これまで同様、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。
 なお、整備にあたっては環境影響を予測・評価する必要があるため、昨年実施した夏期・秋期環境調査に続き、今年度は春期環境調査を行うこととしております。本調査において周辺植生等を事前に把握し、環境に配慮した射場整備について検討してまいります。

2 現滑走路の東側延伸について
 昨年度実施した基本設計では、インフラ等の周辺環境から、滑走路については東西へ延伸する設計となっております。
 ただし、今後実施する入札においては、滑走路延伸等にかかる技術提案を参加企業から受ける予定となっていることから、基本設計どおり延伸工事を実施するかは、現在のところ未定となっております。
 滑走路の延伸につきましても、LC-1射場の整備同様、周辺環境に配慮した整備を検討してまいります。

3 「北海道スペースポー ト」構想のイメージ図について
 現在の北海道スペースポートイメージ図は、北海道に形成を目指す「宇宙版シリコンバレー」を分かりやすくイメージできるように集約 したものにあなりますので、町として本図どおりの整備を目指 しているわけではございません。
 なおイメージ図は、より具体的な内容に更新することも考えていることから、更新の際には自然環境への配慮についても検討していきたいと考えております。

(企画商工課航空宇宙推進室)



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Posted by 十勝自然保護協会 at 21:41│Comments(0)大樹町航空宇宙開発
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