十勝自然保護協会 活動速報 › 大樹町航空宇宙開発
2021年07月14日
大樹町海岸の自然環境の保全に関する質問と要望に大樹町から回答
6月9日付の『大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関わる質問と要望』に対し、大樹町長から以下の回答がありました。
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関わる質問と
要望について (回答)
2021年6月9日付けで送付のありました件について、次のとおり回答いたします。
1 インターステラテクノロジズ (IST)の失火に関して
IST社による、本年4月13日、15日の町有地内における失火について、町としてはIST社に対して原因の究明と、今後は同様の事態を起こさないよう強風時での実験中止や燃焼物の飛散防止等の対策を検討するように伝えております。後日、IST社からは、原因はエンジン部品やディグレクタ周囲の破損物、グラファイトが飛散したことによるものであり、対策として破損物飛散を防ぐためのウォーターカーテンの設置、風速が一定の数値以下であることの実験実施条件への追加などの措置を講じた旨の説明を受けております。
2 「北海道スペースポート」整備計画に関して
①本年度は、航空公園機能拡充のための基本設計業務を行います。この業務では、L1射場及び滑走路延伸に係る実施設計業務を行うための基本的な整備事項を検討するものです。実際の整備場所・方法については、本業務の中で検討し、環境調査についても合わせて実施します。業務期間は令和4年3月31日 までとなっております。
②L2射場の環境影響調査ですが、当初 2020年度での実施を検討しておりましたが、予算等の都合で2020年度に実施できませんでしたので、現時点では、お示しできる情報はございません。同調査については、本年度以降の実施を検討しておりますが、具体的な日程は決まっておりません。
******************
樹企商第 253 号
令和3年6月30日
令和3年6月30日
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
大樹町長 酒森 正人
大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関わる質問と
要望について (回答)
2021年6月9日付けで送付のありました件について、次のとおり回答いたします。
記
1 インターステラテクノロジズ (IST)の失火に関して
IST社による、本年4月13日、15日の町有地内における失火について、町としてはIST社に対して原因の究明と、今後は同様の事態を起こさないよう強風時での実験中止や燃焼物の飛散防止等の対策を検討するように伝えております。後日、IST社からは、原因はエンジン部品やディグレクタ周囲の破損物、グラファイトが飛散したことによるものであり、対策として破損物飛散を防ぐためのウォーターカーテンの設置、風速が一定の数値以下であることの実験実施条件への追加などの措置を講じた旨の説明を受けております。
2 「北海道スペースポート」整備計画に関して
①本年度は、航空公園機能拡充のための基本設計業務を行います。この業務では、L1射場及び滑走路延伸に係る実施設計業務を行うための基本的な整備事項を検討するものです。実際の整備場所・方法については、本業務の中で検討し、環境調査についても合わせて実施します。業務期間は令和4年3月31日 までとなっております。
②L2射場の環境影響調査ですが、当初 2020年度での実施を検討しておりましたが、予算等の都合で2020年度に実施できませんでしたので、現時点では、お示しできる情報はございません。同調査については、本年度以降の実施を検討しておりますが、具体的な日程は決まっておりません。
(企画商工課航空宇宙推進室)
2021年06月11日
大樹町海岸の保全に関しSPACE COTAN株式会社に要望書を送付
大樹町が整備した「北海道スペースポート」の設備施設を指定管理者として委託されている「SPACE COTAN株式会社」に、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を送付しました。
SPACE COTAN株式会社 CEO 小田切 義憲 様
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
当会は、十勝地方の自然を保全し、自然環境の保護育成につとめ、生活と文化向上に貢献することを目的に活動をしています。
当会は、大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところです。本年4月20日に貴社が設立され、大樹町が整備した「北海道スペースポート」の設備施設を指定管理者として委託されております。貴職におかれましては、大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントー・生花苗沼・キモントー・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣地となっています。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このようなことから、この地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林が実験場まで延びており、林床植物も含め貴重なもので、上記「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に取り上げられています。
さらに、実験場西側に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
実験場北側段丘面の草原には、北海道指定史跡であるホロカヤントー竪穴群(晩成地区)に連なると思われる竪穴跡も多数あります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で保全を強く訴えています。
大樹町長からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいております。また、昨年は射場整備についての要望に対し「…自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。」との回答もいただいております。
今後、管理運営のみならず、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などの事業計画策定にも深くかかわる貴社におかれましては、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
当会は、とくに当面する問題として、大樹町長に対しすでに以下の要望をしております。貴職に対しても要望させていただきたく存じます。
1.L1射場の拡張整備について
①今まで提示されていた設計案はカシワ林を広範囲に伐採するものです。当該地区のカシワ林は、浜大樹より連続する道内的にも貴重なカシワ海岸林の末端部であり、伐採を伴わない計画としていただきたい。埋蔵文化財調査では考えられていた埋蔵文化財跡が見られなかったからカシワ林を広範囲に伐採できるということにはなりません。
②旧防衛省実験場敷地跡(それに沿った道路周辺)を基本とする計画としていただきたい。
③現在のIST実験場には使用されていないかなりの空所があるので、ここを活用するべく、2つの射点で共用できる施設設備も含め精査し、全体として計画を整理していただきたい。
④新案の設計検討に際して、町立会いのもと、設計担当者と面談する機会を設けていただきたい。
2.現滑走路の延伸案について
東西に300m伸ばす3案が提示されていますが、東に延ばすことにより近接する自然度の高い長大な海岸カシワ林の伐採をするべきではなく、西側にのみ延伸すべきです。
3.ロケットの実験や発射時における対策について
本年4月に起きた2度の草原火災、あるいは過去に見られた発射失敗に関わる周辺植生の一部焼失、また姿勢制御実験での湿原周辺への着地に伴う植生破壊など、周辺の自然環境への損失を回避するための対策、ガイドラインの設定などを行っていただきたい。
貴職におかれましては、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、運営されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、6月30日までにご見解を伺えれば幸いです。
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2021年6月9日
SPACE COTAN株式会社 CEO 小田切 義憲 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
当会は、十勝地方の自然を保全し、自然環境の保護育成につとめ、生活と文化向上に貢献することを目的に活動をしています。
当会は、大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところです。本年4月20日に貴社が設立され、大樹町が整備した「北海道スペースポート」の設備施設を指定管理者として委託されております。貴職におかれましては、大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントー・生花苗沼・キモントー・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣地となっています。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このようなことから、この地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林が実験場まで延びており、林床植物も含め貴重なもので、上記「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に取り上げられています。
さらに、実験場西側に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
実験場北側段丘面の草原には、北海道指定史跡であるホロカヤントー竪穴群(晩成地区)に連なると思われる竪穴跡も多数あります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で保全を強く訴えています。
大樹町長からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいております。また、昨年は射場整備についての要望に対し「…自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。」との回答もいただいております。
今後、管理運営のみならず、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などの事業計画策定にも深くかかわる貴社におかれましては、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
当会は、とくに当面する問題として、大樹町長に対しすでに以下の要望をしております。貴職に対しても要望させていただきたく存じます。
1.L1射場の拡張整備について
①今まで提示されていた設計案はカシワ林を広範囲に伐採するものです。当該地区のカシワ林は、浜大樹より連続する道内的にも貴重なカシワ海岸林の末端部であり、伐採を伴わない計画としていただきたい。埋蔵文化財調査では考えられていた埋蔵文化財跡が見られなかったからカシワ林を広範囲に伐採できるということにはなりません。
②旧防衛省実験場敷地跡(それに沿った道路周辺)を基本とする計画としていただきたい。
③現在のIST実験場には使用されていないかなりの空所があるので、ここを活用するべく、2つの射点で共用できる施設設備も含め精査し、全体として計画を整理していただきたい。
④新案の設計検討に際して、町立会いのもと、設計担当者と面談する機会を設けていただきたい。
2.現滑走路の延伸案について
東西に300m伸ばす3案が提示されていますが、東に延ばすことにより近接する自然度の高い長大な海岸カシワ林の伐採をするべきではなく、西側にのみ延伸すべきです。
3.ロケットの実験や発射時における対策について
本年4月に起きた2度の草原火災、あるいは過去に見られた発射失敗に関わる周辺植生の一部焼失、また姿勢制御実験での湿原周辺への着地に伴う植生破壊など、周辺の自然環境への損失を回避するための対策、ガイドラインの設定などを行っていただきたい。
貴職におかれましては、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、運営されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、6月30日までにご見解を伺えれば幸いです。
2021年06月11日
大樹町海岸の自然環境の保全に関し質問・要望書を送付
大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関し、大樹町長に以下の質問および要望書を送付しました。
大樹町長 酒森 正人 様
大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関わる質問と要望
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきました。とくに2020年1月、「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」が公表されて以降、当会は同年4月22日付要望書で、L1射場整備案、現滑走路の延伸案、L2射場計画について、自然環境保全の立場から意見を述べ、また、道教委による埋蔵文化財調査後の同年6月28日付申し入れ書では、L1射場整備案についてカシワ林伐採をせずに元防衛省使用地跡を中心にするべきなど詳細な要望を述べてきたところです。
「北海道スペースポート」に関わる昨今の状況を踏まえ、当会役員が担当職員の皆様と面談し、説明をうかがっているところですが、下記の点について、改めて書面にて質問いたします。また要望を提出いたします。
誠にご多忙と存じますが、6月30日までに回答いただきたくお願いいたします。
1 インターステラテクノロジズ(IST)社の失火に関して
IST社は、4月13日、15日の2回にわたって、燃焼実験の際に実験場周辺の草地を焼失しました。焼失範囲は130mほど離れた湿原周辺にまで及んでいます。植物はササなどの枯れ葉が多くほとんどが芽生えの前で乾燥状態であり、強風にもかかわらず実験を強行したことは許されるものではありません。被害は、とくに木本類(ハマナス、ガンコウラン、ヤチヤナギなど)に見られ、多くは本年の生育が困難と思われます。実験場を貸与している町として、町有地に被害を与えたIST社に対して、どのように責任と今後の対策を求めたのでしょうか。また、IST社はどのように対応したのでしょうか。ご説明いただきたくお願いいたします。
2 「北海道スペースポート」整備計画に関して
① 貴町の本年度予算の整備業務費2277万円は、L1射場拡張と滑走路延伸のための環境調査費であり、カシワ林を対象にしているとのことですが、調査範囲と調査期間をご教示ください。
② 2020年度には、L2射場の第4案について環境調査を行うとのことでしたが、結果が出ているのでしたらご教示ください。
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2021年6月9日
大樹町長 酒森 正人 様
十勝自然保護協会共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
大樹町海岸の自然環境の保全と「北海道スペースポート」に関わる質問と要望
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきました。とくに2020年1月、「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」が公表されて以降、当会は同年4月22日付要望書で、L1射場整備案、現滑走路の延伸案、L2射場計画について、自然環境保全の立場から意見を述べ、また、道教委による埋蔵文化財調査後の同年6月28日付申し入れ書では、L1射場整備案についてカシワ林伐採をせずに元防衛省使用地跡を中心にするべきなど詳細な要望を述べてきたところです。
「北海道スペースポート」に関わる昨今の状況を踏まえ、当会役員が担当職員の皆様と面談し、説明をうかがっているところですが、下記の点について、改めて書面にて質問いたします。また要望を提出いたします。
誠にご多忙と存じますが、6月30日までに回答いただきたくお願いいたします。
1 インターステラテクノロジズ(IST)社の失火に関して
IST社は、4月13日、15日の2回にわたって、燃焼実験の際に実験場周辺の草地を焼失しました。焼失範囲は130mほど離れた湿原周辺にまで及んでいます。植物はササなどの枯れ葉が多くほとんどが芽生えの前で乾燥状態であり、強風にもかかわらず実験を強行したことは許されるものではありません。被害は、とくに木本類(ハマナス、ガンコウラン、ヤチヤナギなど)に見られ、多くは本年の生育が困難と思われます。実験場を貸与している町として、町有地に被害を与えたIST社に対して、どのように責任と今後の対策を求めたのでしょうか。また、IST社はどのように対応したのでしょうか。ご説明いただきたくお願いいたします。
2 「北海道スペースポート」整備計画に関して
① 貴町の本年度予算の整備業務費2277万円は、L1射場拡張と滑走路延伸のための環境調査費であり、カシワ林を対象にしているとのことですが、調査範囲と調査期間をご教示ください。
② 2020年度には、L2射場の第4案について環境調査を行うとのことでしたが、結果が出ているのでしたらご教示ください。
2020年05月26日
大樹町海岸の自然環境の保全に関する要望書への回答
4月22日付の「大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望」に対し、大樹町長より以下の回答がありました。
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
2020年4月22日付けで送付のありました標記の件のうち、要望番号1について、次のとおり回答いたします。
インターステラテクノロジズ社によるロケット打ち上げに関して、射場周辺においてタンチョウが営巣している状況について、昨年もご報告いただいており、状況は把握しております。ロケット打ち上げに際しては、射場から営巣地に人が接近しないように配慮するよう対応いたします。ロケットの発射音については、対応が難しいところですが、今後どのような対応が可能であるか、これからの射場の整備に向けても検討してまいります。
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
2020年4月22日付けで送付のありました標記の件のうち、要望番号2(1)から(3)について、次のとおり回答いたします。
1 回答内容
(1)L1射場について
L1射場の整備につきましては、現在、IST社等と施設設備の配置等を検討するとともに、内閣府と宇宙活動法に基づく射場の適合認定に向けた事前相談を開始したところです。
射場は、ロケットの飛行安全や地上安全の確保が必要であることから、既存法令に基づく保安距離等を満たした施設整備が前提とはなりますが、当町は、自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。
(2)現滑走路の延伸案について
現滑走路の延伸につきましては、現在、3案による延伸の実施方法及び延伸距離を検討しているところです。滑走路の延伸につきましても、(1)と同様に、周辺環境に配慮した整備を検討してまいります。
(3)L2射場計画について
L2射場の候補地案であります晩成地区(ホロカヤントウ右岸)案の環境影響評価については、本来、今年度当初から事業に着手し、1年間で事業を実施する予定でおりましたが、コロナウイルスの感染拡大により、事業着手を当面見合わせしているところです。
コロナウイルスの感染拡大の状況が改善された場合には、早急に事業に着手し、鳥類調査、動物調査、植物調査、植生調査を実施し、環境への影響について予測・評価を行います。
希少植物群など生物多様性の高い地域と認識しておりますが、これまでの周辺の調査結果があることや予算の関係もありますので、期間については1年間で実施したいと考えております。
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樹企商第127号
令和2年4月24日
令和2年4月24日
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
大樹町長 酒森 正人
大樹町海岸の自然環境の保全にかかわる要望について(回答)
2020年4月22日付けで送付のありました標記の件のうち、要望番号1について、次のとおり回答いたします。
記
インターステラテクノロジズ社によるロケット打ち上げに関して、射場周辺においてタンチョウが営巣している状況について、昨年もご報告いただいており、状況は把握しております。ロケット打ち上げに際しては、射場から営巣地に人が接近しないように配慮するよう対応いたします。ロケットの発射音については、対応が難しいところですが、今後どのような対応が可能であるか、これからの射場の整備に向けても検討してまいります。
(企画商工課航空宇宙推進室)
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樹企商第147号
令和2年5月11日
令和2年5月11日
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史 様
佐藤 与志松 様
大樹町長 酒森 正人
大樹町海岸の自然環境の保全にかかわる要望について(回答)
2020年4月22日付けで送付のありました標記の件のうち、要望番号2(1)から(3)について、次のとおり回答いたします。
記
1 回答内容
(1)L1射場について
L1射場の整備につきましては、現在、IST社等と施設設備の配置等を検討するとともに、内閣府と宇宙活動法に基づく射場の適合認定に向けた事前相談を開始したところです。
射場は、ロケットの飛行安全や地上安全の確保が必要であることから、既存法令に基づく保安距離等を満たした施設整備が前提とはなりますが、当町は、自然環境と共生する射場の整備を目指しておりますので、これまでと同様に、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を検討していきたいと考えております。
(2)現滑走路の延伸案について
現滑走路の延伸につきましては、現在、3案による延伸の実施方法及び延伸距離を検討しているところです。滑走路の延伸につきましても、(1)と同様に、周辺環境に配慮した整備を検討してまいります。
(3)L2射場計画について
L2射場の候補地案であります晩成地区(ホロカヤントウ右岸)案の環境影響評価については、本来、今年度当初から事業に着手し、1年間で事業を実施する予定でおりましたが、コロナウイルスの感染拡大により、事業着手を当面見合わせしているところです。
コロナウイルスの感染拡大の状況が改善された場合には、早急に事業に着手し、鳥類調査、動物調査、植物調査、植生調査を実施し、環境への影響について予測・評価を行います。
希少植物群など生物多様性の高い地域と認識しておりますが、これまでの周辺の調査結果があることや予算の関係もありますので、期間については1年間で実施したいと考えております。
(企画商工課航空宇宙推進室)
2020年05月26日
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望
大樹町長に対し、十勝海岸の自然環境の保全に関わる要望書を送付しました。
大樹町長 酒森正人 様
1 インターステラテクノロジズ(IST)社のロケット打ち上げに関して
IST社は、5月2日(予備日3~6日)に実験場よりMOMO5号機を発射するとの報道があります。当会は、2018年、19年の要望書の中で要望したところですが、射場周辺は多数の野鳥の生息地であり、この時期は繁殖期に当たります。とくに当縁湿原周辺に生息する国指定天然記念物タンチョウは抱卵期ないし幼鳥歩行期に相当します。人の接近や騒音に対して敏感になっている時期です。先般はタンチョウ保護グループが撮影した営巣状況の写真を提供しましたが、実験場から数百mしか離れておりません。十全な配慮をすべきことを改めて要望いたします。
2 「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」に関して貴町は、1月27日、ロケット射場整備に向けた基本構想をまとめた「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」を公表しました。
この基本構想について、先般、当会役員が担当者より説明を受け、質問と意見を述べました。
2020年度に開始する次の3点の事業について、改めて要望いたします。
(1)L1射場整備について
現在の実験射場南側への拡張整備計画は、射点だけではなく、各種付属設備を必要とするとのことで、防衛省が以前実験で使用していた敷地跡だけではなく隣接するカシワ林や周辺の海岸草原を開削するとうかがいました。当会は、カシワ林などに手を入れることなく元防衛省敷地跡と実験場への既設道路を十分に活用し設備の配置に工夫すべきことを要望いたします。
(2)現滑走路の延伸案について
東西に300m伸ばす3案が提示されていますが、東に延ばすことにより近接する自然度の高い長大な海岸カシワ林の伐採をするべきではなく、西側にのみ延伸すべきことを要望いたします。
(3)L2射場計画について
提示された4案のうち、晩成地区(ホロカヤントウ右岸)案については、20年度の1年間に環境調査を実施するとのことですが、周辺部は、鳥獣保護区・保安林など法的保全地域、環境省選定「重要湿地」、重要野鳥生息地IBA、沢地形部分の希少植物群など生物多様性の高い地域です。十分に時間をかけた調査を要望いたします。
時節柄、誠にご多忙と存じますが、1については4月30日までに、2については5月15日までにご回答いただきたくお願いいたします。
********************
2020年4月22日
大樹町長 酒森正人 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる要望
1 インターステラテクノロジズ(IST)社のロケット打ち上げに関して
IST社は、5月2日(予備日3~6日)に実験場よりMOMO5号機を発射するとの報道があります。当会は、2018年、19年の要望書の中で要望したところですが、射場周辺は多数の野鳥の生息地であり、この時期は繁殖期に当たります。とくに当縁湿原周辺に生息する国指定天然記念物タンチョウは抱卵期ないし幼鳥歩行期に相当します。人の接近や騒音に対して敏感になっている時期です。先般はタンチョウ保護グループが撮影した営巣状況の写真を提供しましたが、実験場から数百mしか離れておりません。十全な配慮をすべきことを改めて要望いたします。
2 「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」に関して貴町は、1月27日、ロケット射場整備に向けた基本構想をまとめた「大樹町多目的航空公園を活用した地域活性化方策及び施設設備検討調査並びに環境影響評価の実施業務」を公表しました。
この基本構想について、先般、当会役員が担当者より説明を受け、質問と意見を述べました。
2020年度に開始する次の3点の事業について、改めて要望いたします。
(1)L1射場整備について
現在の実験射場南側への拡張整備計画は、射点だけではなく、各種付属設備を必要とするとのことで、防衛省が以前実験で使用していた敷地跡だけではなく隣接するカシワ林や周辺の海岸草原を開削するとうかがいました。当会は、カシワ林などに手を入れることなく元防衛省敷地跡と実験場への既設道路を十分に活用し設備の配置に工夫すべきことを要望いたします。
(2)現滑走路の延伸案について
東西に300m伸ばす3案が提示されていますが、東に延ばすことにより近接する自然度の高い長大な海岸カシワ林の伐採をするべきではなく、西側にのみ延伸すべきことを要望いたします。
(3)L2射場計画について
提示された4案のうち、晩成地区(ホロカヤントウ右岸)案については、20年度の1年間に環境調査を実施するとのことですが、周辺部は、鳥獣保護区・保安林など法的保全地域、環境省選定「重要湿地」、重要野鳥生息地IBA、沢地形部分の希少植物群など生物多様性の高い地域です。十分に時間をかけた調査を要望いたします。
時節柄、誠にご多忙と存じますが、1については4月30日までに、2については5月15日までにご回答いただきたくお願いいたします。
以上
2019年11月04日
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わる要望への回答
9月17日付の「北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり大樹町海岸の自然環境の保全についての要望」に対し、北海道知事より以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり大樹町海岸の自然環
境の保全についての要望について(回答)
令和元年9月17日付けで要望をいただきましたこのことについて、次のとおり回答しますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
<回答>
北海道航空宇宙企画株式会社は、本年6月に、ロケット射場の整備を含めた事業計画の検討を行うことを目的として、大樹町が中心となって十勝地域関係者とともに設立しており道も顧問として参画しています。
道としては、同社による事業計画の策定にあたって、北海道自然環境保全指針により、事業者自らが生物多様性の保全に配慮した事業活動に勤めるものと認識しており、引き続き、関係者に対し同指針の周知に取り組んでまいります。
経済部産業振興局
科学技術振興室産学官連携グループ
電話 011-204-5127
環境生活部環境局生物多様性保全課
生物多様性戦略グループ
電話 011-204-5987
********************
科 技 第 3 8 4 号
令和元年(2019年)10月23日
令和元年(2019年)10月23日
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
北海道知事 鈴木 直道
(公印省略)
(公印省略)
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり大樹町海岸の自然環
境の保全についての要望について(回答)
令和元年9月17日付けで要望をいただきましたこのことについて、次のとおり回答しますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
<回答>
北海道航空宇宙企画株式会社は、本年6月に、ロケット射場の整備を含めた事業計画の検討を行うことを目的として、大樹町が中心となって十勝地域関係者とともに設立しており道も顧問として参画しています。
道としては、同社による事業計画の策定にあたって、北海道自然環境保全指針により、事業者自らが生物多様性の保全に配慮した事業活動に勤めるものと認識しており、引き続き、関係者に対し同指針の周知に取り組んでまいります。
経済部産業振興局
科学技術振興室産学官連携グループ
電話 011-204-5127
環境生活部環境局生物多様性保全課
生物多様性戦略グループ
電話 011-204-5987
2019年10月06日
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わる要望書への回答
「北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり大樹町海岸の自然環境の保全についての要望」に対し、大樹町長から以下の回答がありました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
2019年9月17日付けで送付のありましたこのことについて、次のとおり回答いたします。
ご要望にありますとおり、本年6月に北海道航空宇宙株式会社(以下、HAP)を大樹町が中心となり設立し、国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進めています。また、9月にはHAP構成団体等による大樹町宇宙のまちづくり推進連絡会議を設置し、宇宙のまちづくりに関する情報共有やHAPの事業計画策定に向けた協議を行っているところであります。
大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全につきまして、大樹町及びHAPは、これまでと同様に、この地域の自然環境や十勝坊主などの地形の貴重性は認識しておりますので、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を進めていきたいと考えております。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
樹住第868号
令和元年10月1日
令和元年10月1日
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
大樹町長 酒 森 正 人
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり大樹町海岸の
自然環境の保全についての要望(回答)
自然環境の保全についての要望(回答)
2019年9月17日付けで送付のありましたこのことについて、次のとおり回答いたします。
記
ご要望にありますとおり、本年6月に北海道航空宇宙株式会社(以下、HAP)を大樹町が中心となり設立し、国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進めています。また、9月にはHAP構成団体等による大樹町宇宙のまちづくり推進連絡会議を設置し、宇宙のまちづくりに関する情報共有やHAPの事業計画策定に向けた協議を行っているところであります。
大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全につきまして、大樹町及びHAPは、これまでと同様に、この地域の自然環境や十勝坊主などの地形の貴重性は認識しておりますので、周辺環境に配慮した事業計画策定に努め、自然環境と共生が図られるロケット射場整備を進めていきたいと考えております。
(住民課住民活動係:6-2116)
2019年10月06日
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わる要望
本年6月21日に、大樹町が中心となって4組織・企業が北海道航空宇宙株式会社(以下HAP)を設立しました。
大樹町の説明によれば、「国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進める」(当会への回答より)会社です。
当会は、本会社の設立にあたって、社長(大樹町長)、取締役、監査役の他、9名の顧問あてに個別に「大樹町海岸の自然環境の保全」について要望書を提出しました。
以下、大樹町長あて要望書全文と顧問のうち鈴木直道北海道知事、稲川貴大インターステラテクノロジズIST社長あての要望書抜粋を掲載します。
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大樹町長
北海道航空宇宙企画株式会社 社長
酒森 正人 様
新聞報道によると、北海道航空宇宙企画株式会社(以下HAP)は、今月下旬にHAPを構成する機関・団体の実務者による「宇宙のまちづくり推進連絡会議」の設置が予定されるなど具体的な事業計画の策定が進められ、年内には事業運営会社へ移行するとされています。
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAP立ち上げに際しあらためて大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全について要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントウ・生花苗沼・キモントウ・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣をともなう生息地でもあります。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このような地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林があり林床植物も含め貴重なものです。
さらに、実験場に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で広く保全を訴えています。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいています。
このような観点が、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定に反映され、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、ご見解を伺えれば幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*鈴木北海道知事への要望書より抜粋
「当会は大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAPの事業計画策定に際し、ご助言をなさる貴職におかれましては、北海道の自然環境の保全に行政として関わる立場から大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。」
「貴職におかれましては、HAPの顧問を務められるにあたり、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、「北海道自然環境保全指針」の理念をしっかりと堅持して臨まれますよう要望いたします。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*稲川IST社長への要望書より抜粋
「今後、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定にあたって、貴社は、大樹町の航空宇宙事業の中核をなす企業として多くの提言を求められることと存じますが、足元に広がる自然環境の希少性、重要性をご理解いただき、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。」
大樹町の説明によれば、「国内外の宇宙開発利用の市場動向を踏まえた、射場運営の事業性及び射場整備に伴う地域産業の発展性などの検討を行ない、事業運営会社移行を進める」(当会への回答より)会社です。
当会は、本会社の設立にあたって、社長(大樹町長)、取締役、監査役の他、9名の顧問あてに個別に「大樹町海岸の自然環境の保全」について要望書を提出しました。
以下、大樹町長あて要望書全文と顧問のうち鈴木直道北海道知事、稲川貴大インターステラテクノロジズIST社長あての要望書抜粋を掲載します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2019年9月17日
大樹町長
北海道航空宇宙企画株式会社 社長
酒森 正人 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
北海道航空宇宙企画株式会社立ち上げに関わり
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
大樹町海岸の自然環境の保全についての要望
新聞報道によると、北海道航空宇宙企画株式会社(以下HAP)は、今月下旬にHAPを構成する機関・団体の実務者による「宇宙のまちづくり推進連絡会議」の設置が予定されるなど具体的な事業計画の策定が進められ、年内には事業運営会社へ移行するとされています。
当会は貴職に対しここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAP立ち上げに際しあらためて大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全について要望いたします。
大樹町から豊頃町・浦幌町に至る海岸線には、当縁湿原・ホロカヤントウ・生花苗沼・キモントウ・湧洞沼・長節沼・十勝川河口湿原・トイトッキ浜・豊北海岸という湿原・湖沼・海岸草原が連続し、「十勝海岸湖沼群」ともよばれております。そこには、多様な動植物が存在し、独特の生態系が作られています。とくに現在の実験場に隣接する当縁湿原とその周辺について、植物には貴重種が少なくありません。環境省レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種などが多数確認されています。また、国指定の特別天然記念物であるタンチョウの営巣をともなう生息地でもあります。
このようなことから環境省は、当縁湿原をはじめとする「十勝海岸湖沼群」を「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」として選定しています。
北海道も「北海道自然環境保全指針」において「保全を図るべき自然地域(すぐれた自然地域)」に指定しています。また、北海道文化財として2地区(トイトッキ浜、長節湖湖畔)の植物群落を天然記念物に指定しています。
国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルは、タンチョウ繁殖地、ガン類渡来地としての重要性から、十勝海岸湖沼群・十勝川下流域を「重要野鳥生息地IBA」として指定しています。
このような地域は、ラムサール条約登録地に十分に該当するものです。
また、大樹町海岸は、海岸海浜植生、湿原植生だけでなく、強風と濃霧のなかで生命をつないできた自然度の高い長大なカシワ海岸林があり林床植物も含め貴重なものです。
さらに、実験場に隣接して現在では極めて希少となった地形である「十勝坊主(アースハンモック)」群が広がっており、専門家からは低地における十勝坊主群の南限との指摘があります。
このような自然環境は、ひとたび壊されたならば回復不可能となります。当会は、このような十勝海岸の自然の貴重さを次の世代に残すことが重要であるとの立場で広く保全を訴えています。
貴職からはすでに当会への文書の中で、「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいています。
このような観点が、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定に反映され、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。
ご多忙とは存じますが、ご見解を伺えれば幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*鈴木北海道知事への要望書より抜粋
「当会は大樹町に対してここ数年にわたり、大樹町海岸の自然環境の保全について要望書を提出してきたところですが、HAPの事業計画策定に際し、ご助言をなさる貴職におかれましては、北海道の自然環境の保全に行政として関わる立場から大樹町海岸を含む十勝海岸の自然環境の保全についてご理解を賜りますよう要望いたします。」
「貴職におかれましては、HAPの顧問を務められるにあたり、上述したこの地域の自然環境の重要さをご理解いただき、「北海道自然環境保全指針」の理念をしっかりと堅持して臨まれますよう要望いたします。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*稲川IST社長への要望書より抜粋
「今後、ロケット発射場の整備・拡張・新設、アクセス道路および諸建造物設置などHAPの事業計画策定にあたって、貴社は、大樹町の航空宇宙事業の中核をなす企業として多くの提言を求められることと存じますが、足元に広がる自然環境の希少性、重要性をご理解いただき、周辺自然環境の損失を回避するように計画されることを強く要望するものです。」
2019年03月17日
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問および要望についての回答
2月6日付の大樹町への要望書に対し、以下の回答がありました。
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
2019年2月6日付けで送付のありましたこのことについて、次のとおり回答
いたします。
この度質問および要望のありました2点について回答します。
1 「構想」について
①「現在の実験場を南に拡張する」ことについて
人工衛星等の打上げ用ロケット(次期ロケット)の打上げ用施設については、次期ロケットの開発状況により整備の時期、場所が検討される予定です。現在観測ロケットの打上げを行っている実験場を拡張する場合は、周辺の草原、湿原植生への影響に配慮したものとしたいと考えております。
また、施設の保安及び植生等の保全のため、一般車両の進入の一部制限も検討したいと考えております。
② 「射点が拡張部分の南端に設置する」ことについて
次期ロケットの打上げを行う場合の指令所の位置については未定です。保安距離を1.5km程度確保するためモニターによる確認を想定しており、日視は想定していないと伺っております。また、十勝坊主(アースハンモック)については、貴協会にその存在位置を教示願い保全に努めたいと考えております。
③ 「3, 000m級滑走路」について」
3, 000m級滑走路については、将来宇宙往還機などが離着陸できるスペースポートとして、地形的に可能か調査をしている段階であり、調査結果により配慮を検討したいと考えます。
④ 「自然環境との共生」について
①でお答えしたとおりです。
2 IST社の次期ロケット発射時期に関して
以前回答したとおり、準備作業も含め、実験場周辺では周辺環境に十分な配慮をするように指導しております。今後も湿原への不必要な人の接近や作業時の騒音抑制等、十分な配慮をするよう指導してまいります。
また、打上げ時は保安距離確保のため立入制限を設けることになり、見学者などがタンチョウの営巣地付近に近づくことはないと考えております。
********************
樹住民第1 4 7号
平成31年2月28日
平成31年2月28日
十勝自然保護協会
共同代表 安 藤 御 史 様
佐 藤 与志松 様
大樹町長 酒 森 正 人
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問および要望について(回答)
2019年2月6日付けで送付のありましたこのことについて、次のとおり回答
いたします。
記
この度質問および要望のありました2点について回答します。
1 「構想」について
①「現在の実験場を南に拡張する」ことについて
人工衛星等の打上げ用ロケット(次期ロケット)の打上げ用施設については、次期ロケットの開発状況により整備の時期、場所が検討される予定です。現在観測ロケットの打上げを行っている実験場を拡張する場合は、周辺の草原、湿原植生への影響に配慮したものとしたいと考えております。
また、施設の保安及び植生等の保全のため、一般車両の進入の一部制限も検討したいと考えております。
② 「射点が拡張部分の南端に設置する」ことについて
次期ロケットの打上げを行う場合の指令所の位置については未定です。保安距離を1.5km程度確保するためモニターによる確認を想定しており、日視は想定していないと伺っております。また、十勝坊主(アースハンモック)については、貴協会にその存在位置を教示願い保全に努めたいと考えております。
③ 「3, 000m級滑走路」について」
3, 000m級滑走路については、将来宇宙往還機などが離着陸できるスペースポートとして、地形的に可能か調査をしている段階であり、調査結果により配慮を検討したいと考えます。
④ 「自然環境との共生」について
①でお答えしたとおりです。
2 IST社の次期ロケット発射時期に関して
以前回答したとおり、準備作業も含め、実験場周辺では周辺環境に十分な配慮をするように指導しております。今後も湿原への不必要な人の接近や作業時の騒音抑制等、十分な配慮をするよう指導してまいります。
また、打上げ時は保安距離確保のため立入制限を設けることになり、見学者などがタンチョウの営巣地付近に近づくことはないと考えております。
(住民課住民活動係:6-2116)
2019年02月17日
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問および要望
大樹町に以下の質問および要望書を送付しました。
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2019年2月6日
大樹町長 酒森 正人 様
十勝自然保護協会 共同代表 安藤 御史
佐藤与志松
佐藤与志松
大樹町海岸の自然環境の保全に関わる質問および要望
昨年12月11日付で管内の報道各社は大樹町の射場について「発射場新設 2段階で」「宇宙実験場の増設構想」との記事を掲載しました。この件に関し12月21日に当会役員が貴町担当職員と面談し説明を受けるとともに、当会の要望を口頭で伝えているところです。その後、1月25日の「北海道航空宇宙企画株式会社(仮称)」の設立準備会で、貴職が会長に就任したと報じられています。
このようなことから、改めて射場について書面で質問するとともに、ロケット発射時期について要望いたします。ご多忙とは存じますが、質問については2月28日までに回答くださいますようお願いいたします。
1 「構想」について
① 「現在の実験場を南に拡張する」ことについて
以前、防衛省が使用していた敷地が空地となっていることから、そこを使用し
てインターステラテクノロジズ(IST)社の次期開発機種に対応した関連施設を建てる考とのことですが、昨年のような事故が今後も起きないという保証はありません。周辺の海岸草原・湿原植生への影響が懸念されます。また、施設の状況によっては景観上の観点からも懸念が生じます。さらに、管理運営組織により海岸方面までを含めて一帯が一般の立ち入り規制の対象になるとすれば、研究者・調査者・自然観察者などの活動に多大な影響が出かねません。ご見解をおうかがいいたします。
② 「射点が拡張部分の南端に設置する」ことについて
射点の新設に伴う指令所の位置が提示されていませんがどのような構想でしょうか。現在、発射の目視が必要との理由で指令所が射点から615m離れた地点に敷設されていますが、新射点に対しても目視を必要とするのであれば、現在の位置に止まるにせよ、新たな地点に敷設するにせよ、視界を妨げる樹木の伐採が想定されます。周辺は大樹港近くから連続するカシワ林帯の北端です。また、指令所と新射点の間には、日本では最南端として記録されている十勝坊主(アースハンモック)群が広がっています。ご見解をおうかがいいたします。
③ 「3000m級滑走路」について
新設は物理的・技術的には可能との構想ですが、滑走路東端が上記カシワ林に近接すると考えられます。法律上伐採が必要とされる位置を避ける配慮がなされるのでしょうか。ご見解をおうかがいいたします。
④ 「自然環境との共生」について
すでに以前の文書において貴職からは「当縁湿原を含む『十勝海岸湖沼群』が環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選定されていることも承知しておりますし、貴重な資源と考えているところでもあります。」との見解をいただいています。この立場に立つと、「現在の実験場を南に拡張する」構想については自然環境への影響が強く懸念され、「自然環境との共生」は極めて難しいと当会は考えます。IST社の商業打ち上げを軌道に乗せるための新射場設置は、南へ拡張することをせずに、ただちに自然度の低い別の環境へ設置するお考えはないのでしょうか。ご見解をおうかがいいたします。
2 IST社の次期ロケット発射時期に関して
発射する時期は明確になっていませんが大型連休を視野に入れた今春との情報もあります。当会は、昨年も2月22日付要望書の中で要望したところですが、射場周辺は多数の野鳥の生息地であり、この時期は繁殖期に当たります。とくに湿原周辺に生息する国指定天然記念物タンチョウは抱卵期ないし幼鳥歩行期に相当します。人の接近や騒音に対して敏感になっている時期です。すでに行われている準備作業を含め十全な配慮をすべきことを改めて要望いたします。
以上