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十勝自然保護協会 活動速報 › アースハンモックの保全

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2021年12月26日

とかち帯広空港敷地内のアースハンモック保存についての要望書

 十勝帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の保存についての要望書を帯広市長に提出しました。
 なお、この件については12月8日に市議会議長あてに陳情書を提出し、12月16日に経済文教委員会に付託されました。

********************


2021年12月22日
 

帯広市長 米沢 則寿 様

十勝自然保護協会 共同代表   安藤 御史
佐藤与志松
市民フォーラム十勝 事務局長  髙倉 裕一



帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)が市にとって重要なものとして保存および活用のために必要な措置を講ずることの要望

 標記の件について、下記のとおり要望いたしますので、ご検討いただきますようよろしくお願いいたします。



1 物件の名称
アースハンモック(十勝坊主)

2 物件の所在地
帯広市泉町西8線(とかち帯広空港滑走路西側林内市有地)

3 物件の概要
(1)アースハンモック(十勝坊主)について
 小疇尚氏(明治大学名誉教授)は次のように説明しています。
 「アースハンモックは短茎草本や矮小灌木類におおわれた、径1~2m前後、高さ数十㎝の土饅頭で、周氷河地形のひとつ構造土の一種である。世界的には永久凍土帯から季節凍土帯まで周氷河地域に広く分布し、日本では大雪山、羊蹄山、北上山地、南アルプスの高山帯で分布が知られている。日本の低地では十勝平野で初めて発見され、『十勝坊主』と名付けて報告された(山田、1959)。」
 1950年、帯広畜産大学の山田忍氏と田村昇市氏による発見場所は、当時大正町の、現在の帯広空港があるところであり、まさにここが十勝坊主研究の発祥の地です。
(2)調査研究の経緯
 十勝自然保護協会は2016年以降、十勝管内のアースハンモックについて、上記、小疇尚氏ら複数の研究者と共同調査を行ってきました。
 そして、帯広市泉町のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、とかち帯広空港敷地内で温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、2020年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」が掲載されました(別添)。
(3)泉町空港アースハンモックの特徴
 更別村にもいくつかの分布域もあり、とくに帯広・更別一帯(旧イタラタラキ原野)はかつて広い分布地で、空港開港前は一帯に極めて多数のアースハンモックが存在していたと考えられます。空港東側は「以平町」ですが、この以平はアイヌ語「イタラタラキ(itarataraki)」に由来するとの説があり、その意味するところは「でこぼこがあるところ」とされています。かつてはアースハンモックが広範囲に分布していたと考えられます。
 まさにこの地域は「十勝の原風景」が残っているところと言えます。
 現在は、空港敷地の南西部分にのみ残存しています。推定、数千個あり、多くは大型で整った形状をしています。樹林化がいくつかの区域で進んではいますが、樹林化されていないアースハンモックが明瞭な区域もいくつかあります。
 西側に隣接する民有地には、推定1万個ほどの大型で整った形状のアースハンモックが分布していましたが、2019年に地権者が代わり、現在は平地化されてすべて消滅しています。
 しかし、この民有地が平地化されアースハンモックが半減したとはいえ、この地域は面積と個数において依然として日本最大の密集地と考えられます。
(4)帯広市内のアースハンモック分布地
 帯広市内平地で現在確認されているアースハンモック分布地は空港を含め4か所です。空港以外の3か所は、今後の状態に関してそれぞれ難点があります。
 その特徴などを以下に記載します。
帯広畜産大学(稲田町)
①1974年に北海道が指定文化財天然記念物に指定しています。100個ほどで大型ですが、現在は、全域にわたって樹林化しており、多くの形状が損なわれ極めて不明瞭になっています。
②空港南側カシワ林内(泉町)
 民有地にあり、その規模は300m×500m。ほぼ全域が樹齢60年ほどの大径木のカシワ林となっています。大型で形状はまだ明瞭であるものが多く、広大な分布地ですが、民有地であるために、この状態が維持されるかはまったく不明です。
③富士町
 民有地にあり、規模は100m四方に形状が明瞭なものが30個ほどあります。自然に関心がある個人の土地内の一角に保存されていますが、今後、この状態が維持されるかは不明です。

4 空港敷地内アースハンモックの保存の意義
 当該地のアースハンモック(十勝坊主)は、現在は活動しておらず、現在の気候環境からは、この土地で新たにアースハンモックが形成されることはないと考えられ、「絶滅危惧地形」と言っても過言ではありません。ひとたび破壊されると再生することのない自然物であります。
 このように低地で大規模に残っていることは貴重な「地形の標本」であり、次世代にも単なる「用語」としてではなく「実物」を伝えるべきものと考えます。
 さらに、山田忍氏らによる低地でのアースハンモック(十勝坊主)が発見され、その研究が行われた最初の地域でもあり、保存は意義深いものがあります。
 空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、多くの市民や管内外の方々が観察できるような措置も工夫されて、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
 以上のことから、極めて文化的価値が高い空港敷地内アースハンモックは、帯広市にとって重要なものとして次世代に伝えるべく、保存および活用が必要と考えます。
 その貴重性から公的な保存の必要性を訴えて、十勝自然保護協会は2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
 2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課(係長、主任補)
 2019年11月6日 帯広市商工観光部空港事務所(所長、副所長、主幹、主査)
 また、2020年10月、十勝自然保護協会と市民フォーラム十勝はそれぞれ帯広市教育委員会教育長宛に要望書を提出しています。また、同趣旨の要望書が、もう一つの団体から提出されています。しかしながら、市教育委員会は、当該地の所有者である帯広市から保存の要望が出ていないことを最大の理由として、議論の俎上に全く載せられておりません。
 とかち帯広空港の所有者は帯広市です。
 所有者として当該物件の貴重性を評価していただき、保存および活用の意思を表示し、そのための必要な措置を講ぜられることを要望いたします。

5 添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」2020年帯広百年記念館紀要第38号
・十勝管内の十勝坊主調査(調査研究者・調査共同協力者・管内分布地)
・十勝坊主の写真
・空港敷地内の十勝坊主の状況
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 22:01Comments(0)アースハンモックの保全

2021年06月05日

とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再々質問書への回答

 5月12日付の「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再々質問」に対し、以下の回答がありました。

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帯 教 百 第56号
令和3年6月1日


十勝自然保護協会
共同代表 安藤  御史 様
     佐藤 与志松 様

帯広市教育委員会
教育長 池原 佳一
(生涯学習部生涯学習文化室百年記念館担当)



 帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再々質問について(回答)

 日頃より本市の文化行政にご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。2021年5月12日付で送付のありました件につきまして、下記の通り回答いたします。



 帯広市指定文化財の指定に至るまでの判断につきましては、まず対象となる物件の 価値や範囲が明確になっていること等、適切に評価することが可能な条件が整えられているかどうかを確認する必要があります。
 また、帯広市にとって特に重要であるとの納得が多くの市民から得られるものであることを確認するために、さまざまな視点から検討する必要もあると認識しておりま す。ご質問等につきましてもそれらの一つでございますので、ご理解くださいますようお願いいたします。


      〒080-0846 帯広市緑ヶ丘2番地
      帯広市教育委員会生涯学習部生涯学習文化室百年記念館
      TEL 0155-24-5352
      FAX 0155-24-5357
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:19Comments(0)アースハンモックの保全

2021年05月15日

とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再々質問書を送付

 2021年3月23日付の帯広市教育委員会からの回答について、再々質問書を送付しました。

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2021年5月12日



帯広市教育委員会教育長  池原 佳一 様

十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再々質問

 当会は、2021年2月17日付で貴職あてに「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再質問」を提出し、3月23日付で回答(帯教百第137号)を受領いたしました。
 そのなかで、
 「当該案件に関する公開データや同種の北海道指定文化財との関わり等から、市教育委員会としては文化財審議委員会に諮問するには至らない段階と判断をしております」
 とありますが、市文化財指定を要望する当会としてはまだ理解できないところがあります。ついては下記の点についてご説明をお願いいたします。
 ご多忙のところ誠に恐縮ですが、6月3日までにご見解をいただきたくお願いいたします。



(1)「当該案件に関する公開データ」とは何を指すのでしょうか。帯広百年記念館紀要第38号掲載論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」のことでしょうか。もしそうであれば、文化財審議委員会に諮問するためにはどのようなデータが不足しているのでしょうか。当会としてはさらに調査を深めるためにご教示いただきたく存じます。

(2)「同種の北海道指定文化財」とは「北海道指定天然記念物 帯広畜産大学農場の十勝坊主」を指すのでしょうか。「…との関わり」とは帯広市に同種の文化財は二つも必要ない、とのことを意味しているのでしょうか。「帯広畜産大学農場の十勝坊主」は指定者が北海道で、管理者が帯広畜産大学であり、帯広市とは全く別の団体ですが、帯広市が文化財に指定することに不都合なことがあるのでしょうか。帯広畜産大学農場の十勝坊主は樹林化が進み形状も損なわれたものが出ております。また十勝坊主の面積と個数は空港敷地には及びません。例えそのような状況であってもこれ以上同種の文化財は不要であると貴職は認識しておられるのかどうか、ご見解をうかがいたく存じます。

以上

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 10:52Comments(0)アースハンモックの保全

2021年03月28日

とかち帯広空港敷地内のアースハンモック文化財指定に関する再質問書への回答

 2021年2月17日付のとかち帯広空港敷地内のアースハンモック文化財指定に関する再質問書に対し、帯広市教育委員会から以下の回答がありました。「当該案件に関する公開データや同種の北海道指定文化財との関わり等から、市教育委員会としては文化財審議委員会に諮問するには至らない段階と判断をしております」とのことですが、「文化財審議委員会に諮問するには至らない」とする具体的理由が全く分からない回答です。

********************


帯 教 百 第 137号
令和 3年 3月 23日


十勝自然保護協会
共同代表 安藤  御史 様
     佐藤 与志松 様

帯広市教育委員会
教育長 池原 佳一
(生涯学習部生涯学習文化室百年記念館担当)


帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財
指定に関する再質問について(回答)

 日頃より本市の文化行政にご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。2021年2月 17日付で送付のありました件につきまして、下記の通り回答いたします。



 帯広市の文化財指定につきましては、市の文化財保護条例で、市にとって特に文化的価値が高いものであると認めること、および指定しようとする際はあらかじめ、所有者及び権原 に基づく占有者又は保持者若しくは保持団体の同意を得ることが必要と定めております。
 また、指定しようとするときは、あらかじめ文化財審議委員会の答申を聞く必要があるとし、文化財審議委員会の答申は、教育委員会の諮問に応じて調査審議したものと規定しております。さらに条例の執行にあたっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重する必要があることも明記しているところです。
 ご質問の4項目につきましては包括的な回答とさせていただきますが、当該案件に関する公開データや同種の北海道指定文化財との関わり等から、市教育委員会としては文化財審議委員会に諮問するには至らない段階と判断をしておりますので、ご理解くださいますようお願いいたします。

       〒080-0846 帯広市緑ヶ丘 2番地
       帯広市教育委員会生涯学習部生涯学習文化室百年記念館
       TEL 0155-24-5352
       FAX 0155-24-5357

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:30Comments(0)アースハンモックの保全

2021年02月20日

とかち帯広空港敷地内のアースハンモック文化財指定に関する再質問書

 とかち帯広空港敷地内のアースハンモックの文化財指定に関して2020年12月5日付で帯広市教育委員会に質問書を送付しましたが、その回答に対し、再質問書を送付しました。

********************


2021年2月17日


帯広市教育委員会教育長  池原 佳一 様

十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する再質問

 当会は、2020年10月5日付で貴職あてに「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する要望」を提出いたしました。また、当会役員が、10月15日開催の「文化財審議委員会」を傍聴し、10月25日には、文化財担当事務局の担当者と面談をして要望書の趣旨を説明しました。さらに12月5日付で4項目について質問書を提出し、12月24日付で回答(帯教百第118号)を受領いたしましたが、当会の意に反し、個別の回答がなく理解できないところがあります。ついては下記の点についてご説明をお願いいたします。
 年度末のご多忙の時期に誠に恐縮ですが、3月17日までにご見解をいただきたくお願いいたします。


1.「市指定文化財に指定することが適当な文化財については、文化財審議委員会委員の皆様の意見も踏まえながら検討してまいりたいと考えております」と回答いただきましたが、次回の文化財審議委員会で本件を審議すると理解してよろしいのでしょうか。ご教示いただきたく存じます。

2.また、10月25日に担当者と面談した折、「土地所有者が文化財指定の要望を意思表示しない限り市教委は動けない」旨の発言がありましたが、帯広市文化財保護条例第1条には「市にとって重要なものの保存及び活用のために必要な措置を講じ」と明記されていることから、この発言は条例にもとづいた解釈とは言えないと思います。むしろ、意見を受けた段階で、当該事物に対して、市教育委員会としては文化財指定の妥当性について具体的な検討をする立場にあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

3.そもそも、市民が文化財として保存を要望するに当たって、どのような方法をとるべきなのかはどこにも明示されておりません。具体的にどのようにすべきかを文化財行政を担う貴職よりご教示いただきたく存じます。

4.なお、10月15日開催の『文化財審議委員会』では、当会など3団体から要望書が提出されたことが委員の皆様には報告されていますが、配布されてはおりません。配布されない理由をお聞かせください。ぜひ委員の皆様に配布していただくことを要望いたします。

以上
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 13:59Comments(0)アースハンモックの保全

2020年12月29日

とかち帯広空港敷地内のアースハンモック文化財指定に関する質問と回答

 とかち帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の文化財指定に関して、帯広市教育委員会に質問書を送付しました。質問書と回答を掲載します。

********************


2020年12月5日


帯広市教育委員会教育長  池原 佳一 様

十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


 帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する質問

 当会は、10月5日付で貴職あてに「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する要望」を提出いたしました。
 その後、当会役員が、10月15日開催の「文化財審議委員会」を傍聴し、また、10月25日には、文化財担当事務局の担当者と面談をして要望書の趣旨を説明いたしました。そのような経過に基づいて、以下の質問をいたします。年末のご多忙の時期に誠に恐縮ですが、12月25日までにご見解をいただきたくお願いいたします。


1.10月15日開催の文化財審議委員会(以下、委員会)では、当会の他、2団体から同趣旨の要望書があったことが委員に報告されています。しかし、紹介があっただけで要望書そのものは委員に配布されていないようです。今の委員の任期は2021年6月30日までとうかがっております。また、委員会は例年1回の開催のようです。今後、委員には配布されるのでしょうか。
2.過去の委員会の議事概要には、すでに指定されている文化財の保存・活用などの議論の他に、委員からは新たな文化財の候補に関し次のような意見が出ています。
【令和元年度】
・広く市指定文化財の候補を募るのであれば、それぞれの分野の例を示すと候補を挙げやすいのではないか。
・それぞれの分野の専門の方に候補を挙げてもらう方が良いのではないか。
【平成30年度】
・農村地域の防風林が伐採されており、どこか状態の良い防風林を文化財に指定できないか。伐採により防風林がなくなるのを危惧している。また、岩内仙峡にあるカタクリの群生地やソラチコザクラ等の植物群も、文化財にならないか検討願いたい。
・各委員が関心のある分野の文化財候補をあげていき、それについて話し合っていくことが大切だと思う。そのためには、審議会が年1回では少ない。委員同士の話し合いの場がもっと必要。
 以上のような新たな文化財の検討についての意見は今回も含めて毎回見られますが、貴職はどのように対応なさっているのでしょうか。
3.文化財を胆当している帯広百年記念館の処務規程によれば、事務分掌として、第3条(3)で「文化財の保護活用に関すること」とあります。
 漠然とした表現ですが、これは、外部から文化財指定の要望書の提出があれば、独自に調査をし、状況によっては土地所有者と調整し、文化財指定のめどが立った段階で委員会の議案として上程するということも含めているのではありませんか。ご見解をうかがいます。
4.当会の要望書は「帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)を市文化財に指定していただきたい」ということですが、どのように取り扱われるのか、貴職のご見解をうかがいたく存じます。
以上



********************



帯 教 百 第 118号
令和2年12月24日


十勝自然保護協会
共同代表 安藤  御史 様
     佐藤 与志松 様

帯広市教育委員会
教育長 池原 佳一
(生涯学習部生涯学習文化室百年記念館担当)


 帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する質問について(回答)

 日頃より本市の文化行政にご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 2020年12月5日付で送付のありました件につきまして、下記の通り回答いたします。



 帯広市文化財保護条例において、教育委員会は、「市の区域内に存する文化財のうち、国又は道が指定したものを除き、市にとって特に文化的価値が高いと認めるものを帯広市指定文化財に指定することができる」と定められております。市指定文化財に指定することが適当な文化財については、文化財審議委員会委員の皆様の意見も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
 ご質問の件につきましても、適切な対処に努めてまいります。


       〒080-0846 帯広市緑ヶ丘2番地
       帯広市教育委員会生涯学習部生涯学習文化室百年記念館
       TEL 0155-24-5352
       FAX 0155-24-5357
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 21:42Comments(0)アースハンモックの保全

2020年12月06日

とかち帯広空港内のアースハンモックの保存に関する要望と回答

 北海道エアポート株式会社に対し、とかち帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の保存についての要望書を送付しました。以下、要望書とそれに対する回答です。

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2020年11月10日


北海道エアポート株式会社 代表取締役社長
蒲生 猛 様

十勝自然保護協会 共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


とかち帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の保存に関する要望

 当会は、十勝地方の自然環境を保全するため、さまざまな活動をしています。日頃よりご理解とご協力を賜り、感謝申し上げます。
 当会の活動の一つに、十勝管内のアースハンモック(十勝坊主)を保全する活動があります。
 当会は2016年以降、十勝管内のアースハンモックについて、小疇尚氏(明治大学名誉教授 自然地理学・地形学)ら複数の研究者と共同調査を行っています。
 帯広市泉町とかち帯広空港敷地内のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、本年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文『帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)』が掲載されました(別添)。
 当地のアースハンモックは、多くは大型で整った形状をしており、推定数千個に及ぶ日本最大の密集地と考えられます。
 十勝管内のアースハンモックが開発等で消滅するなか、学術上、貴重性の高い地形標本として、公的な保存の必要性を訴えて、2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
 2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課
 2019年11月6日  帯広市商工観光部空港事務所(小疇尚氏同席)
 さらに、本年10月5日付で帯広市教育委員会教育長あてに「市文化財指定の要望書」を提出しています(別添)。
 空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、極めて文化的価値が高いアースハンモックを多くの市民が観察できるような措置も工夫され、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
 2021年3月より貴社が同空港を管理することとなりますので、以上の経緯については、10月26日、同空港において貴社総合企画本部担当者 他関係者の皆様に説明いたしたところです。ここに改めて書面で貴職に要望をいたします。ご多忙と存じますが、11月末日までにご見解をいただければ幸いです。


添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」 2020年帯広百年記念館紀要第38号
・帯広市教育委員会教育長あて「市文化財指定の要望書」(2020年10月5日付)


********************



2020年 12月 1日

十勝自然保護協会
共同代表 安藤 御史 様
     佐藤与志松 様

北海道エアポート株式会社
代表取締役社長 蒲生 剛



「とかち帯広空港敷地内のアースハンモック(十勝坊主)の保存に関する要望」について


拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、誠に ありがとうございます。
 さて、11月 10日 付の貴協会よりご要望のありました標記の件につきまして、下記のとおり見解を申し上げます。
敬具




■標記の件に関する見解
 今後の計画については貴協会から頂いたご要望を参考にしながら、進めて参りたいと思います。

以上

  


Posted by 十勝自然保護協会 at 21:07Comments(0)アースハンモックの保全

2020年10月08日

帯広市のアースハンモックの文化財指定を求める要望書

 周氷河地形の一つであるアースハンモック(十勝坊主)を、帯広市の文化財に指定するよう求める要望書を帯広市教育委員会に送付しました。

********************


2020年10月5日


帯広市教育委員会教育長  池原 佳一 様

十勝自然保護協会共同代表  安藤 御史
佐藤与志松


帯広市泉町とかち帯広空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の市文化財指定に関する要望

 当会は、十勝地方の自然環境を保全するため、さまざまな活動をしています。日頃よりご理解とご協力を賜り、感謝申し上げます。
 当会の活動の一つに、十勝管内のアースハンモック(十勝坊主)を保全する活動があります。

(1)アースハンモック(十勝坊主)について
 共同調査者である小疇尚氏(明治大学名誉教授)は次のように説明しています。
 「アースハンモックは短茎草本や矮小灌木類におおわれた、径1~2m前後、高さ数十㎝の土饅頭で、周氷河地形のひとつ構造土の一種である。世界的には永久凍土帯から季節凍土帯まで周氷河地域に広く分布し、日本では大雪山、羊蹄山、北上山地、南アルプスの高山帯で分布が知られている。日本の低地では十勝平野で初めて発見され、『十勝坊主』と名付けて報告された(山田、1959)。」

(2)調査研究の経緯
 当会は2016年以降、十勝管内のアースハンモック(十勝坊主)について、上記、小疇尚氏ら複数の研究者と共同調査を行ってきました。
 そして、帯広市泉町のアースハンモックに関し、帯広市の許可を得て、とかち帯広空港敷地内で温度センサーなど機器を設置して調査を継続し、本年3月に刊行された帯広百年記念館紀要第38号で論文「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」が掲載されました(別添)。
 その貴重性から公的な保存の必要性を訴えて、2019年度に以下の関係部署に説明をし、保存の申し入れをしています。
 2019年10月30日 帯広市教育委員会生涯学習部文化課(係長、主任補)
 2019年11月6日  帯広市商工観光部空港事務所(所長、副所長、主幹、主査)  

(3)泉町空港アースハンモックの特徴
 開港前は一帯に極めて多数の十勝坊主群が存在していたと考えられます。空港東側は「以平町」ですが、この以平はアイヌ語「イタラタラキ(itarataraki)」に由来するとの説があり、その意味するところは「でこぼこがあるところ」とされています。かつては十勝坊主が広範囲に分布していたと考えられます。
 現在は、空港敷地の西南側にのみ残存しています。推定、数千個あり、多くは大型で整った形状をしています。樹林化が全体に進んではいますが、樹林化されていない十勝坊主群が明瞭な区域もいくつかあります。
 西側に隣接する民有地は、大型で整った形状の十勝坊主群が推定1万個見られる広大な分布地でしたが、2019年に地権者が代わり、現在は平地化されてすべて消滅しています。
 しかし、この民有地が平地化され十勝坊主が半減したとはいえ、依然として日本最大の密集地と考えられます。

(4)帯広市内の十勝坊主分布地
 帯広市内平地で現在確認されている十勝坊主分布地は空港を含め4か所です。空港以外の3か所は、今後の状態に関してそれぞれ難点があります。
 その特徴などを以下に記載します。
①帯広畜産大学(川西町)
 1974年に北海道指定文化財天然記念物に指定。100個ほどで大型ではあるが、現在は、ほとんど樹林化しており、形状が極めて不明瞭になっている。 
②空港南側カシワ林内(泉町)
 民有地にあり、その規模は300m×500m。ほぼ全域が樹齢60年ほどのカシワ林となっている。大型で形状はまだ明瞭であるものが多く、広大な分布地である。
 1996年度に帯広市環境植生調査が行われ、調査者により「天然記念物相当」の推奨を受けている。しかし、民有地であるために、今後、この状態が維持されるかはまったく不明である。
③富士町
 民有地にあり、規模は100m四方。自然に関心がある個人の土地内の一角に保存されている。樹木の侵入が多数あるが、まだ、形状は明瞭である。個人の善意で保存されているが、高齢であり、今後、この状態が維持されるかは不明である。

(5)空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)の保存の意義
 更別村にもいくつかの分布域もあり、帯広・更別一帯は、かつて広い分布地であったと考えられます。
 しかし、現在は活動しておらず、現在の気候環境からは、この土地で新たに十勝坊主が形成されることはないと考えられます。ひとたび破壊されると再生することのない自然物であります。
 このように残っていることは貴重な「地形の標本」といってもよく、次世代にも単なる「用語」としてではなく実物を伝えるべきものと考えます。
 空港敷地内という安全保安上厳しい場所ではありますが、多くの市民が観察できるような措置も工夫され、教育上広く活用されることが望ましいと考えられます。
 以上のことから、極めて文化的価値が高い空港敷地内アースハンモック(十勝坊主)を帯広市の文化財として指定されるよう要望いたします。
 この程、定例の文化財審議委員会が開催されるとのことで、ぜひ、議題に上程し、ご検討いただきたくお願いいたします。

添付書類
・「帯広市泉町のアースハンモック(十勝坊主)」2020年帯広百年記念館紀要第38号
・十勝管内の十勝坊主分布地
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 20:27Comments(0)アースハンモックの保全