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十勝自然保護協会 活動速報 › 講演会・学習会 等

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2017年07月16日

講演会『自然保護と訴訟の課題 ~サホロ・ナキウサギ裁判控訴審に向けて~』

自然保護と訴訟の課題 ~サホロ・ナキウサギ裁判控訴審に向けて~

日時:2017年8月5日(土)13:30~15:30(13:00開場)
場所:とかちプラザ 研修室307(帯広市西4条南13丁目1)

講師:弁護士 市川守弘氏

 佐幌岳北斜面のスキー場造成により準絶滅危惧種のエゾナキウサギの生息地が失われるため、2013年に十勝自然保護協会と研究者ら2名が、国や道に国有林の使用や開発許可処分の無効確認を札幌地裁に求めましたが、本年5月、退けられ、6月、札幌高裁に控訴しました。一審での自然保護をめぐる論点を整理し、控訴審への課題を提起します。

主催:十勝自然保護協会
参加費:無料
定員:40名  

Posted by 十勝自然保護協会 at 10:56Comments(0)講演会・学習会 等

2017年04月02日

講演会 十勝海岸の支援を残し伝えていくために

講演会 十勝海岸の自然を残し伝えていくために

講師 持田 誠 氏 (浦幌町立博物館学芸員)

 道東海岸線の一角を担う十勝海岸は、いまなお豊かな自然の残る貴重な自然海岸として知られていますが、近年、さまざまな開発により姿を変えつつあります。十勝海岸の自然が抱える問題点を振り返り、末永く伝えていくための課題を探ります。ぜひ、お誘いあわせのうえ、ご参加ください。

2017年4月9日(日) 13:30~16:30(13:00開場)
とかちブラザ視聴覚室(帯広市西4南13)
申し込み不要 資料代100円
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 15:01Comments(0)講演会・学習会 等

2016年11月19日

シンポジウム 十勝海岸の自然を考える

シンポジウム十勝海岸の自然を考える
        ~湿地・湖沼・海岸線の現状と将来~


 道東海岸線の一角を占める南北に長い十勝海岸は、貴重な自然海岸線と海岸湖沼・湿地が残り、生物多様性保全の面からも貴重な位置にあります。しかし、その重要性や科学的な調査研究の成果は、広く一般に知られていない現状にあります。将来に渡って十勝海岸の貴重な自然を継承していくため、現状と課題を整理し広くその重要性を広める事を目的に、この地域で様々な分野で調査研究している個人・グループ・団体の皆さんにその貴重さを語っていただき、「いま十勝海岸はどうなっているのか?」「どう保全していくべきなのか?」を考える場として、シンポジウムを開催します。
 ぜひ、お誘いあわせのうえ、ご参加ください。

***


2016年12月3日(土) 13:30~16:30(13:00開場)
とかちブラザ視聴覚室(帯広市西4南13)
申し込み不要 資料代500円
*会場の駐車場の収容台数は少ないのでできるだけ公共交通機関をご利用ください。

講演(各分野からの報告)
札幌市立大学教授 矢部和夫
 『十勝海岸2つの自然草原 ~湿原と海岸草原の特徴と希少性』
十勝の自然史研究会会長 藤山広武
 『十勝海岸湖沼群の成り立ち』
タンチョウ保護研究グループ理事長 百瀬邦和
 『十勝海岸の水鳥類 ~探鳥・ガンカモ類・シギチドリ類~』
湿原研究所事務局長 タイキ・フローラ世話人 白井温紀
 『当縁湿原の植物 ~市民調査から~』

総合討論
司会   持田誠氏(浦幌町立博物館学芸員)
パネラー 矢部和夫氏、藤山広武氏、百瀬邦和氏、若原正博氏(植物研究家)、白井隆氏(湿原研究所所長)

主催 : 十勝自然保護協会
協賛 : 一般社団法人北海道自然保護協会、一般社団法人湿原研究所、特定非営利活動法人タンチョウ保護研究グループ、地球環境を守る十勝連絡会
後援 : 北海道十勝総合振興局、北海道教育庁十勝教育局、浦幌町教育委員会、豊頃町教育委員会、大樹町教育委員会、広尾町教育委員会、幕別町教育委員会
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 22:39Comments(0)講演会・学習会 等

2016年04月04日

講演会「更別ヤチカンバの危機」のご案内

講演会「更別ヤチカンバの危機」


 北海道指定天然記念物の更別村ヤチカンバは、今、危機的な状況にあります。乾燥化による影響でミヤコザサ、ヤマナラシなどが侵入繁茂して生育を妨げています。
 多面的に分析し、どのような方策があるのか考えます。

日時  4月16日(土) 13:30~15:30(開場 13:00)
場所  とかちブラザ 視聴覚室(帯広市西4南13)
講師  若原正博氏(植物研究家)
参加費 無料
*申し込みは不要です。直接会場にお越しください。
  
タグ :ヤチカンバ


Posted by 十勝自然保護協会 at 10:07Comments(0)講演会・学習会 等

2015年04月22日

辻村千尋氏講演「国立公園における地熱開発の規制緩和の経緯と問題点」

 4月19日に帯広市で開催された辻村千尋氏(日本自然保護協会 保護部主任)の講演「国立公園における地熱開発の規制緩和の経緯と問題点」の概要を紹介します。

**********


国立公園における地熱開発の規制緩和の経緯と問題点 辻村千尋

 日本自然保護協会の国立公園での地熱開発についての基本スタンスは、原子力発電をなくすこと、省エネを第一に進め、地域の自然にあったエネルギーシステムに転換することを前提とし、自然再生可能エネルギーとしての地熱発電や風力発電等の導入を否定するものではない。

 しかし、自然環境や生物多様性に与える影響、温泉への影響など、問題点の議論が不十分であり、デメリットも含めたコンセンサスづくりが必要である。

 2010年6月18日に再生可能エネルギーの導入促進に向け、環境省に対して国立公園での規制緩和を検討するよう閣議決定がなされた。これを受け、環境省は2011年6月から2012年2月にかけて5回にわたって「地熱発電事案に関わる自然環境影響検討会」を開催し、科学的な議論を実施した。日本自然保護協会はこの会議において専門家として以下の点について科学的な指摘をした。

①国立・国定公園と地熱発電との関係
 国立・国定公園は特別保護地区、特別地域(第1種~第三種)、普通地域に区分されている(地種区分)。しかし、実際には自然度と地種区分が合致しておらず、バッファーのない特別保護地区や特別地域があったり、規制の弱い、あるいは保護されていない重要な自然環境がある。地熱発電所が計画されているトムラウシ地区(第三種特別地域)はすぐ隣りに原生自然環境保全地域があり、バッファーがない。地種区分の拡充や再編が必要である。

②持続可能性についての疑問
 地熱発電を行うための生産井は寿命があり、次々と新しい井戸を掘り続けなければならない。また、生産井からの蒸気や熱水は還元井によって地下に戻すシステムだが、水蒸気として大気に出ていくものもあるので、すべて地下に還元できるわけではない。

③不確実性と予防原則について
 蒸気が取り出せるかどうかは、実際に掘ってみないと分からないという不確実性があり、蒸気が出なければ堀り直すことになる。また地下2000~3000メートルのところに空気を嫌う微生物がいることが分かっており、このような微生物にどのような影響を及ぼすのか分からない。したがって予防原則の立場をとるべきである。

④地表部の自然保護上の問題点について
 森林であったところにパイプラインだらけの工場が出現することになり、景観を破壊する。

⑤環境影響評価の手続きについて
 資源探査は環境アセスメントの対象にならない。しかし、道路の開削や坑井などの開発行為が伴う。また試験井を掘って蒸気がでればそれを使うことになり、事業に移行する。

⑥自然保護上の解決を要する技術的課題
 パイプラインの景観、ヒ素を含む還元水の地下への影響、火山景観への影響、大量の還元水の地盤変動への影響、噴気蒸気の不安定さと掘削井の持続性への疑問、人の健康に与える影響など、自然保護上解決しなければならない課題がある。

 これらのことから、日本自然保護協会としては、地熱発電所は国立・国定公園内では行うべきではなく、規制緩和には反対であるとの意見を表明した。そして、検討会では普通地域での開発は個別判断で認める、第二種および第三種特別地域への地下へのななめ掘りは地表面に影響がなければ認める、これ以外については合意できず両論併記、の三点が合意された。

 しかし、環境省としての結論は、①普通地域は認める、②地表でも、第二種および第三種特別地域での開発を優良事例に限り認める、③特別保護地区、第一種特別地域も調査は認める、ということになり、検討会での科学的議論が軽視されてしまった。これは政治的な判断がなされたことを意味する。

 人口が減少していく中で、どれだけ電力が必要なのか、省エネがどこまで可能なのかという議論がない。国立・国定公園での地熱開発は公園指定を解除するに等しく、自然公園の風景と調和しない工作物は許可してはならない。生物多様性の保全上も、国立・国定公園での地熱開発許可は難しい。

 地球温暖化への対処と生物多様性の保全は両立させなければならず、温暖化対策のために生物多様性を壊すのは矛盾する。

 日本の山岳地帯は3000m級の山としては世界一の強風にさらされている。これは、ヒマラヤ山脈で分流したジェット気流が日本で合流するためである。また、日本は氷期に氷河で全体が覆われなかったため、植物の絶滅が免れた。地質も複雑である。このような要因が重なり、日本は生物のホットスポットとなっており、国立公園で守っていかなければならない。

 2010年に名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締結国会議)で、「陸域及び内陸水域の17%の保全」が採択されたが、この17%は保安林も含めてようやくクリアされた。

 歴史学者の色川大吉氏は著作で「風景が無くなるということは、その歴史がなくなるということ」と記しているが、この言葉をしっかりと受け止めていかなければならない。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 10:24Comments(1)講演会・学習会 等地熱発電

2015年04月21日

シンポジウム「大雪山国立公園トムラウシの地熱発電計画を問う」報告




 4月18日に新得町で「シンポジウム大雪山国立公園トムラウシの地熱発電計画を問う」が開催され、在田一則氏(北海道自然保護協会会長)、寺島一男氏(大雪と石狩の自然を守る会代表)、辻村千尋氏(日本自然保護協会保護部主任)の講演が行われました。シンポジウムには約80人が参加し、後半のディスカッションでは多くの方から質問や意見が出され盛会に終わりました。また翌19日には帯広市で辻村千尋氏による講演会が開催されました。
 以下にシンポジウムの講演要旨を掲載します。

地質学から見た地熱発電  在田一則
 地球は現在も活発に活動している熱機関である。その熱源は、地球深部に残っている地球誕生時(46億年前)の熱と岩石に含まれている放射性元素の崩壊による熱とがほぼ半々であり、そのエネルギーによってプレート運動が生じ、その結果、火山活動や地震活動が生じ、大山脈が形成される。
 地球深部から地表に運ばれてくる熱(地殻熱流量))は平均的には40~70mW/㎡程度であり、地球が太陽から受ける熱の約1/2,500に過ぎない。しかし、これは、岩石の熱伝導から産出されるものであり、大洋の中央海嶺や島弧などの火山帯においてはマグマやそれに関連する熱水系が、局所的ではあるが、地球内部の熱(地熱)を運ぶうえで重要な役割を果たしている。
 たとえば、太平洋中央海嶺上にあり、さらにホットスポットでもあるアイスランドは地熱が豊富で、電力供給の26%が地熱発電によっており、地熱発電の宣伝によく使われる。ただし、人口はたったの32万人であることに注意すべきである。
 太平洋プレートやオホーツクプレートがユーラシア大陸に沈み込むことによって、火山活動が活発な日本列島では、自然再生エネルギーである地熱も利用すべきであるが、世界的にも優れた生物多様性に富む日本では、設置場所などについて十分検討すべきである。
 講演では以下の内容についてお話する予定です。
  地球は熱機関である/地熱の熱エネルギーがもたらずプレート運動/地球・日本の地殻熱流量/マグマと熱水系/熱水系における循環/地熱発電の課題

地熱発電の仕組みと白水沢の現状  寺島一男
 地熱地帯でもうもうと白煙を上げ自噴する水蒸気を見ると、誰しもエネルギーとして有効利用できないものかと考えます。膨大な地熱が地球内部に存在し、火山活動によってその現象が地表に現れているとするなら、世界きっての火山国である日本は無尽蔵のエネルギー資源を抱えていることになります。
 もし、発電として利用するなら、季節に関係なく昼夜にとらわれず安定したベース電源を確保でき、しかも他の自然再生可能エネルギーと組み合わせて利用すれば、原発などに依存せずに安心して使うことができます。一律で画一的な発電源に頼るのではなく、それぞれの地域に依存した地産地消の多様なエネルギーを形成し、地域振興にも役立たせることができます。今地熱発電に関してこのようなことが語られています。果たして本当でしょうか。これらの言葉を額面通りに受け取れば、地熱発電に対する期待は大きく膨らみ、不安をかき立てているエネルギー問題にも一条の光が射し込んでいるように思われます。しかし、現実はすべてがバラ色の夢だとは言いませんが地熱発電開発にはたくさんのデメリットもあり、多くの問題や課題が横たわっています。そのギャップは私たちが想像する以上に大きいと考えられます。
 自然現象として地熱活動が現れているときは、それは私たち人間にとっては尽きることのない現象ですが、いったんエネルギーとして活用するために施設化すれば、その時点から施設とエネルギーに寿命が生じ、環境の変化が起こります。また、地熱発電開発の多くは、国立公園や国定公園というわが国を代表する優れた自然の中で行われます。その価値との見合いはどうなるのか。これまでのエネルギーの大量生産・消費・廃棄等が、地球環境の危機を招くまでに至っている中で、また、大幅な人口減少が予測されている中でこれまでと同様のエネルギー確保が必要なのか、トータルな議論も必要と思われます。
 これらのことを念頭に、地熱発電における電力のしくみと問題点について、また、大雪山国立公園ではトムラウシ地熱発電計画と同様に白水沢でも計画が進んでいることから、その現状についてもお話したいと考えています。

国立公園における地熱開発の規制緩和の経緯と問題点  辻村千尋
 地熱発電は、持続可能な再生可能エネルギーもしくは、純国産エネルギーと認識され、今後のベース電源としての期待が高まっている。しかし、その開発可能地域の多くが国立公園として自然保護が優先される地域に存在している。演者は、環境省により地熱発電開発の国立公園での取り扱いを検討した委員会に専門家としてヒアリングを受けたが、その際に、地熱発電が自然環境に及ぼす悪影響について、科学的に指摘をし、国立公園での開発はするべきではないと提言した。
 今回は、このヒアリングの際に提言した内容と、その後の環境省の通知が見直される過程において科学的な議論が軽視された経緯を明らかにしたい。同時に、今後の電力供給に関する方向性についても議論のきっかけになるような問題提起をさせて頂く。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 11:24Comments(0)講演会・学習会 等地熱発電

2014年09月21日

今年も「とかち・市民環境交流会」で発表





 昨日、帯広のとかちプラザで「とかち・市民環境交流会」が開催されました。今年は口頭の発表会はなかったのですが、展示に参加しました。
 当会では「今、十勝の自然が危ない」とのタイトルで、十勝の自然保護問題を取り上げました。とくに大きく取り上げたのは、大雪山国立公園のトムラウシ地区で電源開発株式会社が計画している地熱発電問題です。ほかに、裁判になっている佐幌岳のナキウサギ生息地の破壊問題、居辺川に計画されている床固工群などの問題、帯広農高のカシワ林問題、更別村のヤチカンバ保護問題、外来種問題などを取り上げました。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 16:03Comments(0)講演会・学習会 等地熱発電

2013年10月07日

講演会「自然保護の科学」報告


 紺野康夫帯広畜産大学教授の講演会「自然保護の科学」が、10月6日に当会の主催により帯広市のとかちプラザで行われ、50名の聴衆が熱心に耳を傾けました。
 ご自身の研究が基礎的生態学から出発し農村地帯での応用的生態学研究へとシフトしてきたこと、生態学会でも自然保護が今日大きなテーマとなり保全生態学(保全生物学)といわれる応用分野が盛んになってきたこと、生物多様性条約締結後、行政も生物多様性を事業として取り組まなければならなくなったことなど、興味深いお話しでした。
 いくつか印象に残ったことをあげると、この夏にロンドンで開催された国際生態学会に出席したが、発表の半分くらいが保全に関するもので、いまや保全生態学(自然保護の研究)が花盛りである。そのなかに「生態学を政策に生かす方法」というセッションがあって、政治家にどのように説明するかなどの発表も行われていた。
 2010年に名古屋で開かれたCOP10の「愛知目標」を受けて、農業分野でも生物多様性を確保する農業制度が行政の研究機関によって模索されはじめた。
 英国では、農家が生物多様性や環境に良いことをするとお金がもらえる環境スチュワードシップという農業補助金制度があり、日本でも参考になるので翻訳している。
 北海道の開拓の歴史は、自然との闘いであった。その結果、自然を痛めつけてしまった。そろそろ和解すべきだ。和解するとは木守柿のような習慣だろう。
  

Posted by 十勝自然保護協会 at 17:02Comments(0)講演会・学習会 等

2013年09月23日

講演会「自然保護の科学」開催のお知らせ

 1992年,リオデジャネイロの地球サミットで生物多様性条約が採択され、翌年わが国は生物多様性条約の締約国となりました。その後すべての国内法がこの条約に基づき環境保全を盛り込むよう改正されました。この間、自然保護の科学である保全生態学もおおいに発展しました。法律が整備され、学問も進歩したのですが、自然保護の問題がなくなったわけではありません。長年、十勝の植物を研究してきた紺野教授に、十勝の生物多様性保全のあり方ついて保全生態学の視点からお話ししていただきます。多くの方のご来場をお待ちしています。

10月6日(日)14時~15時30分(開場13時30分)
会場 とかちプラザ 304号室
    帯広市西4南13 電話0155−22-7890
    無料駐車場有

講師 紺野康夫氏(帯広畜産大学教授)
演題 「自然保護の科学 -私の研究遍歴と保全生態学の現在-」

参加費無料
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 19:58Comments(0)講演会・学習会 等

2013年04月25日

カシワ林持続の秘密は萌芽株バンク

 
 若原正博氏の講演会「カシワ林をもっと知ろう」が、4月20日に当会の主催により帯広市のとかちプラザで行われた。会場一杯の80名余りが参集し盛況であった。

 40年ほど前の春、十勝の地にやってきた私の目には、十勝バスの野暮ったい黄褐色の車体と枝に沢山の褐色の葉をつけたカシワが奇異に映った。
 カシワ林に覆われる十勝の洪積台地(段丘面)は、サクセッション(植生の遷移)説からすると、針広混交林や複数の樹種からなる落葉広葉樹林になって然るべきだと思えた。だから陽樹のカシワが純林でありつづけることが不思議でならなかった。当時友人とも議論したがわからぬまま時が過ぎた。
 今回、若原さんの講演を聞いてようやくこの疑問が解けた。カシワ林は林床に1ha当たり1万株もの萌芽株バンクを持っている。林冠を形成する大径木が風害などによって枯死すると、その下にある萌芽株がいち早くその後継樹となる。そこには他の樹種が入り込む余地はない。これがカシワ林でありつづける秘密だったのだ。

 カシワのドングリの生産数はミズナラにくらべるとはるかに少ない。これも以前から気になっていたことである。若原さんの調査地では1ha当たり250本のカシワのドングリ生産数は年当たり5万粒だという。つまり1本のカシワのドングリ生産数は200粒に過ぎないのだ(ミズナラなら、ゆうに10倍を超えるだろう)。あり余るほどの萌芽株があるから、無闇にドングリをつける必要がないということらしい。

 カシワは英名ではDaimyo oak 大名オークという。こんな立派な名前を持っているのだが、材は枕木として使われた。カシワの材質の悪さ、これもかねてよりの疑問であった。先日、小池孝良氏の「銘木を産む広葉樹5種の生産環境」(北方林業2013年4月号)を読んだら、この疑問を解く手がかりが得られた。「ミズナラのような環孔材では、・・・成長がよいと年輪幅が広く、イシナラと呼ぶ硬い材になって、乾燥の過程でひび割れが生じる」というのだ。カシワは、交雑するほどミズナラと近縁な種で、光をさんさんと浴びて育つことが多い。そのため、年輪幅が広く、硬い材となってひび割れやすくなるのだろう。それで高価な家具材としては使えず、枕木の地位に甘んぜざるを得なかったのだ。

 最後に若原さんの印象的な話しを紹介したい。カシワの孤立林は林縁部(エコトーン)と核心部(コア)からなる。林縁部を伐採するだけならカシワ林に大きなダメージを与えないと思う人がいるとしたら、これは間違いで、コア部分にエコトーンができてしまい、コアにも大きな影響を与えるというのだ。物事をきちんと理解しないで、思い込みで伐採するととんでもない過ちを犯すことになる。
  


Posted by 十勝自然保護協会 at 13:59Comments(0)講演会・学習会 等