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十勝自然保護協会 活動速報 › 美蔓ダム › 美蔓地区のかんがい事業で農水相に要望書を送付

2009年10月10日

美蔓地区のかんがい事業で農水相に要望書を送付

 美蔓地区の国営かんがい排水事業の中止を求めて、4団体が農林水産大臣に以下の要望書を送付しました。

********************


2009年10月9日

農林水産大臣 赤松 広隆 様

                       日本森林生態系保護ネットワーク(Confe Japan)
                       代表 河野 昭一(京都大学名誉教授、IUCN(国際自然
                       保護連合)生態系管理委員会北東アジア担当副委員長)
                       十勝自然保護協会
                       会長 安藤 御史
                       ザ・フォレストレンジャーズ
                       代表 市川 守弘
                       ナキウサギふぁんくらぶ
                       代表 市川 利美

美蔓地区国営かんがい排水事業の即時中止・凍結についての申し入れ


 現在、北海道開発局・帯広開発建設部が進めている美蔓地区の国営かんがい排水事業は、下記のとおり、その必要性に疑問がある無駄な公共事業の典型であると同時に、ナキウサギをはじめとする北海道の貴重な自然環境を大きく破壊する事業です。
 農水省が赤松大臣を中心として、今後、多くの事業の見直しに着手されることに私たちは敬意を表します。
 本事業もまた、無駄な公共事業として凍結されることを確信していますが、今年度、これから着手されようとしている工事は、「氷河期の生き残り」といわれ、北海道の主として高山帯に生息するエゾナキウサギの生息地を破壊し、大きな影響を与える恐れがあります。とりわけ、本地域は低標高地にあるナキウサギ生息地として重要な地域です。
 私たちは、本事業の即時中止・凍結を強く求めます。特にこの秋、予定されている工事の着工を緊急に中止し、ナキウサギ生息地を保全されますよう要望いたします。



1 必要性がないダム(頭首工・貯水池・導水管)計画
1)貯水量は平成5年当初計画の4.8%に減少。
2)水系の異なるペンケニコロ川の頭首工、そこからの導水管、及び美蔓地区の貯水池を建設する事業。畑灌費用総額は、268億8000万円と膨大である。
3)畑灌受益地は、当初の5つの町だったが現在は4つの町、2617haに減少。
4)農業用水の不足の実態は、不明。
受益農家も減少し、畑灌は116戸にすぎない。一戸あたりの費用は2億3000万円。
しかも受益農家のうちどれだけの農家が高額なスプリンクラーを実際に設置し水を利用するかも不明。

2 ナキウサギの貴重な生息地を破壊
1)ペンケニコロ川一帯に複数のナキウサギ生息地がある。
2)低標高地のナキウサギ生息地として貴重。
3)導水管の埋設工事により、ナキウサギの生息地を大きく破壊され、あるいはナキウサギの生息する環境に大きな影響の恐れ。
4)当局の環境調査においても、ナキウサギの保全が必要であることが当初より強調され、ナキウサギ調査が毎年、継続されている。      
5)保全策は全くのでたらめ。
 保全策として「日除けの設置と、代替生息地の創造」が言われているが、ナキウサギの生態の解明がないため、日除けと代替地で保全される保障は全くない。しかも代替地には既存のナキウサギが生息し縄張りを確立しているから、新たにナキウサギが移入し生息できる可能性は低い。

3 貴重な自然を破壊する恐れ 
大雪山国立公園、日高えりも国定公園に近く、緑の回廊にも接する地域で、絶滅危惧種の鳥類(シマフクロウ・クマタカ)の生息地でもある。
本工事及びその後の河川水量の減少によって、ペンケニコロ川の生態系及び上記動物の生息に大きな影響を与えることが懸念される。
<シマフクロウ>
 IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト(2000年)で絶滅危惧種(Endangered),環境省のレッドデータブック(2002年)で絶滅危惧種(Critically)に指定されている.本事業周辺で環境省が保護増殖事業を行っている。
<クマタカ>
 環境省のレッドデータブック(2002年)で絶滅危惧種(Endangered)に指定され,周辺に2番(つがい)が生息している。
以上



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Posted by 十勝自然保護協会 at 11:16│Comments(0)美蔓ダム
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