十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 三の沢砂防ダム問題で帯広土現に申入れ
2008年12月16日
三の沢砂防ダム問題で帯広土現に申入れ
然別川水系三の沢砂防ダムの改修問題で、帯広土木現業所に以下の申入れをしました。
帯広土木現業所長 佐伯繁樹 様
同 鹿追出張所長 山田芳弘 様
さる9月2日、帯広土木現業所鹿追出張所長より、魚道を確保するため然別川水系三の沢川砂防ダムの中央部分を撤去し、土石や流木を止めるためここに鉄製の工作物をいれる工事を計画しているとの説明があった。これに対し、当会はこのような手法により、魚道として機能している事例があるのか、あれば資料を提出するよう要請した。
11月10日、当会に対し、鹿追出張所職員が今回の計画と同型の砂防ダムが設置されている河川の事例を説明した。しかし肝心の魚道として機能していることを具体的に示すデータについては提示しなかった。この際、当会は、知床の河川などで採用されている鉄製工作物を設置しない開放型の砂防ダムを検討するよう口頭で伝えた。
11月24日、当会は三の沢川砂防ダムへ行き、本流との合流点からダム堤体の1km程上流までの間の河道と河岸を視察した。その結果、以下の所見を得た。
(1)砂防ダムの堆積物はシルト・砂・こぶし大以下の礫が主であり、流木は見当らなかった。
(2)上流の河道幅は狭く、河床の基盤が所々露出し、河道に砂礫堆積物は乏しかった。
(3)砂防ダムに堆積した砂礫は、河川の浸食作用により崩壊した斜面から供給されたものではなく、林道掘削時の捨て土と伐採時に重機により撹乱された急斜面から供給されたものと推測された。
(4)砂防ダムの下流側の河道と河岸を見る限り、1981年の集中豪雨によって三の沢川が大規模撹乱を受けた痕跡を見出せなかった。
以上ことから、当会は、この砂防ダムがこの河川の砂礫運搬量にふさわしくない過大なものであると考える。
今回、貴職が三の沢川砂防ダムの中央部分のコンクリートを撤去し、ここに鉄製工作物を入れたいと考えたのも、この川にこれほど強固な構造物が必要なかったと認めたからであろう。つまり、当会と貴職のこの河川の砂礫運搬力に対する評価は一致する。
したがって、当会は、魚道を確保するため中央部分のコンクリートを撤去するとの貴職の提案を支持する。しかし、そのあとに鉄製工作物を設置することについては、この河川の土石・流木の運搬量が多くないことから、実施しないよう申入れる。
当会は、三の沢川砂防ダムとともに、近傍に設置されているシイシカリベツ川2号砂防ダムおよび同3号砂防ダムの魚道も視察した。その結果、堤体下流側の魚道の登り口の落差が大きいため、オショロコマをはじめとする在来種がこの魚道を利用することは困難と判断した。
今回、貴職が計画している砂防ダム改修は、魚道確保を主要な目的としているとのことであった。したがって、本流に設置されているシイシカリベツ川2号砂防ダムおよび同3号砂防ダムの魚道が十分機能しているか点検し、機能していなことが明らかになった場合には、速やかに改善するよう申入れる。
* * * * * * *
2008年12月10日
帯広土木現業所長 佐伯繁樹 様
同 鹿追出張所長 山田芳弘 様
十勝自然保護協会長 安藤御史
然別川水系三の沢川砂防ダム改修工事及び既存の魚道についての申入れ
さる9月2日、帯広土木現業所鹿追出張所長より、魚道を確保するため然別川水系三の沢川砂防ダムの中央部分を撤去し、土石や流木を止めるためここに鉄製の工作物をいれる工事を計画しているとの説明があった。これに対し、当会はこのような手法により、魚道として機能している事例があるのか、あれば資料を提出するよう要請した。
11月10日、当会に対し、鹿追出張所職員が今回の計画と同型の砂防ダムが設置されている河川の事例を説明した。しかし肝心の魚道として機能していることを具体的に示すデータについては提示しなかった。この際、当会は、知床の河川などで採用されている鉄製工作物を設置しない開放型の砂防ダムを検討するよう口頭で伝えた。
11月24日、当会は三の沢川砂防ダムへ行き、本流との合流点からダム堤体の1km程上流までの間の河道と河岸を視察した。その結果、以下の所見を得た。
(1)砂防ダムの堆積物はシルト・砂・こぶし大以下の礫が主であり、流木は見当らなかった。
(2)上流の河道幅は狭く、河床の基盤が所々露出し、河道に砂礫堆積物は乏しかった。
(3)砂防ダムに堆積した砂礫は、河川の浸食作用により崩壊した斜面から供給されたものではなく、林道掘削時の捨て土と伐採時に重機により撹乱された急斜面から供給されたものと推測された。
(4)砂防ダムの下流側の河道と河岸を見る限り、1981年の集中豪雨によって三の沢川が大規模撹乱を受けた痕跡を見出せなかった。
以上ことから、当会は、この砂防ダムがこの河川の砂礫運搬量にふさわしくない過大なものであると考える。
今回、貴職が三の沢川砂防ダムの中央部分のコンクリートを撤去し、ここに鉄製工作物を入れたいと考えたのも、この川にこれほど強固な構造物が必要なかったと認めたからであろう。つまり、当会と貴職のこの河川の砂礫運搬力に対する評価は一致する。
したがって、当会は、魚道を確保するため中央部分のコンクリートを撤去するとの貴職の提案を支持する。しかし、そのあとに鉄製工作物を設置することについては、この河川の土石・流木の運搬量が多くないことから、実施しないよう申入れる。
当会は、三の沢川砂防ダムとともに、近傍に設置されているシイシカリベツ川2号砂防ダムおよび同3号砂防ダムの魚道も視察した。その結果、堤体下流側の魚道の登り口の落差が大きいため、オショロコマをはじめとする在来種がこの魚道を利用することは困難と判断した。
今回、貴職が計画している砂防ダム改修は、魚道確保を主要な目的としているとのことであった。したがって、本流に設置されているシイシカリベツ川2号砂防ダムおよび同3号砂防ダムの魚道が十分機能しているか点検し、機能していなことが明らかになった場合には、速やかに改善するよう申入れる。
幌加調整池通砂バイパストンネル工事についての要望と回答
居辺川砂防事業への質問に対する回答
平成27年度治水事業についての質問と意見に対する回答
平成27年度治水事業概要書についての質問と意見
「2015年8月17日付居辺川砂防事業計画についての申し入れ」の回答への質問
北電の新得発電所建設計画環境影響評価方法書に意見書
居辺川砂防事業への質問に対する回答
平成27年度治水事業についての質問と意見に対する回答
平成27年度治水事業概要書についての質問と意見
「2015年8月17日付居辺川砂防事業計画についての申し入れ」の回答への質問
北電の新得発電所建設計画環境影響評価方法書に意見書
Posted by 十勝自然保護協会 at 16:31│Comments(0)
│河川・ダム
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。