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2009年07月09日

十勝川水路工事で再質問書を送付

 十勝川の相生中島地区の水路掘削問題で、帯広開発建設部に再質問書を送付しました。

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2009年7月8日

北海道開発局
帯広開発建設部長 安田 修 様
十勝自然保護協会
会長 安藤 御史


相生中島地区における十勝川水路工事についての再質問書


 当会の2009年6月7日付質問に対し、速やかに回答いただきましたことをまずお礼申し上げます。
 貴職の回答を検討しましたところ、当会の質問の趣旨が十分理解されていなかったか、貴職の勘違いと思われるところもありますので、下記のとおり再度質問させていただきます。ご多用のところとは存じますが、7月20日まで回答いただきますようお願いいたします。
 なお、貴職から「今後は市民協働会議等の場を通して意見交換していただけるようお願いいたします」との要望がありましたが、市民協働会議なる会は水路掘削に同意したうえで話し合っているのであり、当会とは考え方や立場をあまりにも異にすると判断しておりますので、当会はこれまで同様独自に対応させていただきます。NGOが行政とどのような方式で話し合うかについて、行政から指図される筋合いではないことを申し添えておきます。



1.質問2について貴職より「相生中島地区では、平成14年に参加者を公募して行なったワークショップにおいて川づくり案をまとめ、平成17年からの『十勝川相生中島地区市民協働会議』を通じた地域のみなさまとの意見交換等を踏まえ工事内容を決定し、平成20年度に工事着手しました。」との回答がありました。当会の質問、すなわち「この計画がいつ立案され、いつ決定されたか明らかにしていただきたい」は、平成14年よりも前の行政内部での計画立案と意志決定過程を尋ねております。この点について詳しく回答願います。

2.質問3で、当会は「1981年の大雨でも帯広は洪水災害に見舞われなかったが、現在の流路状態の場合、どれほどの降雨量があると帯広の市街地に洪水災害が発生すると認識しているのか説明していただきたい。またそれはどれほどの確率(降雨確率)で生じるかについても明らかにしていただきたい。」と書きましたが、貴職は、「今年1月に公開で行なった意見交換会でもご説明しているように、当該区間を含む十勝川中下流では、昭和37年8月に戦後最大の洪水が発生しています。これに対して現状の河道では危険な状態が想定されることから、河道の掘削等の対策が必要と考えています。」と堤防等の洪水対策がまだ十分でなかった半世紀前の洪水災害を持ち出し、 工事理由を述べています。当会は、この質問で工事理由を尋ねたのではありません。現在の流路でどれほどの降雨量があると洪水を起こすのか、そしてそれはどれほどの確率かと尋ねたのです。この点について回答願います。
 なお、貴職は、「なお昭和56年の大雨では、上流で氾濫したことなどにより、帯広市内では内水氾濫にとどまっています。」と述べています。そこで質問いたします。貴建設部が企画・監修した「十勝川 写真で見る綴る変遷」(1993年刊行)によりますと、「昭和37年8月4日、台風9号による大豪雨で帯広131.5mm、新内216.2mm、上札内189mmの雨量を記録」、また昭和56年8月の集中豪雨について「雨量は糠平で324mm、新得297mm、上札内337mmに達し」とあります。ここからは、後者、すなわち昭和56年8月の大雨のほうが十勝川流域において降雨量が多かったと推測出来ます。昭和37年8月の大雨のほうが昭和56年8月の大雨よりも十勝川流域での降水量が多かったとするのなら、その根拠を具体的に明らかにしてください。

3.質問4で、当会は「今回計画している水路による直線化によって、現状よりもどれくらい水位上昇を抑えることに役立つと予測しているのか明らかにしていただきたい。」と質問したのですが、貴職は「今回実施する河道掘削は、直線化ではなく、現在の低水路よりも右岸側の高水敷に、洪水時のみ流れる水路を掘削するものです。通常時は、現在の河道を流れることになります。相生中島地区を含む当面の十勝川の改修は、戦後最大の洪水に対して安全な川づくりをするものです。」と述べ、質問に答えていません。質問6への回答で貴職は、「洪水時の水位低下により治水安全度は向上します」と断言していますから、その根拠となる数値を明らかしてください。

4.質問5について 「平成15年の第1~4回ワークショップで、今回のように洪水時のみ流れる浅い水路を掘削する案以外に、新たに低水路を掘削する案、現在の低水路断面を拡幅する案、現在の札内川との合流点よりも上流で札内川と合流させる案等について意見交換を行なっています。」との回答がありました。今回の水路掘削工事が採択された理由と他の方策が採択されなかった理由について説明してください。

5.質問6で、当会は「今回の直線化によって上流域・下流域さらに流入する音更川・札内川・帯広川への影響について検討しているのであれば明らかにしていただきたい。」と質問しました。これに対し貴職は「当該工事は、現在の低水路を残したうえで右岸側の高水敷に洪水時のみ流れる水路を掘削するものであり、洪水時の水位低下により治水安全度は向上しますが、通常時の流れは現在と変わらないことから、上下流域や流入する支川等への影響はないと考えています。」と回答しました。
河川について一定の知識を有する行政機関に対して質問したつもりですので、質問文ではこまごました説明を省略しましたが、河川が洪水時の浸食・運搬・堆積作用によって大きく変貌するのは常識です。洪水時に掘削水路を流れることによる周囲への影響について検討しているのであれば明らかにしてください。 

6.質問7で、当会は「当該地域における十勝川の大きな蛇行は、札内川との合流のために生じていると当会は認識している。今回の工事はそれを人為により強制的に変更することになるが、帯広川のような河口閉塞が発生する可能性についてどのように考えているか見解を明らかにしていただきたい。」と尋ねましたが、貴職は「当該工事は、現在の低水路を残したうえで右岸側の高水敷に洪水時のみ流れる水路を掘削するものであるため、札内川との合流点を変更するものではありません。」と回答しました。この回答は、河口閉塞が生じないと考えている、と解釈してよろしいのでしょうか。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 09:50│Comments(0)河川・ダム
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