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十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 然別川三の沢砂防ダム改修で見解を送付

2009年09月13日

然別川三の沢砂防ダム改修で見解を送付

 然別川水系三の沢砂防ダムの改修についての申入れに対し、6月に帯広土木現業所から回答がきました。この回答を受けて、以下の見解を送付しました。

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2009年9月7日


帯広土木現業所
鹿追出張所 山田芳弘 様
十勝自然保護協会会長 安藤御史


「然別川水系三の沢川砂防ダム改修工事及び既存の魚道について
再申し入れ に対する回答」についての見解


 当会の2009年3月2日付け「然別川水系三の沢川砂防ダム改修工事及び既存魚道についての再申し入れ」に対し、平成21年6月付帯土鹿出第264号で貴職から回答がありました。
 この中で、シイシカリベツ川2号砂防ダム及び同3号砂防ダムの魚道落差について魚道の登り口及び隔壁の改良を行いより魚の上りやすい魚道とすることに同意されたことは自然保護行政の前進と評価しております。
 しかしながら、三の沢川砂防ダム改修工事に関する回答については、納得できないところが多々あります。以下に当会の見解を示します。

1.巨礫の流下について貴職の回答
 前回、以下の様に回答いたしました
 ダムより600~800m上流付近などに堆積した巨礫は1981年の大洪水以降、それと同程度の雨が降っていないことから、下流へ流下していないと考えられます。
 また、1981年8月5日の日降雨量は322mmで既往最大である旨のデーターを添付いたしました。
 当方の回答、「・・・、それと同程度の雨が降っていないことから、・・・」の同程度の雨が・・の意味は、日降雨量(322mm)だけを対象にしているわけではありません。近年、地球温暖化の影響で発生しているゲリラ雨(短時間の大降雨)などもその対象となります。1981年8月5日降雨の1時間最大雨量は、34mm、2時間最大雨量は57mmです。仮に、当該流域に全国各地で実績のある、時間100mm以上、10分間雨量50mm以上の雨が降った場合、1981年8月5日の日降雨量322mm以下であっても洪水発生の恐れがありますし同時に1981年規模の土砂移動も予想されます。
 洪水の規模は、日降雨量だけではなく1時間降雨量や2時間降雨量などの短時間降雨量にも大きく影響されます。
 したがって、1981年規模の大洪水がなければ流下しないとの貴職の認識も明らかとなったとの意味が、日降雨量322mmのみを対象にしているのであれば同意しかねます。

当会の見解
 時間100mm以上、10分間雨量50mm以上の雨が将来降る可能性を否定しませんが、これを持ち出すと、北海道各地の河川に砂防ダムをはりめぐらさなければならないことになります。治水計画は、100年に一度とか150年に一度の降雨確率を前提としてなされ手いると思いますが、北海道土木部は、温暖化による降雨確率の変化も加味して治山治水計画を立て、実行しているのでしょうか。もしそのような計画書があるのであれば公表していただきたいと思います。

2.砂防ダムのコンクリートの寿命についての貴職の回答
 ご指摘の数百年に一度の降雨確率について申し添えます。
 数百年に一度の降雨確率とは「数百年に一回降る」という意味ではございません。
 対象となった1981年の降雨が、毎年、数百年分の一の確率で発生する可能性があることを意味しています。ですから、数百年といわず今年や来年に発生する可能性もあります。
 また、「・・・なぜなら巨礫が流下するほどの洪水が到来する前に砂防ダムのコンクリートの寿命が尽きるからである。」については、貴会の主張に同意しかねます。

当会の見解
 数百年に1度の降雨確率に備える砂防ダムの愚かしさを指摘したものです。

3.流木について貴職の回答
 一般的に流木は、川幅の狭隘部に滞留し土砂礫を堰き止めて河床を上昇させ洪水流や土砂礫の氾濫など災害の原因となります。
 当該河川の様な土砂移動実績のある河川では、今後も土砂移動時に堆積していた倒木が土砂礫と一緒に流下する事が予想されます。
 仮に川を流下した流木が、海にまで達した場合には、沿岸漁業の網への被害も予想されます。
 当該ダムは、土砂礫の流下を調整する砂防ダムで流木捕捉を目的とするダムではありませんが、構造上、流域内に混在する土砂礫と流木を止める機能も併せ持っています。
 洪水時には、流木によりせき止められていた土砂礫が一挙に流下して河岸や河床を浸食し、下流域での災害規模を拡大させたりする事が予想されることから、土砂移動実績のある当該地点に砂防ダムを設置しています。
 
当会の見解
 この回答では、土砂移動実績と沿岸漁業への被害から三の沢砂防ダムの設置意義を説いているようですが、当会の指摘に対応したものになっていません。
 あまりに一般論的説明であり説得力を持ちえません。なお、魚網被害についていうなら、ここで発生した流木が沿岸まで到達する可能性は極めて低いでしょう。なぜなら途中の砂防ダムや河畔林で捕捉されるからです。

4.鉄製工作物設置についての貴職の回答
 三の沢川は1981年に土砂移動を起こした川であり、今後も河川上流部に堆積する土砂礫が流下する可能性があると考えています。そのためには上流域にある土砂礫の流下を抑制する防災機能の確保が必要です。
 このことから、貴会から要請のあった開放型の砂防ダムでは、具備すべき防災機能を確保できないものと考えています。

当会の見解
 鉄製工作物の設置は、巨礫と流木等の流下防止との説明を当初受けていましたが、今回の回答では、巨礫以外の土砂をも流下抑制するとの見解が示されました。工事理由を再確認したく思います。




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Posted by 十勝自然保護協会 at 10:33│Comments(0)河川・ダム
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