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2009年11月01日

十勝川水系河川整備計画公聴会

 10月29日、北海道開発局帯広開発建設部の「十勝川水系河川整備計画(原案)」についての公聴会が帯広市で開催され、安藤会長が当会の意見を述べました。75人から意見書が寄せられましたが、公述したのは9人だけでした。公述した意見は、後日、帯広開発建設部のホームページで公開されるそうです。これらの意見についての論評は、ホームページ公開後にすることにしましょう。

 傍聴席は満席(50席ほどか)でしたが、一般市民と思われる人は少ないようでした。一番いい所にマスコミの席が用意されていましたが、空席のままでした。全国的には、ダム建設の中止や凍結で河川行政に注目があつまっているというのに、十勝の新聞社の感度の鈍さはどうしたことでしょう。ニュース価値のないセレモニーと思っているのでしょうか。

 帯広開発建設部の部長以下、河川管理の責任者が公述人の発言に神妙に聞き入っていました。当会は、原案の欠陥を具体的に指摘しました(10月20日の十勝川水系河川整備計画(原案)に関する意見書をご覧ください)。神妙に聞けばいいと言うものではありません。彼らには、大いなる説明責任が生じたということを自覚してもらわなければなりません。公聴会は単なる通過儀礼の場ではないのです。

 それにしても引っかかりを感じるのが流域委員会の存在意義です。冒頭の主催者の説明によると、この原案は、9月8日開催された第9回流域委員会で承認を得たとのこと。一応それぞれの分野の専門家が委員となり、審議しているはずですが、ホームページに載せられた第9回流域委員会の議事録を読むと、
 
 「草原性の鳥類の生息地としては、農耕地があるもののかならずしも適しておらず、河跡湖周辺の草原の他は河川敷くらいしかない。そのため、鳥の生息環境として、草原環境を維持することが重要である」。「樹木の伐採に関して、やむを得ず切るというのではなく、積極的に草原環境を維持するという側面もあってよいのではないか」。「原案では、できるだけ木を切らないように、というニュアンスが強いが、逆に積極的に木を切って草原環境を維持していく面があってもよいのではないか」。

 一面的な議論が展開され驚かされました。もし委員の中に学識に秀でた者がいたのなら、「十勝川水系の氾濫原にあった草原的環境とはどのようなものであったかを解明し、そのような場をどうしたら復元できるかを検討すべきであって、ただ闇雲に河畔林を伐って非森林的空間(草原的なもの)を造ればいいというものではないのではありませんか」と諭したに違いありません。大局的視点から議論できる自然保護NGOの参加を求めなかったばかりに、このような短絡的な議論になったようです。

 もう一点、興味深い議論を紹介すると、某委員「外来種、貴重種について、整備計画(原案)P43 以降の注釈には記載があるが、本文中でも記載すべきではないか」。事務局「外来種については、十勝川でも特定外来種が確認されているが、現状では大きな影響が発生していないと認識しており、水辺の国勢調査などにより引き続きモニタリングをしていきたい。なお、記載の方法については、相談させていただきたい」。この委員は、一応外来種を取り上げるよう突っ込んだのですが、原案には全く反映されていません。事務局に軽くいなされ、引込んでしてしまったようです。

 やらなくてもいい公共土木事業で自然を破壊し、税金を食い物にしてきた政官財の利権マフィアもどうやら年貢の納め時となりつつあります。食い物にする金が底をついたのですから当然です。これからは自然を食い物にした「学者」にもお呼びがかからなくなるでしょう。いやそうしなければなりません。自然保護NGOの頑張り時です。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 09:31│Comments(0)河川・ダム
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