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十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 然別川水系砂防ダムスリット化工事の見解

2009年12月22日

然別川水系砂防ダムスリット化工事の見解

 北海道新聞12月18日付朝刊は、「スリット式ダム道内で着々」との大きな見出しを掲げ、砂防ダムにスリット(切れ込み)を入れる改修工事が道内各地で広がっていることを伝えました。
 十勝地方では初めての例となるであろう然別川水系の砂防ダムのスリット化をめぐり、当会は帯広土木現業所と昨年から議論してきました。この間の議論を踏まえ、改めて当会の見解を帯広土木現業所長に送付しました。


2009年12月7日

帯広土木現業所長 佐伯繁樹 様
同 鹿追出張所長 山田芳弘 様

十勝自然保護協会長 安藤御史


然別川水系三の沢川砂防ダム改修工事新提案についての見解


 当会は、2008年12月10日付で、貴職に対し三の沢川砂防ダム改修工事の趣旨に賛成するものの開口部に鉄製工作物を設置することに同意できない旨の申入れを行った。これに対し、2009年2月13日付で貴職から当会の申入れを受入れられないとの回答があった。当会は2009年3月2日付でこれに反論し、その後6月に貴職から見解が出され、9月7日には当会が見解を出した。このように議論は、ややこう着状態にあったが、さる10月5日に、貴職から当会に対し、鉄製工作物の設置を止め、2列のスリットに鉄製の横棒を入れる工事に変更したいとの新たな提案がなされた。
 これを受けて、当会はこの新提案について検討を行ってきた。その結果、「鉄製横棒」については不要であるとの結論に達した。理由は以下の通りである。
1. 三の沢川砂防ダムの1kmほど上流に曲流部があるが、この曲流は岩体に流路が妨げられることによって生じている。このため三の沢川の土砂運搬能力はここでそがれると考えられる。つまり上流からの巨礫の移動はここで制限され、砂防ダムの堤体にまで到達するものはごく限られると推測される。
2. 砂防ダム堤体にスリットを入れると、ボトルネック効果が働き洪水時の流速が減少すると考えられる。このため上流からの巨礫の移動は抑制されると推測される。
3. 仮に巨礫がこのスリットをすり抜けたとしても、下流において人的被害が発生する状況にない。
 当会は三の沢砂防ダムの堤体中央部を開口(1列のスリット)し、河床を魚類の往来が可能となるよう改善すべきであるという当初の提案を改めて提案する。
 この状態で推移を観察し、土石流被害が避けがたいとの確たる証拠が得られたなら、鉄製の横棒を設置するのが良いと考える。
 いま、わが国の河川行政は、明治以来の大きな転換期を迎えている。前原国土交通大臣は、ダムの中止や凍結を指示するとともに、海岸侵食の原因ともなっている従来の河川管理のあり方を見直す考えを明らかにしている(11月18日衆院国土交通委員会での答弁など)。このような状況も踏まえ、貴職が当会の提案を真摯に検討されることを期待したい。



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Posted by 十勝自然保護協会 at 18:37│Comments(0)河川・ダム
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