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十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 富村ダム堆砂処理で環境大臣に要望書

2009年12月29日

富村ダム堆砂処理で環境大臣に要望書

 環境庁(当時)は富村ダム建設時にダム本体以外の工事を許可しませんでした。このことを踏まえ、北電が計画している富村ダムの堆砂処理に伴うトンネル工事を許可しないよう環境大臣に要望書を送付しました。
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2009年12月28日


環境大臣 小沢 鋭仁様

十勝自然保護協会
会長 安藤 御史

富村ダムの堆砂処理工事に関わる許認可についての要望書


 2007年7月17日、当会に対し北海道電力より富村発電所調整池(富村ダム)の堆砂処理計画について説明がありました。それによると、堆砂処理のためにポントムラウシ取水堰近辺から調整池に運搬用トンネルを掘削し、浚渫した堆砂をダンプカーで国立公園内の土砂置場まで運びたいというものでした。
 この調整池は大雪山国立公園の第3種特別地域で十勝川源流部原生自然環境保全地域にも隣接しており、生物多様性の保全が最優先されるべきところであることから、当会は、計画の再検討を申入れました(添付資料参照)。
 申入れから2年を経た本年12月15日、北海道電力は当会に計画について説明を行いましたが、当会が申入れた事項についてはまともに答えず、近く当初の計画通りに堆砂処理を実施することを表明しました。
 北海道電力は説明のなかで「重大な変化や河川生態系全体の維持機能の衰退は認められず、(中略)事後生態調査の目的はほぼ達成したものと考えられる。」と述べましたが、その根拠はまったく示されていません。また、今回、北海道電力の行った調査では、シマフクロウ、クマタカ、オジロワシなどが周年確認されています。これらの猛禽類は人の立ち入りや環境変化などにきわめて敏感な種であり、繁殖期の工事や運搬を回避しただけで影響がないとすることは納得できません。
 また、富村調整池の建設に当たり、ダム本体以外の施設整備の工事については、自然保護上の観点から環境庁から許可しないと言われたことを北海道電力は明らかにしました。したがって、北海道電力は将来堆砂処理が生じることを十分認識していたにも関わらず、堆砂処理のための道路などの施設の許可が出ないことを知った上でダム建設を強行したのです。通常ダムは堆砂に対して十分な余裕を持って計画されますが、30年足らずで有効貯水量の41%に達してしまったことは、堆砂の予測も甘かったといわざるを得ません。このように、今回の堆砂処理は、改変不許可を知ったうえでの強引なダム建設と甘い堆砂予測に起因しています。
 生物多様性の保全を優占すべき国立公園内であり、しかも堆砂処理も容易にできない急峻な地形の場所にダムを造ったこと自体を問わなければなりません。
 以上の理由により、貴職の当初の判断に則り堆砂処理に関わる工事に許可を出さないことを求めます。
 なお、ダムの設計はきわめて高い安全性が確保されており、堆砂によってダムが決壊することはないとされていますことを申し添えます。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 21:12│Comments(0)河川・ダム
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