さぽろぐ

自然  |その他北海道

ログインヘルプ


十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 治水事業計画についての質問書

2012年07月16日

治水事業計画についての質問書

当会は、7月15日付で帯広開発建設部長に今年度の治水事業計画について質問書(下記)を送りました。

平成24年度治水事業計画についての質問書

 さる7月3日に平成24年度治水事業計画説明会が開催されたが、時間不足のため疑問点を質問できなかったので本書により質問したい。昨年の当会からの質問に対する回答は、3ヵ月半も要した。治水対策上不可欠との立場で事業を計画しているのであろうから、質問にはすみやかに回答していただきたい。なお、特に時間が要する質問事項については、その旨連絡いただきたい。

1.池①、池②の築堤工事について
a.この築堤工事の計画の全容、すなわちこれまでどこで工事をし、今後どこで工事を予定しているかを明らかにしていただきたい。
b.工事目的を治水安全度の向上としているが、現在の堤防の天端の標高(以下、堤防天端標高)、計画高水位(以下、HWL)、戦後最大規模の洪水流量の水位(以下、戦後最大流量水位)を明らかにした上で、貴職が治水安全度を向上させなければならないと考える理由を説明いただきたい。
c.築堤後、種子散布をすることになっているが、どのような種子をいつ散布するのか。
d.築堤のための盛土はどこからもってくるのか。

2.池③の河道掘削工事について
a.流下断面確保を目的に河道掘削を行うということだが、まず堤防天端標高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの河道掘削により水位がどの程度下がるのかを明らかにしていただきたい。
b.掘削土はどこへ持っていくのか。

3.池⑤の堤防耐震対策工事について
a.今年度3箇所でドレーン工を行うとのことだが、当該箇所が特に水分含量が多いということか。もしそうなら、なぜそのような状態となったのか、説明していただきたい。

4.池⑨の施設補修工事について
a.護岸補修の工事内容を明らかにしていただきたい。

5.池⑩の伐開工事について
a.流下断面確保のため河畔林を伐採するとのことだが、まず堤防天端標高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの伐採により水位がどの程度下がるのかを明らかにしていただきたい。

6.帯①~⑥の災害復旧・河岸保護工事(音更川・札内川)について
a.音更川の17.5~19KPで河道掘削を行うという説明があったが、掘削部分は現流路の右岸側か。あるいは両岸か。
b.音更川では5箇所で河岸保護工を行うことになっているが、この5箇所はどのような考えに基づいて選定したのか。
c.昨年の音更川18.2KPの堤防洗掘は、糠平ダムからの大量放流によってもたらされたと当会は認識しているが、貴職も同様の認識であると考えてよいか。
d.糠平ダムなどのダムがないとした場合、この時の降雨パターンから、音更川18.2KP付近でどのような流量変動があったと推測されるか明らかにしていただきたい。
e.当会は音更川18.2KPの堤防洗掘の要因について以下のように考えている。当会の見解に異論があれば、貴職の見解を明らかにしていただきたい。
1)今回堤防が流失したKP18.2地点の1.6kmほど上流のKP19.8地点付近から上流の右岸は堤防がなく「山付き」というべき地形である。つまりぶつかった水流をはね返すところである。2)今回堤防が流失したKP18.2地点の上流600mのKP18.8地点から下流は堤防の幅が狭くなっていく。つまり蛇行幅が大きくなると堤防が洗掘される可能性が高くなるところである。3)KP18.2地点から下流にむかって堤防が湾曲している。つまり水流がぶつかる水衝部になる可能性の高いところである。このように地形と水流の関係を分析すると、ここで堤防が洗掘された要因がみえてくる。水流は右岸で跳ね返され、左岸側の高水敷を流下した。そしてここの砂礫を洗掘し、下流で大きく蛇行して堤防幅が狭くなり湾曲した箇所を侵食したのである。地形を読み取ることができれば、この付近の左岸側堤防はほかのところよりも洗掘にさらされる危険性が高いと予測できたはずである。

7.帯⑧の河道掘削工事(十勝川中流部)について
a.河道掘削部分の河畔林面積を明らかにしていただきたい。
b.十勝大橋上流側(公募伐採箇所)は河畔林伐採のみで流下断面を確保し、ここでは河道掘削まで行うことになっているが、両者で対策が異なる理由を明らかにしていただきたい。
c. 堤防天端標高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの工事により水位がどの程度下がるか明らかにしていただきたい。
d.河道掘削1の掘削位置が河岸ではなく高水敷であることの理由を説明していただきたい。

8.帯⑨の堤防保護工事(札内川)について
a.2箇所で工事を行うことになっているが、この2地点が選定された理由を明らかにしていただきたい。

9.帯⑪砂防施設工事(戸蔦別川)について
a.目的として「洪水時の土砂流失による被害の防止・軽減のため、既存の砂防堰堤の改良(スリット化)を実施する」とのことだが、堰堤のスリット化によって、洪水時の土砂流失による被害の防止・軽減が図られる場所は堰堤下流の河床という理解でいいのか。もしそうであるなら、今後堰堤下流部における床固工について見直しが必要になると考えるが、貴職の見解を明らかにしていただきたい。
b.昨年度スリット化が行われたが、土砂の移動について明らかになったことを説明いただきたい。

10.帯⑬の帯広河川事務所維持修繕について
a.音更川と札内川で河道整正を行うということだが、この工事を行わなければならない理由と、工事箇所を選定した理由を説明いただきたい。

11.帯⑭の帯広河川事務所維持修繕(河道内樹木伐採)①について
a.目的として「流下断面を確保するため、河道内の樹木伐採を行う。伐採は地域からの公募を活用して実施する」となっているが、貴職は、2010年10月に設置した「十勝川中流部川づくりワークショップ」の第6回(2011年3月開催)において、「河道内の樹木が年々増加傾向にあるのに対し、草原や河原環境が減少傾向にあることから、第5回で提案した『左岸の樹木を伐採し草原環境とし、河原は保全する案』を提案したい」とし、2011年10月の第8回ワークショップで伐採を決定した。今回、当初の草原環境をつくるという目的を取り消したわけだが、その理由を明らかにしていただきたい。
b.当会は公募による河畔林伐採について本年3月12日付で貴職に要望書を提出した。これに対し貴職から、伐採後の再森林化抑制に向けた知見がえられてきたとの回答があったが、その後の問合せで、これは後志利別川下流部での1例ということが明らかになった。この事例について、どのような工事を行なって、再森林化が抑制されたのか具体的に説明いただきたい。また、外来種対策として、在来草本の箇所から表土をとってくるから外来種の侵入を防げるとのことだが、整地後の「表土」に風散布などで飛来する外来種の種子対策をどのように考えているか明らかにしていただきたい。

12.帯⑭の帯広河川事務所維持修繕(河道内樹木伐採)②について
洪水時に河岸の侵食等の状況を堤防から目視点検するため、河畔林を伐採するということだが、これは昨年の音更川での堤防洗掘を踏まえ、堤防が洗掘されないか目視点検しなければならないということで立案されたと推測する。200m間隔で10m幅の伐開をするとの説明であったが、これには異を唱えなければならない。なぜなら、昨年程度の流量では分厚い河畔林部分が侵食され、流路が堤防まで迫るとは考えにくいからである。それが証拠に昨年の堤防洗掘現場は河畔林のない堤防から流路を見通せるところであった。したがって、単純に一定間隔で伐採することはその後の維持を考えても無駄である。流路は蛇行部からも一定程度見通せるのであり、仮にどうしても伐採が必要であるというのなら、蛇行状態を勘案して伐採すべきである。これに対する貴職の見解をうかがいたい。なお伐採計画が具体化した段階で説明いただきたい。

13.流木の処理について
北海道新聞(7月6日付夕刊)に「流木を無料提供」との記事が掲載されたが、7月3日の治水事業計画説明会でこの事業に触れなかった理由を説明していただきたい。流木は、日本列島の固有種であり北海道では分布が限定されるセグロセキレイの営巣場所として重要な意味をもっている。したがって、流木を無闇に河川から持ち出すことは避けなければならない。このことについて貴職の見解を明らかにしていただきたい。


あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(河川・ダム)の記事画像
居辺川砂防事業見直しを! 十勝総合振興局に申入れ
「ケショウヤナギを知る会」報告
河畔林伐採についての帯広開発建設部の回答
音更川堤防流失についての帯広開発建設部の 調査報告書
然別川の河畔林伐採に関して質問書を送付
魚が上れない魚道
同じカテゴリー(河川・ダム)の記事
 幌加調整池通砂バイパストンネル工事についての要望と回答 (2022-07-22 16:26)
 居辺川砂防事業への質問に対する回答 (2016-06-17 11:48)
 平成27年度治水事業についての質問と意見に対する回答 (2016-06-14 14:53)
 平成27年度治水事業概要書についての質問と意見 (2016-06-14 14:41)
 「2015年8月17日付居辺川砂防事業計画についての申し入れ」の回答への質問 (2016-04-09 16:42)
 北電の新得発電所建設計画環境影響評価方法書に意見書 (2016-03-28 22:45)

Posted by 十勝自然保護協会 at 14:59│Comments(0)河川・ダム
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
治水事業計画についての質問書
    コメント(0)