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十勝自然保護協会 活動速報 › 河川・ダム › 治水事業計画についての質問への帯広開発建設部の回答

2012年09月14日

治水事業計画についての質問への帯広開発建設部の回答

 当会が7月18日付で帯広開発建設部へ提出した「平成24年度治水事業計画についての質問書」への回答が、9月10日付でありました(ごく一部の回答が8月3日にあり)。
 不十分な回答ですが、とりあえず回答全文を掲載し、回答の問題点については、改めて指摘したいと思います。
********


1.池①、池②の築堤工事について
 a.この築堤工事の計画の全容、すなわちこれまでどこで工事し、今後どこで工事を予定しているかを明らかにしていただきたい。

 回答)堤防については、十勝川水系河川整備計画に基づき整備を進めているところです。整備区間については十勝川水系河川整備計画のP75を参照下さい。

 b.工事目的を治水安全度の向上としているが、現在の堤防の天端の標高(以下、堤防天
端標高)、・計画高水位(以下、HWL)、戦後最大規模の洪水流量の水位(以下、戦後最大流量水位)を明らかにした上で、貴職が治水安全度を向上させなければならないと考える理由を説明いただきたい。

 回答)旅来地区、十勝太地区の天端標高は以下のとおりです。
 ○旅来地区(KP13.0)
 ・現況堤防天端標高 10.56m
 ・計画堤防天端標高 11.38m

 ○十勝太地区(KP0.6)
 ・現況堤防天端標高 2.66m
 ・計画堤防天端標高 3.72m

 旅来地区及び十勝太地区は堤防が未完成のため、堤防整備を行って治水安全度を向上させる必要があります。

c.築堤後、種子散布をすることになっているが、どのような種子をいつ散布するのか。

 回答)ケンタッキーブルーグラス、クリービングレッドフェスク、ハードフェスクの種子を8月頃に散布します。

d.築堤のための盛土はどこからもってくるのか。

 回答)幌岡(左岸KP13付近)及び大津(右岸KP5付近)の置土箇所から運搬します。

2.池③の河道掘削工事について
 a.流下断面確保を目的に河道掘削を行うということだが、まず堤防天端標高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの河道掘削により水位がどの程度下がるのかを明らかにしていただきたい。

 回答)育素多地区、礼作別地区の天端標高等は以下のとおりです。
 ○育素多地区(KP28)
 ・計画堤防天端標高 16.04m
 ・HWL       14.04m
 ・戦後最大流量水位 14.34m
 ○礼作別地区(KP29.6)
 ・計画堤防天端標高 16.61m
 ・HWL       14.61m
 ・戦後最大流量水位 14.89m
 河道掘削の完了により、育素多地区及び礼作別地区では約0.5m程度水位が低下します。

b.掘削土はどこへ持っていくのか。

 回答)幌岡(左岸KP13付近)及び大津(右岸KP5付近)の置土箇所へ運搬します。

3.池⑤の堤防耐震対策工事について
 a.今年度3箇所でドレーン工を行うとのことだが、当該箇所が特に水分含量が多いということか。もしそうなら、なぜそのような状態となったのか、説明していただきたい。

 回答)下流部の堤防は広く分布する泥炭地盤上に築造されたものが多く、堤防内に浸透した水が抜けにくいため、水位が高い状態となっています。ドレーン工を実施する箇所は、他の箇所にくらべて地下水が高いことなどから、地震時に安全性を確保できないため、実施するものです。

4.池⑨の施設補修工事について
 a.護岸補修の工事内容を明らかにしていただきたい。

 回答)既設護岸の補修です。既設護岸を一度撤去し、護岸裏の埋め戻しを行い再設置します。

5.池⑩の伐開工事について
 a.流下断面確保のため河畔林を伐採するとのことだが、まず堤防天端標高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの伐採により水位がどの程度下がるのかを明らかにしていただきたい。

 回答)事業説明会で説明したとおり、カメラで監視をする際に支障となる範囲を伐開するものです。資料中の記載の誤りです。

6.帯①~⑥の災害復旧・河岸保護工事(音更川・札内川)について
 a.音更川の17.5~19KPで河道掘削を行うという説明であったが、掘削部分は現流路の右岸側か。あるいは両岸か。

 回答)右岸側です。

b.音更川では5箇所で河岸保護工を行うことになっているが、この5箇所はどのような考えに基づいて選定したのか。

 回答)平成23年9月出水で被災を受けた箇所の内、緊急性の高い5箇所で行うこととしました。

c.昨年の音更川18.2KPの堤防洗掘は、糠平ダムからの大量放流によってもたらされたと当会は認識しているが、貴職も同様の認識であると考えてよいか。

 回答)被災原因については、調査報告書にとりまとめています。こちらを参照下さい。
 

d.糠平ダムなどのダムがないとした場合、この時の降雨パターンから、音更川18.2KP付近でどのような流量変動があったと推測されるか明らかにしていただきたい。

 回答)そのような検討は行っていません。

e.当会は音更川18.2KPの堤防洗掘の要因について以下のように考えている。当会の見解に異論があれば、貴職の見解を明らかにしていただきたい。
1)今回堤防が流出したKP18.2地点の1.6kmほど上流のKP19.8地点付近から上流の右岸は堤防がなく「山付き」というべき地形である。つまりぶつかった水流をはね返すところである。2)今回堤防が流出したKP18.2地点の上流600mのKP18.8地点から下流は堤防の幅が狭くなっていく。つまり蛇行幅が大きくなると堤防が洗掘される可能性が高くなるところである。3)KP18.2地点から下流にむかって堤防が湾曲している。
 つまり水流がぶつかる水衝部になる可能性の高いところである。このように地形と水流の関係を分析すると、ここで堤防が洗擬された要因がみえてくる。水流は右岸で跳ね返され、左岸側の高水敷を流下した。そしてここの砂礫を洗掘し、下流で大きく蛇行して堤防幅が狭くなり湾曲した箇所を侵食したのである。地形を読み取ることができれば、この付近の左岸側堤防はほかのところよりも洗掘にさらされる危険性が高いと予測できたはずである。

 回答)6.cと同様です。

7.帯⑧の河道掘削工事(十勝川中流部)について
 a.河道掘削部分の河畔林面積を明らかにしていただきたい。

 回答)約10haです。

b.十勝大橋上流側(公募伐採箇所)は河畔林伐採のみで流下断面を確保し、ここでは河道掘削まで行うことになっているが、両者で対策が異なる理由を明らかにしていただきたい。

 回答)上流側は高水敷の伐開で流下断面を確保することができるため、河道掘削を行わないこととしました。

e.堤防天端高、HWL、戦後最大流量水位を明らかにしていただきたい。そしてこの工事
 により水位がどの程度下がるか明らかにしていただきたい。

 回答)当地区の天端標高等は以下のとおりです。
 ○KP53.8
 ・計画堤防天端標高 35.42m
 ・HWL       33.92m
 ・戦後最大流量水位 35.11m
 ○KP51
 ・計画堤防天端標高 32.15m
 ・HWL       30.65m
 ・戦後最大流量水位 31.37m
河道掘削の完了により、KP53.8では約1.5m程度、KP51では約0.9m程度水位が低下します。

d.河道掘削1の掘削位置が河岸ではなく高水敷であることの理由を説明していいただきたい。

 回答)左岸と同様に河岸も掘削します。(標準図1が間違いでした)

8.帯⑨の堤防保護工事(札内川)について
 a.2箇所で工事を行うことになっているが、この2地点が選定された理由を明らかにしていただきたい。

 回答)河川整備計画にも位置づけられていますが、急流河川であり堤防決壊の危険性が高く、氾濫した場合の影響が大きい札内川左岸で整備を進めています。

9.帯⑪砂防施設工事(戸蔦別川)について
 a.目的として「洪水時の土砂流出による被害の防止・軽減のため、既存の砂防堰堤の改良(スリット化)を実施する」とのことだが、堰堤のスリット化によって、洪水時の土砂流出による被害の防止・軽減が図られる場所は堰堤下流の河床という理解でいいのか。もしそうであるなら、今後堰堤下流部における床固工について見直しが必要になると考えるが、貴職の見解を明らかにしていただきたい。

 回答)堰堤のスリット化は、流水にせき上げ背水を生じさせて掃流力を低減させることにより、流れてきた土砂を一時的に堆積させることを目的に行うものです。床固工は、河床の縦侵食防止、河床堆積物の再移動防止により河床を安定させるとともに、河岸の浸食又は崩壊などの防止又は軽減を目的に設置するものです。それぞれを適切に整備することにより、土砂災害の防止・軽減を図るものです。

b.昨年度スリット化が行われたが、土砂の移動について明らかになったことを説明いただきたい。

回答)6号堰堤は整備中です。整備終了後、目視等によるモニタリングを実施する予定です。

10.帯⑬の帯広河川事務所維持修繕について
 a.音更川と札内川で河道整正を行うということだが、この工事を行わなければならない理由と、工事個所を選定した理由を説明いただきたい。

 回答)河道整正を行う箇所は、水位観測所の水位測定に支障のある箇所及び澪筋が河岸や堤防に接近し、今後の洪水により堤防等に危険がおよぶ可能性が高い箇所です。

11.帯⑭の帯広河川事務所維持修繕(河道内樹木伐採)①について
 a.目的として「流下断面を確保するため、河道内の樹林伐採を行う。伐採は地域からの公募を活用して実施する」となっているが、貴職は、2010年10月に設置した「十勝川中流部川づくりワークショップ」の第6回(2011年3月開催)において、「河道内の樹木が年々増加傾向にあるのに対し、草原や河原環境が減少傾向にあることから、第5回で提案した『左岸の樹木を伐採し草原環境とし、河原は保全する案』を提案したい」とし、2011年10月の第8回ワークショップで伐採を決定した。今回、当初の草原環境をつくるという目的を取り消したわけだが、その理由を明らかたしていただきたい。

 回答)伐採して、抜根および表土敷均しの作業を行うことにより、草原環境を形成することを期待しています。

b.当会は公募による河畔林伐採について本年3月12日付で貴職に要望書を提出した。これに対し貴職から、伐採後の再森林化抑制に向けた知見がえられてきたとの回答があったが、その後の問合せで、これは後志利別川下流部での1例ということが明らかになった。この事例について、どのような工事を行なって、再森林化が抑制されたのか具体的に説明いただきたい。また、外来種対策として、在来草本の箇所から表土をとってくるから外来種の侵入を防げるとのことだが、整地後の「表土」に風散布などで飛来する外来種の種子対策をどのように考えているか明らかにしていただきたい。

 回答)前回回答の補足でお知らせしましたが、後志利別川の事例は河道掘削後の裸地に表土復元を行ったところ、草本の植被率が高くヤナギ類の進入抑制に有効であったものです。飛来する外来種種子対策を実施する予定はありませんが、表土を復元することで、ある程度抑制できると考えています。

12.帯⑭の帯広河川事務所維持修繕(河道内樹木伐採)②について
 洪水時に河岸の侵食等の状況を堤防から目視点検するため、河畔林を伐採するということだが、これは昨年の音更川での堤防洗掘を踏まえ、堤防が洗掘されないか目視点検しなければならないということで立案されたと推測する。200m間隔で10m幅の伐開をするとの説明であったが、これには異を唱えなければならない。なぜなら、昨年程度の流量では分厚い河畔林部分が侵食され、流路が堤防まで迫るとは考えにくいからである。それが証拠に昨年の堤防洗掘現場は河畔林のない堤防から流路を見通せるところであった。したがって、単純に一定間隔で伐採することはその後の維持を考えても無駄である。流路は蛇行部からも一定程度見通せるのであり、仮にどうしても伐採が必要であるというのなら、蛇行状態を勘定して伐採すべきである。これに対する貴職の見解をうかがいたい。なお伐採計画が具体化した段階で説明いただきたい。

 回答)200m間隔で10m幅の伐採を示したのは、伐採箇所の目安を示したものです。河道状況を確認しながら、有識者のご意見も踏まえて具体的な伐採箇所を決めていきたいと考えています。

3.流木の処理について
 北海道新聞(7月6日付夕刊)に「流木を無料提供」との記事が掲載されたが、7月3日の治水事業計画説明会でこの事業に触れなかった理由を説明していただきたい。流木は日本列島の固有種であり北海道では分布が限定されるセグロセキレイの営巣場所として重要な意味をもっている。したがって、流木を無闇に河川から持ち出すことは避けなければならない。このことについて貴職の見解を明らかにしていただきたい。

 回答)河道内の塵芥処理と同様に、流木の撤去は具体的に実施箇所が定まったものでなく、事業概要として取り上げておりません。流木を放置すると、流出により河川管理施設、漁業等への悪影響が生じるおそれがあるため行っています。


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Posted by 十勝自然保護協会 at 21:25│Comments(0)河川・ダム
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